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アルファロメオ アルファ159 2.2 JTS新車試乗記(第409回)

Alfa Romeo Alfa159

(2.2L・6MT・399万円)



2006年04月01日

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キャラクター&開発コンセプト

成功した156の後継モデル

全世界で68万台以上、日本で1万7000台余を販売したアルファ156(1997~2005年)の後継が今回の159。欧州では2005年、日本では翌2006年2月に発売された。8年振りのフルモデルチェンジだが、スタイリングは後期型156と同じジョルジェット・ジウジアーロ※の名で引き続き行われた。写真上は2005年の東京モーターショーのもの。シャシーを共有するクーペモデル「ブレラ」(写真下)も4月8日に日本で発売される。

GM提携時代の余韻

159の開発はフィアット・グループとGMとの提携時代(2000年~05年2月)に行われたとあって、そのメカニズムはGM傘下のモデルと共有、少なくとも影響を受けたと考えるのが普通だろう。事実、エンジン・シリンダーブロックはGMグループと共用。新開発「プレミアム・シャシー」はアルファが開発したとされるが、GM提携の影響がなかったとは思えない。サーブ/オペルがこの車台そのものを使うことはなく、結果的にアルファ専用になった、というところか。

※Giorgetto Giugiaro(1938年~ ) フィアット、ベルトーネ、ギアを経て1968年にイタルデザイン社を設立。最近は原音に近いジュジャーロと表記されることが多い。伊、独、日メーカーで作品多数。

イタルデザイン社(英語)

価格帯&グレード展開

まずは6MTのみ。直4が399万円、V6が529万円。

先代156の場合は、日本ではセミAT「セレスピード」が販売増に結びついたが、新型159の場合、まずは左・右ハンドル・6MTの「2.2 JTS」(399万円)が上陸。追って、左ハンドル・6MT・直噴3.2リッターV6・フルタイム4WDの「3.2 JTS V6 24V Q4」(529万円)が導入される。

パッケージング&スタイル

156より一回り大きくなった

軒並みサイズアップする欧州車だが、159も全長4690mm(+260)×全幅1830mm(+65~75)×全高1430mm(+15)、ホイールベース2705mm(+110)と一回り成長(カッコ内は156前期型)。ボリューム感のあるエンジンフード(歩行者傷害対策あり)や膨らんだフェンダー、絞り込んだキャビンとの相乗効果で、セダンらしからぬ迫力あり。似たようなサイズのトヨタ・マークXより55mm幅広い。

ユニークな横6連のヘッドライト(ほぼ同径のフォグランプと合わせると8灯!)は普通ならアクリルカバーで覆うところだが、159の場合は剥き出し。2004年末、つまり先に登場したマークXと同じ、横6連ライトとV字型ボンネットは偶然なのか何なのか。 スタイルはデイズ・スタッフをはじめ、いろんな人から「カッコいい」と好評。156の特徴だったアルミ置物のようなフロントドアハンドルや、ブラックアウトして窓枠と一体になったリアドアノブを懐かしむ声はあった。

伝統に則ったインパネデザイン

オプションのチベットレザーと呼ばれる内装、フードの中に大径2連メーター(速度計・回転計)、センターコンソールに横3連の補助メーター(燃料・水温・油温)などなど、アルファロメオ以外の何物でもないインテリア。燃費計を備えたドライビングコンピューター、クルーズコントロール、ライトセンサー、レインセンサーなどの快適装備のほか、ドライバーの膝用を含む7エアバッグといった安全装備も充実している。

相変わらず、まともなドリンクホルダーはないが、アームレスト下の小物入れが代用できる(他に、いちおう1個分ある)。エンジンの始動はブロック型キーをインパネに差し込み、クラッチもしくはブレーキを踏み込みながらスタートボタンをプッシュする。

全体に広くなった室内

156の室内はスポーティでややタイトだったが、159は全体にゆったり感が出た。レザーシート車にはシートシーターも装備(スイッチは相変わらず座面横の分かりにくい位置)。イタリア製家具のような色使いやシートの触感はドイツ車にはないもので、そこがイタリア車の財産だ。標準シートは156の後期型から採用されたAlfatexと呼ばれる、風合いや耐久性に優れるマイクロファイバー素材のファブリックになる。ステアリングはチルトとテレスコ付き。

