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アルファロメオ アルファブレラ新車試乗記(第414回)

Alfa Romeo Alfa Brera

3.2L・6MT・4WD・584万円

http://www.motordays.com/newcar/articles/alfabrera20060513/pic/photo_1-thumb.jpg 巨匠ジウジアーロが描いた
21世紀のイタリアンクーペ、
ブレラはカレラを超えたか?

2006年05月13日

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キャラクター&開発コンセプト

159ベースの2+2クーペ

http://www.motordays.com/newcar/articles/alfabrera20060513/pic/photo_2-thumb.jpg 159ベース ースで作られたアルファの新型クーペ、それがブレラだ。1994年デビューの長寿車となったGTV(2世代前の155ベース)の、実に11年ぶりの後継車となる。欧州では2005年11月、日本では翌年4月に発売された。

元々、ジョルジェット・ジウジアーロ自身が自由にデザインした同名のスタイリングコンセプトが発端なだけに、巨匠の力量と好みが色濃く反映されている。一方、ブレラベースの次期スパイダーはピニンファリーナが担当。クーペはジウジ、スパイダーはピニンというカロッツェリアの役割分担は、60年代のジュリアスプリント(ベルトーネ在籍時のジウジアーロ)とスパイダーデュエット(ピニンファリーナ)まで遡れる伝統だ。

価格帯&グレード展開

6MTのみで直4が436万円〜、V6が584万円

右ハンドル仕様が一応ある159と異なり、ブレラは左ハンドル・6MTのみ。セレスピード投入の予定は、現時点では噂すら無い。先代GTV/スパイダーにも結局2ペダルは最後まで設定されなかったが、果てしてブレラはどうなるのだろうか。

価格は「2.2 JTS」が436万円、ガラス天井の「スカイウインドウ 2.2 JTS」が463万円、フルタイム4WDの「スカイウインドウ 3.2 JTS Q4」が584万円。159に比べて約40万円、スカイウインドウ込みなら、60万円ほど高い価格設定だ。生産量が少なく、デザイン的にも実用的にも間口が狭いスペシャリティカーゆえの割増料金か。

パッケージング&スタイル

顔で見分けるにはコツが要る

http://www.motordays.com/newcar/articles/alfabrera20060513/pic/photo_3-thumb.jpg 外寸(カッコ内は159比)は全長4415mm(−275)×全幅1830mm(同)×全高1365mm(−65)、ホイールベースは2530mm (−175)と、ベース車である159よりかなり短く、低い。それは例えば、ポルシェの現行911(997)やケイマンとほぼ同じか、少し大きい程度だ。

エクステリアデザインは現代彫刻みたいにアートしつつ、ちゃんとアルファの歴代クーペが備えていた面影を引き継いでいる。ただ、真正面は159にそっくりで、顔で両者を見分けるのにはコツが必要だ。ライト類や基本デザインは159と同じだが、フロントバンパーや例の「盾」が別物になる。

センスの差に脱帽

http://www.motordays.com/newcar/articles/alfabrera20060513/pic/photo_5-thumb.jpg リアのV字ウインドウは145や147とよく似たモチーフで、いちおうそれらと同じハッチバックだが、エッジや曲面の使い方は惚れ惚れするほど大胆だ。好き嫌いはともかく、彼我のセンスの差に脱帽するしかない。横から見るとちょっとマヨネーズの容器に似ていて、そういえば、いすゞピアッツァも元はジウジアーロデザインだったと思い出す。左右に振り分けたマフラーエンドはドドーンと4本出し。スーパーカーみたいだ。

雨の日も楽しい「スカイウインドウ」

http://www.motordays.com/newcar/articles/alfabrera20060513/pic/photo_6-thumb.jpg パッと見た感じ、カタチもパーツも159と同じダッシュボード周辺。特に操作系はほぼ同じだ。天井およびヒップポイントが低く、フロント着座位置も後退しているので、ヘッドレスト一体型のシートはブレラ専用になる。内装色はボディカラー(全10色)に合わせて、レッド、ブラック、ブルーの3色から選べる。素材も標準のAlfatex(マイクロファイバー素材のファブリック)に加えて、レザー仕様はチベットレザー、および家具で有名な「ポルトローナフラウ社」の高級レザーがある。

インテリアで159と決定的に違う点は、天井の「スカイウインドウ」だ。外から見ると、フロントウインドウが屋根まで伸びているように見えて未来的。ドライバーの目線には入らないが、助手席の人はシートを少し倒して晴れでも雨でも大きな空を眺めることができる。暑い時はボード状の電動サンシェイドを閉めればいい。

使える2+2

http://www.motordays.com/newcar/articles/alfabrera20060513/pic/photo_7-thumb.jpg GTV に比べて、リアウインドウが大幅に後退、ボディ幅も50mm増えて後席の余裕は増している。156ベースの「GT」には広さで負けるが、ポルシェ911よりはるかにマシ。大人でも短時間なら苦痛はない。前席の人に遠慮してもらえば、フットルームも何とか確保できる。条件付きで、使える2+2(ツープラスツー)だ。ちなみにセンターアームレストもあるが、これはくつろぐためというよりトランクスルーのためだろう。

