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アルファロメオ アルファスポーツワゴン新車試乗記(第135回)

Alfa Romeo Alfa Sportwagon

 

2000年08月11日

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キャラクター&開発コンセプト

ワゴン? 5ドアハッチ? クーペとワゴンの融合、ハイブリッドスポーツ

現在のアルファロメオの主力車種といえば、156。日本でも98年5月の発売以来、2年で6500台あまりを売っており、たいへん好調だ。クーペを思わせる流麗なスタイリング、刺激的な走りなど、ミドルサイズのサルーンという退屈なクルマがひしめいているセグメントにおいて、ひときわ異彩を放つFFスポーティサルーンだ。その156のステーションワゴンモデルといえるのが、アルファスポーツワゴンだ。

ただ、アルファ自身はスポーツワゴンを単なる156のステーションワゴンではない、と主張している。クーペとステーションワゴンの融合なのだ、と。

日本導入モデルに搭載されるエンジンは、2.0l直4と2.5lV6の2つで、前者にはオートマチックモード付き5速MT(セレスピード)、後者にはマニュアルモード付き4速AT(Qシステム)が組み合わせられる。乗車定員は5名。ハンドル位置はどちらも右のみの設定となる。マニュアルは来年導入予定。売れ行きによっては左ハンドルも出るだろう。

価格帯&グレード展開

391万円と449.5万円。セダンより10万円高

グレードはパワートレーンの違いによる2つで、2.0lモデルの「2.0-16Vセレスピード」(以下、ツインスパークと記載)と2.5lモデルの「2.5-V6 Qシステム」(以下、V6と記載)だ。価格はそれぞれ156より10万円高の391.0万円、449.5万円となっている。快適、安全装備ともに充実しており、V6はツインスパークの装備に電動サンルーフが加わり、内装には三色の本革が奢られる。両車の外観上の差はエンブレムとアルミホイールのデザイン。日本での販売開始は9月9日からとなる。

なお、このカテゴリーに属する輸入車モデルは、BMW3ツーリング(393.0~540.0万円)、VWパサートワゴン(370.0~455.0万円)、アウディA4アバント(370.0~489.0万円)プジョー406ブレーク(313.0~423.0万円)など。中でも最もライバルとなりえるのが、スポーツ性能を謳うFRワゴン、BMWの3だろう。

パッケージング&スタイル

セダンの派生とは思えないほど調和がとれた秀逸なデザイン

ボディサイズは全長4430mm×全幅1755mm×全高1415mm、ホイールベース2595mm。日本向けには標準装備されるルーフレールの分を除けば、全ての寸法は156と同じだ。ワゴンというのはリアのオーバーハングを伸ばして全長が長くなるのが一般的だが、このクルマは1mmと変わっていない。そのため、ワゴンというよりも5ドアハッチといった印象がある(例のごとくリアドアは印象が薄いから、3ドアハッチあるいはクーペにも見える)。これをアルファは、本物のスポーツモデルだけに与えられるコンパクトさを実現したかった、と述べている。

フロントセクションは156のものをそのまま流用しているらしく、顔つきは156と同じ。リアドアハンドルをガラスに溶け込ませてクーペ風に見せる手法も156と同じだ。

逆にルーフパネルを含めたリアビューはテールランプに156の面影を残すものの、完全なオリジナル。ルーフスポイラーはルーフラインにとけ込んでいるために視覚的には目立たないが、Cd値の改善には貢献しており、スポーツカー並の0.30を達成している。どの部分までが156ボディの面影なのか、どの部分からワゴン固有の「追加ボックス」なのか、まったく意識させることがないスタイリッシュな仕上がり。その姿は、まるで巨大な甲虫(固い殻を持つ昆虫)とでもいおうか。

前代未聞!? セダンよりも小さいラゲッジ容量

スポーツカーを思わせる立体的なインパネ、V6モデルのみにMOMO社製レザーシートが専用装備されるのも156セダンからの変更はない。ただ、後席はクオーターガラスが増設されているので、開放感という点では156セダンを上回っている。ダブルフォールディング式の6:4分割可倒機構が備わっているのも156セダンとの異なる点だ。

