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アウディ A5 カブリオレ新車試乗記(第578回)

Audi A5 Cabriolet

(3.2リッターV6・7速DCT・784万円)

アウディのテクノロジーと
イタリアの情熱が融合!
全天候型4人乗りオープンで
この世の贅を味わう!

2009年11月14日

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キャラクター&開発コンセプト

A4 カブリオレの後継モデル


今回試乗したA5 カブリオレ
車両協力:アウディ名古屋中央

2008年2月に日本国内で発売されたA5(現行A4の2ドアクーペ版)のオープンバージョンがA5 カブリオレだ。過去にアウディはA4やその前身の80をベースにカブリオレを用意してきており、A5カブリオレは実質的にその後継車でもある。日本では2009年7月に発表、8月25日に発売された。

電動メタルトップを採用するケースが増えてきた昨今のオープンカーだが、A5カブリオレは従来通りソフトトップを採用。ただしその幌はポルシェの最新型オープンモデルと同様、50km/h以下なら走行中でも開閉操作が可能なものとなった。

日本仕様には自然吸気3.2リッター直噴V6エンジンにフルタイム4WDシステム「クワトロ」と7速DCT「Sトロニック」を組み合わせており、アウディならではの全天候型オープンカーとされている。

なおベースとなったA5のクーペは、2007年6月の欧州デビューから2009年9月末までの約2年間に全世界で11万2000台を販売したという。日本での累計販売台数は2009年9月末までの約1年半で1216台とのことだ。

価格帯&グレード展開

カブリオレは784万円のワングレード

「A5 カブリオレ」自体は、3.2リッターV6・7速DCT・クワトロ・右ハンドルの1種類。装備も充実しており、価格は784万円とかなりプレミアムだ。

用意されたオプションは、パワートレインや足まわりの設定をお好みで変更できる「アウディ ドライブセレクト」(32万円)、レーダークルーズと斜め後方車両の接近警報をセットにした「アダプティブ クルーズコントロール+アウディ サイドアシスト」(28万円)、「バング&オルフセン サウンドシステム」(15万円)、パールエフェクト塗装(3万円)くらいだ。

一方、クーペには2リッターターボの「2.0 TFSI クワトロ」や3.2リッターV6の「3.2 FSI クワトロ」、さらに4.2リッターV8の「S5 4.2 FSI クワトロ」があり、582万~889万円となる。


【A5 カブリオレ】
・A5 カブリオレ (7-DCT)  784万円 ★今週の試乗車

【A5(クーペ)】
・A5 2.0 TFSI quattro (7-DCT)  582万円
・A5 3.2 FSI quattro  (6AT)   708万円
・S5 4.2 FSI quattro  (6AT)   889万円

パッケージング&スタイル

イタリアの情熱とアウディの冷静


幌の色は赤、黒、茶色、紺が選べる

ボディサイズは全長4625mm×全幅1855mm×全高1385mmで、クーペとほぼ同じ。全長はA4セダン/アバントより75mm短く、ホイールベース(2750mm)は60mm短い。そこにゆったりとしたサイドビューを与えて、A4とは一線を画す優雅な雰囲気としている。

 

デザインを担当したのは、2007年からVWグループのデザイン部門トップで、今回A5のチーフデザイナーを務めたヴァルター・デ・シルバ。イタリア出身のデ・シルバは、アルファロメオ時代の156や147で見せたクラシカルで情感豊かなデザインがトレードマークだが、その彼に「クールな」アウディをデザインさせるとこうなるわけだ。彼自身はこのA5を、「私がデザインしたもっとも美しい車」と語っている。

インパネは基本的にA4譲り

見覚えのあるインパネは、基本的にA4とほぼ共通。さすがに新鮮味はないが、質感は高く、機能性にも優れたデザインだ。電動パーキングブレーキはもちろん、リアビューカメラやパーキングセンサーなどの駐車支援も充実している。

 

とはいえパドルシフトが当たり前に装備される昨今、相変わらずセンターコンソールにあるシフトレバーのデザインはそろそろ古めかしい。またMMI(マルチ・メディア・インターフェイス)も、ライバルがどんどん進化を遂げている昨今、そろそろ新バージョンの登場が待たれるところだ。

