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Audi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロ新車試乗記(第791回)

Audi A4 Avant 2.0 TFSI quattro

(2.0L 直4ターボ・7DCT・626万円~)

青空の下のAudi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロすべてが洗練され
着実に正常進化したA4に
死角はあるか?

2016年07月08日

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キャラクター&開発コンセプト

「B9」こと、5代目A4

東京モーターショー2015で展示された新型アウディA4セダンの写真
新型アウディ A4 セダン(2015 東京モーターショー)

A4 / A4 アバントは、アウディのミッドサイズセダン/ステーションワゴン。1994年に登場した初代A4から数えて5代目の新型、通称B9型は、欧州では2015年、日本では2016年2月19日(アバントは2ヶ月遅れの4月21日)に発売された。

開発コードの由来は、前身のアウディ80(1972年登場)から数えて9代目だから。80とA4の累計販売台数は合わせて1200万台以上。メルセデス・ベンツ Cクラス、BMW 3シリーズに並ぶ、ドイツDセグメント車の代表格である。

FFモデルに、省燃費2.0TFSIエンジンと7速Sトロニックを新採用

左後方から撮影した新型アウディA4アバントの写真
新型アウディ A4 アバント

新型は、新世代のモジュラープラットフォーム「MLB evo」を採用。ホイールベースを+15mm、そして室内空間も拡大しつつ、ボディ単体では15kg軽量化したほか、クラストップのCd値0.23(セダン)/0.26(アバント)を実現している。

また、FFモデルには、アウディが「ライトサイジング(Rightsizing=正しい排気量)」と呼ぶ、ミラーサイクル燃焼技術を採用した2.0L TFSI(直噴ガソリンターボ)エンジンを採用。トランスミッションには、A4のFFモデルとしては初の7速Sトロニック(DCT)を新採用した(従来A4のFFモデルはCVTだった)。これらにより、FFモデルではJC08モードで33%の燃費改善を実現している(先代2.0 TFSI :13.8km/L → 新型2.0 TFSI:18.4km/L)。

 
アウディバーチャルコックピットの写真
アウディ バーチャル コックピット

また、照射範囲を自動でバリアブルに可変する「マトリクスLEDヘッドライト」をオプション設定。操作系では、12.3インチ液晶モニターを使った多機能ディスプレイシステム「Audi バーチャルコックピット」、最新世代のMMI、新デザインのシフトレバー、LTE通信でインターネットに常時接続するAudi connectなどが全車装備されている。

 

■過去の新車試乗記
アウディ>A4 アバント 1.8 TFSI (2008年9月掲載)
アウディ>A4 1.8 TFSI (2008年5月掲載)

 

価格帯&グレード展開

FFは518万円~、クワトロは597万円~。アバントは29万円高

Audi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロと同スポーツ S line パッケージの写真
A4 2.0 TFSI クワトロ スポーツ S line パッケージ(左)とA4 2.0 TFSI

目下のラインナップは、セダンが4グレード、アバントが4グレードの計8モデル。

今のところエンジンは2.0L4気筒ターボのみで、FFにはライトサイジング思想で開発された140kW(190ps)・320Nm仕様を、フルタイム4WDのクワトロには185kW(252ps)・370Nmのハイパワー仕様を搭載する。ミッションはFFも含めて、全車7速のSトロニックことDCT(デュアルクラッチトランスミッション)になった。

 
Audi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロと同スポーツ S line パッケージの写真
A4 アバント 2.0 TFSI(左)とA4 アバント 2.0 TFSI スポーツ S line パッケージ

価格はFFが518万円~、クワトロは597万円~。セダンとアバントの価格差は29万円。先代B8のFFモデルは400万円台前半からあったので(CVTだったが)、「A4も高くなったなぁ」という印象は否めない。

なお、FFとクワトロの両方で選べる「Sport」(FFは38万円高、クワトロは27万円高)は、スポーツサスペンション、専用バンパー、17インチアルミホイール、スポーツシートなどを備えたもの。さらに「S line パッケージ」 (35万円高)を装着すると、S lineバンパー、専用18インチアルミホイール等が備わり、見た目がぐっと精悍になるが、価格も上昇する。

 
【A4 セダン】
  • 2.0 TFSI (FF)  518万円
  • 2.0 TFSI Sport (FF)  556万円
  • 2.0 TFSI quattro  597万円
  • 2.0 TFSI quattro Sport  624万円
【A4 アバント】
  • 2.0 TFSI (FF)  547万円
  • 2.0 TFSI Sport (FF)  585万円
  • 2.0 TFSI quattro  626万円
  • 2.0 TFSI quattro Sport  653万円
 