気になる荷室の方に目を移してみると、開口部は広く、ラゲッジネットやアクセサリーソケットなど、一応はワゴンらしいアイテムは揃えられている。でも、狭い。通常時の容量は360リットルしかない。156は、378リットル。そう、セダンよりも狭いのだ。荷室がセダンより狭いワゴンなんて、あまり聞いたことがない。同社が謳う「クーペとの融合」…なるほど、納得させられる。

基本性能&ドライブフィール

ワゴン用途を考えた専用の足回り、セルフレベリング機構

搭載されるエンジンは、ツインスパークに2.0リットル直4DOHC(最高出力155PS/6400rpm、最大トルク19.1kgm/3500rpm)、V6に2.5リットルV6DOHC(最高出力190PS/6300rpm、最大トルク22.6kgm/5000rpm)。これにツインスパークにはセレスピードと呼ばれるオートマチック付きシャル・メカニカルギアボックスを持つ5速マニュアルATが、V6にはQシステムというHパターンのマニュアルモード付き4速ATが、それぞれに組み合わせられる。どちらもすでに156に搭載されているものと同じだ。

足回りは前マクファーソン式、後ダブルウィッシュボーンで、基本的な型式は156と同じでも、後輪にはボーゲ社製「ニボマット」と呼ばれるセルフレベリング機構が奢られている。積載重量に応じて自動的に車高を補正し、常に一定の車両姿勢を保持するというものだ。

アルフィスタを熱狂させるには至らないQシステムの仕上がり

はじめに試乗したのはV6。Qシステムはポルシェなどのティプトロタイプの+/-をHパターンに置き換えたものと考えればいい。シフトレバーをPRNDと縦に下ろし、Dから左横に寄せればHパターンとなる。アルファらしくマニュアルの操作性にこだわったものだ。

で、走りはというと、かなり鈍重、というのが第一印象。その原因はギアボックスにありそうだ。156に比べて車重が80kgも重くなっているのにも関わらず、ファイナルがハイギアード側(3.095→2.864)に変更されており、加速に切れがないばかりか、1速と2速の回転落差も大きい。例えば1速でレッドゾーンまで引っ張り、2速にすると回転は一気に2000回転ぐらいまでに落ちる。このため、ワインディングでは1速だと回転が振り切れてしまい、2速では回転が低すぎて、エンジンブレーキもままならない。せっかく粘りのある足腰を備えているのに、これでは全くそれを生かすことができない。しかもシフトに節度が足りないので、よほど注意深くしてシフトしないとすぐにDレンジに入ってしまうのも気になるところ。ちなみにこのギアボックス本体はアイシン製で、電制部分はマレッリ(イタリア最大手の自動車部品メーカー)によるものだ。

F1譲りのセレスピードの走りは軽快、愉快、痛快

一方、ツインスパークの方は、低回転から高回転まで軽快に回るアルファらしい走りが楽しめる。セレスピードはアルファらしく凝ったもので、フェラーリV8モデルに用意されているF1のシステムがこれに一番近い。メカニカルな部分は5速MTそのもので、通常、人が足踏み作業となるクラッチのオン、オフは電子制御で自動化したもの。よってクラッチペダルはなく、アクセルとブレーキの2ペダルなのでAT限定免許でも運転が可能だ。

シフト部分はPレンジがなく、縦にNとRがあり、Nから左に寄せるとマニュアルモードとなる構造。上が+、下が-だ。また、ステアリング上にも右に+、左に-のボタンが設けられいる。この他、シフトレバー脇にあるCITYボタンを押せば、ATのように完全自動シフトを行ってくれる。もちろん発進時はクリープ発進はなく、下り坂ではブレーキを踏んでいないとバックする。シフト操作は容易でも、エンジン始動などの制御チャートはやや複雑なだけに、ある程度の慣れが必要となりそうだ。

