デイズ ITS DAYS 911DAYS

新車試乗記 第340回 アウディ A6 2.4 Audi A6 2.4

(2.4リッター・CVT・560万円)

日時: 2004年10月29日

 

キャラクター&開発コンセプト

7年振りのモデルチェンジ

アウディA6はA8とA4の間に挟まれる高級中型セダン。メルセデス・ベンツのEクラス、BMWの5シリーズがライバル車だ。今回7年振りのフルモデルチェンジを受けたA6は、2004年7月28日に日本仕様を発表、9月からデリバリーが始まった。

新型のテーマは「プレミアムサルーンに新たなベンチマークを提案」。総アルミボディを持つフラッグシップのA8に次ぐ、いわば普及モデルとして、最新技術を惜しみなく投入した高級セダンだ。アウディのハイテクを象徴するフルタイム4WDシステム「クワトロ」や新開発のエンジン、基本性能の高いシャシーなど、技術的な見所は豊富だ。また、クロームメッキの大きな台形グリル(シングルフレームグリル)は、新しいアウディのアイデンティティとして、これを皮切りに今後全モデルに広がってゆくはず。

2000年時から倍増

日本のアウディは90年前後のピークを境に販売台数が急速に減少したが、アウディジャパンは2000年から市場戦略を転換。プレミアムブランド確立を目指して、魅力的なモデルラインナップを整えると共に、徹底したCI(コーポレート・アイデンティティ)に基づく専売店を次々に開設した(2004年10月時点で95店)。こうした策が功を奏し、今季は目標を上方修正する勢い。2004年上半期の登録台数は90年代前半の水準に戻りつつあり、2004年の登録台数は2000年(6972台)の倍となる1万4000台を射程に収めている。

それ以上に、かつての「赤いアウディ」に代表される女性向けのオシャレなクルマというイメージから、技術力に優れたスポーティなドイツ車というイメージが浸透しつつある点が大きな成功ポイントと言えるだろう。

価格帯&グレード展開

FF車の560万円からV8クワトロの885万円まで

日本仕様のA6は、手始めに3モデルで展開。V6・2.4リッター(177ps)の「2.4」(560万円)、中間グレードのV6・3.2リッター直噴(255ps)の「3.2 FSI クワトロ」(700万円)、最上級のV8・4.2リッター(335ps)の「4.2 クワトロ」(885万円)というラインナップ。「2.4」だけCVT(無段変速マルチトロニック)の前輪駆動で、他は6速ATとなる。

仕様が違うので直接の比較ではないが、ライバルのEクラス(E240:636万3000円~E500:924万9000円)、5シリーズ(525i:598万5000円~545i:945万円)に比べて、割安感のある価格設定だ。

パッケージング&スタイル

基本を外さずフロントで冒険

ボディサイズは全長4915mm(+111mm)×全幅1855mm(+45mm)×全高1455mm(-15mm)とかなりのサイズだが(カッコ内は先代比)、見た感じは大きさを感じさせない。バランスが良く、上品なスタイルのせいだろう。

「シングルフレームグリル」なる新しいアウディの顔は、戦前に活躍したアウトウニオン(アウディの前身)のグランプリレーサーからイメージを拝借したもので迫力はある。A6のシニアデザイナーは日本人だ。

アウディセダンらしい6ライトのサイドビュー。横から見ると、確かに5メートル近い長さを感じる。ホイールベースは2845mmと、2900mmあたりがスタンダードのこのクラスでは平均的。全高は先代より低いが、ルーフを丸く弧にして室内高を確保するのは、アウディの常道。Cd値は0.28。

スポーティに振ったインパネ

従来よりぐっとスポーティに振ったインパネ。フロントの台形グリルをステアリング上でも反復するのが面白い。樹脂素材の質感は今ひとつだが、赤、青、白と自発光系の照明が賑やかで、ネオン街のよう。キーはセンターコンソールに差す。「このセンターコンソールのスイッチは何だろう?」と思い、恐る恐る押してみると、しずしずとグラブボックスのフタが開いた。


