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ボルボ C30 2.4i Aktiv新車試乗記(第476回)

Volvo C30 2.4i Aktiv

(2.4リッター直5・5AT・285万円)

1800ES、480に続く
久々の異色3ドアハッチは
プレミアムかつ
ちょっぴり懐かしい味がした!

2007年09月01日

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キャラクター&開発コンセプト

ボルボ久々のコンパクトクーぺ


(photo:Volvo Car Corporation)

2007年7月1日に日本で発売(予約注文受付スタート)されたC30はボルボ久々のコンパクトクーぺ。3ドアハッチバックだが、斬新なクーペ風デザイン、フル4シーターのパッケージング、ボルボ上級車と同じ品質感やメカニズムを備えている。

ベースは04年5月に日本に導入されたS40/V50系。自然吸気2.4リッター直5もしくは2.5リッター直5ターボと5速ATも、基本的に共通だ。

 

特徴は何と言っても、ガラス製テールゲート付きのリアビュー。スタイリング的には2001年の東京モーターショーに出展された安全コンセプトカー「SCC」(Safety Concept Car、写真右上)が原型と言える。さすがにスケルトン・トラス構造のAピラーや観音開きのリアドアは実現されていないが、全体の雰囲気をよく残している。

また、2005年の3人乗り電気自動車コンセプトカー「3CC」(写真右下)は、C30の未来像といったところか。

ボルボ個性派クーペの歴史


(photo:Volvo Car Corporation)

ワゴンのイメージが強いボルボにあって歴史的な名車となっているのが、流麗なスタイリングの2+2クーペ「P1800」(1960~73年)だ。モデル末期に追加された2ドアワゴンモデル「1800ES」(1971~73年)のガラス製ハッチやスポーツワゴン風スタイルが、今のC30に受け継がれている。

 

(photo:Volvo Car Corporation)

80年代の「480」(1985~95年)はさらにキャラクター的に近いモデル。前輪駆動(ボルボ初)、1800ES風のガラス製リアゲート、3ドア・4シーターなどの共通項に加えて、ボルボ初の(そしておそらく最後の)リトラクタブルライトを備えていた。日本へも一時期、正規輸入された。

価格帯&グレード展開

285万円から300万円台まで

3グレード構成で、自然吸気2.4リッター直5(170ps)のベースグレード「2.4i Aktiv(アクティブ:Activeのスウェーデン語)」、上級グレードの「2.4i SE」が348万円、そして2.5リッター直5ターボ(230ps)の最上級グレード「T-5」となる。変速機は全車アイシンAW製5AT。ボルボにとってはVWやBMW(1シリーズ)、MINIなどと競合できる待望の200万円台モデルだ。

これ以外にC30日本導入記念モデルとして「T-5 Sport Design」も70台限定で用意された。これは18インチホイール、BLIS(ブラインド・スポット・インフォメーション・システム)などを標準で備えたクラスレスな豪華バージョンだ。

2.4i Aktiv (285万円) ★今週の試乗車
■2.4i SE (348万円)
■T-5 (387万円)
□T-5 Sport Design (439万円)※70台限定

パッケージング&スタイル

リアに向かって絞り込む

C30のポイントはとにかく後ろ姿だ。ブラックアウト気味になったガラス製リアゲート、ボディ後端に向かって深く絞り込まれたサイドウインドウが面白いが、これらの特徴は1800ESにも見られる。ルーフは昔のホンダCR-Xやインサイトほどではないがスラントしており、ファストバッククーペ風に見せている。

全長と横幅はゴルフと同等

スリーサイズは全長4250mm×全幅1780mm×全高1430mm。リアオーバーハングがセダンのS40より220mm、ワゴンのV50より265mm短いが、ボディ前半部の骨格やホイールベース(2640mm)は同じだ。現行(5代目)VWゴルフやトヨタ・ブレイドと比べると全高が10センチほど低いのを除けば、ほぼ同じサイズ。ただし上屋が小さいのでもっとコンパクトに見える。

  全長×全幅×全高(mm) ホイールベース(mm)
ボルボ C30 4250×1780×1430 2640
VW ゴルフ(V) 4225×1760×1500 2575
トヨタ・ブレイド 4260×1760×1515 2600

フェンダーやバンパーに付く黒い樹脂の縁どりがアクセントになっているが、それが気にいらなければオプションでメタリック系の4色に交換して2トーンとすることも出来る。

上級車と同じインパネデザインを踏襲

最近のボルボ車で共通の「フリーフローティング・センタースタック」は、S40/V50とほぼ共通のものだ。右ハンドル車だと運転席にまず座り、キーを左手に持ち替えて差さないとエンジン始動できないのが面倒だが、これは最近の輸入車では珍しくない。純正ナビの用意は基本的になく、ナビを付けるにはS40/V50系同様、モニターをダッシュ上部に後付けすることになる。

