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アウディ A4 アバント 1.8TFSI新車試乗記(第527回)

Audi A4 Avant 1.8 TFSI

(1.8Lターボ・CVT・FF・437万円)

新しく仲間入りした
「アバント」で
新型A4を再検証!

2008年09月26日

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キャラクター&開発コンセプト

4代目A4のステーションワゴン版

新型A4セダンの導入から5ヶ月経った2008年8月19日、ステーションワゴン版の「A4アバント」が発売された。初代アウディ80(1972年デビュー)から数えて8代目となる新型A4シリーズだが、アウディでワゴンモデルを意味する「アバント」も1970年代のアウディ80アバントや100アバント(A6アバントの前身)から始まる伝統のサブブランド。販売台数的にも日本ではセダンと変わらない人気モデルだ。

価格帯&グレード展開

セダンの18万円高

セダン同様、アバントにも1.8リッター直4ターボ+CVT(FF)の「1.8TFSI」と、3.2リッターV6+6AT(フルタイム4WD)の「3.2FSI クワトロ」の2モデルを用意。これで日本向けの新型A4は、セダンとアバントを合わせて計4モデルとなった。

新開発のナビゲーションシステム(フルセグTV付き)は全車標準。ただし特徴的なLEDポジションランプ(とバイキセノンヘッドライト)は10万円のオプションだ。

■「A4 1.8TFSI」 1.8L 直4・直噴ターボ(160ps)・CVT・FF  419万円
■「A4 3.2FSI quattro」 3.2L V6・直噴NA(265ps)・6AT・フルタイム4WD 645万円

「A4 Avant 1.8TFSI」 1.8L 直4・直噴ターボ(160ps)・CVT・FF 437万円 ※今週の試乗車
■「A4 Avant 3.2FSI quattro」 3.2L V6・直噴NA(265ps)・6AT・フルタイム4WD 663万円

パッケージング&スタイル

「ワゴン」ではなく「アバント」の呼ぶべきスタイル

全長4705mm×全幅1825mmという数値はセダンとまったく同じで、ボディ前半も共通だ。全高だけがアルミ製ルーフレールの分、25mm高くなって1465mmとなっている。では「単にセダンに荷室を付けたのがアバントか」と言えばそうではなく、5ドアスポーツとでも言うべきスポーティなスタイルこそが、アバントのアバントたる所以。さも荷室容量など気にしてないように(と言うと語弊があるが)、リアウインドウを寝かせたデザイン処理は、かつてのアウディ100アバントから現行A6アバントまでに共通するもの。セダンよりもある意味、アウディの独自性を感じさせるスタイリングとなっている。

セダン同様、ライバル車に差をつける内装クオリティ

今回試乗したアバントの内装はオプションなしの標準仕様だが、全体の品質感はアウディらしく説得力のあるもの。「マイクロメタリックプラチナム」というツヤ消しメタル調パネルにも精密感がある。セダンの時も書いたが、最新アウディ車を見慣れていないと、A6あたりと勘違いしそうな質感だ。

鮮明なフルセグTV画面が停止するだけで映る、つまり車速センサーのみに連動しているところもセダンと同じで、たいへん便利。ナビもDVD式だが、高速のCPUによってHDDナビ並みに使い勝手がいい。

心なしかセダンより快適な後席

リアシートの作りは一見セダンと同じに見えるのだが、座った感じはずいぶん楽。ヘッドルーム(頭まわりの空間)や視界の広さもセダンを上回り、圧迫感も少ない。ここはファミリーカーとして使う場合、けっこう見逃せないポイントだろう。後席用ドリンクホルダーが無いのはセダンと同じだ。

エアバッグはセダン同様に計8個。後席用にヘッドエアバッグ(カーテンエアバッグ)とサイドエアバッグの4個があるのは、手厚いプロテクションと言えるだろう。

トランク容量は通常時490Lから最大1430L

トランク容量はセダンより10L増えて490L。新設計のトノカバーはスライドさせて天井付近に止めることができるタイプで、荷物の積み降ろしの際にもフックをかけたり外したりという面倒な作業が必要ないというもの(写真はその状態)。これに関してはまた後で触れる。

フロアボードは裏(樹脂面)/表(カーペット)の両面が使えるリバーシブルタイプ。その下にテンパースペアタイヤが収まり、左の収納スペースには巨大な空冷フィンの付いたナビゲーション本体が収まる。ここもセダンと同じだ。

基本性能&ドライブフィール

エンジン諸元は変わらずとも

試乗したのはセダンと同じ「1.8TFSI」。パワートレインは1.8リッター直4・直噴ターボエンジン(160ps、25.5kgm)とCVT(アウディ言うところのマルチトロニック)の組み合わせだ。車検証上の車重は、後軸で50kg増加して1560kgとなっている。