シフトチェンジのラグは、良くできたスポーツモード付きATより若干大きい感じ。でもギア鳴りなど絶対に起こさず、ミートは確実。特に見事なのがシフトダウン。ウォンとエンジンサウンドを伴ってギアを落とす。エンジンブレーキは利くし、即加速体制に移すことも朝飯前。ATばかり乗っている人には新鮮で、マニュアル派の人でも、これなら心はくすぐられるはず。さらに高回転からシフトダウンすれば、今度はウォン、ウォンとまるでエンターテイメントのように回転を合わせてくれる。ここまでくると、微笑ましいというより爆笑もの。つい、声が出てしまった。ただギア比はもうひとつワインディング向きではないのが残念。

V6かツインスパークか。58.5万円の価格差はあるが・・・

ツインスパークの車重がV6よりも70kg軽いという点にも注目したい。ギアボックスの違いがあるにせよ、エンジン重量の差は最低でも50kgはある。つまりその分のノーズ部の軽さが、軽快なハンドリングに影響を及ぼしているわけだ。しかもカタログに掲載されている動力性能についても大きな差はなく、0~100km/h速度はV6よりも0.3秒遅いだけの8.8秒。0~400km/h速度も0.4秒遅いだけの29.6秒となっている。最高速度は11km/hの少ない216km/hとなるが、少なからず車重の軽いツインスパークの方がよく“止まる”し、よく“曲がる”。それは両車を乗り比べて、すぐに実感できた。最高速度11km/hの差なんて、日本の道路事情からいってもあまり意味をなさないというもの。58.5万円の金額差は本革内装の有無だけと言っても過言ではないだろう。というわけで、本革内装に執着しなければ、スポーツワゴンのオススメは断然、ツインスパーク。

ここがイイ

脱帽なのはやはりスタイリング。美しい。ルーフレールやエアロパーツがない本国仕様だとやや間が抜けた感じだが、日本仕様では控えめなそれらのパーツがグッとカッコ良さを演出している。

インテリのデザインもいい。質感も十分。シートの座りごこちも申し分なく、エアコンも効くし、ATだから街乗りも苦にならない。サイズは小さいものの一応ワゴンだから荷物は載せやすいし、二人乗り状態ならセダンとは違うユーティリティーが確保できる。

そして何よりツインスパークは実に心地よいエンジンだ。噴け上がり、トルク感、サウンドなど、このエンジンのためならお金を出してもいいと思える。

ここがダメ

反対にV6はスムーズだが面白みに欠ける様に思える。Qシステムもいまいち。ただこれは、ワインディング中心の試乗ゆえに感じることかもしれない。V6らしく高速道路中心のクルージングであれば印象は変わるかも。ボディ剛性は上がっているが、ドイツ車とは違い、ボディパネルの合わせ目のチリが合ってないなど、その作りは今も変わらない(それが魅力でもあったりするが)。ホイールのデザインがV6と2.0で異なるのも残念なところ。

総合評価

走りはFFであることから安定志向であり、危うい楽しさはないものの、回頭性も高く、ロックトゥロックは2回転とクイック。十分スポーティーで楽しい走りで、ツインスパークの官能的な回転フィーリングを堪能できる。しかし、以前乗ったMTの方がやはりシックリくることは確か。セレスピードにしてもQシステムにしても、まだ人間は超えていない。ただ、渋滞路走行を考えれば、ATを選ぶ意義は十二分にある。

セダンも文句なくオススメできるクルマの上位だったが、スポーツワゴンは専用デザインによる走り重視のいわゆるショートワゴンで、セダンのスポーティさをキープしながら、今風のボディと使いやすさを獲得しており、しかもカッコいいとくるからこれはもう無敵。まずクルマの成り立ちとして不満をつける所は何一つない。細かいトラブルは国産よりは多いだろうが、それを有り余る魅力が凌駕する。これがよくなくて何がいい?

