キャラクター&開発コンセプト
「ラパンらしさ」を追求した2代目
2008年11月26日、ラパンが約7年ぶりのフルモデルチェンジを受けて2代目となった。スクエアなエクステリアやオシャレなインテリアといった「ラパンらしさ」を高める一方、昨年のデビューから高い評価を受けている現行ワゴンRの新世代プラットフォームや新世代パワートレインを採用して各種性能を底上げ。ゆえに開発コンセプトはストレートに「グッドデザイン+グッドドライブ」だ。販売目標台数は月間4000台となっている。
■スズキ>プレスリリース>新型「アルト ラパン」を発売 http://www.suzuki.co.jp/release/a/2008/1126/index.html
メカニズム的には2世代分の進化
初代ラパンは2002年1月にデビュー。当初の目標台数は月間5000台だったが、じわじわと女性層の人気を集めて瞬間的には月間1万台を越えるヒット車となった。デビューイヤーの10月には低圧ターボの「ラパン ターボ」を、2003年9月にはラパンで初めて5MTを設定した高圧ターボの「ラパン SS」を追加している。
初代ラパンのベースは未来的なデザインやパッケージングを売りとした初代MRワゴン(2001-2006年)。つまり元を辿ればそのベースである2代目ワゴンR(1998-2003年)だった。一方、新型ラパンのベースは4代目となる現行ワゴンR(2008年9月発売)なので、今回の新型ラパンは言わば一気に「2世代分」進化したと言える。
なお、ラパンの車名は正確には「アルト ラパン」。新型では「アルト」の表記がさらに目立たなくなったように見えるが、正式名は変わっていない。
価格帯&グレード展開
ノンターボとターボ。全グレードにCVTを用意
グレードは4種類で、下位の「G」と「X」がノンターボ(54ps、6.4kgm)、上位の「T」と「T Lパッケージ」がターボ(64ps、9.7kgm)だ。
「G」はスチールホイールのベースグレード。「X」は、それにアルミホイール、LEDドアミラーウインカー、6スピーカーなどを追加したもので、オプションでホワイト2トーンルーフ仕様も選べる。ターボに設定された「Lパッケージ」は、ディスチャージヘッドライト、フォグランプ、オートライトのセットだ。
変速機については、4ATが依然ノンターボに残るものの、CVTが全グレードで選べるようになった。4ATよりわずか3万1500円(「G」の2WDのみ5万7750円)高いだけなので、CVTが選ばれる率はかなり高くなるだろう。
■「G」 104万7900円(4AT)/110万5650円(CVT)
■「X」 119万700円(4AT)/122万2200円(CVT) ★今週の試乗車
■「T」 135万7650円(CVT)
■「T Lパッケージ」 142万5900円(CVT) ★今週の試乗車
※4WDは「G」の4ATのみ15万4350円高で、それ以外は12万8100円高
パッケージング&スタイル
「グッドデザイン」だ
今回の試乗車はノンターボの「X」とターボの「T Lパッケージ」の2台だが、ボディサイズはまったく同じ。全長3395mm×全幅1475mmは当然として、全高は1510mm。今どきの軽自動車としては、かなり低めだ。
でもってホイールベースは新型ワゴンRと同じ2400mmもあるし、Aピラーおよびフロントウインドウの位置も前方に移動したため、横から見るとちょっとダックスフントみたいに見える。しかしそれが妙に愛らしく、デザイン的にもよくまとまっている。グッドデザイン賞にも選ばれた新型ラパンだが、確かに「グッドデザイン」だ。
ウサギマークがこんなところにも!
ちなみにノンターボとターボとでは、外観の差別化も特になく、むしろつとめて同じにされている。エンジンの真上にインタークーラーがあるターボにも、それを冷やすためのインテークはあえて設けられていないし、タイヤやアルミホイールも共通だ。すべては「ラパンらしさ」のため、ということだろう。
強いて言えば、「X」では試乗車のようなMINIクーパー風のホワイト2トーンルーフ(自動的にアルミも白にペイント)を選択できる点くらいか。先代にもあったものだが、むしろ新型のターボにもこのオプションは欲しかったところ。
さらに「ラパンらしさ」の追求は続く。例えば、車体のいたるところに配されたラパン(フランス語でウサギ)マークだ。フロントグリルをはじめ、リアエンブレム「Lapin」の「i」、リアコンビランプレンズ、果てはマルチリフレクター式ヘッドライトの反射板やインテリジェントキーにまでウサギのマークが付く。ターボ車のシート地にあるドット模様も、よく見るとウサギ顔だ。
横一面のインパネを継承しつつ、インパネシフトを採用
先代で好評だったフラットなインパネを新型でも継承。こういうものをガラッと変えてしまうことが多い日本車にあって、「いいものは残そう」という意志が感じられる。先で触れた通り、フロントウインドウが前に出たことで、広々感もずいぶん増した。
機能面では先代のコラムシフトに代えてインパネシフトを採用するなど、しっかりアップデート。キーレスプッシュスタートもついに全車標準となっている。さらに、新型ワゴンR(スティングレーを除く)には設定すらなかったチルトステアリング&運転席シートリフターがラパンには全車標準になっている。装備に関しては、スティングレー並みに至れり尽くせりだ。
なお、内装色はノンターボにはアイボリー(どちらかと言えば寒色系ボディカラーに設定)とブラウン(同じく暖色系ボディカラーに設定)を用意。ターボの内装はボディカラーに関係なくブラックのみとなる。
液晶モニターは燃費、エンジン回転、さらには「ウサギ」キャラも表示
機能面でちょっとびっくりしたのが、単眼メーターの下にある液晶ディスプレイだ。燃料計に加えて平均燃費や瞬間燃費を表示するのは想定内だが、さらにタコメーターモードも備えている。なくてもそう困らない回転計だが、やはりあるに越したことはない。
そんなことよりも、女性にとって嬉しいのはウサギのキャラクターが登場して「Hello!」とか「See You!」とか言ってくれることだろう。実際には表示だけで音声はないが、誕生日には「Happy Birthday!」と忘れずに祝ってくれる。このウサギには特に名前がないようなので、ラパンの飼い主となった人はまず最初に名付け親となっていただきたい。
ほかにも、ドアパネルには写真や画像を飾れるフォトフレームがあるなど、非クルマ的な意匠はかなり手がこんでいる。開発時には社内の女性スタッフから意見を募ったというが、確かに男性からは出てこないアイディアだろう。
軽自動車の最適解
新型ワゴンR譲りのプラットフォームということで、ホイールベースは2400mm。なので「前後方向に」という但し書きはつくが、前席も後席も先代よりずいぶん広くなった。これ以上の室内前後長はもう要らないだろう。シート自体もクッションの厚味を残した座り心地のいいもので、リクライニングも8段階と細かく調整できる。
あとは横方向に余裕があれば完璧だが、軽自動車の枠(全幅1480mm未満)、ひいては日本の道路や駐車スペースの事情を考えれば、最適解だろう。
新型ワゴンRやパレット同様、スペアタイヤレス
荷室スペースも軽自動車としては十分。荷物より人間を優先した作りなので、背もたれはパタンと前に倒れるだけ。ワゴンRのような座面の沈み込み機構も付いていないが、段差ができないように荷室フロアが少し上げ底になっている。
床下にはスペアタイヤの代わりにパンク修理キットとパンタグラフジャッキなどの工具、収納スペースがある。この点はワゴンRやパレットとおおむね同じだ。
