キャラクター&開発コンセプト
80から数えて7代目
アウディが「7世代目」と呼ぶ、新しいA4が日本でも2005年2月に発売された。これは1972年登場のアウディ80を初代とした数え方のようで、A4としては94年の初代、01年に日本導入された2代目のあとに続く3代目ということになる。やや短めのライフサイクルやモノコックの基礎部分が変わらない点から、ビッグマイナーチェンジと捉える向きもある。
外観変更と新型エンジンを追加
変更の内容は、まずA6が先鞭をつけたアウディの新しい顔「シングルフレームグリル」の採用をはじめとする外観デザインの刷新。また、従来の2.0リッター直4に加えて、先にA3が採用した2リッター直噴ターボ、および3.2リッター直噴V6といった新世代エンジンの搭載もある。サスペンションも全面的に改良された。
今回のモデルチェンジではセダンと同時に、アバント(ステーションワゴン)や高性能モデルのS4/S4アバントも発売された。90年代後半はディーラー網の混乱から低迷したアウディだが、今年はこのA4とボトムレンジのA3、そしてミドルクラスのA6とともに、過去最高だったバブル期の販売台数を越えるのが目標だ。
価格帯&グレード展開
18万円の追加でアバントに
日本に導入されるのは「A4 2.0」(388万円)、直噴ターボエンジンの「A4 2.0 TFSI クワトロ」(470万円)、V6エンジンの「A4 3.2 FSI クワトロ」(595万円)と、それぞれ18万円増しのアバントだ。パワートレインでおよそ100万円ずつ違うラインナップだ。
さらに200万円出すと、このコンパクトなボディにS4専用設計の4.2リッターV8(344ps、41.8kgm)を滑り込ませた高性能モデル「S4 4.2クワトロ」(808万円)と「S4アバント 4.2クワトロ」(826万円)が手に入る。こちらはパワーウエイトレシオ:4.8kg/ps、0-100km/h:5.8秒とほとんどポルシェカレラ4S並み(5AT仕様で0-100km/h:5.6秒)のスペック。
パッケージング&スタイル
前後ライトが新型の証
全長4585×全幅1770×全高1455mmのボディサイズは、先代と大差なし。フロントのシングルフレームはA6より控えめに見えるが、キリッと締まったヘッドライトやリアコンビネーションランプが新しい。ボディサイドのキャラクターラインも新しい。なお、試乗した「2.0TFSI」と「3.2」はデュアルマフラー、「2.0」はシングルマフラーとなる。
全長はセダンと共通
ホイールベースも先代と同じ2645mm。セダンとアバントは全長と全幅がまったく同じで、全高だけアバントが25mm高い。アウディらしくクリーンなスタイルとモールで、上品な感じに仕上がっている。
従来と基本は同じインテリア
アウディらしい、いつもの雰囲気のインテリア。インパネのレイアウトは従来モデルとほぼ同じ。銀色に光るアルミパネルはオプションでウッドパネルに変更できる。メーターパネルのシフトインジケーターはマニュアルモード時に使用ギアを表示する。
背もたれを倒すだけ
後席の広さは十分で、短時間乗ってみたが空間上の不満は感じない。荷室を広げる時は背もたれを前に倒すシングルフォールディング。完全にフラットにはならないが、それより後席の座り心地や操作性を重視したのだろう。ドイツ車らしく操作に少し力が要る。
基本性能&ドライブフィール
軽快な直噴ターボ
試乗したのは新型A4の主力となりそうな2.0TFSI クワトロのアバント。エンジンは2リッター直噴ターボ(200ps、28.5kgm)で、すでにA3スポーツバックとゴルフGTXが搭載する(ただし変速機はツインクラッチの6速DSG=ダイレクト・シフト・ギアボックス)。A4の場合は縦置き搭載で、6速ATとセットになる。
最大トルクを1800回転から5000回転まで維持する、まさに台形のカタチをした性能曲線を持つユニットだ。実際、ターボらしい分厚いトルクをリニアに引き出せて、とても乗りやすい。
車重はアバント(+50kg)で、クワトロ(2.0比で+160kg)ゆえ、1680kgとけっこう重い。だから驚くほどの加速はしないが、アクセルを踏むとすぐに加速体勢に入るところは軽快と言いたくなる。直噴で圧縮比が10.3と高いことや、メリハリあるエンジン音が妙にスポーティだ。
洗練された固めの足まわり
乗り心地はかなり固め。しかしボディ剛性が高いので快適性は損なわれていない。初代のA4は足が固すぎてピッチングが出るとあちこちで書かれているが、この新型ではまったくそんな感じはなかった。試乗車はオプションの17インチホイールとタイヤを履いていたが、ロードノイズは小さいし、車外騒音も入ってこない。アクセルを踏み込むと例のエンジン音が車格に似合わず高まるが、音質がマイルドなので助手席でもそううるさくはない。
後席も前席と同じような快適性で、ワゴンであることを忘れるくらい荷室からのノイズがない。気をつけて観察すると、背中の後ろから足まわりのゴトゴト音が聞こえてくるが、排気音やいわゆるロードノイズ系のこもり音はなく、前席の人と普通に会話ができる。
ハンドリングも軽快