事前の予想では、半年前に乗ったセダンと大差ないだろう、と思っていたアバントだが、すぐに気付いたのが、発進時の唐突なつながり感がなくなったこと。CVTかスロットルの制御プログラムが多少変更されたような感じだ。

しっとり滑らかに。ワインディングも難なく

前に乗ったセダンはオプションの17インチタイヤ(225/50R17のブリヂストン・ポテンザRE050A)だったが、今回のアバントは標準の16インチ(225/55R16のミシュラン・プライマシーHP)。そのせいか、そのせいだけではないのか、タイヤの転がり感も心なしかしっとりした。微妙な感覚差ではあるが、印象が良くなったのは確かだ。

ワインディングでも今回のアバントでは、パワフルな「Sモード」でも割と安心してハイペースがキープできる。人工的に重さが変化するパワステの違和感は相変わらずだが、トルクステアはほとんど気にならなかった。ブレーキは非常によく効き、高いボディ/サスペンション剛性とあいまって、今回の16インチ仕様でも下手なスポーツカー並みにしっかり減速できる。

10・15モード燃費も1割向上

今回は一般道から高速道路まで約190kmを走行。車載燃費計による試乗燃費はあくまで参考値だが、同じようなパターンで走った先回が約6.9km/Lで、今回は7.4km/Lだった。さらに空いた一般道でエコランに徹すれば10km/L台、高速道走路で100km/h巡航(約1800回転)に徹すれば、それ以上の好燃費が十分可能だと思われる。

なお、カタログにある10・15モード燃費は、前に乗ったセダンの12.2km/Lに対して13.4km/Lと、なんと1割も向上している。これはどうやら制御系のプログラムがアップデートされたことが要因のようだ。アバントの登場と共に、セダン1.8TFSI の10・15モード燃費も13.4km/Lとなっている。

ここがイイ

ワゴンであること。高まった走りの上質感

輸入車のワゴンには、やはりいまだプレミアム感がある。特にA4は一回り大きくなったがゆえに、Eクラスワゴンにも匹敵すると言ったらオーバーだろうか。デザイン的にもCクラスワゴンよりスタイリッシュと感じる人は少なくないと思う。

また半年前のA4セダンの試乗では、足まわりや乗り心地、アイドリング時の微振動などが気になったが、今回それらはことごとく改善されていると思った。つまり走りの上質感が、初期デリバリーのセダンより確実に上がっている。出だしの唐突感がまったく消え、どっしりとなった走行感覚はクラスが上がったかのよう。その上、燃費まで向上しているわけで、同じクルマとは思えないほどだ。

逆に相変わらず良いのは、内外装の品質感、停車すれば自動的に映像が映るフルセグ地デジTVなどの装備類。このあたりはセダンの試乗記を参考にしていただきたい。またリアシートの背もたれまわりがセダンと違うのか、後席も違和感なく座れる。

ここがダメ

低回転時のこもり音、左足もとの張り出しなど

一般道を50~60km/hくらいで定常走行する際、エンジンか排気系から低周波のこもり音が出ること。特に夜間、車外騒音が少なく、スムーズに流れる郊外の道で顕著。どうやら燃費効率のいい1200~1500回転という低回転時に出るようで、約1600回転くらいに高めるか、回転を高めに保つ「スポーツ」モードにすると、音はピタリと止まる。前に乗ったセダンでは感じなかったことなので、ボディ構造の音振特性かパワートレインの制御プログラムの違いによるものかもしれない。個体の問題ならよいのだが。

セダンの時も書いたが、テレビやDVDの映像モードにしている場合、走り出すとその映像が消えて、特に重要でもないオーディオのメニュー画面が表示されるが、ここはナビ画面が表示できるようにすべきと思う。また電子式パーキングブレーキは「発進時には自動的に解除」とカタログにあるが、今回も手動でしか解除されなかった。何か車両設定が必要だったのだろうか?

荷物の積み降ろし時にフックの掛け外しが楽になるという新設計のトノカバーだが、新型アテンザ・ワゴンのようにリアゲートに連動するタイプではなく、あくまでも手動。むしろ上段にスライドしたまま走り出した時には、バックミラーによる後方視界が効かなくて困った。もちろん気をつければいいのだが、すごく便利かと言えばそうでもない。

左足を置くスペースがやはりミニマム。チョイノリであればまあいいのだが、長時間走るようなときは、この価格帯のクルマでなぜ窮屈な思いをしなくてはならないのか、という疑問がわいてくるのは否めない。

