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新車試乗記 第182回 トヨタ bB オープンデッキ Toyota bB Open Deck

 

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日時: 2001年07月28日

 

キャラクター&開発コンセプト

ターゲットは丘サーファー? コンパクトミニバンbBのピックアップトラック版

世界戦略小型車ヴィッツをベースに、茶髪世代にターゲットを絞って開発したコンパクトミニバンがbBだ。トヨタとしては“ちょっと不良な男のコのためのファッション商品”、のつもり。実際、思惑通りのターゲットに受けたかは別として、ハードとしては上出来。大ヒットしたのもうなづける。

そんなbBのコンバージョンモデルがbBオープンデッキだ。知っている人も多いと思うが初披露となったのは99年の東京モーターショー。今回の市販化は、当時のショーカーと極めて近い内容となっている。bBの箱型デザインを生かし、Cピラーから後ろのルーフ部をバッサリは切りとって、トラックのような屋根のない荷台(オープンデッキ)を作り出したのが最大の特徴で、いわばピックアップの変形。また、パーソナルなレジャーユースを想定して、キャビンにはユニークな工夫が盛り込まれているのも見逃せない点だ。

ボディタイプはフロントと助手席側のリアに観音開き状のドアを付けた3ドアのみ。搭載されるパワートレーンはbBと共通の1.5リッターエンジン+コラム式4速AT。駆動方式はFFのみで、4WDは用意されていない。乗車定員は5名。なお、ターゲットはbBと同じ茶髪世代でも、bBオープンデッキさらに的を絞った“丘”サーファー系(ホントのサーファーは、bBの空間では不足のため買わないと思う)。

価格帯&グレード展開

1.5リッター+4速AT+FFのみで価格は169万円

単一グレードのみで、価格は169.0万円。ボディカラーは4色が用意される。装備は、荷台に伴う変更部位を除いてbBの「1.5Z(145.8万円)」をベースに考えると、外観周りではまずオープンデッキの方にエアロパーツが標準装備されているのが大きな違い。またグリルが全面メッキ処理され、その中心に「OD(Open Deck)」の専用エンブレムが付けられる。室内ではスピーカーの数に違いがあり、bBが6スピーカーに対してオープンデッキは4スピーカーとなる。

bB自体がそれほど安いクルマではないので、車格から考えればオープンデッキは割高なクルマといえる。しかし、他にはないキャラクターだけに、価格相応の価値は十分にあると思っていいだろう。なお、特別ボディ色と専用スポーツサスを装備したインターネット専用特別仕様車「iバージョン(169.0万円)」も用意され、こちらは6月12日から2ヶ月間の限定発売だ。

パッケージング&スタイル

使い道が思いつかない荷台はほとんどジョーク?

ボディサイズは全長3895mm×全幅1690mm×全高1670mm。bBと較べると全長が+50mm、全高が+30mm。全長の差はリアオーバーハングの延長分、全高の差はルーフ前端から荷台後端まで伸びたルーフレール状の太いパイプ(ユーティリティレール)によるものだ。

ルーフはちょうど後席から後ろの部分がスパッと切り落とされ、トラックのような屋根のない荷台となっている。つまり本来ラゲッジルームだった部分が、文字通り「オープンデッキ」となったわけだ。その荷台は深さがあるのが特徴で、ビールケースなら2段重ねで4箱、20リッターのポリタンクなら7個程度の積載が可能。また、荷台と室内の隔壁となる部分はデッキスルードアが設けられ、さらにリアウインドウはガラスハッチとなっており、荷台と室内を一体化させることも可能だ。

で、この荷台の活用法を真剣に考えてみると、サッパリ、何も浮かんでこない。特に雨が多い日本での利用価値はほとんどゼロ。便利だと思えるのは、ビールの買い出しぐらいか。確かに長尺物が積めたり、アウトレジャーでのベースキャンプになったりと、アレコレできるのかもしれないが、そーゆうことを真面目に考えてクルマを買うのであれば、やっぱりミニバンだろう。しかし、bBの存在価値までもがゼロというわけではない。むしろ100%以上。無駄だらけなだけに、本家bBよりもずっと不良っぽさがある。いずれにせよ、そうとうな遊び人でない限り、このクルマをフルに使いこなすのは難しいだろう。

本場のアメリカ譲りの観音開きドアは福祉車両にもうってつけ

荷台と並ぶこのクルマのもうひとつのウリがボディの左サイドだ。なんと、ピックアップの本場アメリカと同じように、ドアが観音開きとなっているのだ。もちろんピラーレス。リアドア単体での開閉は不可能で、フロントドアを開けてからリアドアの室内側ハンドルを使って開ける構造となっている。後席を利用するときはたいていが助手席に人が座る3人以上の場合なので、“フロントドアを開けてから”というのはそれほど手間ではないし、何より開口部分が広いので、荷物の出し入れや乗り降りに便利だ。

また、この広い開口部を生かし、同社の福祉車両ウェブキャブシリーズ「助手席リフトアップシート車」が設定されたことを忘れてならない。まさか福祉のために観音開きを採用したのだとは思えないが、とりあえず社会的にも優しいクルマであることは確かだ。