 

試乗したエントリーグレードの「2.4i Aktiv」だと、フリーフローティング・センタースタックは「ボーキサイトグレー」という地味な色が標準。上級の「2.4i SE」ではウッドパネル(オーク)、「T-5」ではアルミパネルとなるが、オプションで好みのものに付け替えも可能。センタースタックに操作パネルがあるオーディオは、最上級グレード「T-5」のDYNAUDIO製・10スピーカー&650Wアンプが売りだが、エントリーグレードの「2.4i Aktiv」の4スピーカー&80Wアンプでもまずまずの音がした。

 

シートの座り心地は「チェア」という感じ。左右のホールド性はないが、クッションにコシがあり、クルマの性格にあっている。シート地はテキスタイル(織物)、フルレザー、スポーツウェアや旅行用品を参考にしたという「T-Tec」なるシート素材の3種類。ボディカラーごとに内装色も色々だ。試乗車のブルーのテキスタイルはざっくりした風合いと淡い色調でとてもいい感じだが、ブルーメタリックの外装色でしか選べない。

真ん中に寄せてフル4シーター化

リアシートは内側に湾曲したサイドウインドウとの間隔を空けるため、着座位置を内側に寄せた独特のレイアウト。もちろん2人掛けだが、一般的なクーペより空間には余裕があるから、いわゆる2+2ではなく、フル4シーターの広さとなっている。長いドアで開口部を広げて、乗降性にも配慮している。

 

しかしそうは言っても2ドアクーペ。大柄な人だとルーフの低さが気になるし、低い着座姿勢もやや厳しい(30代以上の人にとっては懐かしくもあるが)。居心地は悪くないが、長距離ドライブだとちょっと辛いかも。乗降性も従来のクーペの水準を越えていない。惜しいと思ったのはリアシートにドリンクホルダーがないこと。使う使わないではなく、「気が効いている」と思えるものの一つとして欲しいと思う。言うまでもなく、サイド(前席用)&カーテンエアバッグ(前・後席)は全車標準だ。

荷室はクーペ以上だが、ハッチバックには及ばす

ヘキサゴン(6角形)のガラス製ハッチを跳ね上げると、カーペットで丁寧に覆われた割とこじんまりしたトランクが現れる。後席の背もたれを倒せば、ほぼフラットな床が広がり、最大容量(2人乗り時)は894Lまで拡大。奥行きは150cmほどだ。

 

おおむね現行(2代目)アウディTT(通常時290L、最大で700L)の2~3割増しという感じだが、いかんせん開口部が狭く、大物を積むのには慎重さが求められる。例えば自転車はホイールを外しても、フレーム本体を水平にしないと入らない。床下にスペアタイヤはなく、代わりに浅い床下収納スペースとパンク修理キットが備わる。

基本性能&ドライブフィール

少し贅沢なベストバランス

試乗したのはエントリーグレードの「2.4i Aktiv」。ボルボ車でおなじみの2434cの直5エンジン(170ps、23.5kgm)を積む。S40/V50の中間グレード「2.4i」と共通のユニットで、アイシンAW製5ATも同じだ。

よって加速感やエンジン音なども、基本的にはS40/V50に限りなく近い。低速からグイグイとトルクフルに加速する様子に、またも「低圧ターボだったっけ?」と思ってしまった。1420kgの車重はそのS40(1480kg)より60kgしか軽くなく特に俊敏ではないが、パワー的には余裕十分。これくらいのボディに排気量2.4リッターというのはトヨタ・ブレイド(167ps、22.8kgm)共々、少し贅沢ではあるが、ベストバランスのようだ。ゴルフのGT TSIにしても1.4リッターターボ+スーパーチャージャーで同じようなパワー(170ps、24.5 kgm )を出している。直5エンジン独特のビートもなかなか気持ちいい。

贅沢なもので今や5ATというと「6ATより1速少ない」と思ってしまうが、このエンジンなら5速で十分。変速自体は特別スムーズではなく、特にマニュアル操作時のレスポンスは意図的かと思えるほど緩慢だが、アクセルを踏み込むだけで十分な加速が得られるので不満はない。そもそも、クルマ全体がせかせかと高回転まで引っ張って乗るような走りを目指していない。高速道路での超法規的な速さを求めない限り、自然吸気で十二分だ。