パッケージング&スタイル

デザインもサイズも微妙に変わった

右前方から撮影したAudi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロの写真

先代とどこが違うのか、新型のデビュー直後に分からないのはアウディの常?で、マイナーチェンジだと勘違いしそう。よく見ると全体に質感が高まり、精悍さが増したのが分かる。分かりやすい識別点はヘッドライトだが、LEDヘッドライトおよびマトリクスLEDヘッドライトは全車オプションで、標準はプロジェクター式のバイキセノンヘッドライト+LEDポジションライトになる。

ボディサイズは下の表でも分かるように、先代A4も同クラスで最も大きなモデルだったが、新型ではさらに全長、全幅、ホイールベースがそれぞれ15mmずつ大きくなった。

 
右後方から撮影したAudi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロの写真

機能美や品質感をひたすら追求するのがアウディ流だが、デザインについては全体に大人しめ。そんなわけで、ついSportのS line パッケージ装着車を選びたくなる、というのがメーカーの狙いか? Cd値は量産車で世界トップクラスの0.23とのこと(アバントは0.26)。

 
マトリクスLEDヘッドライトをクローズアップして撮影した写真
マトリクスLEDヘッドライト
右側面から撮影したAudi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロの写真
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
BMW 3シリーズ(2012~) 4625 1800 1440 2810 5.4
レクサス IS(2013~) 4665 1810 1430~1460 2800 5.2
ジャガー XE (2015~) 4680 1850 1415 2835 5.5
メルセデス・ベンツ Cクラス (W205型、2014~) 4690~4715 1810 1430~1445 2840 5.1~5.3
アウディ A4 (B8型、2008~2016) 4705~4730 1825 1440~1465 2810 5.5
新型アウディ A4(B9型、2016~) 4735~4740 1840 1410~1430
1435~1455
2825 5.5
アウディ A6 (2011~) 4930~4955 1875 1465~1495 2910 5.7
 

インテリア&ラゲッジスペース

バーチャルコックピットや新型シフトレバーを採用

Audi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロの運転席の写真

水平基調になったインパネの見どころは、12.3インチ(1440×540ピクセル)のフル液晶メーターを使った「アウディバーチャルコックピット」(マトリクスLEDとのセットオプション)だろう。基本的には新型TTに続くものだが、メーターディスプレイだけのTTと違って、A4にはもう一つ、8.3インチのディスプレイがダッシュボード上にも備わる。TTの場合、助手席からテレビが見えないという問題があったが、A4では大丈夫だ。

また、通信モジュールが先代の3GからLTEになった「Audi connect」は全車標準なので、ナビゲーションの地図をGoogleEarthに変更したり、Googleストリートビューを表示したりもできる。

 
Audi ConnectでGoogleストリートビューを表示した写真
Googleストリートビューを表示したところ

MMIやシフトレバーのデザインも刷新された。シフトレバーは完全に電子制御タイプになり、P(パーキング)はボタンに変更。最初はPに入れるつもりで、R(リバース)に入れてしまったりもするが、すぐに慣れる。シフトレバーの上面がMMI操作時のパームレストになるなど、秀逸なデザイン。

シートも全面新設計で、フロントシートの骨格には高強度スチール、リアシートにはマグネシウムを使用し、合わせて最大9kg軽量化したという。

 
Audi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロのシフトレバーの写真
シフトレバーは常に中立位置に戻る電子制御式
Audi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロのオプションの電動レザーシートの写真
オプションの電動レザーシート。調整幅がやたらある
 

A6要らず?の後席。上質な荷室スペース

Audi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロの後部座席の写真

先代A4の後席も十分広かったが、新型ではホイールベースが15mm伸び、A6要らずの?広さを確保。室内長は17mm、後席レッグルームは実質23mm拡大されたという。特につま先の周辺が広いのが良い。

荷室も若干広くなった。アバントの場合、後席使用時の荷室容量は505L(先代比+15L)、後席背もたれを畳むと最大1510L(同+80L)になる。上質感のあるカーペットや気の利いた装備もアバントの売りで、全車に電動リアゲートやパーティションネットが標準装備される。

 
Audi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロの荷室の写真
アバントには電動リアゲートが標準。後席の背もたれは3分割で倒せる
Audi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロの荷室の床下の写真
床下にはテンパースペアタイヤを搭載
 

