Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > フィアット ブラビッシモ

フィアット ブラビッシモ新車試乗記(第19回)

Fiat Bravissimo

 

1998年04月10日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

カーデータ

●カテゴリー:ミドルクラス3ドアハッチバック
●クラス(排気量):1580cc
●キャラクター:イタリアならではのセンスで仕上げられた2ボックスハッチバック。'96年にヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞した、欧州では評価の高い小型車だ。
日本では三菱のブラボーと商標がぶつかりブラビッシモ(ブラボーの最上級型)と車名を変えているが、右ハンドル+ATという仕様のみで、日本市場をかなり意識したモデルといっても差し支えないだろう。
●コンセプト:ヨーロッパ市場ではブラーボと呼ばれるこのクルマは、ティーポ後継となるフィアットの代表モデルで、Cセグメントと呼ばれるミッドレンジに属する。ライバルとなるのはオペル・ベクトラ、VW・ゴルフなどで、幅広い層をターゲットとした世界戦略コンパクトカーだ。
●注目度:マスユーザーをターゲットにした「フィアットの世界戦略車」ゆえ、スタイル的にもこれぞイタ車というインパクトに欠ける。日本でも年間販売台数を600台と控えめな数字にしており、ほとんど注目されていないのは残念。
●特筆装備:良くも悪くも誰でも乗れる右ハンドル+ATのみの設定。600台を買う「尖った」人たちには売りづらいのでは。デュアルエアバッグ、ABS、エアコン、パワーウインドウ、カセットステレオなどの日本で最低限必要と思われる装備はむろんすべて標準装備される。
本国イタリアでは1.6リットルエンジンの他に1.8リットル、2.0リットル、1.4リットルの設定があり、日本に導入するにあたっては通常なら最上級グレードを導入するのが定石だが、あえて中間グレードを導入したのは珍しい。価格を抑える意味が大きいと思うが、小さなエンジンをフルに使ってこそクルマの真の魅力が現れるイタ車だけに、これは賛成できる。
●燃費:市街地モード燃費8.9km/リットル(カタログ値)
●価格・販売:右ハンドル設定、フル装備の状態で205万円。本格的な日本仕様のイタ車としては頑張った価格といえる。

スタイル

デザイン王国イタリアという先入観で一見すると「さすがイタリアのデザイン」という印象はちょっと薄い。しかしよくよく見るとフェンダーの張り出し具合や強く絞り込まれたフロントマスクなどウェッジシェイプが強調され、かなり個性的。1755mmと3ナンバーサイズになる全幅と相まって、日本車にはない独特の存在感を醸し出している。特にテールライトから流れるフェンダーデザインの処理はグッとくるものがある。

ただ、フロントビューではバンパーに取り付けられた大きな黒いヘッドライトウォッシャーが、デザインを台無しにしているのではないだろうか。日本ではどうせ必要ないのだから、無いほうがよっぽどすっきりしていていい。なお、本国ではオプション設定されている。まあ、全体のスタイリングに関しては好き嫌いがはっきりと分かれそうだが、アクの強さが若干残っているのはイタ車の面目躍如だ。

パッケージング

有機的な曲面基調のエクステリアデザインなのでスタイル重視のパッケージングと思いきや、コンパクトカーのパッケージングのツボは押さえてあり、大人4人が座るには十分以上の広さを確保している。全幅が1755mmもあるから当然といえば当然なのだが。

内装(質感)

photo_3.jpgアートっぽさ漂う造形となっており、収納ボックスと思いきや開けてみると2分割された灰皿が出現したり、ドーム型のルームライト、ダッシュボード上部にも配置されたエアコンの吹き出し口など、イタリアならではの遊び心が感じられる。ただプラスチック類のクオリティは日本車にはちょっと及ばない。全体的にはかつてのワケがわからないほどパワフルなラテンテイストは薄らいで、ごくオーソドックス。

