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シトロエン C4 1.6 VTR新車試乗記(第380回)

Citroen C4 1.6 VTR

(1.6リッター・4AT・237万5000円)

2005年08月26日

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キャラクター&開発コンセプト

クーペボディのC4

日本で2005年6月に発売されたC4は、先代クサラと同じように「サルーン」(4ドアハッチバック)と「クーペ」(3ドア)の2モデル構成。今回採り上げるクーペには、ボディ後半にサルーンとは全く異なったデザインが与えられている。

旧クサラの頃から、3ドアの1.6リッターモデルには「VTR」、2.0リッターモデルには「VTS」のグレード名が与えられていた。C4クーペの日本仕様にも「1.6 VTR」(4AT)、および「2.0 VTS」(5MT)が用意される。今回試乗したVTRは主にスタイリングやパーソナル性を重視したモデルで、VTSの方はいわゆる「ホットハッチ」路線の走り系モデルだ。

価格帯&グレード展開

VTRは日本向けC4で一番安い

「1.6 VTR」(237万5000円)は4ATのみで、日本ではこれが一番安いC4となる。180馬力の2リッターエンジンを積む「2.0 VTS」(319万円)は、逆に5MTのみ。いずれも、オプションでHDDナビ(33万9000円)、レザーシート(16万円)、パノラミックガラスルーフ(9万円)が選択できる。

パッケージング&スタイル

フロント部分はサルーンと共通

ボディサイズは全長4275mm×全幅1775mm×全高1480mm。サルーンに比べると全長が15mm長いだけで、その他は室内寸法も含めてすべて同じ。見た目ほど、中身は違わない。特徴的なヘッドライト、樹脂製のフロントフェンダー、アルミ製ボンネットなどで構成されるフロント部分はまったく同じだ。

ガラス張りで後方視界を確保

弾丸のようなサイド/リアビューがC4クーペの見所。リアゲートの垂直部分までガラス製なのは、古くは2代目ホンダCR -X(1987年)、最近ではホンダインサイト(1999年)、トヨタプリウス(2003年)などの例がある。C4の垂直部分のガラス面積はこれらよりずっと大きく、良好な後方視界はこの部分で確保している。熱線やリアワイパーも垂直部分に付く。Cd値(空気抵抗係数)はサルーンより0.01優れる0.28。

インパネ回りはサルーンと同じ

インパネの眺めはサルーンと同じ。ダッシュ中央のオブジェのような外光透過式デジタルディスプレイ(速度、燃料、水温、トリップなど)、ステアリングコラムに付くバーグラフ式タコメーター&シフトインジケーター(使用ギアも表示)など、視認性もデザインセンスも優れている。2日間ほどの試乗では、ステアリングの固定式センターパッドに散らばるスイッチは使いこなせなかった。

フロントシートはクッションが分厚く、柔らかな大型サイドサポートが出っ張る。座り心地はレカロやドイツ車系とはまったく方向性の違うもの。衝撃吸収性には優れ、ジャージの感触も面白い。

「香り」も標準装備

C4サルーンの試乗記と重複するが、このクーペも「パルファム・エアフレッシュナー」を標準装備する。ダッシュボードに専用カートリッジを差し込んで、エアコンの送風と連動して香りをほのかに漂わす。試乗したクーペの香りはシナモンジンジャーだった。簡単に他の香りと交換できる。

それなりにくつろげる後席

ボディサイズはサルーンと同じなので、後席も広い。サイドウインドウが大きく、フロントシート左右の距離も離れているので見晴らしが良い。天井も高いので、圧迫感もない。走行中の後席にも座ってみたが、前席との差は気になるものの(クッションが薄いなど)ロングドライブでも耐えられそうに思えた。

開口部はやや狭い

314Lという容量自体はサルーン(320L)とほとんど変わらない。ただし左右のリアコンビランプ周辺やスピーカーボードが少々邪魔で、大物の出し入れには気を使いそうだ。

基本性能&ドライブフィール

慌てず走ればOK

1.6リッターDOHCエンジン(110ps、15.3kg-m)はPSAでおなじみのユニット。4ATもフランス車の定番「AL4」だ。車重(車検証記載値)は1290kg。アクセルを踏んだ瞬間の印象は「お、遅い‥‥」。パワー不足というより、ATの変速制御に原因があるようで、Dモードはもちろん、マニュアルモードでも早ければ5500回転くらい、ベタ踏みでも6000回転を越えたあたりで早々に自動シフトアップしてしまう。1速、2速でギンギンに引っ張って‥‥という走りは出来ないのだ。

こうなると諦めるしかないが、するとなかなか平和なドライブが可能になる。街中では事実上、2速ホールドだが、エンジンのトルク感はそこそこあり、回しても騒々しくならないのがいい。

乗り心地も良い

乗り心地がいいことも平和感をさらに高める。2.0サルーンは固めの乗り心地が少し気になったが、1.6 VTRではちょうどいい感じ。タイヤは2.0サルーンが205/50ZR17のミシュラン・パイロット・エグザルトだったのに対して、こちらは同じミシュランでもエナジーの205/55R16。タイヤのせいだけではないと思うが、総じて当たりがソフトだった。

