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新車試乗記 第41回 日産 アベニール Nissan Avenir

日時: 1998年09月18日

 

キャラクター&開発コンセプト

高い走行性能を持った実用ワゴン

日産の正統派ワゴン、アベニール。1990年にデビューし、ワゴンブームの中、95年にはビッグマイナーチェンジして、大幅なテコ入れが図られた。しかし、相次ぐライバル車のリニューアルで、販売面で厳しい状況だったのは事実。そこで今回のフルモデルチェンジでは「ダイナミック・スタイル・ツアラー」をコンセプトに、乗用ワゴンらしい走りとユーティリティ機能を重視して開発。なにより躍動感溢れるデザインが売り物といえる。

価格帯&グレード展開

スポーツ志向のGT4系とコンフォート志向のサリュー系

スポーティーなGT4系には230psを発生する2リットル直4・DOHCターボエンジンを搭載し、駆動方式は前後トルク50:50から可変するアテーサ式フルタイム4WDを採用。ミッションは4ATのみ。グレードは「Z」と「S」の2タイプ。価格はGT4-Zが289.8万円、GT4-Sが264.8万円。

サリューには、2リッター直4、新開発のNEO・1.8リッター直4(LEV仕様)、2リッター直4ディーゼルエンジンの3種のユニットを用意。2リッター直4には4WDと6速マニュアルモード付き無段変速機「ハイパーCVT-M6」、1.8リッター直4には4AT、5MT、2リッター直4ディーゼルには4ATが組み合わせられる。グレードは[Z」、「X」、「J」。価格は169.9万円~234.5万円。

ちなみに他の2リッターワゴンで比較してみると、スバルのレガシィ・ツーリングワゴンGT-VDC(4ATで260ps)は279.8万円。トヨタのカルディナGT-T(4ATで260ps)も279.8万円。パワーだけを考えると新型アベニールはちょっと割高に感じられる。

パッケージング&スタイル

快適な走りを支えるワゴン専用高剛性ボディと新シャシー

今回からステーションワゴン専用ボディとし、新開発のリアマルチリンクサスペンションは、日産のこれからのスタンダードのひとつになるメカニズム。なお、4ナンバーの商用アベニールは従来モデルが継続される。

安定感のあるスタイリッシュなボディは、可もなく不可もなくという無難なまとまりで、低く構えたスタイルは一世代前のトヨタ車のようでもある。外観上の特徴は、ウエストライン後端でポップアップしたキャラクターライン。リアガラス中央部を下げたリアウインドウは決してレガシィのパクリではなく、下方視界の確保を考慮した結果、たまたま同じにデザイン処理になった、とのこと。それでも最近の日産車のなかでは、なかなか上手く躍動感が演出できたのでは。なおこの新型アベニールは開発から生産まで日産の小会社である日産車体が手がけている。

クラストップのラゲッジスペース

5ナンバー枠のボディサイズは全長4650mm、全幅1695mm、全高1511mm。これは先代とほとんど変わらない。しかしホイールベースが70mm延長されたことで、室内空間は大幅に向上している。特筆すべきはラゲッジルームの大きさと使い勝手の良さ。リアサスのマルチリンク化で荷室への張り出しが小さくなり、ラゲッジ長1110mm×幅1135mm、容量470リッターとクラストップレベルを達成。後席を倒すと長さは1740mmとなり、こちらもクラストップだ。

多種多芸のトノカバーに注目

この広大なラゲッジを効率よく使いこなすために用意されたトノカバーは、数段階に折り畳むことができたいへん便利。一般的な巻き込み式トノカバーと違い、アルミ製の心材に樹脂製の板を挟んだ全面布張りの頑丈なもので、質感が高い上に軽い。基本的にはこの上に重い物を置かないということだが、子供が乗ってしまっても大丈夫なように約40kgの重さに耐えられるというのだから驚き。取り外し、取り付けもごく簡単だ。最近流行のガラスハッチも採用され、このトノボードとの相性は非常に良い。この他、容量58リットルの大型サブトランク(間仕切り付き)、ラゲッジサイドボックス、12V電源ソケット、ラゲッジ左右サイドに設けられたマルチスライドフックを標準装備する。

シートアレンジはフロントシートのフルフラット機構、リアシートの6対4分割可倒機構、リア分割リクライニング機構、リアヘッドレストを外さずにホールディングできるダブルフォールディング機構が付く。

