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トヨタ オーリス 120T新車試乗記(第771回)

Toyota Auris 120T

(1.2L 直4ターボ・CVT・259万0037円)

1.2ターボを搭載!
最小排気量の
最上級オーリスに試乗!

2015年10月02日

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キャラクター&開発コンセプト

トヨタブランド初のダウンサイジングターボ搭載車


トヨタ オーリス 120T (2015年)
(photo:トヨタ自動車)

2006年に登場したオーリスは、欧州市場を主なターゲットとしたCセグメントのハッチバック車。2012年にフルモデルチェンジで2代目になり、2015年4月6日にはマイナーチェンジで、いわゆる後期型へ移行している。

今回試乗したのは、そのマイナーチェンジを機に追加された新グレード「120T」。トヨタブランド車で初の小排気量ダウンサイジングエンジンである1.2L 直噴ターボエンジン「8NR-FTS」を搭載。トヨタ全体としてはレクサス NX200t (2014年7月発売)に初搭載された2.0L直噴ターボ「8AR-FTS」に続く、ダウンサイジングエンジンの第2弾になる。

 

1.3Lの「1NR」とボアピッチが共通であるため「NR」を名乗るが、実際にはすべて新設計

オーリスはこのクラスのリーダーであるVW ゴルフに対抗するモデルだが、120Tではそれが特に意識されている。排気量は現行ゴルフ(ゴルフ7)の1.2 TSIエンジン(105ps、175Nm)と同じで、最高出力は116ps、最大トルクは185Nm(18.9kgm)と、それぞれゴルフの数値を上回る。JC08モード燃費はゴルフの21.0km/Lに迫る、19.4km/Lを達成している。

国内の月販目標は1000台。世界では年間16万台


製品企画本部 チーフエンジニアの安井慎一氏

生産は海外でも行われるが、国内向けは愛知県豊田市の高岡工場で行われる。また、ターボエンジンは同県みよし市の下山工場で生産される。

販売チャンネルはネッツ店で、月販目標は初代(2006年)は3000台、2代目デビュー時(2012年)は2000台だったが、今回は1000台。120Tは、そのうちの1割ほどを見込むという。

 

一方、グローバルでの販売は欧州市場を中心に年間16万台と国内の13倍以上を目指す。また、これとは別に米国ではサイオン(Scion)ブランドの「iM」(1.8L自然吸気エンジンを搭載)として販売がスタートしている(Scion>iM )

 
外部リンク 参考記事
 

価格帯&グレード展開

最小排気量が、最上級グレード


左端が1.8L・6MTの「RS」、中央が「120T」、右が「150X」。ボディカラーは全7色

欧州向けにはハイブリッド車、ディーゼル車、そしてステーションワゴンの「ツーリング」もあるが、日本向けはガソリン車のハッチバックのみ。

ラインナップは、
・自然吸気1.5L(1NZ-FE)のCVT仕様「150X」
・自然吸気1.8L(2ZR-FAE)のCVT仕様「180S」
・自然吸気1.8L(2ZR-FAE)の6MT仕様「RS」
・1.2Lターボ(8NR-FTS)のCVT仕様「120T」
と、大きくわけて4種類。排気量が一番小さい120Tが最上級グレードという珍しいパターンになる。価格は以下の通り。

 

自然吸気1.8Lエンジン(ハイオク仕様)に6MTを組み合わせたオーリス RS
(photo:トヨタ自動車)
  • 150X(CVT) 178万9855円~(FF)
  • 150X(CVT) 198万4255円~(4WD)
  • 180S(CVT) 237万6000円(FF)
  • RS(6MT)   246万0437円(FF)
  • 120T(CVT)  259万0037円(FF)

ちなみにゴルフ7の1.2Lモデルは264万円からなので、120Tとの価格差は約5万円。排気量や価格を揃えて、あえて同じ土俵で勝負している。

 

先代オーリスに続き、新型オーリスをベースにしたカスタマイズカー「シャア専用オーリス II」も10月1日に発売された。コンプリートカーは300台限定で、321万6437円~。120Tベース(写真)は370万9310円~。
(©創通・サンライズ©TOYOTA)

なお、レーザーレーダーと単眼カメラを使った普及型の先進安全装備「Toyota Safety Sense C(TSSC)」は上位グレードの「180S」「RS」「120T」に標準装備。「150X」にもオプションで装着できる。

 