操縦性も車重を忘れるほど軽快だ。4WDというと強めのアンダーステアを予想するが、これはFRベースの4WDのような自然な身のこなしで、なおかつクワトロらしくグイグイとコーナーを立ち上がる。235/45R17タイヤの性能に頼らず、適度にロールさせながら4輪のグリップを均等に使う感じが気持ちいい。上り坂でも、シフトレバーを前後に動かす「ティプトロニック」モードで一気に3段ほど落とせば、思い通りの加速が得られる。
日本の高速道路を走ることなど、このクルマにとって造作はない。100km/h巡航は6ATということもあって2000回転ほど。低回転でもアクセルペダルにNA車のような反応があるので、ゆっくり走っていてもストレスはたまりにくいと感じたが、本領はもっと上の速度域にあるだろう。
ここがイイ
シングルフレームグリルによって、旧型とほぼ同じ形ながら全くのニューモデルに見えること。全体としてはビッグマイナーかもしれないが、フロントサスペンションはアウディS4から流用、リアサスペンションは新型アウディA6から流用と、お金も手間もしっかりかかっている。
ターボであることを忘れてしまう、リニアな反応のターボ付エンジン。6速になったティプトロ。これらがあいまって全体の軽快感がいい。A3やA6と同じように、今度のA4も見事にスポーティだ。
ここがダメ
6速ティプトロゆえ、マニュアルシフトはけっこう忙しい。6速から3速へのシフトダウン時など、反応の遅さを感じさせる場面も。インパネ形状は旧モデルと大きな変更はなく、やや古い印象。質感も特に高くない。試乗車にはアルミのパネルが貼られていたが、一般的なセンスでは木目の方がいいかも。
総合評価
アウディはここ数年、ブランドイメージの再構築をはかってきた。販売店はアウディ○○となり、CI に基づいて作られたショールームの壮麗さは、他のブランドディーラーを大きく凌ぐものとなっている。レクサスが全容を表すのはまもなくだが、おそらくいい勝負なのではないか。高級車アウディというイメージが消費者に浸透しつつあるのは間違いない。
肝心の商品であるクルマでは、A6、A3に続いて、A4もシングルフレームグリルを象徴的に採用した。A6一台ではいささか違和感のあったこの巨大なグリルも、3台を並べて置いたときはアウディの顔として強烈なアイデンティティがあることに気づいた。どこか地味で存在感の薄かったアウディブランドが、このグリルですっかりワンランク以上グレードアップした。メルセデスに負けない力を持ったと思う。
グリルの変更という簡単な仕掛けでここまでイメージが変わるということを、日本のメーカーはもう一度考える必要があると思う。何度も書いてきたように、今後のクルマは性能でなく、ブランドが価値を決めると思うからだ。腕時計がいい例だが、時間を見る機能より、ブランド力やデザインに対して対価が支払われていることは明白。クルマも今後はさらにそういう傾向が高まっていくだろう。新しいA4も、かつてのアウディのような飛び抜けた高品質感があるわけではないが、全体の雰囲気が醸し出す高級感、ブランド感が、このクルマに500万円出すことを納得させる。
そうはいってもA4の場合、機能の面では旧型より1ランク引き上げられているのがいい。試乗した新しいターボエンジンはごく低い1800回転あたりで過給が始まるため段付感が全くなく、2リッターでも力不足は感じさせない。また4DWの癖が全くないニュートラルな挙動も素晴らしい。こういったあたりは、4年前に乗った2代目と比べてずいぶん良くなったと感じる点だ。
かつてヤナセではメルセデスとアウディが売られていたが、その頃は微妙に上下関係があったと思う。最近になってヤナセ系のアウディ店も続々とオープンしているが、今や両ブランドは同列となっている。10数年前、もしアウディがヤナセから離れなかったら、今も日本ではメルセデスの下にされていたかもしれない。その意味で、この10年ほどのアウディの辛さは、ここに来て報われつつあると言えるだろう。メルセデス嫌いの輸入車好きにとっては選択肢が一つ増え、国産高級車にとっては手強いライバルの台頭ということになりそうだ。
アウディ A4 アバント 2.0 TFSI クワトロ
(2.0ターボ・6AT・488万円)
●形式:GH-8EBGBF●全長4585mm×全幅1770mm×全高1455mm●ホイールベース:2645mm●車重(車検証記載値):1680kg (F:960+R:720)●乗車定員:5名●エンジン型式:BGB●1984cc・DOHC直列4気筒ターボ・縦置●200ps(147kW)/5100-6000rpm、28.5kgm (280Nm)/1800-5000rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/63L●10・15モード燃費:9.8km/L●駆動方式:フルタイム4WD●タイヤ:235/45R17(Continental SportContact 2 ※オプション)●価格:488万円(試乗車:533万5000円 ※オプション:パール塗装 3万円、プラスパッケージ<電動シート、17インチホイールなど> 29万円、バイキセノンパッケージ 13万5000円)●試乗距離:約100km
公式サイトhttp://www.audi.co.jp/models/a4/a4.html