シートベルトが自ら、お出迎え

なにぶん、車両本体価格が784万円もするクルマなので、内装は豪華。ボディカラーに合わせてブラック、シナモン(茶色)、ベージュ(試乗車)と3色用意されるレザーシートはアウディらしいきっちりした作りで、座り心地、ホールド性、調整機構なども文句なし。「でもベンチレーション機能はないな」と思ったら、その代わりにこのレザーには、直射日光による温度上昇を真夏の炎天下なら約20度抑える加工が施されているという。要するに、熱くなりにくい、ということだろう。

 

関心したのがイグニッションをオンにすると(スタートボタンを押すだけでOK)、シートベルトの引き出し口が電動で「ウィーン」とドライバーの肩まで伸びてくること。「シートベルトフィーダー」と言うらしい。ドアの長い2シーターでシートベルトを引き出すのに難儀な思いをしていた人には、「こうでなくっちゃ」と思える装備だろう。

フル4シーターと言える後席。トランクスルーも可能

2人掛けのリアシートは、背もたれのクッションがもう少し分厚ければ、などと欲を言い出せばキリがないが、居住性はこのクラスのカブリオレに求められる水準をクリアするもの。安全性にも配慮されていて、車体が横転しそうなのを感知すればリアシート後方からロールオーバーバー(一般的な逆U字型ではなく、柱のような形状)が0.25秒以内に飛び出す。

 

それより感心したのが背もたれが5:5分割で倒れて、トランクスルー出来ることだ。これは荷室側からも遠隔操作できる。このあたりはカブリオレだろうとスポーツカーだろうと、何にでもオールラウンドに使おうとうする欧米のスタイルに即したものだ。

クローズド時にはトランク容量を380リッターに拡大可能

トランクにも工夫が凝らされている。幌を収納できる状態のトランク容量は320リッター。数字だけ見ると十分な容量だが、実際には天地がかなり狭い。

 

そこでクローズド時には、幌を収納するスペースとの仕切りを跳ね上げることが可能だ。こうすると容量は380リッターになり、先のトランクスルーと合わせれば最大750リッター。こうなるとハッチバック車かワゴン並みだ。

 

奧に見える黄色のパーツは無関係。正解はもっと右の方。取扱説明書を要確認

ただその際、意外と難しいのが仕切りの跳ね上げ方。これが取扱説明書の図をよーく見ても、なかなか出来ない。左横の内張りを取り外し、中のレバー(スイッチ?)を軽く押すだけなのだが、内張の中が暗いので、それを手探りで見つけることになる。正しいレバーは少し力を加えるだけで操作できるので、くれぐれも関係ないパーツを力づくで押さないように。また次回オープンにする時に備えて、仕切りを戻しておくことも必要だ(戻していなければ警告が出る)。

 

床下にはパンク修理キットかと思いきや、テンパー式のスペアタイヤを搭載する。これはこれで安心であろう。

基本性能&ドライブフィール

「旬のネタ」全部乗せ

日本仕様のA5カブリオレに選ばれたのは、A4にも使われている3.2リッター直噴の「FSI」ユニット(265ps、33.7kgm)。駆動方式はトルク感応型のセルフロッキング式センターデフを備えたフルタイム4WDで、通常走行時には前40:後60でトルク分配し、状況に応じて60:40~20:80まで可変する。

また変速機はアウディではSトロニックと称するDCT(デュアルクラッチトランスミッション)で、縦置エンジン用の7速。要するに「旬のネタ、ぜんぶ乗せときました!」みたいな仕様だ。

とはいえ、車重はカブリオレ化のおかげでA5 3.2 FSI クワトロ比で270kgも増え、1940kgとかなり重くなってしまった。なにしろレクサスLS460の標準グレードも同じ1940kgだから、ちょっとびっくりする重さだ。

アウディらしからぬ?マイルドな走り

運転すると、その車重のおかげで、「ちょっと中間加速がかったるいかな」という印象はあるが、実際には自然とその優雅な車両キャラクターに合わせて、慌てず急がず、ユルユルと流すことになる。こういうのを人徳ならぬ「車徳」というんだろうか。

たまに上まで回せば、「V6でもこんなにいい音するんだ」という快音でレブリミットまで吹け上げるが、そんなことをするのも、何となく気恥ずかしい。タイヤは4輪とも路面にべったり張り付いたようにグリップするので、ハンドリングを試そうという気は早々になくなり、再びユルユル走ってしまう。

エンジン自体がマイルドなせいか、7速DCTの変速レスポンスもマイルドで、途中で「ひょっとしてトルコンAT?」と思ってしまったほど。ただ、クリープする力は弱く、坂道発進で油断すると落ちてしまうのは、これまでのVWアウディ車と変わらず。アクセルペダルの微妙に踏み込んで、うまく半クラッチ状態にするのがコツだ。その時にブレーキを踏むと電子制御スロットルが閉まってしまうので、左足ブレーキは使わないように。

