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BMW 320i新車試乗記(第365回)

BMW 320i

(2.0L・6AT・399万円)

2005年05月14日

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キャラクター&開発コンセプト

5代目に進化したBMWの主力モデル

初代3シリーズ(E21)は1975年に登場。以来、E30、E36、E46と代を重ね、5代目となったのが今回のE90型だ。日本では2005年4月に発売された。下に1シリーズ、上に5と7シリーズがある今も、BMWの最重要車種であることに変わりはない。先代(1998~2004年)は全世界で300万台以上が販売されたという。2004年の輸入車販売台数でも、VWゴルフ(2万6218台)の次に多かったのが、モデル末期にもかかわらず先代の3シリーズ(1万7589台)だった。

新型には、すでに1、5、6各シリーズに投入済みの新技術が与えられた。6気筒を含む全エンジンにBMW独自のバルブトロニック技術を採用し、5シリーズで先鞭をつけたアクティブステアリングもオプション設定。シャシーの基本設計やパワートレインの一部(2.0リッターエンジン+6AT)は、1シリーズと共有する。

価格帯&グレード展開

400万円台から600万円あたり

日本導入モデルは「320i」(6MT:388万5000円、6AT:399万円)、「325i」(525万円)、「330i」(625万円)。

従来の320は直列6気筒だったが、新型では4気筒だ(今回からモデル名と排気量がちゃんと一致している)。「シルキーシックス」(絹のように滑らかと言われたBMW6気筒の俗称)が欲しいなら、325i以上が必要だ。

パッケージング&スタイル

万人向けのデザインに

ボディサイズ(カッコ内は先代比)は全長4525mm(+50)×全幅1815mm(+75)×全高1425mm。特にワイド化が著しいが、スタイリングはシャープでコンパクトに見える。5シリーズの流れを汲む複雑なデザインだが、全体的にはキープコンセプトで万人受けするものだ。

物議をかもした7シリーズから5シリーズ、3シリーズと新しいモデルが出る度に大人しくなっていくのは戦略なのか軌道修正なのか。販売サイドからすれば安心できるデザインだ。エクステリアは日本人の永島譲二氏(現BMW AGの社内デザイナー)が担当している。

ホイールベースは先代から35mm伸びて2760mmに。フロントオーバーハングの短さがBMWのカッコよさの素だ。瑣末ながら、ルーフアンテナやリアワイパーといった突起物がないので、洗車機に掛ける時は便利だ。夜間はキーレスを操作しながら近寄ると、ドアノブのあたりにLED照明が点灯する(320iはオプション)。

1シリーズより1ランク上

室内はベースが同じ1シリーズより広く感じるが、全幅1815mmの割にはタイトな印象。400万円にしては色気はないが、質感はまずまず。エンジンの始動方法は1シリーズと同じで、キーをステアリング左のスロットに差込み、上のプッシュボタンでエンジンを始動する。

試乗車にオプション装備されていたスポーツシートは、レカロやフルバケットシートに慣れた人にもお勧めできる優れもの。電動サイドサポート付きで、腰のホールド具合をお好みで調整できる。純正ナビの付いていない試乗車に、例のiDriveコントローラーは付いていない。使いやすいとは言いがたい物だが、無ければ無いでちょっと淋しい。

プラス100mmの余裕

ボディを大型化したのは、歴代3シリーズの欠点だった後席の狭さを解消するのが目的だ。そのかいあって、居住性はほぼ不満ないものになった。スペースは十分で閉塞感も少なく、立派なシートは腿のあたりをしっかり支える。乗り降りも無理がないから、後席にお年寄りを乗せても大丈夫だろう。1シリーズより100mm長いホイールベースが、そのまま後席の余裕になっている。

全車ランフラットタイヤが標準装備なので、スペアタイヤはない。おかげでボディ後半を絞り込んだ割にトランクは先代より広くなり(440L→460L)、床下の小物入れも大きい。カーペットを張り巡らした丁寧な作りで、見た目や静粛性に気を配っている。

