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ダイハツ アトレーワゴン カスタムターボRS新車試乗記(第369回)

Daihatsu Atrai Wagon Custom Turbo RS

(0.66リッター・4AT・142万8000円)

  

2005年06月11日

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キャラクター&開発コンセプト

81年以来のロングセラー

軽自動車アトレーは1981年に登場。商用のハイゼット(1960年~)から派生し、乗用RVとして発展してきた。99年から新軽規格に対応するため、キャブオーバー(前輪と駆動系の上にキャビンが載る)からセミキャブオーバー(ボンネットが付き、その下に前輪がある)に変更。同年から乗用色を強めた「アトレーワゴン」を追加した。「Atrai」とはフランス語のAttrait(魅力、愛着)からの造語だ。

新型は「家族でヨロシク、遊ぼックス」

一足早く10代目に進化したハイゼット(カーゴとトラック)を追いかけるように、05年5月に(アトレーとしては)5代目の新型アトレーワゴンが登場。「家族みんなで楽しく使えるプレジャーサポーター」をコンセプトに、軽キャブワゴンならではの空間効率を追及したという。CMキャラクターには俳優の的場浩司を起用。広告キャッチは「家族でヨロシク、遊ぼックス」。目標台数はハイゼットシリーズの月間1万台に対して1500台と少なめ。

価格帯&グレード展開

ターボ標準で133万3500円から

エンジンは3気筒ターボのみで、グレードはカスタムターボの「RS」(142万8000円)と「R」(133万3500円)の2種類しかない。12万6000円高でフルタイム4WDが選べる。RSには半ドアを防止するイージークローザー(左スライドドアのみ)や荷室蛍光灯などをセットにしたパッケージオプション(4万2000円)を用意。一番高い仕様には159万6000円という立派な値札が付く。

パッケージング&スタイル

「大きく見えるなあ」

ボディサイズは全長3395mm×全幅1475mm×全高1875mmと、高さ以外は軽の枠一杯。イタルデザインがデザインした先代に比べて、新型はやや和風というか、大阪テイストに。メッキされたグリル、65扁平の13インチタイヤ、丸型4灯ヘッドライト(ロービームはディスチャージ)と仕立ては豪華。エッジの立ったデザインのせいか、ガソリンスタンドのおじちゃんに「大きく見えるなあ」と言われた。

前席の乗降性を大幅アップ

リッターカーと大差ない質感のインパネ。運転席/助手席シートの作りも良く、エンジンの真上に座るというハンディを見事にカバーする。ステアリングを握る右手の横には、絶妙な位置にドリンクホルダー。Aピラーにはペンホルダーとカードホルダーも付いていた。フロア高を下げ、ホイールハウスを小さくしたことで、乗降性はそうとう良くなった。

4人乗りなのがもったいない

後席はさらに広い。前後に180mmスライドする分割可倒式シートの作りもよく、下手な普通車の「ミニミニバン」より座り心地が良い。軽自動車ゆえ4人乗りだが、5人乗りでもイケそうだ(7人乗り普通車のアトレー7は、新型にはないが)。

立派なアームレストとドリンクホルダーも付くし、両側スライドドアの窓はパワーウインドウで半分ほど開く。エンジンがあるため、前席下につま先を入れて足が伸ばせないのが惜しい。

前も後ろもフラットに

前席のヘッドレストを外して全てのシートの背もたれを倒せばフルフラットになる。隙間も少なく「フラット感」も高い。後席を床の凹部にすっぽり収納すれば、自転車がそのまま積めたり、大人が足を伸ばして寝れたりする。

 

壁はほぼ垂直で変な出っ張りもないので、「部屋」としての居心地もいい。車中泊の旅にふらりと出かけたくなる。

基本性能&ドライブフィール

真下のエンジンを忘れる

試乗したのは2WD車。3気筒DOHCターボ(64ps、10.5kg-m)を前席下に左斜めに倒して縦置き搭載し、4速ATとドライブシャフトを介して後輪を駆動する。すごく凝った設計で、価格が高いのも仕方ないか、と思わせる。前席下のバックルを計4つ外せば、写真のように上からエンジンにアクセスできる。

3000回転以下は力が弱く、慣れないと回転を引っ張ってしまうが、ブーストをうまくかけてトルクを引き出して走れば、ターボエンジンが970kgのボディを普通に引っ張ってくれる。エンジンノイズや振動は気にならないレベルで、3気筒エンジンとターボチャージャーがお尻の下でブンブン回っているとは思えない。

エンジン音が気にならなかったのは、他の走行音が大きめだったせいもある。ロードノイズと言うより、どこか窓か開いているような遮音性の低さが気になった。スタッフに運転してもらって後席で確認した限りでは、リアゲート回りが怪しいと思ったが、もっとじっくり検証してみないと分からない。

バランスのいい操縦性

ワゴンを謳う最新モデルだけに、運転感覚は予想以上に今風。完全キャブオーバー時代のピッチングや遠隔操作感はもちろん過去のもので、落ち着いた乗り心地やボディのしっかり感など、ムーブあたりとそう大差なく感じられる。むしろ「フロントミッドシップ」で前後重量配分はほとんど50:50に近いし、後輪駆動でもあるから、コーナリング時のバランスは自然、と言えないこともない。165/65-13タイヤとEBD付きABSの装備で、急制動も割と安心してできる。当然、これらはペースを抑えた時の話で、限界を見極めるような走りはそもそも無理だ。

100km/h巡航のエンジン回転数はおおよそ4000回転と低く、走行車線での巡航なら快適にこなす。その気になれば130km/hあたりまで加速するが、動力性能的にも操縦安定性的にもその辺が限界だろう。

