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VW ボーラ V5新車試乗記(第100回)

Volkswagen Bora V5

 

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1999年11月26日

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キャラクター&開発コンセプト

ゴルフIVベースの4ドアセダンがボーラだ。ゴルフI /II 時代がジェッタI /II 、ゴルフIII 時代がヴェントという名称だったセダンの4代目にあたる。開発コンセプトは「プレミアム・コンパクト・セダン」で、これまでゴルフと横並びだった車格を、ゴルフとパサートの中間まで引き上げるのが目的だ。

日本人にとってあまり響きの良くない「ボーラ」という車名は、従来モデルと同じく風の名が由来となっている。今回は「アドリア海を吹く風」だそう。このシリーズはヴェント(弁当)といいボーラ(鯔)といい、何だか車名で損をしている感じだ。アメリカではずっとジェッタ(ジェット気流)で、日本もその方がいいと思うのだが。

価格帯&グレード展開

トランクはサービス品? ゴルフと同じ価格

日本仕様は2リッター直4もしくは、ユニークな形式の2.3リッターV5エンジンに4ATを組み合わせたもの。全車、右ハンドルだ。グレードは2リッター直4の「標準仕様」、2.3リッターV5の「V5」の2種類。価格は「標準仕様」がゴルフGLiと同じ270万円、「V5」は55万円高の325万円だ。

全車オートエアコン、MDオーディオ+8スピーカー、ウォールナットパネル、サイドエアバッグを標準装備。本革スポーツシート(シートヒーター付き)、3本スポーツステアリングなどがV5の専用アイテムとなる。2車の外観上の違いは、グリルの「V5」エンブレム、アルミホイール意匠、タイヤサイズぐらいだ。

なお、2リッターエンジン(116ps/5200rpm、17.3Kg-m/2400rpm)は一時、カタログ落ちとなった直4・SOHC型で、吸排気系などを新設計して復活させたもの。先頃、ビートルやゴルフなどにも搭載され、従来の1.8リッター直4は消滅している(かなり、うるさかったのでしかたないだろう)。

パッケージング&スタイル

アウターパネルはすべてボーラ専用

ゴルフIV のプラットフォームを使うボーラのボディサイズは、全長4375mm×全幅1735mm×全高1445mm、ホイールベース 2515mm。ゴルフと比べて220mm長く、10mm低いが、それ以外は同値だ。黒塗り処理をあえてしていないBピラーやハイデッキが象徴するように重厚感があり、丸いルーフラインは小型パサート風だ。

地味という点ではジェッタ、ヴェントと共通するが、外板を全て専用とするボーラのスタイルは、いかにもゴルフにトランクを追加しただけ、というものではなく、かなりオリジナリティがある。ただし、新型モデルとしてのインパクトは希薄。ゴルフのようなデザインパワーも感じられない。上級セダンとしてアピールするのならもう少しわかりやすい色気が欲しかった。

高級感はパサート級、居住性はゴルフ級

異常なぐらいに精度を高めた樹脂パーツそのものは、ゴルフIV と変わらないものの、ウォールナットパネルを多用して豪華さを強調。試乗車は日本上陸記念モデルということで、レカロ社製の黒革シートが装備されていたが、標準仕様では内装カラーにベージュが選べる。夜間照明はゴルフIV と同じく、鮮烈なブルー。視認性は抜群だが、でもこれ、はっきりいって目に馴染まない。もう少し控え目な色が選べるといいのだが。

高めのシートポジションでも(シートにはリフターがつく)ヘッドクリアランスには余裕があるが、後席の足元スペースはゴルフ同様で狭い。前に足の長い人が乗ると、リアの足元は本当にミニマムになってしまう。室内の最大の問題点はここだ。また、歴代モデルは広大なトランクが売りだったが、ボーラのそれは先代の500リッターから455リッターへと縮小されている。

基本性能&ドライブフィール

スペック以上にパワフルなV5

試乗したのは「V5」。日本初登場となった2.3リッターV5は、ゴルフIII のVR6やシャラン用の狭角V6エンジンをベースに1気筒取り去り、可変吸気システムを組み込んだもの。最高出力は150ps/6000rpm、最大トルクは20.9Kg-m/3200rpm。6気筒の滑らかさと4気筒のレスポンスを両立させた、というのが特徴らしい。気合いが入った新エンジンらしく、エンジンカバーのデザインや配線も凝っている。2300rpm~5300rpmの広い回転域で最大トルクの90%以上を発揮するというだけにあって、加速はスペック以上に力強く、かつ繊細で滑らかだ。エンジンの回り方もまさに4気筒と6気筒の中間を行く、独特な印象だ。

ゴルフより明らかに格上のボディ剛性

3BOXになったことで、振動や騒音面は明らかにゴルフより上回っている。堅牢なボディに磨きがかかり、ドアの閉める音も随分ズッシリ。乗った瞬間に硬質な雰囲気が伝わってくるほどだ。だからといって乗り心地は決して硬すぎず、段差の受け止め方はソフトでフラット。足回りはゴルフIV と共通で、前がストラット、後ろがトレーリングアーム。V5のタイヤサイズは205/55R16だ。ややバタバタとしたロードノイズが気になるものの、乗り心地に影響はない。このしなやかな快適さは、以前乗ったゴルフIV にはなかったものだ。

シャープで軽快な身のこなしは、セダンというよりもむしろスポーティカー。小径でグリップの太いステアリングがそれをより強調している。ステアリングやペダルのフィーリングもドイツ車のイメージからすれば軽く、市街地では扱いやすい。気になるのはタイヤの接地感がやや薄いことくらいだ。

ここがイイ

新しいV5ユニット。これだけでゴルフIV とは全く違う乗り物に感じさせてしまう。その豊かな低速トルクは実際のパワーを忘れさせてくれるもの。高回転まで回してもパワーは出ないし、おもしろくない。実用域でオイシイエンジンだ。

ここがダメ

後席の狭さ。アームレストも大きく、座り心地も良く、ヘッドレストや引き出し式のバイザーもあるのだが、ここに座ってしまうと、やはりゴルフにトランクを追加しただけという感じがしてしまう。まぁ、この後席の居住性は、1ランク上のパサートとの棲み分けとして納得するしかないだろう。

総合評価

パワーの出方、ほどよく聞こえてくるエンジン音、パサート以上にも感じられる高級感、高い品質など、全てが見事に完成しており、非常に好感が持てる正統派セダンだ。トランク付きゴルフという域は完全に超えた存在なのは間違いない。「プレミアム・コンパクト・セダンか、ウンなるほどねぇ」と誰もが納得できてしまうだろう。アウディのエンブレムが付いていても不思議ではないほどで、価格を考慮しても見事な仕上がりのセダンだ。

ただし極めて地味で目立ちにくいので、対外的なプレミアム感がないのはつらいところ。もしこのままでアウディというエンブレムに付け替えたとすると、上乗せ価格100万円でも誰も文句は言わないだろう。プレミアム感と引き替えにお買い得感を得るわけだが、それが納得できるか、だ。

また現在の日本車にはこういう硬質で、完成度の高い高級ミディアムセダンは見当たらない。その意味では、まともなセダンが欲しいと思ったとき、候補のトップに上がってくるはず。真面目に長くつき合うにはたいへんいい選択肢といえる。

 

公式サイトhttp://www.volkswagen.co.jp/

 
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