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アウディ A4新車試乗記(第185回)

Audi A4

 

2001年08月26日

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キャラクター&開発コンセプト

よりプレミアムになった2代目

2代目A4は、「より安全で、より快適で、よりスポーティに」をテーマに開発されたアウディのCセグメントセダン。フォルクスワーゲングループの上級ブランドとして、ハード、イメージともにライバルと張り合える内容をめざしている。

エンジンは2リッター4気筒と3リッターV6の2種。ミッションは2リッターがアウディ初のCVT(無段変速機)、3リッターが5速ATで、どちらもシーケンシャルモードが付く。駆動方式は2リッターがFF、3リッターがアウディ伝統のフルタイム4WD「クワトロ」。なお、ワゴンモデルの「アバント」は当分の間、従来モデルが引き続き販売される。

価格帯&グレード展開

ニューA4の登場に加えて今年からのディーラー網を再編成

グレードは、2リッターモデルが「2.0(362万円)」、「2.0SE(399万円)」、3リッターモデルが「3.0クワトロ(515万円)」、「3.0クワトロ・スポーツ(533万円)」で計4種類。

装備は標準仕様の「2.0」に対して、「2.0SE」に加わる主な装備は、電動シート、シートヒーター、木目パネル、自動防眩ミラーなど。これに加えて「3.0クワトロ」ではキセノンヘッドライト、ヘッドライトウォッシャー、リアセンターヘッドレスト、DIS(ドライブインフォメーション)など備わり、さらに「3.0クワトロスポーツ」では名のとおり、スポーツシート、スポーツサスといった高性能アイテムが奢られる。またグレードに応じてタイヤサイズは異なり、「3.0クワトロスポーツ」には235/45R17を、4輪すべてに装着している。

日本ではヤナセと別れて以来、販売が伸び悩んでいるアウディ。今年からのディーラー網の再編成(新アウディディーラー網には一部ヤナセも加わった)により独立ブランドとしてブランドイメージ再構築に乗り出したが、このニューA4の導入によってブランドが確立するか楽しみなところだ。

パッケージング&スタイル

A6をギュッと凝縮

ボディサイズは全長4555×全幅1765×全高1430。先代と比べるとそれぞれ+60mm、+30mm、+30mm。ホイールベースは+40mmの2645mm。メルセデスCクラス、BMW3シリーズより、やや幅広なのが特徴だ。

スタイリングは上級車種であるA6風で、一見して高品質を感じさせるもの。ヘッドライトに流行の吊り目は採用されていないものの、ハリのある面構成でダイナミックな印象。3リッターモデルのマフラーは2本両出し。先代までの線の細さが薄らぎ、重厚で男性的なイメージになった。まるでA5? そんな印象さえ漂う。

ボディ剛性は先代と比べて45%アップ。また、世界で最も厳しい衝突安全テストの1つ、ユーロNキャップで最高ランクの4つ星を獲得している。アウディと言えば、82年のアウディ100で量販セダン初のCd値(空気抵抗係数)0.30をマーク。以来、空力=アウディというイメージが強いが、今回のA4も0.28を確保。Cクラスの0.26には及ばないが、それでも先代より0.02優れている。

ドイツ車らしい合理主義

インパネは奇をてらわず合理的にまとめられている。各部の操作スイッチは整然と配置され、メーターはシンプルな2眼アナログ式。その中央には時計・シフトインジケーター・メンテナンス情報などを集約させた大型モニターを設けている。

エアコンは左右独立式。カチッ、カチッとしたいかにもドイツ車らしい定番の心地よさが漂うもの。一方、アウディらしいのがドアからインパネに連なる化粧パネルだ。3.0クアトロスポーツにはアルミニウム(本物)を、その他のグレードにはウッドパネル(もちろん本物)やカラードパネルが用意される。クオリティも高く、先代で見られたツギハギ感がない。作り込みの良さは、Cクラスに確実な差をつけている。

そこそこ広い室内やトランクは過不足なし

室内空間はボディの拡大、ホイールベースの延長に合わせて広くなった。室内長は約30mm延長され、後席のニースペースは約40mm増加。シートは硬め。助手席は座面が前に伸びる機能付きで、前席は電動シートによって上下70mmも動くのが特徴だ。また太いグリップのステアリングにはチルト・テレスコ機構が付き、ドラポジの自由度はかなり広い。

後席は単にゆとりができただけでなく、背もたれが少し寝かせ気味となり、リラックスして座れるようになっている。ただ実際は特別に広いと言うわけではなく、身長170cmの人で頭上空間、膝元空間ともに拳1個分程度。加えて大柄な前席のおかげで開放感はそれほど感じられない。なおシートは硬めで、前席は適度なフィット感がある。

トランク容量も増し、445リッターを確保。数値上ではCクラスの455リッターに及ばないものの、タイヤハウスの張り出しが少なく、深さがやや足りない感じはあるが、開口部がスクエアな形状なので使い勝手は良さそうだ。

