Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > アルファロメオ アルファ166

アルファロメオ アルファ166新車試乗記(第95回)

Alfa Romeo Alfa 166

 

1999年10月15日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

アルファロメオ史上、最も成功したスポーツセダン、156。欧州だけでなく日本国内でもその人気ぶりは同様で、依然として供給が追いつかない状態が続いている。そんな好調ぶりをみせているアルファロメオが放つ、フラッグシップ・サルーンが166だ。'89年に日本デビューした164の後継モデルであり、他メーカーの大型サルーンとは一線を画す、アルファ的解釈で仕上げられた高級車だ。開発テーマは「スポーツの精神」。駆動方式はFFとなる。

欧州デビューはちょうど1年前、98年10月のパリサロン。日本の導入までに1年ほどかかってしまったが、そのかいあってか、全車右ハンドル仕様。エンジンは3.0lと2.5lのV6。ギアボックスは全車4ATで、マニュアル操作が可能なシーケンシャルシフト「スポルトロニック」が採用される。

価格帯&グレード展開

それなりにお高い値段は、エンスーサラリーマンにはハードルが高い

グレードは2.5リッターモデルの「2.5V6」と3.0リッターモデルの「3.0V6」の2タイプ。ナビをはじめ、主要な安全&快適装備は全車標準装備で、「3.0V6」にはレザーインテリアと電動サンルーフがプラス装備される。価格は「2.5V6」が515万円。「3.0V6」が600万円。

ライバルはベンツEクラス(585~855万円)、BMW5シリーズ(545~857万円)、ジャガーSタイプ(578~763万円)などのミディアムサルーン。

日本ではあまり数がさばけないと思われるクルマながら、ボディカラーが8色も用意されている点は誉めたいところ。もちろんアルファレッドの設定もある。

パッケージング&スタイル

ほかの高級車群とは明らかに異なるテイストが、アルファであることを主張

全長4730mm×全幅1815mm×全高1415mmというボディサイズはライバルのベンツE、BMW5とさほど変わらないスペックながら、ホイールベースは100mm以上も短い2700mmとしている。これは同じフィアット傘下にあるランチア・カッパとシャシーを共用しているため。最近のトレンドを無視したかのように前後オーバーハングが長く、そしてウインドウが極端に寝ている。エンジンフードは可能な限り低く抑えられており、リアはハイデッキに仕上げられている。大型セダンとしては異例のウェッジ調だ。

デザイン的には遠目にもアルファと分かる独特のタッチで、ワンクラス下の156と共通するモチーフが踏襲されている。タレ目のヘッドライト、冷却効率の悪そうなグリルなど、かなりの「老け顔」だ。全体のプロポーションがかなり尖っているにもかかわらず、無理矢理に高級感を演出したようで、イマイチ馴染めない感がある。フツーの感性を持つ日本人だったら多くがそう感じるだろう。逆に、一般に理解しがたい?プロポーションこそがアルファの魅力のひとつ。また、実際、斜め後方からの眺めは156を思わせる美しさがあると思うし、眺めているうちにだんだんよくなってきた。

インパネは円形の空調ダクトを5つ配し、エアコンやナビゲーションが納まるセンターコンソール部分は運転席に傾けられる、クラシカルスポーツのデザインだ。内装地は2.5リッター車がファブリック、3リッター車がMOMO製レザー。このレザーシートは座り心地はともかく、デザイン的には相当カッコイイ。

チタン調のセンター部にはナビ、オーディオ、エアコン、車両情報を一括集中させた5インチモニターのICS(インテグレーテッド・コントロール・システム)が納まる。一応、日本語表記されるものの、操作に馴れるまでかなり時間がかかった。

600万円もするクルマの割には、運転席では特にくつろぎを感じる事はなく、収納スペースも最小限に止められており、カップホルダーさえない。まるで「運転に集中しろ」といわんばかりのアルファらしい? たたずまいである。

ヘッドクリアランスはシート位置を一番下にしても拳1個ちょっと。トランクも一目見てクラス平均以下と分かる狭さだ。Bピラーにあたるウインドウの先が鋭角なので、乗降もややスマートさにかける。居住性は残念ながらあらゆる面で同クラスライバルをしのぐことはできない。リアシートの広さも日本人なら何とか、という程度でけして誉められたものではないが、シートの掛け心地は抜群で、革のムードがリッチな雰囲気を醸し出している。客をここに招き入れればかなり満足してもらえるはずだし、オーナーも溜飲が下がるだろう。

基本性能&ドライブフィール

スポルトロニックを積極的に使うと、アルファのあの味が…

用意されるエンジンは2タイプ。ひとつは156にも搭載される2.5リッターVDOHCで最高出力190馬力/6200rpm、最大トルク22.6kg-m/5000rpmを発生。一方、3.0リッターV6DOHCはGTVに搭載されているもので最高出力226馬力/6200rpm、最大トルク28.0kg-m/5000rpmを発生する。双方とも相変わらず、高回転ユニットに仕上げられている。
ギアボックスは全車にZF製のマニュアルモード付き4AT、アルファ呼ぶところの「スポルトロニック」が搭載される。

