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マツダ アクセラ新車試乗記(第292回)

Mazda Axela

(1.5~2.3リッター直4・4AT・148万~195万円)

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2003年11月08日

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キャラクター&開発コンセプト

新開発の4ドアセダン&5ドア

2003年10月15日に発売されたマツダのアクセラは、4ドアセダン「アクセラ」と5ドアハッチバック「アクセラスポーツ」の2本立て。アテンザ(2002年5月)、デミオ(同8月)、RX-8(2003年4月)に続く新生マツダの第4弾だ。実質的には、ファミリア/ファミリアS-ワゴンの後継車となる。

フォード、ボルボ、マツダで共同開発

新型シャシーは、フォードグループのいわゆるCセグメント(ゴルフ、カローラクラス)用に開発されたもの。具体的には、間もなく発売されるボルボの新型S40やV50、フォードの新型ミニバン「C-マックス」や次期フォーカスが共有する。開発もフォード傘下による共同で、ドライブトレインやリアサスはマツダ、衝突安全性はボルボと、お互いの得意分野を担当したという。その中でアクセラは、マツダらしいスポーティなデザインや走りを強く訴えるモデルだ。ボディ全幅は1745mmの欧米サイズとなっている。

海外では「Mazda 3」 

海外では「Mazda 323」の後継として、「Mazda 3」の名で呼ばれる(ちなみにデミオは「Mazda 2」)。日本名アクセラは、「アクセラレート(加速する)」や「アクセル」、そして「エクセレント(魅力的な、卓越した)」を語源とした造語。運転の喜びに伴う感情の高鳴り(アクセラレーション)や無限に広がる可能性「X(エックス)」も表現するという。

セダンは主に北米向けで、5ドアは主に欧州向け。生産は海外仕様も含めて山口県の防府工場で行われる。

国内の販売目標はセダンと5ドアの合計で月間2500台。アテンザ(2500台)、デミオ(7000台)はおおむね台数をクリアしており、RX-8(1000台)もバックオーダーを抱えるほど順調だ。アクセラが狙う国内市場はそれほど大きくない。目標をクリアすれば大成功と言えるだろう。

価格帯&グレード展開

1.5~2.3リッターで、139.5~195万円

パワーユニットは1.5リッター(114ps)、2.0リッター(150ps)、2.3リッター(171ps)という3種類の直列4気筒エンジン。トランシミッションは基本的に4速ATだが、1.5リッターのみ5MTがある。

4ドアセダンと5ドア、ともにグレード・価格体系は全く同じで、1.5リッター「15F」は5MT(139.5万円)と4AT(148万円)、2.0リッター「20C」(175万円)、2.3リッター「23S」(195万円)となる。

全車オプションとしてDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール:電子制御の横滑り防止装置)を6~7万円、カーテン&サイドエアバッグを6.5万円、ディスチャージヘッドランプを5万円、ナビゲーションシステムを19万円で用意する。

パッケージング&スタイル

赤が似合う

2003年3月のジュネーブショーで発表された「MXスポルティフ」そのままのスタイルは、かなりラテン系。試乗会場で実物を見た瞬間、アルファか、と思ったほど。前後フェンダーの強烈な張り出しはRX-8を、そして全体的にはかつてのマツダ・ランティス(5ドアハッチバックと4ドアセダンがあった)を思い出させる。セダンのデザイン完成度が特に高いという印象を持った。

1クラス上のサイズ

5ドアの2.3リッターモデルは全長4485mm×全幅1745mm×全高1465mm。この数値はトランクが付く4ドアセダン(23S)でもまったく同じで、つまり5ドアのリアオーバーハング部はかなり長い。例えば、VWゴルフ4より全長で330mm、アルファ147より315mm、次期ゴルフ5より約280mmも大きいほどだ。