ボディの剛性「感」は特に高いとは感じなかったが、カブリオレ用のソフトな足まわりやら、車重などのせいもあって、乗り心地はアウディとしては最上の部類。スピードよりも乗り心地をゆったり味わいたい。

トップ開閉は15~17秒、50km/h以下なら走行中も可能

ソフトトップを50km/h以下なら走行中でも開閉できるのは、言うまでもなく超便利。信号待ちの間に操作を開始しても焦らないで済むし、渋滞中のノロノロ運転の間でも操作できるからだ。今回のように天候が不安定な時には、なおさらありがたい。

開閉スピードも速く、オープンにする時はわずか15秒、クローズドにする時は17秒で動作を終了する。もちろんロックも全自動だ。

また幌自体もライバル車のメタルトップを意識してか、耐候性に配慮されている。表面には丈夫なキャンバス素材を使い、その裏地には遮音用に厚さ12~15mmのウレタンフォームをサンドイッチしているという。実際の印象としても、メタルトップで気になりがちなこもり音が少なく、また路面の荒れたところで出がちなギシギシ音もない。また閉めたときの後方視界もまずまず。ソフトトップも悪くないな、という感じだ。

オープン時の風の巻き込みに関しては、サイドウインドウを立てていても60km/hくらいからドライバーの膝もとに風が当たり始めて、外気温20度でも少々寒さを感じた(もちろん薄着で)。ただカブリオレタイプとしては、風の巻き込みは少ない方かもしれない。

試乗燃費は7.5~8.4km/L

今回はトータルで約150kmを走行。参考までに試乗燃費は、一般道・高速をまじえた区間(約70km)で7.5km/L。郊外の一般道を交通の流れに沿って走った区間(60km)が8.1~8.4km/Lだった。100km/h巡航は7速トップを使って2100回転で、そのまま淡々と流せば10km/L前後も無理ではないが、やはり7~8km/L台が現実的だろう。10・15モード燃費は今のところ未発表だ。

ここがイイ

デザイン、装備、走り、そして「敷居の高さ」

本当のハイクラスカブリオレは幌仕様といわれるが、豪華さという点でトップクラスのカブリオレと言ってもいいのでは。エクステリアデザインの美しいまとまり、インテリアの過剰ではない高品質感、そこそこの燃費、4人乗れる利便性、充実した装備、MMI(マルチメディアインターフェイス)、V6とクワトロと7速DCTによる過不足ない駆動系、重厚でしなやかな乗り心地など、ひとまずは何一つ不満がない。

「敷居の高さ」もいいところ。アウディ車の中では、R8の次くらいの「クルマの品格」を感じる。A4ベースとは思えないハイクラス感があるのだ。こうなるとソフトトップは赤を選びたいところ。それでいてA4ベースゆえの日常性もあって、気軽に乗れるのがいい。

ここがダメ

増えすぎた車重

車重の重さ。それによる中間加速でのもたつきはやや気になるところ。V6は優雅ではあるが、走りや環境性能などの点では2リッターターボの方が良いのかも。その意味ではゴージャスさがすべてに優ったクルマではある。

右ハンドル化による左足もとスペースの狭さはA4でも指摘した通り。試乗しているうちにだんだん慣れてきたので、あまり強調しないでもいいとは思うが、いちおう。

総合評価

「すさまじい」とも言える新車投入

輸入車が軒並み売上を落とす中で、相変わらずアウディは好調を維持している。広報発表によると2009年9月の登録台数は2117台で、前年比+9%。1月~9月の累計国内登録台数でも、純輸入車市場全体がマイナス22%の中、アウディのシェアは前年の7.8%から9.8%に上昇したという。

このように一人勝ちの様相を示しているアウディは、その原因に以下の3つを挙げている。

1、環境性能の高い商品の積極的な市場導入。
2、積極的な新商品の導入とブランド認知の向上。
3、販売ネットワークの拡充。

最初に掲げられている環境性能うんぬんはさておき、やはりその主因は2だろう。輸入車には珍しい矢継ぎ早な新車投入は、「すさまじい」とも言えるほど。通常なら他メーカー同様に販売台数の落ちるところで、新型が投入されたため、好調が続いたとも考えられるわけだ。ただ逆に言えば、これだけの新型投入があってもまだ前年比を下回っているわけで、その点ではメーカーとして決して満足のいく結果ではないだろう。