シルバーのインパネは好みが分かれるところ、質感はいまいち

写真はGT4-Z。インパネはドライバーを中心としたデザイン。ナビが普通にコンソールに収まったシンプルなもので、共用か? と思ってしまうほどプリメーラに似ている。それでも使いやすく、走りを盛り上げてくれるのは確か。不満は運転席側全面をシルバー塗装(サリュー系はチタン調)とした点。日光があたると、質感の悪さが如実に出てしまう。メカニカルな雰囲気で個性を演出した、という開発陣のねらいも分かるが、ちょっと疑問が残るところ。

メーターもキラキラ光るシルバーメーターが採用される。こういった演出を若者が好むのかは別として、チェック柄のジャガードモケットのシート表皮など、全体的にやや上質感に問題あり。ドアノブなんて旧型レガシィを見ているようだ。280万円もするクルマなのだから、もうひとがんばりの品質感が必要だと思う。

基本性能&ドライブフィール

230psというパワーはこれで正解、エンジン音はガサツだがスポーティー

試乗したGT4-Zには、2.0リッター直4ターボエンジン+アテーサ式フルタイム4WDが搭載される。ミッションは4ATのみ。最高出力は230psと、ライバル勢の280psに対して多少見劣りしてしまうが、これが数値と裏腹に元気いっぱいの走りをみせてくれる。わずか3600回転という低回転域で最高トルクの20.0kgmを稼いでおり、自然吸気エンジンのような力強さと扱いやすさ。エンジンを回せる分、280psワゴンよりむしろ楽しめるほど。4気筒ならではのガサツなエンジン音ではあるが、レッドゾーンの7000回転まで一気に吹け上がる感じは、ワゴンを意識させない。205/60R15という平凡なタイヤサイズだが、230psなので、これでパワーを十分受け止めることができるようだ。

パワーアシストはバリアブルピッチのステアリングギアを採用する。これ自体は珍しくはないのだが、セッティングは絶妙。フルロック2.5回転とクイックにもかかわらず、旋回時はアンダーステアを感じさせない程度に切れが良くなり、駐車操作では最終的にグイッと切れ込む。もちろん高速時はビシッとしている。自然な動きの中にも、頼りがいがあるといった感じだ。

リアの流れ方が大きく、収まりが悪いのは改良の余地アリ

かなり固めの足は、ちょっとした段差でも突き上げがあり、快適とは言い難いが、初代プリメーラが売れたように、この硬さを好む人が多いのも確か。静粛性は上々。新設計のリアサスは上手く路面にタイヤを接地させているが、気になるのは急にステアリングを切ったときのリアの流れ方。素早いレーンチェンジをしたときなど、リアの挙動がワンテンポ遅れ、続いてアイスバーンの上を走っているかのように流れる。そして揺り戻しがあり、これはちょっと問題か。中間速度域でもこういった傾向があり、恐怖心を覚えるほど。試乗車のみの問題であればいいのだが。

ここがイイ

さすがに荷室は良くできている。完全にフラットになり、小柄な人なら仮眠スペースとして十分使える。また、スタイリッシュなデザインは、ワゴンのハードトップといった感じ。低く、幅広いイメージのデザインワークは、背を高くしたがる最近のトレンドへのアンチテーゼとなっている。全員が右に習えで、同じような背の高いワゴンになってしまったら面白くないので、その点で、アベニールはかなり評価できる。

ここがダメ

ライバルをレガシィとすると、それに勝てそうな「オーラ」が感じられない。真面目に作られているのだが「華」がない。レガシィも同様に真面目に作られているが、メーカーの生命線としての「気合い」が地味なクルマに「オーラ」を与えてしまっている。アベニールでは4WDを実現するため、リアサスまで新設計してしまったのだから、その意気込みを一見してクルマ全体に行き渡らせて欲しかった。

総合評価

若者はもちろん40代、そして50代の大人向けのワゴンとして、セダンに代わる存在となることは確か。サニーやブルーバードなどのユーザーにとって、次のクルマとしてはかなり気になる存在といえるだろう。量販1.8リットルのエンジンがすべてLEVになったのは素晴らしいし、総じて先代モデルからは比較にならないほど進化しているが、数多いライバルの中で新規に選ばれるかというと、これはかなり難しいかも。

公式サイトhttp://www.nissan.co.jp/

 
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