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トヨタ ブレイド マスター G新車試乗記(第486回)

Toyota Blade Master G

(3.5L・6AT・323万4000円)

280psを得たブレイドは
ホットハッチの夢を見るか?

2007年11月10日

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キャラクター&開発コンセプト

ブレイドに3.5リッターV6を搭載

「ブレイド マスター」は、2.4リッター直4(167ps)+CVTの「ブレイド」(2006年12月発売)に、3.5リッターV6エンジン+パドルシフト付6ATを搭載した高級ハッチバック。「圧倒的なパワー、力強くゆとりある加速、優れた静粛性」をブレイドに与えるべく、07年8月1日に追加設定された。なおブレイドは、1.5リッター(110ps)/1.8リッター(136ps)を積むオーリス(06年10月発売)をベースとする上級モデルだ。

取扱いはトヨタ店とトヨペット店。マスターのみの目標台数は未発表だが、ブレイド自体は月間3000台とされている。今のところの実績は07年上半期(1~6月)が月平均3537台で、以降は7月:1784台、8月:1641台、9月:2098台と少し落ち着いてしまった感がある。

・新型車「ブレイド」を発売(2006/12/21)
http://www.toyota.co.jp/jp/news/06/Dec/nt06_063.html

・ブレイドに3.5L車を新設定(2007/08/01)
http://www.toyota.co.jp/jp/news/07/Aug/nt07_040.html

価格帯&グレード展開

直4ブレイドより50万~70万円ほど高い

FF車のみで、標準の「ブレイド マスター」が277万2000円、「ブレイド マスターG」が323万4000円。直4ブレイド(標準車:224万7000円、上級の「G」:256万2000円)に、それぞれ3.5リッター車を設定した感じだ。

標準車(直4モデルより52万5000円高)はディスチャージドヘッドライトを標準装備。「G」(67万2000円高)は本革電動シートやアルカンターラ内装のほか、レーダークルーズコントロール&プリクラッシュセーフティも備える。HDDナビはいずれも30万円前後のオプション。

パッケージング&スタイル

見た目の差別化はアスリート風グリルくらい

外寸は直4ブレイドと同じ全長4260mm×全幅1760mm×全高1515mm。マスター独自の特徴は、フロントグリルが直4ブレイドの横桟からクラウンアスリート風の特殊なメッシュタイプになったこと。他に1インチアップの17インチホイール&タイヤ、リアの「Master」エンブレムくらいだ。直4ブレイドとの判別はポイントを押さえていないと難しい。

試乗車のボディカラーは、オプション塗装の「ディープゴールドパールクリスタルシャイン」(3万1500円高)。どちらかと言えばゴールドというより茶系のパール塗装だ。マスター専用カラーというわけではない。

パドルシフトが付いた

室内も直4ブレイドとほぼ同じ世界。試乗した上級の「G」グレードは本革、東レのアルカンターラ(シート地)、人工スエード(インパネ、メーターフードなど)をふんだんに使っている。直4ブレードのステアリングは4本スポークだが、マスターは3本スポークで、左右にパドルシフトが生える。センターコンソールのパネル表面処理も直4ブレイドのメタル調塗装から、黒塗装+メッキモール付に変更されている。

キャビン全体の雰囲気もほとんど同じ。完全にフラットな後席足もと、明るいベージュ内装(本来はダークブルーが標準)など広さも上質感もまったく不足なし。荷室(容量281L)の作りも変わらない。

基本性能&ドライブフィール

パワーウエイトレシオは5.25kg/ps

マスターの3.5リッターV6「2GR-FE」(280ps、35.1kgm)は、3代目エスティマ、マークXジオ等の3.5リッター車と共通で、レクサスIS/GSに搭載された同系ユニットを、横置きに改変してデチューンしたものだ。

とはいえマスターの車重はダントツで軽量の1470kg(「G」は+10kg)。パワーウエイトレシオはIS350(車重1600kg/318ps)の5.03kg/ps、クラウンアスリート3.5(車重1620kg/315ps)の5.14kg/psにも迫る5.25kg/psとなっている。車格や価格からしてトヨタ車にあるまじき下克上の性能で、4WDでも何でもないFF車では限界に近いパワーだ。これに匹敵するスペックのFF車は「世界最速のFF車」をうたったマツダスピード・アクセラ(車重1390kg/264ps、5.3kg/ps)くらいだろう。