家族には嬉しい進化

後席は先代156より確実に居心地が良くなった。後ろに乗る家族にとっては嬉しい進化だろう。背もたれが立ち気味で、いわゆる大型セダンのようなゆったり感はないが、BMW・3シリーズあたりとは、十分にライバルとなりうる。おそらく純粋に内装の雰囲気だけなら、アルファの方が日本人には好まれるだろう。

トランクスルーで大物も積める

156より27リッター増えても、まだ405リッターしかないトランク。大柄なボディからすると少なめだが、アームレスト部分に加えて、6:4分割可倒シートでトランクスルーできるから実用性は高い。

基本性能&ドライブフィール

赤いヘッドはアルファが設計

試乗車は3月時点でデリバリーの始まった2.2JTSの左ハンドル・6MT。いくらアルファと言えど、日本ではさすがにマイナーな仕様ではある。2.2なら右ハンドルもあるが、V6モデルも含めて2ペダル車の導入時期は現時点(2006年3月末)で明らかになっていない。

さて、その2.2リッター直噴「JTS」(ジェット・スラスト・ストイキオメトリック=Jet Thrust Stoichiometric)はGM系で共有するオールアルミ製ブロックの新開発エンジン(従来の2リッターは鋳鉄ブロック)。真紅に塗られたヘッド部分はアルファの独自設計で、185psと23.4kg-mという、なかなかのパワーを誇る。ついにカムはチェーン駆動となり、ベルト切れの不安が無くなったのも朗報だ。

スピードはあるが、芸術点は・・・

心なしかオペルの2.2(実用エンジンとしてはとても優れている)を思わせる、いかにもブロック剛性の高そうなエンジンによって、静粛性は驚くほど高い。低速でも粘り、ほとんどギアを選ばずオートマチックみたいに走れる。シフトフィールも良く、シフトミスはまず生じない。レッドゾーンまですんなり回せば185馬力は伊達でなく、スピードの乗りはとてもいい。1300kgだった初期156の2.0ツインスパークから270kgも重い1570kgの車重を思えば、普通なら「十分」となるはずだ。BMWの現行320i(1460kg/150ps=9.7kg/ps)と十分張る。

しかし、これがアルファとなると、それで良しとならないのが難しいところ。フライホイールが重いようなエンジンの回り方は、古典的アルフィスタが好むドラマチックなものではないし、管楽器のようなブォン!とかフォォーン!とかいったアコースティックなサウンドもなくなってしまった。実用的な特性とは引き換えに、今までアルファが売りとしてきた情緒的な性能は薄まった、というのが率直な印象だ。

改善された小回り性能

一回り大きく、重く、剛性が大幅に高まったというボディによって、乗り心地や静粛性はクラスが上がったように良くなった。先代156は基本的にはソフトなサスペンションで姿勢変化を許す(もしくは積極的に利用する)タイプだったが、159のサスペンションはドイツ車風のしっかりしたものに変化。試乗車は225/50ZR17(ピレリPゼロ・ロッソ)という立派なタイヤを履くが、それでいて突き上げもロードノイズも全く気にならないところは最上のドイツ車に引けをとらない部分だ。一度このしっかり感を味わうと、156のボディはそうとうヤワに感じられるはず。

使い勝手の部分では、最小回転半径が156の6.0メートルから5.55メートルに小さくなったのも進化した点だ。156は呆れるほど小回りが効かなかったが、159ではほぼ期待通りにノーズが回ってくれる。

良くも悪くも心拍数上がらず

静かなエンジンと高剛性ボディのおかげで、高速走行はアルファとしては平和すぎるほど平和にこなす。加速感も速度感も希薄な代わりに、心拍数を上げずに160km/h巡航が可能なのは、このクラスとして欧州で当然要求される水準だろう。絶対的なパワーは無いので追越加速では「待ち」があるが、メーカー発表値の最高速は222km/hだ。

ここがイイ

スタイリングはもう、誰が見ても十二分にかっこいい。都会の、いわゆるチョイワル系オヤジに好まれるはず。156がさすがに古くなり、また数も増えすぎたことから、その代替としてはジャストタイミングでの登場になった。チョイワル156の地位をきちんと受け継ぐことになるだろう。

という意味で、156に過剰な思い入れがなければ、そのカッコよさは素直に認められる。4ドアセダンという決まった枠の中で、完全にオリジナリティのある形が提案できるのはさすがジウジアーロ。156に過剰な思い入れのある人でも、しばらく経てば認めるようになるだろう、と言えるデザインだ。