試乗したのは3リッター車。ファイナルとファーストギアが極端に低いチューニングなので、エンジンは鋭い回転ぶりで、余裕のある出足をみせる。でも一瞬だけ。すぐさま、2速にチェンジして、エンジンの伸びがあまり感じられなくなる。それにあわせて加速も鈍くなる。3速も同様で、トルクの太さを感じる前にシフトアップしてしまう。もちろんシフトショックなどなく、実際には十分な加速をしているのだが、体感的には、ちょっと3リッターと思えないトルク不足を感じてしまい、思わず右足に力が入ってしまう。

のんびり走る分にはこれで何ら問題ないのだが、「アルファの走り」を期待すると肩透かしを食らった感じだ。アルファのパワーユニットはやはり高回転で活気づいてくる設定のようで、4000回転あたりからトルクが盛り上がって本領発揮となる。だからDレンジ任せでは、このエンジンのキャラクターは活きない。マニュアルモードを積極的に使うべきだろう。

マニュアルモードの感触は、カチッというよりもクネッとした印象。1速からスタートするとレッドゾーンまで躊躇なく引っ張られ、そのまま自動的にシフトアップする。速く加速したいならDではなく、1に入れっぱなしでいい。市街地をトロトロ走っていては耳にすることのできなかった、V6の高めの快音がより気分を盛り上げてくれる。Dレンジではなくこのマニュアルモードの走りこそが166本来の姿だ。MTは設定されてないが、スポルトロニックは十分その代役を務めている。

ステアリングフィールはタウンスピードではやや重いが、スピードを上げるにつれて、軽快さを増す。ロック・トゥ・ロックが2.4回転と超クイック。特にワインディングでは非常に軽くなり、大柄なボディの割には軽快で、楽しくスポーティな走りとなる。このあたりはさすがアルファ。ただ、やはりノーズの重さを感じてしまうのと、軽いステアリングからあまり路面のインフォメーションが伝わってこないのが残念。

乗り心地は大型セダンにもかかわらず硬め。低速ではあまりしなやかという感じもないが、高速になるとしっとりとした乗り心地に変わる。150km/h以上の超高速域でも直進安定性は素晴らしく、エンジン回転も快感の域に高まり、このクルマの真骨頂と思える走りとなる。長距離をハイスピードで移動できる個性的なビジネスエキスプレスというあたりが、どうやらこのクルマの本質のようだ。

ここがイイ

まさにどこにもありえないスタイル。特に試乗車のシルバー塗装の場合、先鋭的なデザインが見事にマッチして、完全に他のどんなクルマとも一線が画される。この個性だけで手に入れても悔いは無いはずだ。インテリアのムードもまた独自。そして走りもいい悪いを超えて独自のものがある。すべてにおいて個性的。それはアルファにとって、最も重要なことだと思う。

ここがダメ

Dレンジのセッティング。せっかくならもうちょっとエンジンを楽しめる設定にしてほしかった。本国では6速マニュアルもあるようで、そちらもできれば導入てほしいところ。6MTを駆使して楽しめる大型サルーンなんて、滅多にあるものではない。強力なアピールポイントとなりそうだが、売れないことは間違いないので、まあ無理だろう。

ICS(インテグレーテッド・コントロール・システム)は、使い勝手は慣れるとしても、モニター位置が絶対的に問題。低すぎて、危険。モニター位置に関しては、輸入車は全般的に一昔前の国産車のよう。

総合評価

見て驚かせ、走りの楽しさで喜ばせ、フラッグシップらしい高級感で納得させるクルマ。アルファマークがそうしたアイデンティティに付加価値を与えている。とはいえアルファじゃなかったら、このアイデンティティは通用しないかも。久々に「ガイシャ」らしい、良くも悪くも個性満点のクルマだ。高級車とはいえクラウンに満足するような人は絶対に近づかない方がいいタイプ。

試乗中、試乗車のブレーキがちょっと不調だったせいかもしれないが、おろし立てのスーツと革靴を履いているような、違和感があったのは確か。至れり尽せりの高級車として見るとかなり違うし、走りの楽しさでは当然ながら156が上。MOTOR DAYSのスタッフにはなじまないクルマのようだ。

逆にクルマに一寡言あるエンスーな人で、なおかつ上級車が欲しい人なら166は選択肢に入るだろう。たとえばマスコミやファッション業界などでそれなりの地位を獲得した人なら、いまさらメルセデスやBMWには乗れないはずなので、アルファの持つ記号性は重要。性能や装備はライバルに勝るとはいいがたいが、保守的な大型サルーンの中にあって、もの凄い個性はやはり貴重だ。166を買うなら、クルマだけではなくオーナー自身が、カッコイイ(変わった人という意味も入る)人でなくてはならない。かなり遊び上手で、かといって下品でもない、そんな伊達な大人の男性しか166は似合わない。逆にいえばそんな人が似合うクルマは166くらいしかないのでは。

 

公式サイトhttp://www.alfaromeo-jp.com/model/166/index.html

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

最近の試乗記一覧

関連コンテンツ一覧