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新車試乗記 第136回 トヨタ ビスタ アルデオ Toyota Vista Ardeo

 

日時: 2000年08月25日

 

キャラクター&開発コンセプト

'98年7月のフルモデルチェンジによって、カムリとの兄弟関係を絶ったFFファミリーカー、ビスタ。現行型はパッケージングにとことんこだわり、基本コンポーネンツを一新。5ナンバーフルサイズに近いサイズに、背の高いパッケージングを採用して得た、先進的な広々キャビンを売り物にする。センターパネル・コラムシフトのインテリアも斬新。反面、外観デザインは古典的で地味。実用主義のマジメグルマに見えてしまう。トヨタの格付けとしても「コロナより上、マークIIより下」という非常に微妙なところに位置づけられる。

ボディバリエーションはセダンと、「アルデオ」と呼ばれるステーションワゴンで、それぞれに1.8リットルと直噴2.0リットルの2つのエンジンが用意される。ギアボックスはどちらもコラム式の4速AT。駆動方式はFFの他、2リットルモデルでは4WDも選ぶことが可能だ。

販売は好調とは言いがたいものの、それでもセダンとワゴンを合わせて月3000~4000台をコンスタントにマークしている。レガシィにはさすがに及ばないものの、アコードやギャラン&レグナムあたりと比べればなかなかの健闘ぶりといえるだろう。

価格帯&グレード展開

若干の値上げと、若干のラインナップ変更

ラインナップも若干の変更が行われた。まず、「~セレクション」と呼ばれていたパッケージが、正式グレードに昇格され、同時に「セレクション」という名称が消滅。また、これまでセダン、アルデオ(ワゴン)ともに用意されていたスポーツパッケージ「S(旧Sセレクション)」が、セダンから消滅。充実装備を図った「L(旧Lセレクション」が、アルデオから消滅。これは今回の主旨であるセダンにはより高級感を、アルデオにはよりスポーティー感を、という両者の個性を明確化させるためだ。

価格帯も若干の変更があり、全体を通して2~3万円ほど値上げが実施されている。セダンの価格帯は1.8リットルモデルが169.8~201.5万円。2.0リットルモデルのFFが201.5~240.5万円で、4WDはその15.5万円高。アルデオはセダンの約10万円高の価格設定となっている。

パッケージング&スタイル

化粧直しで各キャラクターを明確化

今回の改良におけるポイントは、ビスタはより高級感を、アルデオはよりスポーティ感を強調し、個々の特徴をさらに明確にしたことだ。外観では、バンパーのワイド感が強調され、グリルが縦基調になった。ヘッドライトは少しだけバンパーに食い込むかたちで大型化されており、ウインカー部がこれまでのオレンジからクリアに変更されている。リアではテールランプの透明感がアップ。この他、ドアハンドルをメッキ化。

それら変更された部位で、セダンとアルデオの差別化が最も大きく現れているのがグリルの色だ。セダンはメッキ、アルデオは黒っぽいメッキとボディ同色の2つが用意されている。

なお、ボディサイズ(アルデオ)は全長4665×全幅1695mm×全高1515mm。ホイールベース2700mm。バンパーのデザイン変更によって全長が25mm長くなっている。

ビスタのエクステリアデザインは斬新なコンセプトに比例せず、当初から地味だの、オヤジ臭いだの、評判は芳しくなく、それが販売伸び悩みの種でもあった。今回のマイチェンでは、それがどこまで手直しされるかが楽しみなところだった。しかし、印象は今ひとつ。確かに華やかさを増しました、という努力は伺えるものの、メッキパーツの増加という古典的高級感の演出には、ちょっとセンスを疑ってしまう。グリルの存在感が薄いアルデオの方が、まだセダンよりも好感が持てる。

広さはすごい。パッケージングは脱帽

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クラス最大級とも言われる、優れた高効率パッケージが与えられた室内は、視覚的な部分でより広々感が演出されている。そのひとつが内装色。従来はアイボリーを基調に、インパネ上部には濃い緑色が使用されていたのだが、今回は薄い茶色に変更され、見た目の質感は半クラス上がった感じ。

一方、一部グレードに与えられるミストグリーンの内装の方は、「ストーン」と称されるより暗い色調のものに変更されており、スポーティといえばスポーティ。でも、どこか中途半端な印象だ。

その他、ドアハンドルのメッキ化、ナビのDVD化が図られているわけだが、中でも目玉ともいえるのが、2~3.7万円でオプション設定される3人掛け可能のベンチシートだ(ひょっとしたらコレ、5ナンバーサイズでは唯一? )。

日産ティーノと同じように2列シートで6人乗車を可能としている。今回はそれには乗ることができなかったが、大の大人が肩を寄せあって3人並ぶという、お間抜け? な姿が、想像できる。フロア中央部は4WDの配慮で少し盛り上がっているし、シートベルトは2点式でヘッドレストもない状態だから、安全性には不安が残るところ。それでも、6人が合法的に乗れるという緊急避難的な余裕は大きいはずで、一概には否定はできない。セドリックY30ワゴンがなくなった現在、6人乗りステーションワゴンは貴重かも。トヨタ特有のマーケティングによるものなのか、それとも「とりあえずやっちゃいました」というものなのか、それは分からないが、購入時に一考する価値はありそうだ。