平和そのものだが、トルクステアはやはり出る

といった具合にスペック上はすさまじいが、そこはトヨタ車。しかも上質が売りのブレイド。乗り手を選ぶような暴力的な走りはない。実際のところトルコン6ATということもあり、何の予備知識もなければ普通の2.4リッターCVTのブレイドかと思える穏やかさで、乗り心地も含めて荒々しさとは無縁だ。

パワーステアリングは重めだが、走り出してみればステアリングも身のこなしも、サイズ相応の軽快さとなり、ワインディングも軽快にこなす。しかし重いフロントを軸として曲がっていく感覚は相当のもの。それでもアンダーはなかなか出ないし、大パワーをVSCがすべて制御しているという感じのオンザレール感は、トヨタらしい走りというものだろう。

それでも交差点からの立ち上がりや、2速-3速で走るワインディングでは、舵角が少しでもついているとパワーバンドに入ったところでトルクステアに見舞われる。緊張感が生じないレベルには抑えこんであるが、同クラスのFR車(当然ながらトルクステアは一切ない)に比べて水を差さされる感はやはりある。

パドルを引けば変速するはずだが

実際には、街中ではアクセルを踏み込もうにもパワーがあり過ぎて高回転まで使うチャンスはほとんどない。その一因が、2速からパドルを引いても1速になかなか落とさないシフトプログラムだ。従来のトヨタ車はマニュアルモードを選択しないとパドルが有効にならなかったが、ブレイドマスターでは初めて「Dレンジでもパドルを引けば即、変速」という制御になっている。しかしある程度スピードが出てしまうと、パドルを引いてもシフトレバーを引いても「ピピッ」と警告音が出るだけで、操作を受け付けてくれないことが多々あった。

オーバーレブしない状況でもそうであることから、これは過回転防止というより、過剰なパワーを抑えるのが目的だろう。確かに、2速でもあっという間に100km/hまで加速してくれるから、なにも中間加速で1速にわざわざ落とす必要はないのだが、現実には「280psを味わえない」ともどかしさが残ってしまう。特に高回転域の快音や滑らかさが身上の「2GR-FE」の場合はなおさらだ。

高速巡航にはもってこい

重厚感と、有り余るほど余裕のある高速クルージングが可能。180km/hまではあっという間で、100km/h巡航はおよそ1800回転で粛々とこなす。「G」はレーダークルーズコントロール(とプリクラッシュ)が標準なので、高速巡航にはもってこいだ。本来ならもっと高い速度域で走りたいところだが、120㎞/hあたりからは風切り音も高まり、トヨタのトップグレードセダンにある静粛性や速度感のない走り味は感じられなくなる。2.4のブレイドよりノイズが気になるのはなぜだろう。ブレイドにV6が載ればさらにいいと思っていたが、いざ現実のものとなると、同じエンジンを載せる上級セダンとついつい比較してしまい、ちょっと辛口になってしまう。やはりこのボディに3.5リッターは荷が重いのかもしれない(実際の重さは巧みにカバーされているが)。

今回はいつものパターンで約230kmを試乗。車載燃費計による参考燃費は7.4km/L。満タン法ではプレミアムガソリンをおおよそ5000円分(約32L)飲み込み、約7km/Lとなった。大排気量の割に良かったのは車重の軽さ以上に、アクセルを踏み込むチャンスがなく、またそういう気にもなりにくい性格ゆえか。10・15モード燃費はオーリス180G:16.8 km/L、ブレイド:13.4km/Lに対して、10.2km/Lと相応に低下する。

ここがイイ

とりあえず日本初ともいえる「小さな高級車」を目指していること。高級車はやはりV6でなくては。ということも含めて、過剰さをつつしむトヨタ車にあって稀有の、ある種「意味のない過剰さ」満載であることは素晴らしいと思う。

快音のV6。CVTかと思うほどスムーズな6速AT。さらにトヨタ初となるパドルを引けばすぐマニュアルモードになるプログラム。今後は全車これになることを願う。

コンパクトなハッチバック車にして、レーダークルーズコントロールとプリクラッシュが装備できること。この件、詳細は以下で。

ここがダメ

かなり期待して乗ったが、絶対的な加速を除いて、直4ブレイドより明らかに優れていると思える部分が少ないこと。快適性、静粛性においても、なんら直4で不足なく、ワインディングでは直4ブレイドの方がむしろ速く走れそうな感すらあり。燃費に関しては言うまでない。

