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アルファロメオ アルファ156新車試乗記(第27回)

Alfa Romeo Alfa156

 

1998年06月05日

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カーデータ

●カテゴリー:ミディアムスポーツセダン
●クラス(排気量):1969cc
●キャラクター:高級スポーツカーブランドの伝統を引き継ぐ名門アルファロメオ。本国デビューに遅れること約半年、右ハンドル仕様で日本上陸を果たした主力FFセダンが156だ。BMW3シリーズのマーケットを狙って登場した155の後継モデルで、フィアット・ティーポをベースに作られた155に対し、156は駆動方式のみを譲り受けたオリジナル・アルファといっても間違いではないだろう。ヨーロッパでは絶賛を浴び、アルファ初の98年ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを獲得したほど。エンジンはより洗練され、ボディ剛性、品質ともに155から飛躍的に進歩した。世界戦略車として通用する仕上がりだけにライバルとなるBMWもうかうかしていられない。
●コンセプト:統合化が進むヨーロッパ市場で生き残るには、アルファといえどもクオリティを無視できなくなっている。'86年にフィアットグループに吸収されたアルファだが、先代155では、まだクオリティから甘さが消え去ったとはいえなかった。その点、156は世界に通用するミドルクラスの高品質サルーンとして登場。ボディ剛性ひとつをとっても155とは比較にならないくらいに向上し、安全性においてもフィアットが全力を上げて開発している。そして、一新された足まわり、磨きのかかったエンジンなどで、伝統の走りは受け継がれているのだ。
●注目度:アルフィスタでなくともクルマ通なら誰もが気になるアルファロメオ。これまでアルファと言えばマニア向けのイメージが強かったが、今回の156はちょっと違う。各国のショーでもひときわ注目を集め、絶賛を浴びていた。ただ「アルファロメオ」というネーミングのお洒落な響きだけが気に入っている女性達には、このスタイルはどのように写るのかが気になるところ。
●特筆装備:全車右ハンドルで導入されたこと。2.5リットルV6モデルには6MTが搭載されること。人気の2.0リットル直4ツインスパークには可変吸気デバイスや2次バランサーシャフトなどが新採用され、パワーアップ、燃費の向上、振動の低減が図られたこと。
●燃費:いつもながらカタログ未記入(実測もできず)
●価格・販売:日本導入モデルは2.0リットル直4ツインスパーク(359万円)と2.5リットルV6(399万円)。右ハンドルのみで2.0リットルが5MT、2.5リットルが6MTと組み合わせられる。また、2.5リットルモデルはMOMO社製レザーシートが標準装備される。

スタイル

アルファの魅力のひとつが「イヤなら結構です」といわんばかりのアグレッシヴなデザイン。75、155と続いた直線基調のデザインから一転して、156では柔らかなラインで構成される。深い造形のフロントマスクはアイデンティティを示す盾型グリルをはじめ、クラシックアルファを意識させるディティールを散りばめることによって、レトロにしてモダンに仕上げている。一方、リアは155ほどではないがハイデッキでシンプルな仕上がりとなっている。

フロントのドアハンドルはクラシカルなアルミ製。リアハンドルはブラックアウトのフレーム部に溶け込ませることによって2ドア風に見せている(残念ながら使い勝手はいまいち)。すでに日本でもこの美しいデザインに魅せられている人は多いだろう。しかし興味のない人にとっては「変なカッコ」にしか見えないのもまた事実。美しさと醜さ紙一重のデザインといえるのでは。マーケティング重視の姿勢からは生まれえないスタイルだ。

パッケージング

155に比べ、全長で15mm短くなったが、ホイールベースが55mm延長された。従って大人4人がくつろげる空間と378リットル容量(ミディアムセダンとしては平均的な数字)のトランクをもつ。ただウケを狙って奇抜なスタイルをしているのではなく、セダンとしても真面目にパッケージングされていることが分かる。ただしハイデッキでリアウインドウが狭いので後方視界はやや悪い。

内装(質感)

インパネデザインはシンプル。昼間も点灯する赤い透過照明の独立したスピード/タコメーターナセル、ドライバーに向けてセットされたセンターコンソールはカーボン調パネルが奢られ3連メーター(水温計、時計、燃料計)が配置される。ドライバー中心のスポーティーなデザインとなっており、クラシックアルファ風に仕上げられる。

品質面は当然のごとく155よりアップしている。しかし、同価格帯のマークⅡなどとは比較すること自体が誤り。まあ、イタ車ファンはそんなこと気にしていないから、この品質ならば満足してくれるだろう。でも手動巻き上げ式リアウインドウだけは早くパワーウインドウにしてもらいたいところ。

シート・ステアリング・シフト感触

シート全体を大きく上下移動させるハイトアジャスター機構とステアリングのチルト&テレスコ機構によって、理想的なシートポジションが得られる。

ストローク長めのシフトは、やや「ぐにゃ」としておりアルファらしい? もの。

3つのペダルのストロークは深めで、それぞれの動きの様子が足の裏に分かりやすく伝わってくる。ヒール&トゥがしやすいレイアウトもアルファらしい。アクセルペダルが手前にあるのが気になるが、慣れれば問題はないだろう。右ハンドルの悪影響はまったくない。