サイズアップもあって改善された居住性、快適性、衝突安全性。高速安定性もさらに高まった。また、フルチェンジによっておそらく様々な部品のクォリティも引き上げられたはず。日本車並みとはいかないが、ほかの欧州車並みの信頼性があるのではないか。例えばチェーン駆動になったエンジン。巷では遅くとも5万kmで要ベルト交換と言われた従来エンジンに比べて、心理的なハードルは低くなった。

ここがダメ

あくまで156が好き、という前提に立つと、なんだか大柄になり、シャープでスポーティなイメージを失ったことは残念に思う。乗っていてもすごく快適で、静かで、156のような、乗ってすぐ面白がれるプリミティブさがないのはすこし寂しい。試乗のような短い時間でも156は人車一体感があったのだが、159では乗せていただいているという感覚が最後まで消えなかった。この性格であれば、また日本での拡販のためには、早急に右ハンドルAT車の投入が必要だろう。

平滑な路面ではまったく問題ないが、試乗車では凹凸が続く路面や轍(わだち)の深いアスファルトで、ステアリングを取られることがあった。そのため、コーナー途中に段差あり、うねりありの、いつものワインディングでも今一つ自信を持って走れなかった。他の媒体ではあまり指摘されていない点なので、単なるアライメント調整やワンダリング(轍にステアリング=前輪が取られる現象。幅広タイヤに起きやすい)、個体差の問題と思いたい。

総合評価

上級車の166とスリーサイズを比べると、全長は40mm短いだけで、全幅はむしろちょっと広め(+15mm)。つまり159は車名的には155と166の中間だが、サイズ的には166の後継で、やがて166がさらに大きい169になって登場、ということだと思う。Dセグメントは今やみんな大きいから、欧州全体で売ろうと思うとこれくらいのサイズは必要だろう。サイズに関して日本人がとやかく言うことはない、と思う。

それでも159に過剰に反応しがちなのは、156が日本ではジャストサイズで、なおかつカッコよく、そして乗っても楽しかったからだ。しかも、GMとの関係の結果、誕生したという経緯を知ると、またまた複雑な心境になる。いすゞの株も手放すGMの、現時点での印象が159の出生に影を落としてしまうのだ。とはいえ歴史的には、164はサーブ9000と兄弟だし、名車の155だってティーポと兄弟で、97年に登場した156(98年のヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー)も細かく言えば例外ではない。それに、現在ではプラットフォーム自体、結構曖昧なものだから、そう気にすることはないのだが。

それより、エンジンだ。156の良かった部分は、例の古くさい直4ツインスパークがプリミティブな味を発揮していたことが大きい。13年前以前の古いクルマはグリーン税制によって自動車税10%重課となるなど、古いエンジンが大量に走り回ることは社会悪らしい。しかし古いエンジンが気持ちいいのは確か。さすがに159の直4にはかつての腕白なイメージはない。

というわけで、159に乗っていると、小さくてもいい、腕白でもいい、たくましく育ってほしいと愛で育ててきた天才肌の我が子が、いざ大きく育ち、立派で不満のない大人になってしまったときに感じる、一抹の寂しさを禁じ得ない。もちろん、不良でどうしようもない人間に育つより、まともに育ってくれた方がうれしいし、立派になった我が子とはその先長く大人としてつきあっていくわけで、何も問題はない。大人のつきあいができるようになった159。それでいてちゃんと個性や主張を持っているゆえ、欧州でも日本でも、やがてその評価は高まっていくだろう。にもかかわらず何となく寂しいのは、もっとすごい大人になって欲しかったという親の欲目みたいなものなのだろうか。

試乗車スペック
アルファロメオ アルファ159 2.2 JTS
(2.2L・6MT・399万円)

●形式:GH-93922●全長4690mm×全幅1830mm×全高1430mm●ホイールベース:2705mm●車重(車検証記載値):1570kg(F:-+-)●乗車定員:5名●エンジン型式:939A5●2198cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・直噴・横置●185ps(136kW)/6500rpm、23.4kg-m (230Nm)/4500rpm●カム駆動:タイミングチェーン●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/70L●10・15モード燃費:9.3km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:225/50ZR17(Pirelli P ZERO ROSSO)※オプション●試乗車価格:427万円(含むオプション:トゥーリズモ <チベットレザー仕上げインテリア、シートヒーター、ヘッドライトウォッシャー、7.5J×17アルミホイール+225/50ZR17タイヤ> 28万円)●試乗距離:約150km ●試乗日:2006年3月 ●車両協力:アルファロメオ 西名古屋

 
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