基本性能&ドライブフィール

【クワトロに試乗】 パワフルというより軽やか

Audi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロのエンジンルームの写真

試乗したのはアバントのフルタイム4WD仕様、「2.0 TFSI クワトロ」。車両価格はオプション込みで約730万円。

ミラーサイクルを採用したFF用の2.0TFSIエンジン(190ps)が話題の新型だが、クワトロ用の2.0 TFSIエンジンは、自然吸気なら3.5Lクラス相当の252psと370Nmを叩きだすハイパワー仕様。

とはいえ、その印象はパワフルというより、軽やかとい印象。ターボラグはなく、シューンと一直線に吹け上がる。エンジン音も静か。252psもあるとは、少なくとも常用域では感じない。試乗したクワトロの車重は1680kgだが(セダンより20kg、FFより100kg重い)、実際にはもっと軽いクルマのように、軽々と、そしてクールに走る。

 
前方からAudi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロを撮影した写真

ちなみにクワトロの0-100km/h加速は、セダンで5.8秒、アバントは6.0秒。最高速は250km/h(リミッター作動)とのこと。「そんなに速いんだ」と思うくらい、新型A4は高性能感をことさら意識させない。

ちなみにFFの0-100km/h加速は、セダンで7.3秒、アバントで7.5秒、最高速は共に210km/h。FFモデルにも別の日に乗ったが、そちらもまったく不満なく走り、街中に限ればクワトロとの差は限りなく小さいと思った。ミッションも先代のCVTから7速DCTになったし、新型A4はFFの方が伸びしろが大きい、と言えるかもしれない。

なお、車重は「最大120kg軽量化」と資料にあるが、ボディ単体は15kg減で、実際に先代2.0 TFSI (日本仕様)のカタログ値と比べても、セダンで20kg減、アバントで10~50kg減といったところ。

静粛性、高すぎ?

後方からAudi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロを撮影した写真

新型A4で何より印象的なのは、静粛性が高いことだろう。ロードノイズはもちろん、エンジン音も静かで、2.0 TFSIエンジンでおなじみ、全開加速中のシフトアップ時に聞こえる「ボッ!」という燃焼音もかすか。そこはちょっと物足りない気もするが、スポーツモデルではないので、ということだろう。逆に静かすぎるせいか、少なくとも試乗したアバントでは、タイヤのパターンノイズのような、ささいな音が気になってしまった。

また、走行モードを変更できる「アウディ ドライブセレクト」では、エフィシェンシー(燃費重視)、コンフォート、オート、ダイナミックの4種類から選択できる。通常はコンフォートかオートでいいだろうが、エフィシェンシーでも普通に走り、ダイナミックだとレスポンスが若干だが鋭くなる。

100km/h巡行時のエンジン回転数は、7速トップで約1500rpm。さらにエフィシェンシーモードで走行中は、アクセルオフでコースティング(慣性走行)モードに入るため、アイドリングと同じ700rpmくらいまで下がる。惰性でどこまでも走ってしまう感じは独特だが、今やポルシェ911にも当たり前に付いている機構だ。

クワトロもいいけど、FFもいいね

街中で停車するAudi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロの写真

ワインディングをダイナミックモード+Sレンジで走ってみると、街中では分からなかった運動神経の良さが伝わってくる。強引なステアリング操作に対しても、軽量スポーツモデルのような切れ味で反応するし、アクセルをガンと踏み込んだ時のトラクションも完璧。なお、アウディのクワトロと言ってもいろいろあるが、新型A4 2.0 TFSIのものは、センターデフにトルセンLSD(トルク感応型の歯車式LSD)を使ったフルタイム4WDであり、つまり電子制御ではなく、純粋にメカ式。前後トルク配分は40:60を基本に、状況に応じて70:30~15:85で可変する。

ただ、シャシー自体の基本性能がかなり高い感じなので、サーキット走行的な状況や、よほどの土砂降りでもない限り、FFでも同じように走ってしまう気もした。サスペンションは新設計で、前後とも5リンクのダブルウィッシュボーンになる。

乗り心地は、印象としては硬すぎず、軟かすぎず、どちかかと言えば少し硬めだが、舗装が大荒れに荒れた道でも、不快な揺れや突き上げは一切なかった。ただし「Sport」グレードの場合は、20mmダウンのスポーツサスペンションと18インチタイヤが標準装備になるので、もっとシャープで骨のある印象になるだろう。