アルファ スポーツワゴン広報資料

なお今回のフィアットオートジャパンの広報資料(CD-ROM)にはwebマガジン転載用としてファイルが用意してあった。なかなか斬新な試みに敬意を表して、掲載させていただいた。じっくりごらんください。

アルファ ロメオ伝統のCuore Sportivo -「スポーツの精神」- がいきづく
アルファ スポーツワゴン

アルファ スポーツワゴンは今までのようなステーションワゴンではありません。エレガントでスポーティ、そしてクーペのようなスタイリッシュなフォルムとステーションワゴンのゆとりと機能性が見事に融合した新しいコンセプトに基づく車です。

イタリアン・スタイルの美しい造形、アルファ ロメオ伝統のテクノロジーが生み出すボディ剛性、さらにはエンジンやトランスミッション、ボディカラーやインテリアトリムなどのバリエーションが、個性を引き出す表現力を持った暖かみのある車です。

今回日本へは2種類のアルファ スポーツワゴンを導入いたします。ひとつは2.0 TS セレスピード、もうひとつは2.5 V6 24V Q-システムです。

アルファスポーツワゴンは、そのダイナミックなデザインとフレキシブルなスペースユーティリティを特長にしたスタイリングからもわかるように、単なるアルファ156のステーションワゴンモデルではありません。

刷新されたブランドイメージと近年の良好な販売実績に支えられ、アルファロメオはこのニューモデルを機に新しい車のコンセプトを提示したのです。

このスポーツワゴンは、未だかつて1台の車に取り入れられることがなかった2つの異なるデザインコンセプトを同時に実現。第一は、クーペを連想させる、ルーフスポイラーのついたスレンダーに伸びるラインのルーフとエアロダイナミックなフォルム。第二には、ゆとりと使いやすさを重視した室内空間。フレキシブルに利用できる広い室内スペースは、アウトドアスポーツを楽しむダイナミックなライフスタイルを持つ人々のさまざまなニーズを満足させます。

これら2つの特性を1つの車に集約することによって、今までになかったまったく新しい車が誕生しました。それが、まさしくアルファスポーツワゴン。

このスポーツワゴンは、高性能で、優れたエアロダイナミクス(空力特性)を証明するCd値、スポーツカーのように路面に張り付くかのようなロードホールディング、ほかのプレスティッジワゴンに劣らぬゆとりあるラゲッジルームといった機能を備えた上、最新トレンドとライフスタイルが求める多目的な用途に対応しています。

アルファスポーツワゴンのデザインコンセプトは、なによりもスポーティであること。このスポーツワゴンは、同じクラスで最もスタビリティが高いといわれるセダンと同等のハンドリング性能と、さらに優れたエアロダイナミクスを実現しました。

ラゲッジスペースを大きく確保してもサスペンション性能には微塵の影響も与えないばかりか、新設したラゲッジスペースを有効活用するために革新的な手法を採用しています。

そのほかの特長としては、ラゲッジルームへの容易なアクセス性が挙げられます。ラゲッジルーム開口部はバンパーレベルまで低くし、テールゲートヒンジを思い切って前方に設置したことにより、後部座席だけでなくテールゲートからもラゲッジルームへ容易にアクセスできるよう大きく改善。

また、ラゲッジルーム内の装備アイテムも充実しています。サイドシェルフには、12Vアクセサリー電源ソケットをはじめ、CD/MDチェンジャーなどを収納するリッド付きサイドシェルフボックスを両側に用意。そして、裏返すとウォータープルーフトレイに変わるフロアリッドも使いやすさに配慮した結果です。

アルファスポーツワゴンは、単なる一般的な実用性一点張りのステーションワゴンではなく、ただ荷物を放り込んで運ぶための車ではありません。あえてスポーツワゴンと名付けたのは、必要に迫られればリアシートを倒して大きな荷物も運べるというニーズに応えながらも、実は本物のスポーツカーであるからです。

ドライバーは、トラベルバッグやさまざまな手荷物を効率よく収納した上で、この車が作られた本来の目的であるエキサイティングなドライブを存分に楽しむことができます。

このニューモデルは、アルファロメオの伝統的な価値を今日のライフスタイルに、より適合させた最新のスポーツカーを求める人にとって、まさに最適な車のはずです。

 

公式サイトhttp://www.alfaromeo-jp.com/

 
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