贅沢品が欲しい人は本当に減っている

となると心配なのは、「日本市場はこんなものか」と、本社から見限られないかだ。例えば中国で今年は10月27日までに11万8196台を売って過去最高の台数を記録している。日本とは「一桁ちがう」。前年比も22%増。現地合弁企業が生産するモデルがそれを牽引しているようだが、何より違うのは人々の欲求の差だろう。アウディクラスともなれば、欲しい人は「クルマが欲しい」というより、「いいクルマが欲しい」という欲求が強いはずで、その強さは日本の比ではないと思う。「贅沢品としてのクルマ」が欲しい人がいっぱいいるわけだ。

ひるがえって日本人は、この美しくも贅沢なA5カブリオレを見て、「お金があったら欲しい」と思うだろうか。贅沢品が欲しい人は、本当に減っている。がんばってお金を稼いで贅沢な暮らしをするぞ、というメンタリティの日本人は、もはや一握り。「衣食足りて礼節を知る」のが日本人の本質かもしれないが、そうじゃない人がこれまでの日本を作ってきたのではないかと思う。世界不況をきっかけに日本を覆う元気のなさが、「衣食足りて礼節を知る」という方向へ収束していくと、さて・・・・・・。

エコ減税もそろそろ限界

そうはいってもアウディは前年並みによく売れているわけで、日本社会ではまだまだお金のある人は少なくない。そういう人の多くは先祖から受け継がれてきた財産を持っている、と言ってもいいだろう。鳩山首相とまではいかなくても、先祖代々の資産がある家の人は、繰り返しそれなりの教育を受け、それなりに稼げる仕事に就いて無事に過ごしている。そういった人たちにとっては、A5カブリオレあたりはなかなか手頃なセカンドカー(あるいは3台目、4台目)たり得る。品の良さがそこはかとなく漂うアウディは、それゆえほかの輸入ブランドより売れているとも言えるわけだ。
そこまでお金がなくても、クルマの一台くらい買えるだけの自由なお金を持っているお年寄り、というのは決して少なくはない。であれば、親族がクルマを買うときに積極的に援助できる施策は作れないだろうか。マンションなど不動産の取得時には親や祖父母から500万円まで贈与を受けても非課税だが、こういった制度がクルマにもあるといい。購入総額の半分は非課税で贈与が受けられる、などという制度ができたら、クルマ業界にはありがたい話だ。総額800万円を超えるこのA5カブリオレも、400万円あれば買える。200万円の大衆車なら100万円。今時大きな買い物は不動産とクルマくらいしかないのだから、クルマは贅沢品などといわず、不動産同様の施策があってしかるべきだ。エコ減税もそろそろ限界だから、政府にはこの手の施策をぜひ考えてもらいたい。

昔のようにしっかり稼いでちょっと贅沢なクルマを買ったり、クルマに給料の大半をつぎ込んだり、などということは難しい時代になってしまった。バブル崩壊以降、この20年、実感として好況になった感覚はない。来日したオバマ大統領も日本より中国の方が滞在期間が長いと言うし、今回の大不況は日本にとって本当に「終わりの始まり」なのかもしれない。ゴージャスなA5カブリオレで、心地よいオープンクルージングを楽しみながら、そんなことばかりを考えてしまった。

試乗車スペック
アウディ A5 カブリオレ
(3.2リッターV6・7速DCT・784万円)

●初年度登録:2009年8月●形式:ABA-8FCALF ●全長4625mm×全幅1855mm×全高1385mm ●ホイールベース:2750mm ●最小回転半径:-m ●車重(車検証記載値):1930kg( 1160+870 ) ●乗車定員:4名 ●エンジン型式:CAL ● 3196cc・V型6気筒・直噴・DOHC・4バルブ・縦置 ●ボア×ストローク:85.5×92.8mm ●圧縮比:12.5 ● 265ps(195kW)/6500rpm、33.7kgm (330Nm)/3000-5000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/-L ●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:フルタイム4WD ●サスペンション形式:前 5リンク/後 トラペゾイダル ●タイヤ:245/40R18( Pirelli Cinturato P7 ) ●試乗車価格:-円( 含むオプション:- -円 )●試乗距離:約150km ●試乗日:2009年10月 ●車両協力:アウディ名古屋中央TEL:052-241-2808

 
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