ある意味、ドライバーズカー

ハンドリングもS40/V50に近い。ビシッとした直進安定性や重厚感はまっすぐ走っているだけで気持ちよく、割とマイルドな205/55R16タイヤも鷹揚なクルマの性格にあっている。ステアリングをすばやく切ればそれなりに反応するが、コーナーを機敏に切り返せるほどではなく、いかにも「わざと鈍くしました」という感じ。最終的には強いアンダーステアになり、そこでESPのアンダーステア制御が入る。サスペンションはフロントがストラット、リアはマルチリンクと上級モデルそのままだ。

小さな高速クルーザー

そういうわけで高速巡航も快適で、パーソナルな高速クルーザーとして考えると理想的だ。Cd値は0.31。乗り心地も重厚感も「Dセグのドイツ車並みかも」と思うほどだが、このクラスとしてはエンジン音や外部騒音が低いせいか、若干「ゴー」というロードノイズは大きめに思えた。インナーフェンダーにフェルトの吸音材がないなど、クラス相応の遮音対策のせいかもしれない。

今回はいつものように約170kmほどを試乗。残念ながら「2.4i Aktiv」には燃費計が付いていなかったが(オプション)、満タン法でアバウト約7km/L前後といったところ。10・15モード燃費は9.6km/Lであり、ブレイドが13.4km/L(モーターデイズ参考実燃費:9km/L弱)と、ゴルフGT TSIが14.0 km/L(同 約8km/L)なのと比べると、仮に実燃費の差はそれほど生じないとしても見劣りするところだ。

ここがイイ

リアの造形ばかりが強調アピールされているが、2ドアクーペとも言うべきその外観が素敵だ。前後のオーバーハングが短く、2ドアだから、全体的な「カッコ良さのバランス」が際だってイイ。昔はこういう小型クーペがけっこうあったのに今は皆無に近いので、なかなか新鮮。特にボルボに特有のウエストラインの大きな段差が、キャビンを特別な空間に見せている。幅広い台の上に小さめのキャビンが乗っかっているような造形で、これは効率的なパッケージングとはいえないから普通はやらないと思うが、これをやってしまったあたりがこのクルマに独自性を与えているわけだ(フロントからサイドまでは他のボルボ車に共通する意匠だから、結果としてこうなったともいえるが)。

加えて黒い樹脂によるモールディングは、四駆的なアクティブさがあってこれまたカッコいい。フェンダー部分はオーバーフェンダーにも見えるから、さらに造形にメリハリがついている。思えばこういった手法は80年代の3ドアハッチバックにはよくあったものだ。最近のトレンドとはいえないが、リアの意匠を含めて、他のどこにもない造形がまずはこのクルマの最大の魅力だ。

 

同時にサイズがコンパクトであるのも素晴らしいところ。メーカーが訴えるほど後方視界が際立っていい、という印象は受けなかったが、このサイズのクルマはやはり都市部でも運転しやすく、気持ちの上でも気軽に「クルマで街に出かけよう」と思える。クルマに毎日乗りたい、乗らなくてはならない人に、このサイズはベスト。特にこの造形にもかかわらず幅がそう広くなっておらず、その割に少なくとも前席は狭さを感じない。後席も2人乗りに特化して不満のないサイズを確保している。スタイリッシュなコンパクトクーペとしては文句なしのパッケージングだ。

エンジンのパワーの出方、ステアリングの手ごたえ、シャシーの重厚感などが気持ちよく、乗り心地も文句なし。1.4トンに170psというのは、普通のドライバーにはコントロールしやすい数値で、その分クルマを操っている感覚が楽しめるはず。5速ゆえ、かえってルーズにマニュアル操作が楽しめるし、タイヤもそうハイグリップではないから、限界が低い分、かえって普通のドライバーにはスポーツ感が高まるはずだ。

試乗したのはベーシックグレードゆえ、内装も革でなくファブリックで、ステアリングはウレタン。しかし薄いブルーのシートはパイピングがおしゃれで、ハイト調整は全体に加えてシート前部も可能、チルト&テレスコもあって体型にかかわらずポジションは決めやすいし、深めの掛け心地が快い。シートが良くて走って気持ちいいから、ザラッとした感触のウレタンステアリングまでだんだんいいものに思えてきた。

ここがダメ

9.6km/Lの10・15モード燃費はボルボ車としては最も優秀なレベル。T-5は低排出ガス★4つ、他も★3つで、その点でも評価すべきだが、ボルボのイメージからするともっと燃費性能は上げたいところ。「安全」はトップクラスだが、「環境」はさらにがんばって欲しい。