ハッチバック車並みの収納容量

http://www.motordays.com/newcar/articles/alfabrera20060513/pic/photo_8-thumb.jpg GTV のトランクは容量155Lとなにしろ狭かったが、ブレラはハッチバック車。リアゲートの敷居がやたら高いのは難点だが、容量自体は300Lと外から想像するより広い。後席背もたれを倒せば、最大610リッター。ただし、GTは後席に続いてこの項目でも圧勝で、開口部は広いし、容量は320L〜905Lもある。

一つ不便なのはGT同様、リアゲートのオープナーがセンターアームレスト内のみで、外から開閉出来ない点だ。おそらく防犯対策だろうが、使い勝手を優先したい気持ちだ。

基本性能&ドライブフィール

感覚的には1500kgくらい

http://www.motordays.com/newcar/articles/alfabrera20060513/pic/photo_9-thumb.jpg 今回は箱根の合同試乗会で「3.2 JTS Q4」と「2.2 JTS」の2台に乗った。まず3.2だが、エンジンは159と同じ新開発のチェーン駆動・オールアルミの直噴V6(260ps、32.8kg-m)。従来のV6が発する「ロロロロン」というクラシカルな響きは消えたが、他社のV6のようにただ回るだけ、パワフルなだけのユニットではなく、音量控えめながら「ファーーン」とアルファらしい音が室内に届く。パワーもトルクも十分で、箱根の山道だと2速ホールドでオートマチック的に走る格好になる。

印象的だったのは、V6とは思えない軽快な操縦性だ。わざとステアリングを素早く切った時は前輪のエッジに負担がかかるのが分かるのが、公道で試せる範囲では面白いようによく曲がる。車重は1750kgと見た目以上にヘビーだが、感覚的には 1500kgくらいか。旧世代ながら同じ3.2リッターV6(馬力は250ps)を積む147GTAの、手を切りそうなほどシャープな操縦性に対して、ブレラはまったく危なげがない。

トルセンデフによるナチュラルな走り

前輪駆動のGTAと違ってブレラの3.2はフルタイム4WDだが、少なくとも乾いた路面ではまったくそれらしい癖が出ない。センターデフのトルセン「タイプ C」や高性能タイヤ(235/45R18)が、かなり効いてる感じだ。特にトルセンデフは、基本が43:57とリア寄りで、状況に応じて72:28から 22:78まで連続的に変化。アクセルオンで約35%、オフでも約45%のロッキング効果を発揮するという。例えるならトルセンLSD付きのFR車のような、自然なフィーリングが好ましい。そこそこ姿勢変化を許す足回りもアルファらしいところだ。

今回は高速道路を走る機会はなかったが、最高速はメーカー発表値で240km/h。静粛性や直進安定性が高いため、高速域でもかなり快適だろう。

ワインディングベストの2.2JTS

http://www.motordays.com/newcar/articles/alfabrera20060513/pic/photo_10-thumb.jpg 後半の2.2は、前に試乗した159と良い意味でかなり印象が違っていた。エンジン(185ps、23.4kg-m)は159の2.2 JTSとまったく同じであり、1570kgの車重も変わらない。目立つのはホイールベース(175mm差)の違いくらいだ。しかし、この日のブレラはまるで最終減速比でも低いかのように(実際には同じだ)軽快に加速。回り方もサウンドも、カッコから期待される通りに気持ちいい。絶対的にはアンダーパワーなので、箱根では2速、3速を駆使しながら全開で走ることが可能で、回頭性も3.2よりふた回りは軽快だ。メーカー発表の最高速は222km/hと、159 の直4モデルと同じなのだが。

路面の荒れたコーナーへ自信を持って飛び込んで行けるなど、シャシー面も不満はなかった。サスペンションは159と同じ前ダブルウィッシュボーン、後マルチリンクだが、ブレラではジオメトリー等が変更・改良してあるという。結局、いろいろ人の話を総合すると、これらは159とブレラの差というより、個体差が大きかったのかもしれない。

ここがイイ

2.2、3.2ともに軽快な走り。実に楽しい。特に3.2は、フルタイム4WD、雨でも楽しめるガラスルーフ、静粛性、乗り心地、動力性能など、すべての点でハイレベルな全天候型グランドツーリングカー。この内容とアルファのブランド、デザインで約600万円は、ポルシェ911カレラ4の半額以下。この価格帯でこの内容のクルマは他にない。

6%以上の勾配で、坂道発進を助けるヒルホルダーシステム(ブレーキを放しても1秒間はブレーキのリリースを遅らせてずり下がりを防ぐ)が便利。MT初心者には坂道発進に慣れるまでの「補助輪」になるし、ベテランにとっても、あればあったで使える機能だ。

159の時にも触れたが、直4、V6、いずれの新型エンジンもタイミングチェーンを採用したこと。資料には「オートマチックチェーンテンショナーを採用した結果、エンジンの寿命が尽きるまでバルブトレインのメンテナンスは必要ありません」という頼もしい文句がある。