マトリクスLEDヘッドライトはおすすめ

夜間の駐車場でヘッドライトを光らせるAudi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロの写真

新型A4は、ACC(アダプティブクルーズコントロール)はもちろん、クルマや歩行者を感知して自動ブレーキを作動させる「アウディ プレセンスシティ」も全車標準。また、ACCなどと連動して積極的にステアリング操舵するのも新型の売りだが、この操舵アシストについてはなぜかあまり体感できなかった。

今回、安全装備で感心したのは、マトリクスLEDヘッドライト。片側11個のLEDで構成されるロービーム(こちらは可変しない)に加えて、片側12個のLEDと3つのリフレクターで構成されるハイビームを使って、照射範囲や光量を自在に変化させるもの。2013年からA8を皮切りに採用されている。街中では分かりにくいが、交通量の少ない郊外や高速道路では、先行車や対向車を避けて、その左右と手前をしっかりと照らし出してくれる。バーチャルコックピットとなぜかセットで34万円もするが、郊外での夜間走行が多い人にはお勧めしたい。

試乗燃費は9.5~10.5km/L。JC08モード燃費(クワトロ)は15.5km/L

夜間のガソリンスタンドで給油中のAudi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロの写真

今回は計250kmを試乗。参考までに試乗燃費は、一般道と高速道路を走った区間(約80km)が9.5km/L。一般道を大人しく走った区間(約30km×2回)は2回とも10.5km/Lだった。印象としては、エコ運転しても飛ばしてもあんまり変わらず、10km/L前後に落ち着くという感じ。

JC08モード燃費は190psのFFモデルが先代比33%アップの18.4km/L、試乗した252psのクワトロが先代比14%アップの15.5km/L(いずれもセダンとアバントで共通)。FFモデルはクワトロより車重が100~120kg軽く、センターデフから後ろの駆動系もないので、実際の燃費もそれなりに良いと思われる。

指定燃料はいずれもハイオクで、タンク容量はFFが54L、クワトロが58L。

 

ここがイイ

ワゴンボディ。基本性能や品質感の高さ。マトリクスLEDヘッドライト。ツインディプレイ

青空の下のAudi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロの写真

まずなんと言ってもワゴンボディの存在だろう。先代より少し大きくなったが、このくらいのサイズのワゴンは貴重だ。デザインもあまり変わらなかったのがいい。誰がどう見ても、まさにアウディのワゴン、アバントだ。

エクステリア、インテリア、操作系、走り、乗り心地など、おしなべて品質感が高い。そしてクワトロはもちろん悪くないが、別の日に乗ったFFも7速DCTとの組み合あわせでシャキシャキ走り、クワトロに遜色ない。先代のFF(初期の1.8 TFSI)は何となく物足りなさがあったが、新型は基本性能や品質感において、ほとんど文句のつけようがないモデルになった。

本文でも触れたようにマトリクスLEDヘッドライトは、夜間走行が多い方にお勧め。真っ暗なワインディング等を走ると、先行車や対向車の部分だけを切り取ったように避けて、その両サイドと手前をしっかりと照らし出す。ハイ/ローを切り替える手間がないだけでなく、確実に夜間走行の安全性を高めてくれる。

アウディ バーチャルコックピットとダッシュ中央のディスプレイによるツインディスプレイ化。これについては総評にて詳しく。

ここがダメ

スタート価格の高さ。フットレストが遠い

Audi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロのフットレストの写真

いざ購入を検討した時、その価格に戸惑う人は少なくないのでは。スタート価格は518万円で、クワトロは597万円から、アバントのクワトロだと626万円からで、さらにマトリックスLEDヘッドライト(バーチャルコックピットやLEDリアコンビランプとセット)やレザーシートを装着すると、700万円を超えてしまう。ひと昔前ならA6の値段。もちろん安全装備やIT装備、それに品質感や静粛性はひと昔前のA6以上かもしれないが。そんなこともあって、噂では1.4 TFSIの日本導入もあるようだが、果たして。

先代A4にもあった運転席の左足もと、センターコンソールの張り出しはかなり小さくなったが、左足の置き場所に困る感じは若干残っている。それはまぁ仕方ないとして、気になるのは左足で踏ん張ろうとしてもフットレストが遠く、足が伸びきってしまうこと。膝を適度に折り曲げるには極端にシートを前進させることになり、それはあり得ない。フットレストにゲタを履かせるといいような気もするのだが……。