「最先端のインフォテーメント」を提供するというMMI(マルチメディア・インターフェイス)のコントローラーはセンターコンソールに配置。一見してBMWのiDrive(アイドライブ)に似たものに見えるが、操作はもう少しやりやすい。7インチモニターを見ながらブラインド操作でダイアルをカチカチ回したり、その上のジョイスティック(黒い部分)をグイグイ動かしたりして、オーディオやナビを操作する。iDrive同様、パソコンチックな操作ロジックは直感的とは言い難く、最初はかなり戸惑う。最低必要な直メニューは左右にボタンとしたあるため、立ち往生することはないが、慣れが必要。

クラス随一の積載性能

サイズの割に広くない後席。ヘッドルームを稼ぐため座面を落とし込むので、小柄な人だと見晴らしが効かず閉塞感があるかもしれない。座面クッションのドア側のえぐれも大きく少し落ち着かない。そうは言っても、このクラスだからセダンとしては十分な広さだ。

驚くことに後席はなんと分割可倒式のトランクスルー。546リッターという巨大なトランクにプラスして、ポンと背もたれを倒せば、いざという時は自転車だって運べそう。積載性能はクラス随一と言っていいだろう。

基本性能&ドライブフィール

ベーシックで十分!

試乗したのは前輪駆動の2.4。ほとんどの試乗記はクワトロだが、我々は売れ筋とされる2.4に乗った。クワトロこだわらないユーザーはわりに多いらしい。価格差もかなりあるし、A6の代替えとすればこちらだろう。絶対的な性能もFFで十分、と思われているようだ。

実際にこの2.4に乗ると、これで十分と実感する。予想を大きく上回るのがエンジンだ。2.4リッターのV6と、いかにも線が細そうなエンジンだが、実はけっこう力がある。まずアクセルを踏み込んだ瞬間にすかさず加速する「身の軽さ」がいい。Dモードでは3000回転~5000回転ぐらいのトルク的に一番おいしい回転域を使って、クォーンと気持ちよく加速する。Sモードか7速マニュアルモードにすると、高回転をめいっぱい使ってより俊敏に変化。低いギアではシュパーンと瞬間的に吹け上がる感じだ。直噴(FSI)のV6、定評あるV8と比べてカタログでの扱いは小さいが、この2.4も4バルブの新開発エンジンで、ピックアップ鋭く、軽快に噴ける素晴らしいもの。

トルコンATみたいなCVT

このあたりで、あれ、CVTのはずだったが、と思い出す。それぐらいこの通称マルチトロニックは、通常のトルコンATに近い。クリープも確かに弱めだし(特にリバース)、Dの全開加速は一定回転を維持してCVTらしいが、それ以外はCVTであることを本当に忘れる。ダウンシフト時のレスポンスも素晴らしく「一体どうやって?」と思うほど素速い、というか鋭い。その謎解きになるかどうか、停止中にニュートラルで少し空ぶかしをしたら、フライホイールを軽量化したスポーツカーかレーシングカーのようなレスポンスだった。このエンジンと組み合わされて、変速プログラムの移行が素早いから、本当に7速あるかのよう。ベルトノイズも聞こえず、普段の運転もしやすい。今まで乗った中では最高の部類に入るCVTだ。

快適と言うには今一歩。

いつものワインディングも少し走ってみた。先代から34%剛性アップしたボディ、アルミ合金製のフロントサスペンションアームを持つシャシーは確かにミシリとも言わず、激しい上下動もせず、安定して走り抜ける。見事なオンザレール感覚。これならクワトロも要らないといっていいほど。EDS(エレクトロニック・デファレンシャルロック・システム:片輪にブレーキを掛けてLSD効果を発揮する)もあって、ロールするわりに脱出加速もけっこう速い。