基本性能&ドライブフィール

環境性能と出力特性の向上を図った1.8リットルエンジン

パワートレーンは従来通り、1.8リットル直4と直噴2.0リットル直4の2本立てで、ギアボックスはどちらも4速ATが組み合わせられる。

大きく改良されたのは1.8リットルモデルの方で、最高出力が6馬力パワーアップの136PS/6000rpm。同時に静粛性の改善や排ガスのクリーン化も図られており、平成12年基準排出ガス25%低減レベルを達成している。

1.8リットルも2.0リットルも加速の差はナシ?

試乗したのはアルデオの2リットルモデル(フルモデルチェンジ時に試乗したのは1.8リットルモデル)。 D4エンジンのスペックは最高出力145馬力、最大トルク20.0kgmと、1.8リットルモデルよりもそれぞれ9馬力、2.6kgm勝っている。が、車重はおよそ90kg重い。パワー&トルクウエイトレシオに換算すると、その差はほとんどなくなってしまう。ピーク時の出力、トルクの発生回転数も両者に大きな違いはない。正確なことはいえないが、恐らく加速の差もほとんどないのではと思う。

1.8リットルモデルと同じく、市街地では過不足のない走りをみせるが、旧1.8と比べるとトルク感がある感じ。乗り心地重視の足回りのため、全体的にゆったりとした走りだ。高速コーナーで急ハンドルを切れば、頼りないヨレヨレ感はあるものの、一気に姿勢が乱れるということはない。そもそもこれを買うユーザーがそんな過激な走りなんてしないはず。ビスタのキャラクターを考えれば、このソフトな味付けは正解だ。

以前1.8リットルモデルの試乗の時と、最も印象が違ったのが後席の乗り心地だ。以前のような突き上げ感の強さは感じられず、むしろ前席よりも快適。おそらく、今回は1.8リットルも同じように改善されている思う。

そして2リットルモデルがデータ上で、1.8リットルモデルに明らかに勝っている点が、燃費だ。10・15モードで15.2km/リットルと1.2km/リットル優秀。で、イニシャルコスト(車両価格)は30万円ほど高い。果て、どのぐらいの距離を走れば元がとれるのか。数万km? いや数十万km? 確かなところは分からないが、いずれにせよ一般ユーザーが走り範囲で元を取ろうというのは、多分、非現実的。これで2リットルモデルの方が圧倒的に静かであれば、30万円の価格差も納得できるところだが、2年の空白がある試乗だったとはいえ、静粛性には大きな違いが感じられなかった。

100km/h巡航での風切り音、エンジン音は高級車の域には及ばないものの、車格以上の静粛性には達しており、市街地から高速まで走りに不満は何もない。特筆すべきところもなければ劣る部分もない。という、いかにもトヨタらしい上質かつ無味無臭の走りだ。

ここがイイ

パッケージングはやはり素晴らしい。5ナンバーで旧来からの乗用車のカタチでのパッケージングとしてはほぼ究極でしょう。フロントは3人掛けが設定されるほど広々としているし、リアのセルシオ以上という評価も大げさではない。乗用車のカタチをした広いクルマが欲しいなら、迷わずイチオシです。

インパネのセンターメーターの中に大型7インチのディスプレイがあり、このあたりはトヨタ車の中で最も先鋭的。いや、日本のクルマの中で今も最も未来的なインパネといえそう。DVDナビは新型で、コラムシフトのレバーもちょっと上質になりました。

ここがダメ

いっこうによくなっていない外観デザイン。特にヘッドライトやグリルといったディティール。高級感を出したつもりが、逆に端正なサイドビューとの釣り合いをおかしくしてしまっている。パッケージングやコンセプトが素晴らしいだけに、もうちょっと外観がハデるともっと売れると思うのだが。ビスタって初代からそんなクルマだったので、それがコンセプトか?

総合評価

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久々に乗って、登場以来2年もたっているとは思えないその先進性を再評価。今、新車で出てもこれなら十分新鮮に見える。2年目のマイチェンでもほとんど変えられたところがないが、それもこのクルマの完成度、先進性の高さを立証している。そうなると惜しいのはエクステリアデザイン。斬新なエスティマがあれだけ売れまくる現状を見ると、この地味な外観がどれだけこのクルマの評価を下げているか、残念でならない。

直噴エンジンD4では高速道路中心に500kmほど走った燃費が12.8km/リットル。3人乗っており、それなりにとばしてこの数字は文句なし。総合的にすごくいいクルマ。でも買うか、といわれると他のキワモノ的な部分を持ったクルマに気がいってしまう。優等生より勉強できない人の方が人間的に魅力があるといわれるが、ちょうどそんな感じだ。

 

公式サイトhttp://toyota.jp/

 
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