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オペル アストラ 1.8 スポーツ/2.0 ターボ スポーツ新車試乗記(第338回)

Opel Astra 1.8 Sport / 2.0 Turbo Sport

(1.8リッター・4AT・265万円)

 

2004年10月16日

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キャラクター&開発コンセプト

品質を最重視、デザインを刷新

1991年に登場したオペル・アストラは、その前身であるカデット(戦後モデルは1962~91年)の時代から、ライバルのVWゴルフ(1974年~)と常にしのぎを削って来た。

そんなわけで2004年11月6日に日本で発売された3代目アストラは、一足早く6月に発売された宿敵ゴルフ(5代目)を追撃するための極めて重要な車種だ。主な特徴はスタイリッシュではあったが個性に欠けた2代目から、ダイナミックで斬新に変身を遂げたデザイン、あるいは現行ベクトラから始まった内外装の高い品質感、高い走行性能といったところ。特に品質については最重要項目と位置付け、トヨタの生産システムを導入するなどクオリティコントロールにオペルは励んできている。おかげで保証修理にかかるコストはこの3年間で半減したという。

またパワステのアシストやダンパー減衰力、スロットル開度、変速タイミング等を統合制御する「IDS-Plus(インタラクティブ・ドライビング・システム-プラス)」も新型ならではのトピックだ。コルベットやキャデラックなどのGM車に採用されてきた先端技術の応用だが、このクラスで採用されるのは初めてだろう。

他のドイツ車ブランドに比べて地味な印象のオペルだが、新型アストラは従来のイメージを刷新すべく、デザインからしてかなり挑戦的なものになっている。日本GMは、この新型で先代アストラのユーザーや他ブランドからの乗り換えなど、幅広いユーザー層にアピールする構えだ。

価格帯&グレード展開

235万円からスタート。主力の「1.8スポーツ」は265万円、ターボは315万円


販売主力となる中間グレードの「1.8スポーツ」(265万円)

ラインナップは「1.8 CD」(4AT、235万円)、「1.8スポーツ」(4AT、265万円)、「2.0ターボスポーツ」(6MT、315万円 ※デリバリーは2005年初旬)の3つで、全車右ハンドルのFF(前輪駆動)車となる。1.8の両モデルは同じエンジン(125ps)だが、1.8スポーツには17インチアルミホイールが付く。この1.8スポーツが主力で、200psを誇るターボ車にはイメージリーダーの役割を期待するようだ。

パッケージング&スタイル

ゴルフとほぼ同寸


200psを発揮する「2.0ターボスポーツ」。エアロパーツと専用アルミホイールを備える

サイズは全長4255mm×全幅1760mm×全高1470mm。ゴルフより少し長い程度で、ほとんど同寸だ。ほぼ同じサイズ、同じハッチバック車ということで、ゴルフと似ていると言えば似ているが、「競合車」との違いを強調するため「横から見た時に低く見える」ことを念頭にデザインしたという。ホイールベースはゴルフより40mmほど長い2615mm。赤がエアロパーツ付きのターボで、グレーが1.8スポーツだ。

 

デザインはオペルが目指した通り確かにダイナミックかつ斬新でユニーク。特に、独特のレンズ構造を持つリアコンビランプが印象的だ。通常は白と赤だが、ウインカーのランプが点灯するとオレンジの光がランプ全体に回るという。

新世代オペル共通の手法

内装はベクトラシリーズと同じ手法で、新世代オペル共通のアイデンティティを踏襲する。高級感はともかく、樹脂ながら硬質感のあるインパネは誰の真似でもない。エクステリアともよくマッチしている。

安全性に抜かりはなく、先代アストラ比で52%曲げ剛性が高いボディに、フロント、サイド、カーテンと計6個のエアバックが付く。EuroNCAP(欧州自動車アセスメントプログラム)は、クリアが難しい最高評価の5つ星を獲得する。

最新オペルらしいパッケージング

荷室容量はゴルフと同じ350リッター。ゴルフの非対称2分割に対して、アストラは4:2:4分割を採用。大型アームレストを倒して、スノーボードのような大物をトランクスルーできる。メリーバやシグナム等でリムジン的なパッケージングを提案するオペルらしい作りだ。

基本性能&ドライブフィール

ターボブームの先陣


写真は1.8 CDおよび1.8スポーツ用のノンターボエンジン(125ps)

試乗したのは台風22号が関東を直撃する日の前日。箱根の山頂では雨まじりの突風が吹きすさび、撮影を途中で断念するという状況だった。そんな中、まず乗ったのが赤の「2.0ターボスポーツ」(6MT)。200ps、26.7kgの大パワーで1270kgのボディを引っ張る強力なモデルで、既納ユーザーの要望が高くて導入を決めたという。やがて登場するゴルフのGTI(こちらも200ps)やルノー・メガーヌ(225ps)のように、欧州ではこのクラスで再びターボブームが訪れつつある。

それはさておき、アストラターボは今時のクルマらしく、大排気量NAのようなリニアなレスポンスで、グリップが心細い雨の箱根をグングン登って行く。それでいてアクセルを全開にした時の吸い込まれるような加速はまさしくターボだ。前輪駆動なのにトルクステア(パワーを掛けるとステアリングが取られる現象)はほとんどない。一昔前のハイパワー前輪駆動車はメーカーに関係なくその点がひどかったので、これは不思議な感覚だった。とにかくこの最悪の天候の中、アストラターボはほとんどトラクションを失わず、アンダーステアもなく(もちろん電子制御のおかげだ)安定して走った。