パッケージング&スタイル

主にフロントまわりを変更


全長はマイチェン前より55mm伸びて、4330mmになった

ターボエンジンに注目が集まる今回のマイナーチェンジだが、お約束通りフェイスリフトも実施。フロントグリルのメッキモール、標準グレード以外はハイ・ロー共にLEDのヘッドランプ、ライン発光するLEDイルミネーションランプなどを採用し、さらにフロントのロアグリルを左右に拡げて、従来モデルよりワイド感を強めている。

 

こちらはマイナーチェンジ前の2代目オーリス(RS)

ただ、120Tでちょっと物足りないのは、オーリスの最上級&看板モデルでもあるのに、専用の意匠やグレードエンブレムが一切ないこと。つまり外観だけで120Tと見破るのはほぼ不可能。発表会でその点を開発陣に質すと「そうですね……」と苦笑い。

 
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転
半径(m)
VW ゴルフ 7(2013~) 4265 1800 1460 2635 5.2
2代目・前期型トヨタ オーリス(2012~2015) 4275 1760 1460~1480 2600 5.2~5.4
レクサス CT200h(2011~) 4320~4350 1765 1450~1460 2600 5.0~5.2
2代目・後期型トヨタ オーリス(2015~) 4330 1760 1480~1500 2600 5.2~5.4
ボルボ V40 (2013~) 4370 1800 1440 2645 5.2~5.7
トヨタ プリウス (2009~2015) 4460 1745 1490 2700 5.3
マツダ アクセラ スポーツ(2013~) 4460 1795 1470 2700 5.3
 

インテリア&ラゲッジスペース

120Tでは木目調パネルや専用シート表皮を採用


木目調パネルが特徴的な120Tのインパネ

オーリスと言えば、今でも初代の「橋」のような形状の奇抜なセンターコンソールを思い出してしまうが、2代目の内装はオーソドクスで、後期型でもそれはおおむね踏襲。ただし各部の質感アップは図られている。

120Tについては、東レのウルトラスエード、本革、合成皮革を組み合わせた専用シート表皮や、木目調インパネ加飾が採用されている。自然吸気1.8L・6MTのRSはスポーティに、小排気量ターボの120Tは上質に、という方向でキャラ分けされたようだ。

 

120T専用シートは本革、合皮、東レのウルトラスエードの組み合わせという凝ったもの。座り心地はドイツ車っぽく硬めだが、なかなか良い

欧州戦略車らしい手堅いパッケージングは従来通り。後席や荷室の広さはCセグメントのスタンダードと言えるものだし、シートや荷室のアレンジ方法もセオリー通り。

なお、細かいことだが、試乗中に気付いたのはパワーウインドウの作動音がやけに静かなこと。モーターのウィーンという音や開閉しきった時の停止音がほとんどしない。多少音がした方が安全上は好ましいと思うのだが。

 

アジャスタブルボードが上段ならフラットな床が広がる

後席足元にセンタートンネルはなく、ほぼフラット
 

アジャスタブルボードが下段の状態。前輪を外したスポーツ自転車の縦積み時などに便利

床下にはパンク修理キット。オプションで応急用スペアタイヤ(1万0800円)に変更できる
 

基本性能&ドライブフィール

1.2ターボで116psと185Nmを発揮


新開発の1.2L(1197cc)直4・直噴ターボエンジン「8NR-FTS」。エンジン上部に見えるのは水冷式インタークーラー。後方排気なのでターボチャージャーはエンジンの後方にある

試乗車は120T(259万円)に、オプションの225/45R17タイヤや純正ナビを装着したもの。

120Tには4月の新車発表時にもチョイ乗りしていて、今回は2回目。そのスペックをおさらいしておくと、エンジンは1.2L(1197cc)直噴ターボで、最高出力は116ps/5200-5600rpm、最大トルクは1.8~2.0Lクラス並みの185Nm(18.9kgm)/1500-4000rpmを発揮。車重は1300kgで、JC08モード燃費は19.4km/L。

一方、ベンチマークとされたゴルフ7の1.2 TSI モデルは、105ps/4500‐5500rpm、175Nm(17.8kgm)/1400‐4000rpmと、パワーでは120Tを少し下回るが、VWにとっては“アウェイ”ルールとも言えるJC08モード燃費では21.0km/Lと、逆に120Tを上回る。車重は1240kg。圧縮比は120Tが10.0、1.2 TSIは10.5で、指定燃料はいずれもハイオクになる。

実はそれ以上に決定的に違うのがトランスミッションで、オーリスは日本車に多いCVT(無段変速機)、ゴルフはVW自慢の7速DCT(VW流に言えばDSG)になる。だから両者の比較は、ある意味ではトランスミッション対決でもある。