品質感、使い勝手も日本車レベルに近づいたなあと感心していたが、ふと足元を見るとアクセルペダルがポロリ…

シート・ステアリング・シフト感触

本革でないものの太いグリップのステアリングは、やや重めの感触で手応えあってスポーティー。ノーマル、スポーツ、アイスの3つのモードを持つアイシン製電子制御4速ATは、N-D-3-2がフリーとなっているので、積極的にシフトチェンジが楽しめる。

動力性能(加速・高速巡航)

もっさりとした加速であるものの、トルク感は十分にある。低回転域ではシャープさに欠るエンジンだが、グイッとフルスロットルにして高回転まで回してやれば、たちまち元気になり、イタ車独特の軽快な走りは忘れていないようだ。ただ、キックダウンはかなり奥までアクセルを踏む必要があり、街中でノロノロ運転をする際にはギクシャクしてしまうのはちょっと辛い。

スポーツモードに切り替えると、公道ではほとんど2速のままで、シフトチェンジが行われず、100km/hでやっと3速へ。そのまま巡航は3速でこなしてしまうという、実にすごいプログラム。こんなATは初めて。かなり限定した状況でしか使えないが、イタ車の元気な走りを楽しむには、悪くない設定といえるのでは。

ハンドリング・フットワーク

クイックとは言えないが、前述のATで中速でワインディングを走ると、結構楽しい。もちろん速いとか、限界性能がどうのというレベルでなくごく平和な走りだが。

乗り心地

パワートレーンのバイブレーションがステアリングやシートに伝わり、おせじにも快適性に優れているといえない。新車のせいもあると思うが、ハーシュネスもきつめで、いわゆるかたい足に感じられた。しかし、こういったマイナス要素も「クルマの走りが体に伝わる」という発想に置き換えれば、ブラビッシモの味となってくるのだろう。静かで快適ばかりが価値ではないのだ。

騒音

ロードノイズがかなり騒々しく聞こえる。

安全性

ヨーロッパの衝突安全規制をクリアした強化ボディシェルを採用するとともに、デュアルエアバッグ、ABSを標準装備する。欧州では盗難が多いということから、このクラスにもイモビライザーを採用した盗難防止装置が標準となっている。また、強い衝突を感知すると自動的にバルブが閉じ、燃料の流出を防ぐといった火災防止システムも標準装備されている。

環境対策

ヨーロッパの排出ガス規制「EECフェーズ2」をクリアしている。最新型の欧州車はほぼ、この規制をクリアしているといって間違いない。。

ここがイイ

インターナショナルな作りとなって、誰でもが安心してイタ車を楽しめるようになったこと。といって、個性がなくなったのでなく、あちこちにイタ車のセンスが残っている。免許取ったばかりの女の子が、カローラ2の代わりに買っても何ら不都合がないと思われる。

ここがダメ

いわゆる「女・子供仕様」ではイタ車好きにとっては食指が動かないこと。左ハンドル、MTのホットハッチ仕様が出れば買う人が出てくるかもしれない。ただそうしたことで、絶対台数が減る可能性もある。600台は微妙な数字だ。

総合評価

photo_2.jpgデザイン的には割に凝っているエクステリア、インテリアとしながらも「どうだ、これがイタリアンセンスだ」という斬新さは薄れており、なんだか中途半端なイタ車になってしまった感じを受ける。もちろんそうした個性の薄さでかえって万人にうけ、欧州で売れているのだとすれば、メーカーとしてはしてやったりというところだろう。とはいえそれを日本市場で展開してうまくいくかは微妙。ブランド好きの日本人にはちょっと違った個性をブランドイメージとしてぶつけていった方が売り易いようにも思える。

お勧め度(バリューフォーマネー)

右ハンドル、AT、フル装備、日本車から乗り換えても全く不満のないイタ車が205万円なら悪くないところだが、エンジンが1.6リットルということを考えると国産車どころか輸入車のなかでも割高感がでてしまう。とはいえ、もうドイツ車では当たり前すぎてイヤ、「何乗っているの?」「イタ車よ」とお洒落に気取ってみたい女性にはお勧め。

 

 

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 
 

最近の試乗記一覧