クルマを代えたかのように

面白いのはインパネの「SPORT」スイッチ。これを押してIDS-Plusをスポーツモードに切り替えると、ノーマルでも手応えのあるパワステがさらにグッと重くなり、同時にダンパー減衰力が高くなってハンドリングが明らかに鋭くなる。スロットルレスポンスや変速タイミングも変化して、クルマを代えたかのようにスポーティに変身するのだ。路面がドライならコーナーリングスピードはさぞ凄まじいだろう。クルマに乗っている時間のほとんどを占める日常と、スポーティに走る非日常をボタン一つで行き来できるわけだ。

軽快な1.8スポーツが楽しい

続いて乗ったのは、17インチホイールを装備したグレーの1.8スポーツ(4AT)。走り出した瞬間ホッとするのはこちらで、乗り心地もわずかながら良く、風邪気味の体には優しい。

車重もターボと同じで、馬力は125psと大したことはないが、回してもうるさくないエンジンなので十分に楽しめる。ますますひどくなる雨の中、雨音やスプラッシュ音(水を跳ねる音)もたいへん低く、全体に静かだ。もともと軽いステアリングは、例の「SPORT」スイッチを押しても、ターボと違ってあまり重くならない。バランスの良さ、軽快さで、普通のファミリカーとして十分にお勧めできる。

ここがイイ

先代の平凡なスタイルを一新した頑張ったデザインはとてもいい。それに加えて電子制御を多用したIDSプラスシャシーが素晴らしい。特にターボの場合はノーマルでも結構スポーティに感じるが、スイッチオンでよりハードに変身し、楽しませてくれる。これを電子制御で成し遂げているわけで、安全重視へ振った電子デバイスが多い中、積極的な走りの方向へ向いている点はさすがにドイツ車らしいところだ。

ゴルフの2.0リッター(150ps)より、使える1.8リッター(125ps)という感じのエンジンも、一般的なドライバーが扱うにはちょうどいい。

ここがダメ

本来ナビがあるべきところに空調などのコントロールパネルだけというのは、他のオペル車同様の大きな問題点。走りはハイテクだが、情報収集はローテクというのはちょっといただけない。

ゴルフの6速ATは不要だが、せめて5速は欲しい。そしてここまでスポーティなのにマニュアルモードなしというのもかなり不満。

総合評価

商品概要のレジメに沿ってアストラを考えてみる。

まずオペルのブランド価値を支えるものとして最重視されているのが品質だ。その評価はドイツ国内でドイツ車ナンバーワンとなっている(ホンダ、スバル、トヨタに次ぐ4位、ちなみにメルセデスが最下位)という。価格帯で考えればこれに関してはまあ妥当、といった感想を持つ。最近のオペル車の品質感は相当なものだし、このアストラもしかり。こうなると、古くからの輸入車ファンが覚えているカデットの品質感に対する悪しきイメージを、なんとか払拭することが重要だ。

商品優位性ではデザインと走行性能、使うほどに手になじむ多様性をうたう。確かにルーフラインを低くみせることにこだわった彫りの深い造形はオリジナリティがあって、新型ゴルフより魅力的だ。必要十分な動力性能と、それゆえ回して楽しいスポーツ性を併せ持つ1.8、ターボラグをあまり感じさせず箱根の山坂道をどこまでもパワフルに駆け回れ、かつスタビリティの高い2.0ターボ(最高速230㎞/h、0-100㎞/h加速 8秒)は、ともに日常使用域からスポーツマインドを感じさせる仕立て。スポーツプログラムスイッチも、特にターボでは大きくフィーリングが変わるだけに楽しいギミックと言っていいだろう。スポーツサスを乗せた上位モデルの走りは総じて「楽しい」部類だ。

IDS(インタラクティブ・ドライビング・システム)プラスは、最大3輪までブレーキが介入するというESPプラスなどに、路面状況にあわせてダンパーの減衰力を可変するCDC、速度や舵角でアシストを変えるマップ制御電動油圧パワステ、スポーツプログラムを加えたもの。これを52%剛性が上がったボディに載せ、車内LANで統合制御するものでコンパクトクラスでは世界初という。これも高評価な部分で、日本車なら上級クラスにしか乗らないものだ。しかも安全面だけでなく、走りの楽しさも演出してあるあたりは、今後のこうしたシステムのベンチマークとなるだろう。

手になじむ多様性というあたりはもう少し乗りこまないとわからないが、新型アストラは誰が乗っても良くできたクルマという感想を持つはずだ。悪くはないけど魅力には乏しかった先代とは雲泥の差。こうなると問題は品質を前面に押し出すオペルブランドの価値を日本市場で浸透させられるかだ。ヤナセがオペルブランドを確立出来なかったことが今に響いていると思う。特にアストラは初代のイメージが強すぎて、いい印象がない。それを払拭できるかが一番の問題だろう。

試乗車スペック
オペル アストラ 1.8 スポーツ
(1.8リッター・4AT・265万円)

●形式:GH-AH04Z18●全長4255mm×全幅1760mm×全高1470mm●ホイールベース: 2615mm●車重(車検証記載値):1270kg(F:ー+R:ー)●乗車定員:5名●エンジン型式:Z18●1795cc・DOHC・4バルブ・直列 4気筒・横置●125ps(92kW)/5600rpm、17.3kgm (170Nm)/3800rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/52L●10・15モード燃費:ーkm/L(記載なし)●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:215/45R17●価格:265万円(試乗車:同じ)

公式サイト http://www.opel.co.jp/lineup/astra/index.html

 
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