基本性能&ドライブフィール

試乗した3.0クワトロ スポーツはスポーティーさが目立つ

エンジンは従来の1.8リッター、1.8リッターターボ、2.4リッターが全て廃止され、新開発の2種類を用意。1つめは最高出力130psの2.0リッター直列4気筒ユニットで、FF駆動の「2.0」と「2.0SE」に搭載。もう1つは220psの3.0リッターV6で、クワトロ(フルタイム4WD)仕様の「3.0クワトロ」と「3.0クワトロ スポーツ」に搭載される。共にシリンダーブロックはアルミ製で、1気筒あたり5バルブだ。ミッションは2リッターモデルが新開発のCVT「アウディ・マルチトロニック」でマニュアル6速モード付き。3リッターモデルは先代で定評のあった5速ATだ。

試乗したのは3リッターのスポーツ仕様「クワトロスポーツ」。V型としては少数派のロングストロークとあって、低回転域から実にトルクフル。アクセルを踏んだ直後こそ一瞬、息をのむようなタイムラグが感じられるものの、1660kgという重量級のボディをグイグイと引っ張っていく。シフトレバーをDからシーケンシャルモードに移せば、レッドゾーン手前の6500回転まで吹け上がる。80km/hぐらいまでなら、どのギアを選んでも最大トルクが維持されるので、即、加速モードに入れる。加速重視の力自慢というよりは、高速域で威力を発揮するタイプだ。

乗り心地もこれまたドイツ車らしく固め。締め上げられた足回りと235/45R17の極太タイヤが細かな段差まで拾ってしまい、常にコトコトといった振動が伝わってくるなど、しなやかさが足りない。特に後輪が顕著。後席の乗員は少々不快かもしれない。

パワステはやや重めで、ロック・トゥ・ロックは2.8回転、中立付近の遊びがほとんどないので、ステアリングに対する動きはかなり機敏で緻密だ。アウディ独自の4WDシステム「クワトロ」がどれほどの限界性能を秘めているのかは分からないが、郊外のワインディングを走らせると、直線時で感じていた重厚感が薄れ、一般的な2駆モデルの2割増ぐらいのスピードで駆け抜けることができる。

フルタイム4WDゆえ絶対的にグリップしている感覚は強いが、アクセルコントロールでの姿勢制御も可能で、気がつくとハイペースで走りきってしまったことに驚かされる。回頭性が高いため4WD的な鈍重さがなく、それでいて国産4WDスポーツのような妙な軽快感もない。パワーがたいしたことないだけに、フルに使い切って走れるため、とても楽しめる。また、市街地での取りまわしも良く、FFながら5.2mという同クラスのFR車なみの最小回転半径を確保している。

気になったのは、スムーズにエンジンは回るけど実際の伸びはイマイチ、といったところ。A4は吸気バルブを3つにしてビッグボアエンジン(=ショートストローク)に近い吸入効率としたというが、体感的にはそのメリットはあまり感じられない。シャープなエンジンとはとても言えない。また、バランサーシャフトのおかげか耳障りなノイズは抑えられているが、それでもこのクラスとしては騒がしい部類に入る。特に4000回転から上が雑。やはりV6ならではの緻密なフィーリングが欲しいところ。

絶対的なスポーツ感こそ備えてはいないものの、正確なハンドリングを楽しむクルマという資質は十分に備わっている。すべてに共通するカチッとした走り味は、根っからのドイツ車好きに支持されそうだ。

ここがイイ

かなり個人的な感想かもしれないが、パワー感がちょうどよく、実に楽しい走り。ランエボなどは速すぎて公道ではとても飛ばせないが、このクルマは低速からパワー感が持続するので、ワインディングを2速、3速で、高剛性のボディと対話しながら攻めると、大人のスポーツ走行が堪能できる。足の固さもファミリーが苦情を言うギリギリで踏みとどまっていると思えるので、スポーツ心とファミリー心の両面を満たせる「ナイス」な選択肢といえそう。

高速レーンチェンジでの挙動の安定も特筆もので、100km/hでも障害物を軽くいなせるはず。むろん超高速域でも素晴らしい安定感がある。「シャシーはエンジンより速く」という昔のフレーズを思い出してしまった。

ここがダメ

アウディ車はどこから切ってもアウディというフォルムで、素人目には区別がつかないほど。A4もクルマ好きでないと、はっきりニューカーと分かる人は少ないのでは。それがメリットでもあり、デメリットでもある。

メルセデスなどよりずっとドイツ車的ながっしりしたインパネは、作りとしては好感が持てるが、スイッチ類はわかりにくいし、IT対応はまったくない。ディスプレイはどこにおけばいい? その点でも昔のドイツ車的だ。

総合評価

乗ったクルマがあまりにスポーティなタイプだっただけに、A4本来の姿を反映しているとは思えないので、ちょっと総合評価はしにくい。4気筒のCVTに乗ってみないと何とも言えない。後日の課題にしたいと思う。

それはさておき、ブランドの話。お嬢様のクルマというイメージをヤナセで植え付けられてしまったアウディは、日本では一番目立たないガイシャとしてここまできた。今年になっての新展開でも、今もまだインパクトは強いとは言えない。先に書いたとおり、アウディらしいスタイリングは、どうしてもイマイチ目立たない。A4もやっぱり地味だ。この地味さを何とかしないと、いくらブランドイメージといっても辛いだろう。メルセデスやBMWには華がある。ジャガーやボルボには分かりやすいデザインがある。アウディには古典的なドイツらしさはあるが、プラスαがないと思う。そこが課題だろう。

 

公式サイトhttp://www.audi.co.jp/models/A4/index.html

 
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