操縦性で気になったのは「サーボトロニック」と呼ばれる電動パワステの切り始めのレスポンスがダルなこと。コーナーリング中の切り増しはダイレクトだし、据え切りは軽自動車のように軽くて楽だが、その変貌ぶりにも少し違和感を感じた。

一方、高級車として考えた時の乗り心地は、国産セダンからの乗り換えの場合は期待に達しないかもしれない。16インチタイヤを履き、割と性格の優しいこの2.4でも、路面の凹凸やザラザラしたロードノイズがつきまとう。かと言って、ロールが大きくクルマが一テンポ遅れて動くところはスポーティとは言えず、性格がぼやけてしまった感じがした。

超強力なブレーキ

目立たない部分だが、ブレーキ性能というか、ブレーキ「制御」の点で、A6は次の世代を感じさせた。例えば、踏み込み動作の早い緊急ブレーキでは、ブレーキアシストによってABSが働くまでフル制動。ここまでは珍しくないが、この後すかさず最新のESP(バージョン8.0)が介入して、安定性を確保する様子がすごい。これだけのボディでフロントヘビーなクルマを「早く」「安定させて」止めるのは難しい。A6では制動力と安定性確保を高いレベルで確保していると感じた。

また、A6のパーキングブレーキはジャガーに似た電子制御で、あるのはセンターコンソールの小さなスイッチのみ。走り出せば自動で解除されるので戻し忘れがなく、急な坂道で後ろに下がることなく発進できる。このスイッチは緊急ブレーキとしても使え、走行中に押すとESP 8.0の制御によって、安定したフルブレーキングを行う。

ただ、このブレーキも良いところばかりでなく、止まる寸前でブレーキを緩めるあたりなど、微妙な制御がうまく行かない時があった。慣れれば気にならない程度のものだが、もう少し熟成されるに越したことはない。

最後に高速走行だが、このクラスともなれば直進性などに不満はあろうはずがない。そして何よりCVTのメリットが素晴らしく、100㎞/hでもその倍近い速度でも巡航中のエンジン回転数は数百回転しか違わない。静粛性や燃費の面でメリットは大きい。

ここがイイ

アウディとして最大の弱み、押しの弱さはシングルフレームグリルが見事に解消。ライバル車と並べても「負けない」。500万円以上を出したことが報われるだろう。

2.4あたりのエンジンは高級車にとって微妙な排気量だが、十分なパワー感があって不満はなかった。同時にFFでも驚くほどスタビリティが高い。つまり、このエンジンパワーならFFのシャシーでクワトロ並に制御できるわけだ。逆に上級グレードのようなモアパワーエンジンにするとクワトロが必要になる。トルコンみたいな素晴らしいCVTも載せられるのだから、2.4はいいバランスでは。価格も安いし。

もちろんモーターデイズとしてはESP 8.0やアダプティブヘッドライトなどハイテク満載は高評価。アンダーが出ないFFです。

ここがダメ

そのグリルだが、欧州の横長ナンバープレートならかなり決まるが、日本の四角いナンバープレートと漢字はデザイン的にいまいち。デザインされたグリルの中にデザインされてない物体が入るわけで、日本人のデザイナーはそこまで考えたのだろうか。まあ、慣れれば気にならなくなるのだが。

ブレーキフィーリング、妙に軽い電動パワステ、足は柔らかいのに乗り心地が固いなど、まだ進化途中といった技術がいくつかあった。時間と共にどんどん熟成されていくはずだが、今はそんな感じ。

室内ではメカ部分の室内への張り出しが大きく、運転席左足スペースの不足(右ハンドル車)が気になる。このサイズなのに足下が狭いのだ。メーターまわりのパネルの質感不足も価格に見合わないと感じてしまうところ(木目パネルのオプションもない)。