ホイールベースも2640mmと長く、アテンザの2675mmとわずか35mmしか変わらない。Cセグメント車ながら、Dセグメント並みの室内空間を狙ったことが分かる。メルセデス・ベンツのCクラスやBMW・3シリーズと競合するボルボS40の基準を満たす必要があったからか。

全幅1745mmについて、マツダはドアミラーを含めた幅では同クラス他社より抑えたと言う。その説明が有効かどうかはさておき、実際の取りまわしは、5ナンバー枠一杯のクルマと同等と言っていい。見切りもよく、ダイナミックなデザインの弊害は感じられない。最小回転半径も5.2メートルと平均的だ。

「ナイトライダー」風のオーディオ

室内デザインはアテンザから始まった手法を発展させたものだが、最新モデルだけに手馴れた感じ。センターコンソール樹脂のバリはちょっといただけないが(おそらくすぐに改善されるだろう)、それ以外のクオリティは高い。デザインも新鮮でマツダらしい。

面白いのは、インパネ一体型のオーディオを操作するとスリットに仕込まれた赤いLEDが左右に流れながら発光するところ。80年代の米国テレビドラマ「ナイトライダー」に出てくる人行知能を持ったクルマ「ナイト2000」を思い出す。作りがよく、玩具っぽさはないと思う。驚くのは11リッターの大容量を持つグローブボックス。ティッシュボックスも余裕で飲み込む。

前席の座面高は、ラチェット式レバーで簡単に55mm上下させることが可能。地面に対して水平に上下する。ステアリングもチルト(上下)に加え、このクラスでは珍しいテレスコ(前後)調節付き。シートは表皮デザインに差はあるが、しっかりした構造自体は基本的に全グレード共通のようだ。

次期S40譲り? の後席

後席にはかなりゆとりがある。前席の下に足がすっぽり入るし、ヘッドルームはアテンザより余裕があるかもしれない。シートクッションもしっかりしている。乗り心地も含めて、後席に家族を乗せても特に不満は出ないだろう。

 

オーバーハングが長いだけに荷室は4ドアも5ドアもそうとう広い。荷室を拡大する場合は、6:4の分割背もたれをパタンと前に倒すだけ。完全にフラットにはならないが、操作は簡単で好ましい。

基本性能&ドライブフィール

【2.3リッター】アテンザと同じエンジンで100kg以上軽い

今回の試乗は箱根周辺で10月末に行われた合同試乗会で行った。このような試乗会では試乗時間と状況が限られる反面、バリエーションが多いモデルを比較しながら乗れる点で参考になる。

最初に乗ったのは2.3リッター(171ps)搭載の5ドア。アテンザの23S(178ps)とほぼ同じエンジンを搭載し、205/50R17という薄いBSポテンザを履く。トランスミッションは4ATのみで、今のところマニュアルはない。

走り出した瞬間は、「確かにトルクあるなあ」という印象。Cセグメントのボディに2.3リッターで、しかもアテンザより100kg以上軽いから当たり前か。エンジンは低回転から高回転までまんべんなくパワーを出すタイプで、豪快というより乗りやすい。アテンザより際立ってスポーティという感じはしない。エンジン音は最近のマツダ車共通のシャーンという音。モーターライクな音で、うるさくはない。

刺激よりも余裕

ワインディングでの走りは、素直でバランスの取れたもの。ドイツ車というより何となくラテン車っぽい。安定感は高く、高速コーナーをオーバースピード気味で入っても冷や汗をかかずに済む。このクラスには珍しい、アテンザと同形式のマルチリンク式リアサスのおかげか。回転を選ばないエンジンを適度に回して、余裕を持って急勾配を駆け上る。人によっては刺激が足りないと思うかもしれないが、プジョー206RCやアルファロメオの147GTAといった最新の高性能車の味付けもこうした落ち着いた設定が主流だ。