3.5リッターV6と豪華内装、価格もそれなりという「高級車」なのに、街中で目を引かないのはちょっと悲しい。最高級小型ハッチバックということが一目で分かるアイキャッチが欲しいところだ。試乗車のボディカラーも地味めでいまいち。こういうコンセプトのクルマこそ、グリルで勝負すべきだが、トヨタブランドのグリル力の弱さが露呈している(新型メルセデスCクラスのような巨大トヨタマークなどいかが?)。

オーリス譲りのインテリア骨格と人工スエード表皮とのミスマッチ感。シートの本革の質感もいつものトヨタ車並み。天井のマークX風ライトには確かにトヨタ的な高級感があるが。ウッドパネルを多用して、革と木のスタンダードな高級感を出した方が分かりやすく、売りやすいのでは。

総合評価

いわゆる「一番高いヤツ」

マーケティング的にはこのクルマ、高級大型セダンからのダウンサイザー狙い。その場合「一番高いヤツを持ってきてくれ」という高級セダン客の商談パターンには、なるほどブレイドマスターがぴったり。直4ではちょっと厳しいという営業マンの声が、このクルマを作らせたのだろう。高級車(例えばセルシオあたり)に乗ってきて70才近くになり、今後は小型のクルマに気軽に乗りたいと思ったとき、V6のブレイドマスターなら心理的にも満足できるはず、という計算だ。確かにそうした人に勧められるクルマはこれまで日本にはなかっただけに、セグメントをトヨタ車で埋め尽くす狙いとしては悪くない。V6の記号性で上級セダンからの乗り換えが、今後さらに増える可能性は確かにある。

「ハイテクオーリス」に期待

そういう人に、パドルシフトやレーダークルーズコントロール付の「G」は必要ないと思われる。しかし「一番高いやつ」の「G」にはついている。その意味で「G」は、一見不要に見えるハイテクを普及させるため、まずは高級車の標準装備として売るというレクサスと同じ展開を、トヨタブランドでも行っていることになる。普通の小型車カローラにはレーダークルーズの設定があるが、たぶん見向きもされていないはず。オーリスには設定がなくブレイドにはあるが、やはり直4ユーザーは価格にシビアだから必要のないオプションはつけないだろう。しかしV6の客なら…。

いつもの話で恐縮だが、各種ハイテクをブレイドGに載せることができたということは、オーリスにも載せられるはずで、レーダークルーズコントロールとプリクラッシュが約30万円だから、162万円ほどのオーリス1.5ならその他いろいろつけても250万円未満で納まるのでは。高級感でなく、まして走りでもなく、「ハイテク装備が売り」の小型車オーリスを出せば、それなりに話題性があるはず。なので、例え売れなくても、宣伝効果だけで十分もとをひくのではないか。登場を期待したい。

試乗車スペック
トヨタ ブレイド マスター G
(3.5L・6AT・323万4000円)

●初年度登録:2007年08月●形式:DBA-GRE156H ●全長4260mm×全幅1760mm×全高1515mm ●ホイールベース:2600mm ●最小回転半径:5.5m ●車重(車検証記載値):1480kg( 970+510 ) ●乗車定員:5名 ●エンジン型式:2GR-FE ● 3456cc・V型6気筒・DOHC・4バルブ・横置 ● 280ps(206kW)/ 6200rpm、35.1kgm (344Nm)/ 4700rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L ●10・15モード燃費:10.2km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前ストラット/後ダブルウイッシュボーン ●タイヤ:225/45R17( Bridgestone Potenza RE050A )●試乗車価格:356万8950円( 含むオプション: HDDナビゲーションシステム+ブレイドライブサウンドシステム+バックガイドモニター+ETCユニット 27万9300円、インテリジェントパーキングアシスト 2万4150円、オプション塗装<ディープゴールドパールクリスタルシャイン> 3万1500円 )●試乗距離:約220km ●試乗日:2007年10月

トヨタ>ブレイドhttp://toyota.jp/blade/

 
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