基本性能&ドライブフィール

5より1に近い320i

試乗車は最もベーシックな320iの6AT(399万円)。さらに126万円追加すれば6気筒の325iが手に入るが、価格的には一番身近な3シリーズだ。エンジンはスロットルバタフライを排除したバルブトロニックの2リッター4気筒(150ps、20.4kg-m)で、120iと基本的に同じユニット。車重は1460kgと、120iより100kgも重いから、全開加速は大人しい。パワーというよりは、バランサー付きで低回転から高回転まで滑らかなのが魅力の、実用的なエンジンだ。パワーユニットが共通なので、少なくとも320iの運転感覚は5シリーズよりも1シリーズに近い。

驚くほどソリッド

新型になって剛性アップしたのは当然だが(ねじり剛性は従来比で25%アップという)、それにしてもこのソリッド感はすごい。オプションの17インチのランフラットタイヤ、スポーツサスペンション、スポーツシートといった「遊びの少ない」装備が集まったせいもあるが、まるでかつてのポルシェのように金庫みたい、と言いたくなるレベル。これに比べると、世の中の多くのクルマはゴム製か木造か、というくらいだ。ドイツ車のボディ剛性の向上に際限はない、という気がしてくる。

ハードな17インチランフラット

おかげで、滑らかな路面ならともかく、荒れた舗装だと乗り心地はそれなりだ。剛性が高いのでバタンとかブルンとかボディが振動することはないが、不整や凹凸はボディを通してダイレクトに体を揺さぶってくる。オプションサイズのランフラットタイヤ(試乗車の後輪は330iの標準仕様よりも太い255/40R17)の影響がどれくらいか不明だが、一般的には標準の16インチ(同じくランフラット)の方が無難だろう。ただ、このスポーツサスペンションだと「ものすごくソリッドなものに乗ってる」感=スペシャル感がより強いのは確かだ。

この足回りが生きるのはやはり超高速走行。アウトバーン的な速度域を生き生きと疾走するのを味わってこそ、このボディと足回りの存在意義が理解できる。メーカーによれば320iでも最高速度は215km/h(6MTは220km/h)。非力なエンジンパワーをフラットアウト(アクセル全開)で引き出すのも「駆けぬける歓び」の一つか。

ここがイイ

今回の試乗は話題の6気筒ではなく4気筒モデルだったが、とにかく第一印象が良かった。夜に試乗したのだが、ロックを解除するとドアグリップがかなり明るく光る。あざとい演出と言えなくもないが、スペシャル感が心を躍らせる。オプションのスポーツシートの掛け心地はバツグンにいい。小柄な人でもポジションはぴたりときまる。走り始めれば、踏めば踏むだけ加速するし、ブレーキのしっかり感もいい。ステアリングがやや重いが、それがかえって運転への意識を持たせてくれた。クルマは第一印象の良さが重要だと思う。

最近のBMW色を薄味にしながらも、端正なエクステリアデザインがいい。特有のエグさは薄まっているから、普段着ならぬ普段車として目立たずに使える。さすがに7シリーズのような押し出しが通じるクラスではないゆえ、普通の人が買ってみてもいいか、と思えるデザインが好ましい。

スタイリングはおとなしいし、室内もそう上質ではなく、i-Driveどころかカーナビすらない試乗車だったが、それゆえ、BMW本来の基本性能、素(す)の良さがある。シャシー、エンジン、パッケージングなど高次元で見事な調和がとれている。つゆ無しで、蕎麦を味わう感じだ。シャシーのしっかり感は高速巡航時にしっかり認識できるし、足回りのしなやかさは、それこそ100m走っただけでもわかる。何よりタダの2リッター4気筒がいい。走り屋(BMW乗りには多いはず)にはまったく物足りない動力性能だが、街中から高速まで普通の人に物足りなさを感じさせない見事なチューニングだ。もう少し加速したいというシーンでも、アクセルさえ踏めば6速を活かしてギアとエンジン回転をちょうど良く制御してくれる。

ワインディングでも安全に気持ちよく楽しめる。パワーがあると2速あるいは3速固定で走ることになるコースも、2速が吹けきってしまうので、けっこうテクニカルだ。パワーで姿勢を変えるなんてワザはとても使えないが、オンザレールで走る限り、スポーツカー感覚を味わわせてくれる。これが2リッターのセダンなのだからもう十分だ。2リッター車には貴重なMT車が用意されるが、ATでこれだけ楽しめるのだから、それもさりありなんというところ。欧州ではディーゼルターボ(320d)が主流なくらいで、このあたりのパワー感こそ3シリーズ本来の姿なのだろう。むろん高速巡航性能はドイツ仕様だから、まったくもって不満がない。