ここがダメ

「スポーツカーならマニュアルでしょ」ではあるが、やはりATがないことはつらい。キャッチコピーの「スポーティ」と「エレガンス」を兼ね備えたブレラだが、エレガンスを気取るには、やはり今の時代、 ATが必需品だ。セレスピードでなく、5速でもいいから(もちろん6速がベストだが)普通のマニュアルモードつきのAT、それがあれば商品力は倍増すると思う。

スマートキーはじめ様々なハイテクユーティリティーがいよいよ用意されることになったが、カーナビだけは依然ない。ATとナビという、現代のクルマにとってもはや必需品といえる装備のないことが、やはり最大の欠点だろう。

総合評価

http://www.motordays.com/newcar/articles/alfabrera20060513/pic/photo_11-thumb.jpg スタイル、走りに関しては文句なし。コンセプトカーほぼそのままという、こんなに美しいクルマは久々。価格的にも不満がないところ。しかし多くの普通のユーザーは、右ハンドルのATを望むのではないか。6ATとの組み合わせなら、仮想ライバルのアウディTT(6ATや6速DSGがある)を好むようなユーザーが飛びつくはず。試乗会場にはアルファGT「スポルティーバ」という限定モデル(2リッター・右ハンドル・5速セレスピード)も並んでおり、それとのバッティングを避けたのだろうか。ものすごく欲しくなったクルマなのだが、MTゆえ迷いが生じてしまう。

資料を読んでいると、ブレラが現代のクルマとしてハイテクを多彩に搭載していることがわかる。 OFFスイッチつきのVDC(いわゆるESP)は個別ブレーキ制御をするし、ASRやブレーキアシストもある。この一環で、前述のヒルホールドシステムもあるわけだ。オートエアコンは直射日光の影響を考慮する日射センサー、しかも自動で汚れた外気導入を防ぐ臭気センサーまで備える左右温度調整独立式だ。さらにオートライト、パーキングセンサー、トリップコンピューターやエンジンオイル量等を示すマルチファンクションディスプレイ。外部の明るさに応じて、メーターパネル照度を自動調整する機能まである。おもしろいのはリモコンキーでロックを解除するとき、運転席のみを解除できる機能。物騒?なイタリアらしい(あるいはGM時代の名残か)。クルーズコントロールも用意されている。

つまりすべて一新されているわけで、GTVがハードウエア的にあまりにクラシックだったことを思うと、一気に何世代も飛び越えて、実用的にもメンテ的にも、現代のクルマになった。それゆえデザインの美しさだけで買っても満足度は高いはず。もちろん信頼性に関しては今だ個体差があるだけにやや不安が残るが、3年間はメーカー保証があるのでひとまず大丈夫だろう。だからこそ、ATが欲しいと思わずにいられない。

http://www.motordays.com/newcar/articles/alfabrera20060513/pic/photo_12-thumb.jpg 先頃、オペルの日本撤退という衝撃的なニュースが入ってきたが、フィアットグループはGMのもとを離れて正解だったろう。GMグループのままであれば、ひょっとすると日本でこのブレラに乗れない可能性だってあったと思う。2005年度の販売台数は打ち切られたオペルが約1800台。アルファは4318台だが、前年比23.8%のダウン。数字だけ見れば苦しいのは明確だ。ブレラも、セレスピードでいいからATがあれば3倍は売れる可能性のあるクルマだ。 911より遙かに安い、伊達男のクルマなのだから。

試乗車スペック
アルファロメオ アルファ ブレラ Sky Window 3.2JTS Q4
(3.2L・6MT・4WD・584万円)

●形式:GH-93932S●全長4415mm×全幅1830mm×全高1380mm●ホイールベース:2530mm●車重(車検証記載値): 1750kg(F:1070+680)●乗車定員:4名●エンジン型式:939A●3195cc・V型6気筒・DOHC・4バルブ・直噴・横置 ●260ps(191kW)/6300rpm、32.8kg-m (322Nm)/4500rpm●カム駆動:タイミングチェーン●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/69L●10・15モード燃費:─km/L●駆動方式:フルタイム4WD●タイヤ:235/45R18(Bridgestone Potenza)●試乗車価格:─万円●試乗距離:─km ●試乗日:2006年4月


アルファロメオ アルファ ブレラ Sky Window 2.2JTS
(2.2L・6MT・463万円)

※上記と異なる点
● 形式:GH-93922S●全高1365mm●車重(車検証記載値):1580kg(F:─+─)●エンジン型式:939A5●2198cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・直噴・横置●185ps(136kW)/6500rpm、23.4kg-m (230Nm)/4500rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/70L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:225/50R17 (Pirelli P Zero Rosso)

●車両協力:フィアット グループ オートモービルズ ジャパン株式会社

アルファロメオ ジャパン http://www.alfaromeo-jp.com/
Brera http://www.alfabrera.jp/

 
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