山道では侮れない

試乗初日は雨が降り、かなり滑りやすい路面状況。いつものワインディングを軽く走ってみたが、これがなかなか速い。ハンドリングは特にシャープではないが、グリップ感が抜群で、ステアリングを切った方向に気持ちよく曲がってゆく。リアの接地感も高く、タックインを起こすことはまずなさそうだ。この日は別の取材でBMWの116i(1.6リッター・115ps)と一緒に走ったが、つながりのいい6ATで加速が効く116iでも、コーナーが連続するとC4に付いて行くのは大変。後輪駆動の116iは電子制御デバイスが働きまくりの上、ピレリ製ランフラット(195/55R16)のウェットグリップも心もとなかった。C4の1.6にESPは用意されないが、この日はその必要をほとんど感じなかった。

長距離ドライブ向き

メーカー発表値の最高速度は、UK仕様のサルーン1.6(4AT)を参考にすれば190km/h。クーペ1.6の5MT は195km/hだ。ただ、日本の高速道路のように中間加速がモノを言う場所では、まあかったるい。しかし、妙にキックダウンすることもなく、モォァーと加速はしていくので、速度にのれば高速巡航そのものは150㎞/hでも快適な部類で、ツアラーとしては悪くない。何より室内が静かなのは気に入った。高速でもワインディングでも静か。短距離をかっとぶより、長距離ドライブ向きの性格だ。

ここがイイ

237万5000円で、シトロエンらしい世界が味わえること。ハイドロではないがハイドロのような足だし、エンジンは相変わらず非力。シフトパターンも変だし、品質もイマイチ。よいも悪いもシトロエンの世界。パワーがないことは確かだが、ちゃんとそれなりにスピードは出るし、先を急がなければ高速巡航は国産2リッタークラスより快適だと思う。これぞシトロエンの世界。

基本性能の高さ。ワインディングも退屈しない。というか、ヌメヌメと路面をトレースしていくコーナリングは、侘びさびの世界に近い味わいを持つ。アクセルをフルに踏んでももともとパワーがないから、その独自の世界観を乱さない。ウェット路面での速さ、安定感にも目を見張るものがある。16インチのハイプロファイルはベストチョイスだ。

後方視界。空力重視でハイデッキのクルマが多い中、こんなに後ろがよく見える欧州車も珍しい。ちょうど後続車のドライバーの顔あたりに上下のリアウインドウをさえぎるバーがかかり、赤色灯を回すクルマが後ろについても、屋根に載せているものは見つけやすい。

ここがダメ

サルーンの時も書いたが、相変わらずのAL4。特に、今回は非力なエンジンと組み合わされて、弱点が目立った。パワーも車重もあまり変わらないBMWの116iが(おそらく6ATのおかげで)ずっとキビキビ走ったのと比べると、損をしているといわざるを得ない。まあそれもシトロエンだが。

全体にクオリティは高く見えるが、試乗車はドアのアウターハンドルが時々引っかかって戻らなくなるという症状が出ていた。コンソール下部のシフトレバーあたりの樹脂パネルもなんか浮いている、外れたりはしないが立て付けは悪い。操作系もやっぱりわかりにくい。やっぱりいまもシトロエンだ。

総合評価

CR-Xのようなスタイリングは好き嫌いが別れるはずで、そこが素晴らしい。けっこう多くの人がかっこいいと言ったのはちょっと意外だったが。今時このクラスの3ドアハッチバッククーペを作ろうという日本のメーカーは皆無で、その意味では、いつもながら我が道を行くシトロエンに拍手。思えばBXがかなり売れた90年頃、国産メーカーは5ドアハッチバックを邪険にしていたが、今やそれが小型車の主流となっている。といって今後3ドアハッチバックが主流になることなどないはずだが、それでも多用な個性を認める欧州車メーカーは素晴らしい(もちろんそれなりの需用があるからなのだが)。昔5ドア、今、3ドアハッチバックに乗るのは相当エンスーだ。

忘れていたシトロエンの座り方を思い出した。背もたれをたて、背筋を伸ばしてドイツ車的に座るとこのシートは辛い。それよりシートバックを少し寝せて、シートに身を任せると快感とも言える乗り心地が味わえる。ふんぞり返ったような姿勢なので、とてもスポーティに走れるワインディングも、このシートなら目を三角にしなくてすむ。どんな場面でもリラックスできるいいシートだ。

なかなか4速に入らない旧態依然としたATはBXの時代と変わらず、それを含めて先回乗った4ドアよりさらにシトロエン濃度が濃い。5ドアはまだ人にいいわけがきくが、3ドアはエンスーそのもの。C5に手が出ないシトロエンマニアにお勧めしたい。しかし237万5000円も出せば、他にもいろいろ選択肢はある。そもそもこのクルマは家族の幸せにはあまり寄与しない。あくまで個人が個人的にマニアアックな幸せを追求したいときのクルマだ。まさに個人主義の国であるフランス的である。

試乗車スペック
シトロエン C4 1.6 VTR
(1.6リッター・4AT・237万5000円)

●形式:GH-B5NFU●全長4275mm×全幅1775mm×全高1480mm●ホイールベース:2610mm●車重(車検証記載値):1290kg (F:810+R:480)●乗車定員:5名 ●エンジン型式:NFU●1587cc・直列4気筒DOHC・横置●110ps(80kW)/5800rpm、15.3kg-m (147Nm)/4000rpm●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L●10・15モード燃費:-km/L●駆動方式:前輪駆動●タイヤ:205/55R16(MICHELIN ENERGY) ●価格:237万5000円(試乗車 238万1300円 ※オプション:フロアマット 6300円)●試乗距離:約140km

公式サイト http://www.citroen.co.jp/products/c4/index.html

 
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