前後のウォークスルーが可能となった室内のテーマはトロピカル

遊び心いっぱいの室内もbBオープンデッキオリジナルだ。圧力ゲージ風の丸型メーターが真ん中に鎮座するインパネは形状こそbBと共通だが、カラーリングがbBがブラック一色なのに対して、こちらはブラックと淡いグレーの2トーン。ドアトリムやルーフトリムも淡いグレーに統一されており、明るくて開放感のあるイメージを作り出している。bBが夜の繁華街が似合うストリート系なら、こちらはさしずめ太陽が似合うサーファー系といったところか。

前席はベンチシートから独立タイプのものに変更されており、前後のウォークスルーが可能となったのがポイント。運転席側にはリアドアがないので、後席に荷物を載せるときに、このウォークスルーはたいへん有り難い。また、シート表皮もbBのブラックからトロピカルイエローと呼ばれる派手なイエローに変更されている。ココナッツグレーと呼ばれる淡いグレーも用意されているが、このクルマのキャラクターにはイエローのほうが映える。

問題は後席。室内長-230mm分のしわ寄せが、そのまま後席の空間にきている。とりあえずヴィッツ並の空間は確保されているものの、背もたれが直立に近い状態で立っているので、少々不自然な姿勢を強いられる。長距離の移動にはツライ。

基本性能&ドライブフィール

パワートレーンはbBと共通でも、乗り味は若干ソフト

パワートレーンは基本的にbBと共通。エンジンは1.5リッター直4(110馬力/14.6kgm)で、コラム式の4速ATが組み合わせられる。足回りは前がストラット、後ろがトーションビーム。タイヤは185/65R15サイズで、アルミホイールはオプションとなる。

実際の動力性能は、ほぼbBと同じと思っていいだろう。低速トルクが太く、街乗りから遠出まで必要十分。ボディが20kgほど軽くなっているから、1人もしくは2人乗車なら交通の流れをリードすることも可能だ。アンダーステアやや強めのハンドリング、150km/h巡航可能な高速性能も1.5リッターbBと同様で、動力性能にはなんら不満がない。

観音開きによるボディ剛性の低下も皆無。多少ハードにコーナーを回ってもミシリともいわない。実は、リアドア前側に太いセンターピラーが埋め込まれており、そのピラーがボディ側上下のドアロックストライカーでしっかり結合されいる。これによってbBと遜色のない側面衝突安全性能を持たせており、トヨタ独自の安全ボディ「GOA」の基準もしっかり満たしているのだ。

パワステのフィーリングもbBと同じで重め。逆に「ちょっと違うんじゃない」と思えたのが乗り心地。サスペンションが柔らかめのセッティングになっているのか、bBで感じたシャコタン的なゴツゴツとした硬さが幾分薄れている。ただしその薄れ具合はあくまで幾分であって、基本的にはまだまだ硬め。肩の力を抜いて海辺をのんびり快適にクルージングできるような、しなやかな乗り味が欲しいところ。

ここがイイ

バカらしいほどのムダさ加減。それでいてハード面はクソがつくほど真面目に作られていること。パッケージングを徹底して考え、一寸のムダもなく作られる傾向がある最近のクルマの対極に位置し、こんな痛快なことはない。クルマは役に立つものという既成概念を覆す見事なパイクカー。

助手席シートバックテーブルは高い位置で使え、ノートパソコンを置いたり、伝票を書いたりできそう。運転席に座ったまま、ちょっと身体をねじれば左側に机があるわけで、この使い勝手はたいへんよろしい。この装備は、このクルマのみならず、全てのクルマに欲しい。特に営業車には必携の装備でしょう。

ここがダメ

というわけで、苦言を呈する部分はほぼ無し。あれこれ文句を付けるタイプのクルマではない。あえていえば、装備を徹底的に簡略化した、ベーシックバージョンがないこと。改造ベース車、あるいは無印良品の出したムジカー(マーチベース)のような、徹底的にシンプルな素材車を99万8000円(エンジンは1.3リッターで可)で出すと、かなりオシャレなので、意外にバカ売れするのでは。

総合評価

ここまでお遊びに徹したクルマを作れるメーカーは現状では(余裕のある)トヨタしかないでしょう。とても売れるとは思えないだけに、(余裕のない)他社が出せるとは思えない代物。こういうクルマがもっと出れば、市場も活性化すると思うのだが、それはやはり不可能かな。

bBは昭和40年代後期のホンダの軽商用車、ステップバンを意識していると思うのだが、ステップバンにもユニークなピックアップがあり、今もマニアの間では人気がある。それを彷彿とさせるオープンデッキだが、大きな違いは4座であること。剛性の問題もあるとは思うが、ここはスッパリ2座でいくと、さらにスタイルもバカバカしさも上向くと思う。2座ならかつてのステップバンのように、サーフボードを積んでもキマリます。

 

公式サイトhttp://toyota.jp

 
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