自然吸気の1.8Lエンジンみたい

ターボ車であることを忘れさせる自然なレスポンス、自然なトルク感、穏やかな吹け上がり、といった印象は、半年前に乗った時と変わらず。予備知識なしで乗ったら、ほとんどの人が1.8Lくらいの自然吸気エンジンだと思うだろう。

とはいえ、じっくり冷静に観察すれば、低回転のトルク感は自然吸気ではありえないもの。一般道でユルユル普通に走っていると回転計の針は1300rpmをキープし、加速時も1500rpmか、せいぜい2000rpmも回せば十分。ものすごい低速トルク持ち。

そして最上級グレードにふさわしく、エンジンからの透過音も静か。ゴルフのように自己主張は強くないが、走りの上質感はなかなかのものがある。

 

オプションの17インチタイヤは従来型と同じアドバン デシベル。グリップはそこそこだが、シャシーとのバランスは良好

そして小排気量ターボエンジンとトルコン付CVTの組み合わせは、スムーズさでは理想的なものがある。CVTの弱点であるスリップ感はほぼ皆無で、よく出来た最近の多段ステップATみたいに、リニアに駆動力を伝えてくれる。パドルシフト時のダイレクト感こそDCTには及ばないが、不満と言えばそれくらいだ。

ただ、高回転は苦手というか、積極的に上まで回さない設定。レッドゾーンは5600rpmからとディーゼルエンジンみたいで、6速マニュアルモードでも5000rpm超で早々にシフトアップしてしまう。

個性は薄めだが、セッティングは入念


120Tや1.8Lモデル(そして150Xの4WDモデル)のリアサスはダブルウィッシュボーン

足回りはやや硬めだが(ハンプを乗り越える時に分かる)、基本的には乗りやすく、滑らかに、という方向。街乗りレベルだと、いつものトヨタ車だが、ワインディングや凸凹だらけの舗装路などを走ると、突き上げやピッチングがなく、それでいてよく曲がる走りに、かつての3代目カルディナを思い出してしまった。

一方で、ゴルフなどではビンビン伝わってくる接地感、ボディのガッシリ感、重厚感といった分かりやすい「いいモノ感」が薄味なのが、ちょっと惜しいところ。

100km/h巡航はたった1600rpmでこなす


100km/h巡航時(クルーズコントロール使用中)

100km/h巡航時のエンジン回転数は、メーター上では約1600rpmで、VWの1.2ターボ・7速DCT車(2000~2100rpmくらい)より明らかに低い。また、そんな低回転でもトルクは十分だし、高速域のパワー感も期待以上。UK仕様の最高速(発表値)は194km/hで(6MTは199km/h)、許されればメーターを簡単に振り切るだろう。直進安定性や静粛性も文句なし。ただ、ゴルフ7とはテイストが異なり、むしろマツダのアクセラあたりと比べたいと思った。

 

クルーズコントロールはレーダー無しの従来型だが、これはこれで便利

なお、レーダークルーズコントロールは用意されていないが、高速巡航時には車線逸脱を警告するレーンディパーチャーアラート(LDA)、夜間ならハイビームとロービームを自動で切り替える「オートマチックハイビーム(AHB)が活躍してくれる。LDAは一般道だとピーピーうるさいが、夜間の高速道路ではふらつきを自覚できて良い。AHBについては、ハイ/ローLEDヘッドランプの明るさや配光の良さも手伝って、手動でのハイ/ロー切替がほとんど必要なかった。

 

トヨタ セーフティ センスCのセンサーユニット(単眼カメラ&レーザーレーダー)
(photo:トヨタ自動車)

これ以外にTSSCには約10~80km/hで走行中に作動する自動ブレーキ(約30km/h分の減速を行い、80km/h以上では警告を行う)や、信号待ちの時などに先行車の発進をドライバーに知らせる先行車発進告知機能も備わる。なので新車購入時に付けないのはもったいない。

クルーズコントロールは車間制御機能がない従来タイプを120Tは装備する。巡航が得意な120Tとの相性はよく、例えば下り坂で車速が上がりそうになると、CVTによる適切なエンジンブレーキで速度を抑えてくれるし、その間は燃料噴射を止めて燃費もセーブする。