動力性能(加速・高速巡航)

パンチ力はないものの、踏んだ分だけ回る軽快なエンジンは、2リットルにして155馬力という平凡なパワーを忘れさせる程楽しい。スペックを見る限りではこれといったものはないものの、トータルでのバランスがよく、スポーティな運転を楽しませてくれる異色セダンだ。

各シリンダーに2本のスパークプラグを配した伝統のデュアルイグニッション方式に加え、可変吸気システム「バリアブル・ジオメトリー・インレット・システム」を新採用。5馬力しかアップしていないが、幅広い域でトルクの厚みが増した。扱いやすくなった反面、急激にパワーが盛り上がるストーリー性は物足りなくなった感もある。

ハンドリング・フットワーク

フルロック2回転強というクイックなステアリングだが、重くはなく、また不自然さもなく、機敏に反応する。思っていた以上にタイヤはグリップし、アンダーも弱く、コーナーではよく粘り、楽しい。誰でも気軽に扱える完成度の高さだ。アンダーステアをステアリング&アクセルワークで自在に操るというアルファのキャラクター? はややスポイルされているのかもしれないが、十分にファンな部分も残されていると思う。

2.5リットルV6の6速を駆使して走りを楽しみたいところだが、ツインスパークの5MTと変速比をチェックしてみると1~4速はほぼ同じで、4~6速がクロスするセッティング。高速では威力を発揮しそうだが、ワインディングなどではどちらも変わりないような気がする。また、2.5リットルV6はプラス60kgという重量がノーズにかかる分、軽快感は損なわれるだろう。

乗り心地

ゴツゴツとした乗り心地のスポーツセダンとは全く違う。足まわりは適度に締まり、ソフトでありながらも不快なボディの揺れを感じ取ることはない。

騒音

静か。騒音の遮断性が155は当然のこと現代のミディアムセダンとしてみてもかなり高いレベルにある。回転を上げていくほどにボリュームを増すアルファサウンドは低音で心地よく聞こえる。でもサウンドの迫力が希薄なのことで、アルフィスタにとっては物足りなさを感じるかもしれない。

安全性

イメージ的には安全性に劣っているイタリア車と見られがちだが、フィアットグループになったアルファは、万全の安全対策を施している。デュアルエアバッグ、ABSをはじめ、4輪に効果的に制動力を分配するEBD、衝突時に燃料をカットするFPS、助手席デュアルエアバッグ作動を解除できる機能など、ドイツ勢に劣らない装備が与えられている。

環境対策

特に記述されず

ここがイイ

良くも悪くも超個性的なデザイン。そしてすべてに渡って剛性がアップしたこと。剛性アップにより乗り心地、操縦安定性も向上している。何より走っていてこんなに楽しいクルマは滅多にないこと。

ここがダメ

同価格帯の国産車と比較して劣りがちな品質面や絶対性能もアルファの味として許すとすれば、欠点はブレーキか。はじめ甘く、次第に効くのでやや違和感が残る。また細かいところでは気になったのは、ウインカーレバーが左位置のままなので曲がるときにシフトとウインカーの作業が忙しくなってしまうこと。右ハンドルMTは右ウインカーレバーが必須。

総合評価

クルマ好きなら一度は乗ってもらいたいクルマである。走りのすべてが違って見えるのだ。例えば何気なく曲がっていたカーブでさえが、これが「コーナリング」ということなのかとある種の感動をおぼえることだろう。とにかく運転が楽しい。このクルマに乗れば、パワースペックなどクルマにとってさほど大きな問題ではないことがわかるだろう。

フィアット・ティーポをベースとした155は、マニアからの不満の声をよそに、一般の人々からは手頃なアルファとして歓迎されていたことも確か。156ではさらにより幅広いユーザーが満足できる内容となっている。マニュアルで乗ってこそアルファという考え方もあるが、アルファ人気を拡大するにはATを追加(来年に追加予定あり)し、もう少し価格を下げた方がいいと思う。発売一週間で650台(年間目標1000台)を受注したらしいが、もっともっと売るつもりでもいいのでは。

お勧め度(バリューフォーマネー)

156を購入することにもはや勇気、度胸なんてものはいらない。24時間のアフターサービス体制が付いているので、アルファという響きが好きというだけのミーハーな人でも安心して購入できる。クルマはアルファ、小物はプラダ、食事はイタメシで決めればお洒落度アップ?

購入する際に難しいのが2.0リットル直4ツインスパークか2.5リットルV6の選択。内容(エンジンのスペック差、本革シート、6MTなど)を考えれば価格差40万円というのは安く感じられるのだ。しかしよりスポーティなツインスパークの方がやはりお勧めか。

ボディカラーは6色も用意される。定番のアルファレッドもいいが、156のデザインが強調されるパール系のヌヴォラブルーもなかなか渋い。でも27万円高。

 

公式サイトhttp://www.alfaromeo-jp.com/index.html

 
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