キャラクター&開発コンセプト
JC08モード燃費30.2km/Lを達成
2011年11月24日に発表、12月13日に発売された「アルト エコ」は、現行の7代目アルト(2009年12月発売)をベースに、燃費性能を追求したモデル。JC08モード燃費30.2km/Lは、3ヵ月先に発売されたダイハツ ミライースの30.0km/Lを0.2km/L上回り、現時点ではハイブリッド車を除くガソリン車でトップだ。
アルトからの変更点は、新世代エンジン「R06A型」の採用、停車直前からエンジンを停止する新アイドリングストップシステムの採用、車体の軽量化、車高の15mmダウン等による空気抵抗の低減、転がり抵抗の低減などなど。ちなみにアルトのJC08モード燃費は、FFの4ATで22.5km/L、CVTで24.5km/Lなので、アルトエコの燃費向上率は前者に対して約34%、後者に対して約23%になる。
ミラシリーズに対抗し、ワゴンRを援護射撃
販売目標台数はこれまで通り「アルト」シリーズ全体で月間7000台。広告では「Hello! 30.2km/L」をキャッチコピーに、人気モデルの香里奈を起用して一大キャンペーンを展開中。
昨年の年間販売実績は目標通りの8万3100台だったが、ライバルのミラは9月に登場したミライースが爆発的に売れ、シリーズ全体で12万0014台を達成。軽自動車の年間販売ランキングでは、ミラが4位、アルトが5位と逆転された。ミラシリーズはその後も好調で、10月から今年1月まで4ヵ月連続で販売台数トップをキープ。このまま行くと軽の年間ランキングで8年連続トップのワゴンR(2011年は16万0439台)を脅かす存在になるかもしれない。
【外部リンク】
■スズキ>プレスリリース>新型「アルト エコ」を発売(2011年11月)
■スズキ>プレスリリース>「MRワゴン エコ」を発売(2012年2月)
【過去の新車試乗記】
■スズキ アルト X(2010年1月更新)
■ダイハツ ミラ イース(2011年10月更新)
価格帯&グレード展開
キーレス付なら99万5000円
「アルト エコ」は2グレード構成で、エントリーグレードの「ECO-L」が89万5000円。キーレスエントリー、電動格納式カラードドアミラー、UVカット機能付ガラス、リアスモークガラス、防犯アラームシステムを追加した「ECO-S」が99万5000円。今やキーレスなしで、というわけにもいかないので、販売主力は後者か。
実質的な価格はアルトの上級グレード(CVTになる)と大差ないが、その最上級グレードのX(102万9000円)に付くキーレスプッシュスタートシステム、チルトステアリグ、運転席シートリフター、後席ヘッドレスト、分割可倒式リアシート等は、アルト エコでは「設定なし」になる。
■アルト バン VP(商用) FF:67万7250円(5MT)/75万6000円(4AT)、4WD:88万4100円(4AT)
■アルト F FF:80万8500円(5MT/4AT)、4WD:96万2850円(5MT/4AT)
■アルト G FF:89万2500円(4AT)/95万0250円(CVT)
■アルト X FF:102万9000円(CVT)
■アルト G4 4WD:110万9850円(CVT)
■アルト エコ-L FF:89万5000円(CVT)
■アルト エコ-S FF:99万5000円(CVT) ※今回の試乗車
パッケージング&スタイル
前バンパーやホイールキャップは専用品。全高は15mm低い
外観はおおむねアルトのままだが、ホイールキャップは専用品で、リアには「ALTO ECO」と「IDLING STOP」のエンブレムが付く。フロントバンパーもよーく目を凝らして見ると、コーナー部に空気抵抗を低減するエッジが入った専用品。ハイマウントストップランプやテール&ストップランプはLED化されている。
また最低地上高は床下の空気抵抗を減らすため155mm→145mmと10mm減らされ、それに伴って全高も1535mm→1520mmと15mmダウン。この程度なら車止めや段差でアゴを打つ心配はない。ちなみにミライースの最低地上高は150mm、全高は1500mm。
そんなわけでデザインは普通のアルトとそんなに違わないが、もともとはインドで生産して欧州にも輸出されるグローバル版アルトと同じ路線なので、軽自動車というより「欧州のAセグメントカー」っぽく見える。少々フェミニンだが、それも狙ってのことだろう。
インテリア&ラゲッジスペース
チルトステアリングやシートリフター等が省かれる
全体のデザインをはじめ、ベージュの内装カラー、チェックのシート地まで、見た目はほとんど2年前に試乗したアルトと一緒。とはいえアルトの上級グレードと比べると、アイドリングストップのオフスイッチ等が追加される一方で、上でも触れたようにいくつかの装備が省かれている。
まず運転席に座って気付くのがチルトステアリングとシートリフターが省かれたこと。平均的な体格の男性や女性なら自然なドライビングポジションが取れるが、もともとはあったものだけに少し残念。またキーレスプッシュスタートシステムもアルトの上級グレードにはあって、「エコ」にはないもの。無くても困らないが、「話題の最新エコカー」という期待をもって見ると、ちょっと新しさに欠ける感も。ただ車両コスト低減や軽量化のために装備を削るなら、真っ先に「仕分け」されそうなものではある。
全体に小ぶりなシートはアルトと一見同じだが、アルトエコでは軽量化のためにシートクッションのパッドを低密度化してある。そこまでやるか、と驚いてしまうが、座り心地はとりあえず悪くない。
後席ヘッドレストも設定なし
後席の広さや乗降性に不足はなし。シートはやはりクッション低密度化のほか、背もたれの構造も変更されているが、座り心地は悪くない。ただアルトの上級グレードにあって、アルトエコにないのが後席ヘッドレスト。これはミライースにもないが、それゆえ付いていたらセールスポイントになったはずで残念。頭を保持するものがないのは、人を乗せるにしろ自分が乗るにしろ、少々不安を感じる。
トランクボードの材質まで軽量化
後席背もたれはアルトの下位グレードと同じ一体可倒式。座面は固定で、背もたれがパタンと倒れるだけだが、床面に段差は生じない。
アルトエコ専用品となるのが、トランクのフロアボード。普通のアルトでは木質系の素材だが、アルトエコでは樹脂製になる。もちろんこれも軽量化のため。
床下の装備品は普通のアルトと同じで、車載工具、テンパースペアタイヤ(ファルケンのMade in Indonesia)、小物収納スペースがある。なおミライースの場合はスペアタイヤはなく、パンク修理キット。スペアタイヤの方が重量は増えるはずだが、これくらいのタイヤサイズだとコストはトントンか、かえって安いのかも。