あと、静粛性は同クラスでも高い方だと思うが、あまりに静かなせいか、今回はタイヤのパターンノイズのような、ウォーンとかすかに唸るような音が気になる時があった。これはセダンだと気にならないかもしれないし、タイヤが原因かもしれない(試乗車のタイヤはミシュランのプライマシー3、スペイン製、225/50R17)。かすかな音だが、参考までに記しておく。

総合評価

早くすべての自動車がこうなってほしい

東京モーターショーで展示された新型アウディA4の写真

リッター100ps超のターボエンジンで、4WDで、しかもこのサイズと車重で、となれば、20~30年ほど前なら、実燃費は5km/Lか6km/L台というところ。ところが新型A4では思う存分に走っても10km/L弱なのだから、クルマの進化は素晴らしい。FFだったら常時12km/Lくらいは走るのでは。ガソリン価格は昔とたいして変わっていないが、物価はそれなりに上がっているから、クルマの維持費というか経済性はずいぶん高まっている。30年前からタイムスリップしてきたら、すごいクルマに見えるだろう。

もしそんなタイムトラベラーがA4の運転席に座ったら、一番驚くのがインパネのディスプレイだろう。新型A4ではメーターパネル内にナビを表示でき、もう一つセンターにもディスプレイがある。このツインディスプレイは使い勝手で言えばベストなものだ。新型TTはメーターパネル内だけのシングルディスプレイだったが、ついにここまで来たか、と今回は感動した。しかもLTEの車載SIMで通信もできる。ツインディスプレイとインターネット常時接続、早くすべての自動車が「最低でも」こうなってほしいものだ。

 
Audi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロの運転席の写真

では、こうなった車内で何がしたいか、というと、いつも使っているスマホ同様の機能をこの2つのディスプレイで再現して欲しい、ということに尽きる。目的地を音声で適当に言えば、すぐに検索されて候補が見つかり、ワンクリックでガイド開始。渋滞はプローブ情報でリアルタイムでチェックでき、到着予想時間もつかめる。目的地の写真も見ることができればなおいい。近所の空き駐車場やグルメ、レジャー情報などもさっと調べられる。ナビ機能に求めるのは、そんなところか。

実際、新型A4でも、GoogleEarthはもちろん、Googleストリートビューも表示できる。まぁ、通常の地図表示から直感的に切り替えることができないなど、いわゆる「サクサク」操作できるといった感じではないが。

 
Audi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロのセンターコンソールの写真

オーディオに関しては、やはり車両にもラジオや地デジTV、そしてCD/DVDプレーヤーは装備されていてほしいが、今や音楽は配信系のサービスやYouTubeで聞くことが多いので、通信ができるのなら、当然それには対応すべきだろう。

もうひとつ肝心なのは、高速データ通信でwebブラウジングができること。それができれば、どんな情報だって手に入れられるし、メールもスケジュールもSNSもそこで一目瞭然だ。要はAndroidやiPhoneのフル機能同様のものを、この大型ツインディスプレイで表示・再現したい。もちろん燃費やらメンテナンスやらの車両情報も当然このディスプレイに表示されるべき。ハンズフリーで電話できることも重要だが、まあこれは10年も前から実現している。

根本的にスマホと融合させるシステムに

Apple CarPlayの写真
Apple CarPlay (photo:アウディ・ジャパン)

ということで、いよいよA4ではApple CarPlayとAndroid Autoにつながって、スマホでナビが操作できるようだ。ようだというのは、Apple CarPlayは、Appleユーザーでないので試しておらず、Android Autoの方は専用接続ケーブルがまだ発売前ということで、今回は試せなかったから。普通のUSBケーブルでも大丈夫という話も聞くが、トラブルは避けたいし、サービス自体も正式にはまだ始まっていないようでもある。どうもまだ見切りスタート状態のようだ。

※追記 : Google Japanは2016年7月13日付で、「Android Auto の日本での提供を開始しました」と発表しました。

とはいえ、これがつながれば、おそらく音声でGoogleマップでの検索や、Play Musicで音楽を聴くことができるはず。つまりツインディスプレイがカーナビではなく、スマホになるはず。

ちなみに指先でポインターを動かせるMMIタッチは、右ハンドルの場合は左手での操作になるものの、シフトレバーに手を置いての手書き入力はけっこう使い物になった。こうしたことも出来るコントローラーは、現行モデルの操作インターフェイスとしては最良のものだと思うが(レクサスのものより使いやすい)、コントローラーと複数のボタンでロジカルに操作するところは、まさにドイツ的な論理性に支配され、直感的に操作できる、という風には思えなかった。音声操作もなかなか思ったように認識してくれず、ついディスプレイをタッチしてしまったり。もちろんウンともスンともいわない(苦笑)。