ここがイイ

よりシンプルになったインパネはインパネシフトも手伝って、さらに乗用車感を増した。ドアじゃなくインパネに固定されたカップホルダーは物入れにもなって便利。ペン立てがあったり、ドアサイドポケットに大判地図が入れやすかったりという商用車ベースの使い勝手の良さが、このワゴンにも「便利な道具」感を与えている。

先代より大きくなったシート(一応ベンチシート)の掛け心地のよさ、そして出っ張りが減って右足のスペースが増えたことは、昔の軽ワンボックス(軽トラ)を思えば驚異。快適性は一気に向上している。小柄な人であれば、軽ワンボックスの運転席の辛さとは無縁だ。

軽ワンボックスなのに過不足なく走り、安定性も高く、乗り心地も柔らかで、普通に走る分には不満がない。空荷状態でもこうした性能を維持したセッティングは見事だ。ホイールベースもいっぱいに伸びたので室内も(もちろん荷室も)広い。軽ワンボックスこそクルマ最高峰(機能性・環境性・経済性で)と思っている人には、この正常進化はうれしいだろう。日本の津々浦々で活躍するアトレーがより快適に、普通に、そして安全に走れるようになったのは、日本人の幸せだ。

ここがダメ

エクステリアデザインは明らかに旧型の方が個性的。どこかで見たような、当たり前のデザインになってしまったのはちょっと残念。サンルーフがない、対座シートもない、ルーフバーもない。つまりなんだか夢が感じられない。軽ワンボックスワゴンの持っていた楽しい雰囲気は後退して、実用一本やりという感じなのも残念。もう少し演出が欲しい。

キックダウン時のシフトショックがちょっと大きめ。どんどんアクセルを踏んでエンジンを回して走れば気にならないが、ハーフスロットルから加速しようとすると、シフトダウン時のショックがきつめ。もう少し滑らかにターボが効く領域へつながっていくといいのだが。広い後席のヘッドレストがいっぱいに上げても低めなのは、せっかく広いのに大柄な人が乗るのをためらう。

ずいぶん良くなっているが最近のFF軽自動車やリッターカーとは比べるべくもない走行性能は、まさに荷物を積むスペースとのトレードオフ。走りをクルマの重要要素と考える人は乗らない方がいい。

総合評価

先代はそれなりにワゴンぽいイメージで、デザイン的にもBピラーのブラックアウトなど個性があった(これは2代目から4代目まで続いている)。2代目(何とデザインはジウジアーロという)と3代目ではトヨタ・マスターエースサーフ(ダイハツの作っていた豪華仕様ワンボックスワゴン。ダイハツではデルタワゴンの名で販売)みたいな前部の屋根全体がガラス張りという、より乗用ワゴンらしいものだった。つまり今回のモデルではシンプルに道具感を出しつつ、走りや乗り心地をちょうど良いレベルへ引き上げ、豪華なワンボックスワゴンの伝統を潔く過去のものとした。

その結果、昔と比べて新型アトレーには今ひとつワクワク感がない。かつての軽ワンボックスユーザーの多くがもっと大きなワンボックス=ミニバンへ移行してしまったため、アトレーファン(代替ユーザー)のために出し続けているクルマということだろう。そのため多くの人を引き付けるような仕掛けがない。もちろんオプショナルパーツカタログには大量のオプションが用意されているので、好みの道具に仕立てられるのだが、素の状態はまさにベース車という感じだ。

走れば、120㎞/hで4000回転台だから遠出も楽にできるし、無理なコーナリングではオッとっと、となるものの、普通の乗用車には十分ついていける。考えてみればもともとは軽トラなのだからこれはたいしたもの。最初に載ると乗用車との落差を感じざるを得ないが、軽トラということを思い出せば、すごい進化に唖然とする。普通に快適に走っていけるのだ。

アトレー7(トヨタ・スパーキー!)もいつの間にかなくなっているし、7人乗り軽ベースワンボックスの先駆者であるスバルのドミンゴもとっくにない。小型ミニバンがどんどん登場する中、軽ワンボックスの乗用車感を楽しむ時代は遙か昔のこととなった。今回のアトレーのシンプルさは、そんな過去との明確な決別宣言だろう。先代はミニバンぽくてムーブと棲み分けにくかったが、今回はワンボックスらしさを強調して、スタンスをより明確にした。

それでも軽ワンボックスの需要が消えることはない。360ccの時代から軽ワンボックスや軽トラに乗っているが、日本の道路(特に田舎)でこれほどフレンドリーなクルマはないからだ。クルマを複数台所有できるのであれば、一台は持っておきたいタイプのクルマだ。そういうクルマの全ての質が向上したことは歓迎すべきことだろう。必要とする人にはいいクルマになったと言われるはずだ。

試乗車スペック
ダイハツ アトレーワゴン カスタムターボRS
(0.66リッター・4AT・142万8000円)

●形式:TA-S320G●全長3395mm×全幅1475mm×全高1875mm●ホイールベース:2450mm●車重(車検証記載値):970kg (F:490+R:480)●乗車定員:4名 ●エンジン型式:EF-DET●659cc・直列3気筒DOHC・4バルブ・ターボ・縦置●64ps(47kW)/5900rpm、10.5kgm (103Nm)/4000rpm●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/40L●10・15モード燃費:14.6km/L●駆動方式:後輪駆動●タイヤ:165/65R13(YOKOHAMA ASPEC) ●価格 142万8000円(試乗車 147万円 ※オプション:リミテッドパック <左スライドドア・イージークローザー、荷室蛍光灯、荷室アクセサリーソケット、CD/MD・AM/FMラジオ付きオーディオ> 4万2000円)●試乗距離:約120km ●車両協力:名古屋ダイハツ株式会社

公式サイトhttp://www.daihatsu.co.jp/showroom/lineup/atrai/index.htm

 
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