総合評価

輸入車を買うならワゴンがいい

某中古輸入車ワゴンとの暮らしを、かれこれ5年ほど続けている。そこで思うのはワゴンは古びないってこと。もう2世代前になってしまったこのクルマの場合、セダンはさすがにかなり古くさく感じるようになってきたが、ワゴンはまだまだ(とまあ、自負しているだけかもしれないが)。それはセダンに比べて、なぜだか貧相ではない、という部分が大きいように思う。セダンにない上級感がワゴンにあるというのは、クルマ好き、特に輸入車好きが昔からのクルマ学を学ぶことで身につけた、あるいは刷り込まれた感覚だが、それが輸入車ワゴンは古くなっても貧相ではないと思える理由の一つかもしれない。そんな刷り込みのない人には、ただの古い輸入車に見えているのかもしれないが。

とはいえ実際、中古車相場でも輸入車ワゴンがセダンよりいくぶん高いのも確か。セダンでは売れなくなった中古車でも、ワゴンであればまだ売れるというのは中古輸入車業界の本音だ。それだけ前述した刷り込みを信じている人が、まだ多いのだろう。だから見てくれでも経済性でも、輸入車を買うならセダンよりワゴンがいい。アウディA4も18万円程度の価格差だから、迷わずワゴンを買っておくべきだ。先でその差は十分回収できる。その意味でA4ワゴンは待望の登場だ。ただ実際5年の間、ワゴンに乗っていて便利だったという経験は皆無。RVとしてはやはりミニバンやSUVの絶対的な広さによる使い勝手にはかなわない。ワゴンはやはりスタイリングなどの雰囲気やセダン並みの走りを楽しむ乗り物だ。

なんだかずいぶん良くなっている

で、A4アバントだが、実際に乗ってみたら(特に以前、同じ1.8TFSIのセダンに試乗していたのでより比較しやすいのだが)、なんだかセダンとは全然違う。セダンの妙なスポーティーさや硬い感じがなく、ずいぶんしなやかでゆったりしたクルマになっていた。ボディ形状のみならず、どうやらかなりの改良がなされているようだ。

これこそが輸入車の気を許せない部分で、モデルイヤー内でもどんどん改良・変更されてしまう。新車試乗記を読んでその気になって買っても、全然違っていたりする可能性はあるのでお気を付け願いたい。今回、A4セダンの方も半年前に比べてカタログ燃費がいつの間にか変わっていて、よく見たら車両型式まで変わっていた。デイズで持っているポルシェ997型も初期物ゆえ足はかなり硬いが、最近のモデルはかなり柔らか。A4にも同様の傾向があるようで、ワゴン同様にセダンも半年でだんだん柔らかく(しなやかに)なってきているみたいだ。

10年乗れるワゴン

ということでA4はセダンもワゴンも、もう買ってもいいクルマになった。日本ではセダンと半々で売れるというワゴンは、特にいいと思う。日本車にはもうほとんどワゴンがないから、個性的であることが命題の輸入車としてワゴンであることは、強力な武器でもある。諸費用込み500万円未満で買えるから10年乗れば安いものだ。クルマに興味はあるが、クルマ選びだとか、クルマそのものをあれこれ悩むのはイヤという人は少なくないが、そういう人にはこのクルマがベストチョイス。とにかく10年、なにも考えず500万円で乗れる。今買えば10年後でも1世代前なだけだし、そう古びた感じはしないはず。カーナビは地デジフルセグだから、その点も悩まなくていい。ただ個人的には左足の窮屈さが10年我慢できるかどうか自信がない。ここは改良できない部分だから、買うならよく実車で確認して欲しいところだ。

試乗車スペック
アウディ A4 アバント 1.8 TFSI
(1.8Lターボ・CVT・FF・437万円)

●初年度登録:2008年7月●形式:ABA-8KCAB(車検証表記 ) ※ABA-8KCDH(カタログ表記)●全長4705mm×全幅1825mm×全高1465mm ●ホイールベース:2810mm ●最小回転半径:5.5m ●車重(車検証記載値):1560kg( 880+680 ) ●乗車定員:5名●エンジン型式:CAB(車検証表記)  ※CDH(カタログ表記) ● 1798cc・直列4気筒・直噴・DOHC・4バルブ・ターボ・縦置 ●ボア×ストローク:82.5×84.1mm ●圧縮比:9.6 ● 160ps(118kW)/ 4500-6200rpm、25.5kgm (250Nm)/ 1500-4500rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/65L ●10・15モード燃費:13.4 km/L ※カタログ表記 ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 5リンク/後 トラペゾイダル ●タイヤ:225/55R16( Michelin Primacy HP )●試乗車価格:450万円( 含むオプション:バイキセノンパッケージ<LEDポジショニングランプ、ヘッドライトウォッシャー含む> 10万円、オプションカラー<ファントムブラック パールエフェクト> 3万円)●試乗距離:約180km ●試乗日:2008年9月 ●車両協力:Audi 楠

 
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アウディ 楠

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