試乗燃費は11.7~19.0km/L。JC08モードは19.4km/L


この日、このGSでのハイオク価格は143円/L、レギュラーは132円、軽油は111円だった

今回はトータルで約260kmを試乗。参考までに試乗燃費は、いつものように一般道と高速道路を走った区間(約80km)が11.7km/L。一般道を大人しく走った区間(約30km)が14.8km/L。高速道路を80~100km/hで走った区間(約90km、アップダウンあり)が19.0km/Lだった。雑なアクセル操作で加減速を繰り返すと悪化しやすい。

指定燃料は150Xと180Sならレギュラーだが、RS(6MT)と120Tはハイオク。頭では分かっていたが、スポーツモデルでもないトヨタのハッチバック車にハイオクを入れるのに、ちょっと抵抗を感じてしまった。

燃料タンク容量は50Lで、ここもゴルフ7と同じ。

 

ここがイイ

完成度が高く、気持ちいい走り

トヨタ車でありながら、ゴルフに迫る気持ちいい走りを味わえること。トヨタの開発陣、特に乗り味を決める実験部門のスタッフにとっては、とりあえずやりきった感があるモデルではないか。そう思うほど入念な作りこみが感じられる。「もっといいクルマづくり」を目指す今のトヨタを象徴するクルマと言っていい。

試乗燃費は、3年前に1.8L・6MTの「RS」に乗った時の9.8km/Lに対して、今回の120Tは11.7km/Lと2割ほど良かった。ちなみにJC08モード燃費は、RSが前期・後期で変わらず14.4km/L、120Tが19.4km/Lで、3割以上の差がある。その差にはCVTやアイドリングストップ機構の貢献度も含まれるわけだが、ダウンサイジングターボが燃費に効くというのは、いちおう立証できたと思う。

ここがダメ

印象の薄さ。120Tの内装

走りの完成度はとても高いが、トヨタらしくネガを潰しまくった結果、今ひとつその走りに個性がないこと。ターボエンジンらしさもあんまりないし(もちろん意図的にだろう)、ミッションもCVTなので、DCTのようなメカメカした感触がない分、ダイレクト感とかが希薄。そこがトヨタ車の良さでもあるが、300万円あればゴルフも買えるし、マツダのクリーンディーゼル車も買える。これだけいいクルマなのに、クルマ好きの琴線に触れる際立った「いいモノ感」が分かりやすく伝わってこないのが惜しいところ。

こんなによく出来た120Tだが、内装は明るい色の木目調パネル、そして明るいブラウンのアクセントカラーが入ったコンビシートで、カラーも素材も120Tの車両キャラクターに合っている気がしない。もっと普通の内装で良かったと思う。

総合評価

商売でないガチンコ対決

挑戦者としての、まさに真っ向勝負。それがこのオーリスなのだろう。それはハードウェアとしての真っ向勝負であって、マーケティング的な勝負ではない。いやもちろんグローバルではマーケティングも十分考えているのだろうけれど、こと日本では売ることを全く考えてないのでは、と思えてしまう。月販1000台、120Tだけで100台程度なんて、トヨタ車の風上にも置けない台数だ。価格も輸入車のゴルフ7とほとんど変わらないほど高く、これでは国内では積極的に売ろうとしていないクルマ、と思うほかない。

つまりはこのクルマ、ゴルフ7にどこまで迫れるかという実験車と言うべきものだろう。排気量が小さいのに高いという、いわゆるトヨタヒエラルキーから外れているという点でも実験的だ。同時に、どういう人がこういうクルマを買うのか、というマーケティングリサーチでもあるのだろう。また、DCTを採用していないトヨタが、CVTでどこまでDCTに迫れるかというトライとも言えそうだ。そういう意味では、これほどおもしろいクルマはない。久々に商売でないガチンコ対決を楽しませてもらった。ゴルフ6、7に対して絶賛とも言える評価をしてきたモーターデイズにとって、はたしてこのクルマはどうだったか?

 

現行の7代目VW ゴルフ(ゴルフ7)

結果として「よく出来ている」ことに関しては、全く否定はできない。マーケティングを考えなければ、こんないいクルマが作れるじゃないの、と思ってしまった。なんだかんだ言われる日本車でも、コストを考えなければ、ちゃんとできるということを証明したとして、後世に伝えるべきクルマだと思う。このところ話題の中心になっているVWのディーゼル問題では、不正云々より、個人的にはVW車の収益率の低さが実は一番気になった。傘下のアウディやポルシェに比べて、VW本体の利益率はかなり低い。これにはいろいろな要因があるのだろうけれど、開発費や設備投資などに加えて、やはり一台一台にコストがかかっている、ということではないだろうか。