販売戦略的な価格設定も評価できるところ。2リッターでほぼ400万円というのは安くはないが、先代と比較すると6速やらアルミやら、電動シートやらカーテンエアバッグやらがついているので、実質値下げ。スタイリング、存在感、ブランド力を総合すれば、かなりいい買い物になると思う。クルマ好きは6気筒を選べばいい。

乗り心地が悪い、とさんざん批判されながら、ランフラットタイヤ(パンクしても最長250kmを最高80km/hで走行可能という)を全車へ徹底的に導入してしまうBMWの姿勢。良い悪いのレベルを越えて、今後の方向性を示していることは素晴らしい。21世紀になってもパンクに悩まされることがあるとは昔は考えもしなかったが、それがやっと進歩しはじめたわけだ。特に女性ドライバーの比率が高いこのクラスならではの見識だろう。

純正オーディオに外部入力端子と12V電源ソケットがあるのも見識(アームレスト部分)。12Vでなく100Vだともっと良かったが、i-pod時代にちゃんとついてきているのはさすが。

ここがダメ

足は固めながらしなやかという理想的なものだが、シューズがイマイチ。つまりサスペンションの良さをランフラットタイヤがぶちこわしていることは否めない。路面への当たりのゴツゴツ感は誰でも感じることができるだろう。

エンジン始動までの手順もとまどう。ステアリング左側のリモコンそのものを差し込むスロットとスタートボタンが、ステアリングの影になって見にくく、しかも左手なので操作しにくい。このレイアウトだったらスマートキー(インテリジェントキー)が大前提だ。早急に全車採用を望みたい(スマートキーはオプション)。

乗っている限り、幅の広さは感じないが、サイズがどんどん大きくなる傾向はあまり好ましくはない。1もある、2も出るというラインナップ整備の中で、今や3シリーズは小さいクラスではないが、3というイメージからすると大きすぎ。立体駐車場捜しに苦労するかも。

総合評価

FR、直6(試乗車は4気筒だったが)にこだわるBMWは、RR水平対向6気筒のポルシェのような特殊な存在のメーカーといっていいだろう。合併・再編にとまどう各メーカーを尻目に、独自の道を行くBMWはかつて一番先が見えないメーカーだったのに、いまや結果として再編危機を乗り切ってしまった。企業(製品)アイデンティティを維持する事が、熟成した生産業では最も重要、ということを身をもって示したと言えるだろう。

というのも、3シリーズはFRだから気持ちがいいのではなく、BMWの目指すレベルが高いから気持ちいいわけで、極端に言えばFRであることは一種の記号性にすぎない。とはいえ、そこを製品アイデンティティとして主張できることが同社の強みだ。レクサスISがFRを主張する傍らで、「BMWは昔からFR一筋。歴史が違う。直6だってあります」というセールストークはBMWにしかできない。これこそが3シリーズ最大の付加価値と言えるだろう。

試乗車スペック
BMW 320i
(2.0L・6AT・399万円)

●形式:ABA-VA20●全長4525mm×全幅1817mm×全高1424mm●ホイールベース:2760mm●車重(車検証記載値):1460kg (F:‐+R:‐)●乗車定員:5名 ●エンジン型式:‐●1995cc・直列4気筒DOHC・縦置●150ps(110kW)/6200rpm、20.4kgm (200Nm)/3600rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/‐L●10・15モード燃費:‐km/L●駆動方式:後輪駆動(FR)●タイヤ:F:225/45R17、R:255/40R17(BRIDGESTONE POTENZA RE050A II RFT) ※オプション装備●価格:399万円(試乗車:‐万円 オプション:ダイナミックパッケージ<スポーツサスペンション、バイキセノン・ヘッドライト、マルチファンクションスポーツレザーステアリング、スポーツシート、ライトパッケージ〔ドアハンドル照明、リーディングライト等〕、ダブルスポークスタイリング・17インチホイール〔F:8J、R:8.5J〕&ランフラットタイヤ〔F:225/45、R:255/40〕、電動リアウインドウローラーブラインド ‐万円)●試乗距離:約200km ●車両協力:Nagoya-Minami BMW

公式サイトhttp://www.bmw.co.jp/Product/Automobiles/3/

 
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