総合評価

若かりし頃、バイクで道路左側を走っていて、左折のアウディ100に巻き込まれたことがある。ドライバーは「外車でも目立たないと思ってアウディを買ったんだぞ。どうしてくれる」とか何とか言って怒鳴り、こちらは言い負けて修理代を払ってしまった(今思えばこちらが悪いわけがないのだが)。そんな頃でもアウディは目立たないことが信条だったし、乗ってる人も慰謝料まで取らないまともな人(苦笑)だった。

その伝統ゆえ、ある一定の数を売り続けて生き延びてきたアウディも、最近は高級ブランドとして見事に再生。ある一定数を遙かに超える販売となっている。全国にどんどんできている新しいCIに基づいたアウディ・ディーラーは、ちょっと敷居が高く感じるほどリッチな建物、雰囲気に包まれている。VWブランドと分離しても大丈夫かと心配していたが、杞憂に終わったようだ。

で、A6だが、そんな新生アウディブランドからの真打ち登場ということになる。スタイリングはアウディそのものだが、グリルはエグいほど主張がきつい。今までのアウディオーナーの中には離れていく人もいるかもしれないが、それ以上にこの顔を評価して寄ってくる人は多いだろう。2.4はまだしも、上級モデルともなれば、相当なエグさを求めて買う人が多いわけだから、この顔の方がバランスはとれている。事実、これまでアウディに興味を持たなかった輸入車好きの何人かの友人が、特に4.2クワトロへ熱い視線を送っているのを確認している。もちろん、性能的には先代より遙かに良くなっているから、グリルに関係なく買い替えるオーナーも多いはずだ。

試乗した2.4に関しては、マルチトロニックというCVTの出来があまりに良く、また最近まれにみるオンザレール感覚のコーナリングや、様々なハイテク姿勢制御技術の満載さ加減を考慮すると、少なくともBMW・5シリーズよりいい印象が強かった。ただし、スポーティなのか、快適指向なのかは分からないままだったが。

不満としては、あれほど内装の質感を誇ったアウディにもかかわらず、2.4に関しては今ひとつ不満が残った。他社のレベルがどんどん上がっているだけに、追いつかれたということだと思うが、500万円を超える価格である以上、そのあたりは重要なポイントだろう。

最後にMMIに関してだが、やはりもっと直感的なものがいい。名古屋で開かれたITS世界会議でも様々な操作デバイスが展示されていたが、できるだけ考えなくてもいい方向で操作できる工夫が多かった。特にMMIは黒いヘッド部分のジョイスティックスイッチとロータリースイッチ、さらに両脇のボタンスイッチという3つのスイッチを論理的に操作する必要があり、学習が必要だ。クルマ本体はいよいよ機械として進化の究極に近づいているが、この部分はまだ誕生したばかり。その意味では今は人の方が学ばなくてはならない。むろん成長が楽しみなのだが。

アウディ A6 2.4
(2.4リッター・CVT・560万円)

●形式:GH-4FBDW●全長4915mm×全幅1855mm×全高1455mm●ホイールベース:2845mm●車重(車検証記載値):1690kg(F:ー+R:ー)●乗車定員:5名●エンジン型式:ー●2393cc・DOHC・4バルブ・V型6気筒・縦置●177ps(130kW)/6000rpm、23.4kgm (230Nm)/3000-5000rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/70L●10・15モード燃費:ーkm/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:225/55R16(MICHELIN Pirot PRIMACY)●価格:560万円(試乗車:578万円 ※オプション:バイキセノンパッケージ 15万円、パール塗装 3万円)

公式サイトhttp://www.audi.co.jp/models/a6/a6.html

 
アウディのことならこのお店にお任せ!
  • アウディ 神戸
  • アウディ 滋賀
  • 富士自動車 グループ
  • アウディ 三重津
  • アウディ 長野
  • アウディ 姫路
  • アウディ 金沢
  • アウディ 久留米
  • アウディ 長岡
  • アウディ新潟
 
Google

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.motordays.com/days/adm_tools/mt/mt-tb.cgi/348

 

アウディ 最新の試乗記10件

 

現在の位置:ホーム > 新車試乗記 > アウディ A6 2.4