それに比べてトヨタは利益率が高い。儲かっている。逆にいえばトヨタ車よりコストがかかっていることこそがVW車の高い品質の理由だとしたら、コルフ7をいいクルマと感じてしまうのも腑に落ちるところ。今回のオーリス 120Tは、同クラスの日本車に比べると車両価格は高めだが、それゆえゴルフ7に対抗できているとも言えるわけだ。としたら、トヨタも利益率を抑えれば、いいクルマが作れることになるわけか。そんな単純なことではないのだろうが、一面の真理ではないかと思う。

世界一を争うメーカー同士

また、DCTに対するCVTだが、個人的には1.2LターボのDCT車であるザ・ビートルに乗っているため、DCTのいいも悪いも、それなりに分かっているつもりだ。DCTのダイレクト感、そしてシフトチェンジする時の快感は素晴らしいと思っている。ただし常にギアの存在は意識され、渋滞など日本に多いシチュエーションでは、そのMT感をネガっぽく感じないわけではない。

その点、オーリス 120TのCVTは全くストレスがなく、ウルトラスムース。でありながらスポーティに走らせてもスリップ感はなく、多段AT車のような感覚で楽しませてくれる。少なくともダウンサイジングターボとの組み合わせならCVTでも構わない、いや日本だったらCVTの方がいいかも、と思えるところまで来ている。

最後は乗り味の違いだろう。ボディ剛性からくるものなのか、4輪が地についたとでも言うべき、ある意味では重々しさすらあるVW車と比べると、よく言えば軽快、悪く言えば軽薄にも感じられるオーリスの乗り味をどう評価するかだ。アウディやVWに好んで乗ってきた人間としては、もうちょっとどっしりした乗り味であって欲しいと思うが、それはすでに好みとか個性の問題かもしれない。トヨタとして、こういう乗り味がトヨタ車らしいとするのであれば、確かにプリウスにだって繋がる味であり、一貫しているとも言える。

 

ドイツ車をベンチマークとしているのが日本のクルマ業界であり、日本のクルマ好きの感覚でもある。これまでは追いついたかに見えて、すぐに引き離されてしまっていたが、今回はかなり追いついたのではないか。世界一を争うメーカー同士らしい接戦になっていると思う。あとはこれが実験車ではなく、コストとして見合うクルマになっていけばいいのだが、はたして。

しかし国内の一般的なユーザーで、こういうクルマを良しと考える人は一握りとも思えるから、マーケティングからは今後も「これでは売れない」とダメ出しが続くことになるだろう。走行性能や乗り味云々ではなく、お値打ち感こそが日本で大衆車クラスが売れるためのキーなのだから。メーカーが利益を削ってでもコストをかけて作り、それを理解したユーザーが買い支えることでビジネスが成り立つという夢は、しょせん夢かもしれない。「大衆の民意」というものがマーケットや社会を支えている以上、それもいたし方ないところか。

 

試乗車スペック
トヨタ オーリス 120T
(1.2L 直4ターボ・CVT・259万0037円)

●初年度登録:2015年4月 ●形式:DBA-NRE185H(-BHXNZ)
●全長4330mm×全幅1760mm×全高1480mm
●ホイールベース:2600mm
●最低地上高:140mm ●最小回転半径:5.2m ※225/45R17タイヤ装着車は5.4m
●車重(車検証記載値):1300kg(820+480)
●乗車定員:5名

●エンジン型式:8NR-FTS
●排気量:1196cc
●エンジン種類:直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴ターボ(D-4T)・横置
●ボア×ストローク:71.5×74.5mm
●圧縮比:10.0
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●最高出力:85kW(116ps)/5200-5600rpm
●最大トルク:185Nm (18.9kgm)/1500-4000rpm
●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/50L

●トランスミッション:CVT(無段変速機)
●JC08モード燃費:19.4km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):ダブルウィッシュボーン+コイルスプリング
●タイヤ:225/45R17(Yokohama Advan dB decibel) ※120Tの標準装着は195/65R15

●試乗車価格(概算):310万7735円 ※オプション:225/45R17タイヤ&17×7Jアルミホイール 12万2040円、バックモニター 2万7000円、トヨタ純正ナビ・オーディオ(T-Connectナビ 9インチモデル DCMパッケージ) 29万4840円、工場装着バックカメラ用ガイドキット 1万1880円、ETC2.0対応車載器DSRCユニット 3万2778円、フロアマット(ラグジュアリータイプ) 2万9160円
●ボディカラー:ブルーメタリック

●試乗距離:約260km ●試乗日:2015年9月
●車両協力:トヨタ自動車株式会社

 
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