ナビ画面はもともとダッシュの上部につけることになっているようだが、日本仕様には設定がない。ナビやETC、ハンズフリーフォン等も安全はもちろん、環境のための装備でもあり、このあたりは日本仕様でも積極的に取り組んでもらいたいところだ。

総合評価

前述のように、2ドアクーペというか、3ドアハッチバックは、もはや国産車においては絶滅品種となってしまった。かつては初代ゴルフも、そしてそのフォロワーであった赤いファミリアも、3ドアモデルこそがカッコいいクルマとして、若者の絶大な支持を得たもの。若者がもはやクルマに興味を失っていることもあって、実用的ではない3ドアなど、この国においてはまさに無用と化してしまった感がある。せっかく高い金を出してクルマを買うなら、みんなでワイワイ楽しめるものが欲しい、それならやはりミニバンかSUV、最悪でも5ドアハッチバックということになるわけだ。昔は「5ドアなんかかっこ悪くて買えない」と言ったものだが、時代は変わるのである。

また最近の傾向として、クルマで目立ちたい、主張したい人は、でかいクルマが欲しい。コンパクトな3ドアハッチやクーペでは「負ける」というわけだ。一部の、特に輸入プレミアムスポーツカーなら2ドアでもいいが、何が悲しくてドアが2つしかない(しかもでかくて狭いところでは開けにくい)クルマを買わなくてならないのか、というあたりだろう。SUVもセダンも、みんな大きなクルマがプレミアムだ。

 

ということで国産では今後も出てくるはずのないこの手のクルマは「外車」で買うしかないし、「外車」ゆえの希少性で価値の追加ができる。ボルボもセダンやワゴンはちょっとばかり食傷気味(デザイン的にも金太郎アメ的だし)だったが、それゆえこのクルマにはググッと引かれるものがある。しかもコンパクトクラスのため、価格的にも魅力のあるものとなった。300万円前後なら、ちょっと差別化を楽しみたい小金持ちにはポケットマネー的な買い物だし、一家に一台のプチセレブにも手が届く。それでいてこのクルマは走りも乗り味も前述の通りとてもいい。ほとんどけなすところのないクルマだ。

こうなると、もうあとはこのクルマに対する美的センスの問題に尽きる。例えば85年に登場したホンダのアコード・エアロデッキあたりが美しいと思ったセンスなら、このクルマにシンパシーを感じるはずだ。3ドアハッチは確かにあの時代にうけたのだが、実はエアロデッキはそうはうけなかった。ちょっと上級車となると、もう3ドアではだめ、というのは実はあの時代から変わってはいない。その意味で、上級の3ドアハッチは永遠のマイナー選手。いつの時代でも中途半端な存在。しかし分かる人には分かるという存在だ。そのスタンスはC30にはメリットにこそなれ、デメリットにはならないだろう。

 

名車のモチーフを現代によみがえらせた独自のリアビューをみるにつけ、このクルマも、ニュービートル、ニューミニ、911(997)、そして新型チンクチェントという古典デザイン復古の流れの中にいる一台だと思えてきた。知名度は低いものの、エンスーの記憶に残る名車1800ESの、まさに現代版というべきものだ。それゆえ妙にそのデザインに、カッコよさにひかれるのかもしれない。若い人には新鮮に、お年を召した人には懐かしく感じられるというのは欧州でのうたい文句となりそうだが、現在の日本では若い人には響かないかも。したがって若者より年寄りというか、50代以上にうけるのではないか。ノスタルジックな3ドアハッチバック車として。

試乗車スペック
ボルボ C30 2.4i Aktiv
(2.4リッター直5・5AT・285万円)

●形式:CBA-MB5244 ●全長4250mm×全幅1780mm×全高1430mm ●ホイールベース:2640mm ●車重(車検証記載値):1420kg(900+520) ●乗車定員:4名

●エンジン型式:B5244 ● 2434cc・直列5気筒・DOHC・4バルブ・横置 ● 170 ps(125 kW)/ 6000rpm、23.5 kg-m (230 Nm)/ 4400 rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/62 L ●10・15モード燃費:9.6 km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:205/55R16(Michelin Pilot Primacy )

●試乗車価格:285万円( 含むオプション:- )●試乗距離:170 km ●試乗日:2007年8月 ●車両協力:ボルボ・カー 千種(株式会社クリエイト)

ボルボ公式サイト>C30http://www.volvocars.co.jp/models/c30/

 
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