 
シフトレバー操作の様子

また、論理的かつ安全なインフォテイメントシステムとして進化してきたMMI は、ツインディスプレイで一つの理想に近づいたと思うが、スマホがここまで急激に進化した今となっては、その上を行くものにするか、あるいは根本的にスマホと融合させるしかないのでは、と思える。

通信SIMもMVNO(自前で回線を持たず、格安SIMを提供する移動体通信事業者)によって低価格となった昨今ゆえ、他の自動車メーカーもどこかのMVNOと組んで、様々な車載サービスの課金もできるようにすれば、新たなビジネスも展開できそうなのだが。クルマ側に通信機能があれば、少なくとも顧客の囲い込みはしやすいはず。むろん、日本だけでなく世界規模で考えなくてはならないわけで、お国の事情はそれぞれゆえ、そこもまた難しいのだろう。

つまり、せっかく二面の大きなディスプレイがあるのだから、スマホを車内の所定位置に置いた時点で車載システムと一体化して動作し、スマホにおけるサービスと、車載ならではのサービスが融合し、クラウドからデータを取り、またデータがクラウドに蓄積していくという世界が実現してほしい。ここまで進化させてきた「カーナビ」が、GoogleなりAppleなりと組まなくてはならないのは、メーカーにとって苦悩だと思うが、そろそろそういった展開を考えなければならないところに来てしまったように思える。

 
木陰の道を走行するAudi アウディA4アバント2.0 TFSIクワトロの写真

そういえば、このクルマにはドライブレコーダーが標準装備されていないが、これも今やマストアイテムだろう。そしてドラレコのデータこそ、通信で常時アップさせたいところ。スマホでいろいろできてしまう時代へ急速に変わっただけに、クルマのIT装備で先端を行く今回のMMIについても、やはり今ひとつ物足りなさを感じてしまった。

車内での情報機器操作における安全性の担保には課題が多いし、何が正解かまだ分からないが、スマホの急激な進化についていけてない車載器側の問題は、素晴らしいツインディスプレイが目の前にあるだけに、ますます気になった。クルマとしては文句のつけようがないだけに、今後の課題はそのあたりに移行していくだろう。むろんそんなことを言うのは、この手のことが好きなオタクだけで、そういう人がこのクルマを買うことはないのかもしれないが。

 

■外部リンク
Android Auto (英語)
Google Japan Blog>Android Auto の日本での提供を開始(2016年7月13日)

 

試乗車スペック
アウディ A4 アバント 2.0 TFSI クワトロ
(2.0L 直4ターボ・7DCT・626万円)
●初年度登録:2016年4月
●形式:ABA-8WCYRF
●全長4735mm×全幅1840mm×全高1455mm
●ホイールベース:2825mm
●最低地上高:140mm
●最小回転半径:5.5m
●車重(車検証記載値):1680kg(920+760)
●乗車定員:5名

●エンジン型式:CYR
●排気量:1984cc
●エンジン種類:直列4気筒DOHC・4バルブ・ガソリン・ターボ・縦置
●ボア×ストローク:82.5×92.8mm
●圧縮比:9.6
●最高出力:185kW(252ps)/5000-6000rpm
●最大トルク:370Nm (37.7kgm)/1600-4000rpm
●カムシャフト駆動:-
●使用燃料:プレミアムガソリン
●燃料タンク容量:58L

●トランスミッション:7速Sトロニック(DCT)
●JC08モード燃費:15.5km/L

●駆動方式:クワトロ(センターデフ付フルタイム4WD)
●サスペンション形式(前):ダブルウィッシュボーン+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):ダブルウィッシュボーン+コイルスプリング
●タイヤ:225/50R17 (Michelin Primacy 3 ※Made in Spain)

●試乗車価格(概算):730万5000円
※オプション:レザーパッケージ 45万円、Bang & Olufsen 3D アドバンストサウンドシステム 17万円、マトリクスLEDヘッドライトパッケージ 34万円、オプションカラー(メタリック) 8万5000円

●ボディカラー:グレイシアホワイト メタリック
●試乗距離:250km

●試乗日:2016年7月
●車両協力:アウディ名古屋中央(ヤナセ オートモーティブ株式会社)

 
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アウディ 名古屋中央

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