【2.0リッター】 2.3と大差ない

次に乗ったのは2.0リッターエンジン搭載の4ドアセダン。大まかな印象はまさに2.3リッターから300cc減った感じ。トルクは少し薄いが、パワー感に大きな差はない。使用燃料がレギュラーとなる点も見逃せないところ。車重が先のクルマより50kg軽いのとタイヤのせいか軽快感がある。50タイヤのシャープさはないが、この15インチタイヤ(ミシュラン・パイロットスポーツ)でもグリップや剛性感はけっこうあった。乗り心地は17インチ仕様と大差ない。

セダンボディは若干、ボディ後半部からの音が少ない感じがした。厳密に乗り比べたわけではないが、ボディ後部が閉断面に近いセダンの方が騒音・振動対策で楽なのは言うまでもない。

【1.5リッター】 1.5でもよく走る

1.5リッター車も十分に活発に走る。というか「1.5で十分じゃん」というのが率直な感想だ。トルクはさらに薄いが、平地ならパワー不足はまず感じない。エンジンのフィーリングも2.3や2.0と基本的に同じだ。パワーがない分、加速時はアクセルを踏み込むことになるが、特にうるさくはなかった。

4ATのギアリングは上級グレードとほぼ同じで、高速巡航時の回転数も2.3と大差ない。そんなはずは……と思って資料を読むと、2.3は加速性能を重視し、1.5と同じ最終減速比を採用したという。1速のギア比も同じだ。

一方、上級グレードと差を感じたのはタイヤ。山道でペースを上げると、1.5に装着されるタイヤ(ブリヂストンのB390、195/65R15)はグリップや剛性感が低く、やや心許ない。シャシー性能が高いがゆえに、タイヤが負ける感じがした。逆に言うと、1.5で気になったのはこの点ぐらいだ。

ATのシフト方向

アテンザやBMW・Z4の時にも触れたが、マツダやBMWなどが採用する「押してダウン、引いてアップ」のシーケンシャルモードには、今回も少し戸惑った。トヨタ、日産、ホンダ、VWグループなど大勢はこの逆である。デイズのスタッフには、慣れれば結局どちらでも良い、という意見もあるが。ちなみにメルセデス・ベンツは左右にレバーを動かす(これが意外に使いやすい)。

ここがイイ

「いやあ、カッコいい」というのが、大半の意見のはず。ちゃんとトレンドの背の高さを持ちながら、国産車でここまでカッコいいクルマは他にそうない。どの方向から見ても隙なし。特にこのクラスの場合、5ドアはカッコよくても、4ドアは地味ということが多いが、このサイズでよくもここまで、という素晴らしいスタイリングだ。アクセラのデザインにはプレッソ、ランティス、ユーノス800といった、かつてマツダの傑作デザイン車を手がけた人物が多く関わったらしい。なるほど、彼等のセンスの良さがまた花開いたといえそう。とにかく最近のマツダデザインはたいしたものだ。

1.5から2.3まで全車においてのバランスの取れた走りや、おそらくボルボ並みの衝突安全性といったクルマとしての基本的な出来の良さ。さらにマツダのクルマらしい走る楽しさが見事に体現されている。5ドアがスポーティーなのはわかるが、4ドアもそのスタイリング通りのスポーツ性を持っている。4ドアセダンが売れない現在の市場を打開するのは、こうしたスポーティさがキーワードになるはず。小型セダンはスポーティを売り物にして生き残るはずで、その王道を行く出来だ。

インパネ最上部に用意された開閉式カーナビディスプレイは大変位置がよろしい。アクセラはITS分野ではほとんど見るべき点がないが、この位置にディスプレイがあることは、「将来が分かっている」と好意的に見てしまった。

ここがダメ

せめて最上級の2.3リッター車には5速ATが欲しいところ。新しいものを開発することは、大変だと思うが、4速ではシフトレバーの動作方向がどうのという以前の問題だ。せっかく走りが楽しいクルマなのだから、5速を熱望する。

カーナビ位置はいいが、ITS的な装備はオートライトとオートワイパーがオプションにある程度。走りは素晴らしいが、最新のクルマとしてはもう少しハイテクな装備を持たないと、他車が走りより装備をアピールし始めた場合、だんだん辛くなっていきそう。

アルファ147に似た3連メーターの視認性も気になった。1.5と2.0では、2.3のような「ブラックアウトメーター」(赤い透過光とブルーの間接照明)が備わらず、ごく普通の透過照明となる。このため日中は光の加減で見にくいことが何度かあった。

総合評価

カッコよくて走りがスポーティー、という昔からのクルマのセオリーで評価すれば、相当高い点がつくクルマだろう。Zoom-Zoomはワクワク感やエキサイトメントを象徴するキーワードだが、その路線で次々に登場しているマツダ車は確かにクルマ好きを熱くさせてくれる。このためアクセラも2リッタークラスセダン&ハッチバックとして、欧米市場で欧州A車やB車と互角に戦っていけるだろう。だが問題は日本国内市場だ。まだミニバン全盛で、あの素晴らしいスタイリングを誇ったランティスがある種「キワモノ」として忘れ去られてしまう日本の市場では、このクルマの苦戦は予想に難くない。

しかしその結果、あまり数が出ないことで稀少感が生まれ、このクルマのスペシャリティ感が強調されて価値が上がる可能性は高い。もしかするとそこまで考えたマーケティングがマツダ=フォードにはあるのかも。海外で数を売り、国内で希少性を売る、これはかなり理にかなった販売戦略ではないだろうか。マツダはフォードグループ内で「世界市場に置けるアルファロメオ」的スタンスを望まれているらしいが、まさにそれにふさわしい、カッコよくて走りがスポーティーなアクセラは、「クルマ好き」が買っていい日本車だ。

ところで、Mazda 3の名はなぜ日本で使わないのだろう。3の商標を持っているメーカーから買い取っても、Mazda 3とした方がアクセラの名を浸透させるより簡単で、かつインパクトがある。デミオやアテンザもMazda 2、Mazda 6とした方が販売的には良かったように思う。マツダの場合、RX-8そしてMPVなど記号で通した車名を持っているのだから、まったく矛盾しない。「クルマ好き」ならそうした名前を好むし、ブランド的な希少性もより高まるはずだ。

試乗車スペック
マツダ アクセラ スポーツ 23S
(2.3リッター・4AT・195万円)

●形式:UA-BK3P●全長4485mm×全幅1745mm×全高1465mm●ホイールベース:2640mm●車重(車検証記載値):1280kg(F:ー+R:ー)●エンジン型式:L3-VE●2260cc・DOHC・4バルブ・直列4気筒・横置●171ps(126kW)/6500rpm、21.8kgm (214Nm)/4000rpm●使用燃料:プレミアムガソリン●10・15モード燃費:11.6km/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ:205/50R17(Bridgestone Potenza RE040)●価格:195万円

マツダ アクセラ 20C
(2.0リッター・4AT・175万円)

●形式:UA-BKEP●車重:1230kg●エンジン型式:LF-DE●1998cc●150ps(110kW)/6500rpm、18.7kgm (183Nm)/4500rpm●使用燃料:レギュラーガソリン●10・15モード燃費:13.8km/L●タイヤ:195/65R15(Michelin Pilot Sport)●価格:175万円

マツダ アクセラ スポーツ 15F
(1.5リッター・4AT・148万円)

●形式:UA-BK5P●全長4405mm×全幅1745mm×全高1465mm●車重:1240kg●エンジン型式:ZY-VE●1498cc●114ps(84kW)/6000rpm、14.3kgm (140Nm)/4500rpm●10・15モード燃費:16.6km/L●タイヤ:195/65R15(Bridgestone B390)●価格:148万円

●車両協力:マツダ株式会社

公式サイトhttp://www.axela.mazda.co.jp/

 
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