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シトロエン C4 1.6T エクスクルーシブ新車試乗記(第558回)

Citroen C4 1.6T Exclusive

(1.6Lターボ・4AT・324万円)

登場から4年でエンジン換装!
世界不況下でマイペースを貫く
シトロエンの魅力とは?

2009年05月29日

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キャラクター&開発コンセプト

BMW・PSA共同開発ユニットを採用

シトロエンの「C4」と「C4 ピカソ」が2009年2月26日、マイナーチェンジを受けて日本で発売された。C4にとっては2005年4月の国内デビューから約4年、C4ピカソにとっては2007年6月から約2年を経てのマイナーチェンジだ。

改良内容の主軸は、BMWとPSAが共同開発した1.6リッターおよび1.6リッター直噴ターボエンジンの新採用。従来と同じトルコン4ATとセットになる点では、基本的にプジョーの207308と同じパワートレインだ。

またC4(ハッチバック)にはフェイスリフトを施し、内装も若干変更。一方、C4ピカソは、ほぼ従来通りのデザインとなっている。

■参考(過去のシトロエン C4 / C4 ピカソ 新車試乗記)
・シトロエン C4 ピカソ 2.0 エクスクルーシブ (2007年7月)
・シトロエン C4 1.6 VTR (2005年8月)
・シトロエン C4 2.0 エクスクルーシブ (2005年7月)

価格帯&グレード展開

NAとターボの2種類を用意。全車4AT

4ドアハッチバックは全車1.6リッターエンジン+4ATとなり、プジョーの207と同様にノンターボとターボの2種類が用意されている。基本的に同クラスに相当するプジョー308はターボのみだが、日本のシトロエンには207に相当するC3がすでにないので(2008年で販売終了)、C4はそれを補完する仕様設定となっている。

なお3ドアクーペの「1.6 VTR」は受注生産扱い。2リッターノンターボの高出力エンジン(180ps)を搭載する「2.0 VTS」(5MT)は今回から廃止されている。また従来の1.6リッターNAと2リッターのモデルもしばらく併売されるようだ。

■C4 1.6      269万円
 1.6L直4(120ps、16.3kgm)+4AT
 10・15モード燃費:11.4km/L

■C4 1.6T エクスクルーシブ  324万円
 1.6L直4ターボ(140ps、24.5kgm)+4AT
 10・15モード燃費:10.5km/L    ★今週の試乗車

■C4 1.6 VTR(受注生産車)  275万円
 1.6L直4(120ps、16.3kgm)+4AT
 10・15モード燃費:11.4km/L

オプションとしてはベースグレードの「C4 1.6」にパノラミックガラスルーフ(10万円)を用意(他グレードは標準装備)。レザーシートは「C4 1.6」と「C4 1.6T エクスクルーシブ」に23万円、「C4 1.6 VTR」には19万円で用意する。

ピカソはターボのみで6速セミATも選べる


C4 ピカソ (写真は2007年モデル)

C4ピカソに新採用されたエンジンはターボ版のみ。ただし変速機は4ATか6速セミATの「6EGS」のどちらかを選択できる。また従来の2リッターノンターボ仕様もラインナップに残っているため、いざ購入するとなると少々悩ましい状況だ。

■C4 ピカソ 1.6T エクスクルーシブ  377万円
 1.6L直4ターボ(140ps、24.5kgm)+4AT
 10・15モード燃費:8.6km/L
■C4 ピカソ 1.6T エクスクルーシブ  377万円
 1.6L直4ターボ(150ps、24.5kgm)+6EGS(6速セミAT)
 10・15モード燃費:10.7km/L
■C4 ピカソ 2.0 エクスクルーシブ  362万円
 2.0L直4(143ps、20.8kgm)+4AT
 10・15モード燃費:9.6km/L
■C4 ピカソ 2.0 エクスクルーシブ  362万円
 2.0L直4(143ps、20.8kgm)+6EGS(6速セミAT)
 10・15モード燃費:10.4km/L

パッケージング&スタイル

エクステリアの変更はほぼフロントまわりのみ

今回のマイナーチェンジでフェイスリフトが図られたC4ハッチバック。具体的にはフロントバンパーが、最近流行りの?大きな台形の開口部を持つデザインとなった。それに伴い、フロントのダブルシェブロンマークも若干上に移動し、アルミ製ボンネットもその影響で少し形状変更を受けている。

それ以外はアルミホイールのデザイン変更、リアバンパーへのメッキモール追加といった程度。ただし実車を見ると、全体の品質感がワンランク高まったような印象を受ける。

ボディサイズ(従来モデル比)は、全長4295mm(+35)×全幅1775mm(同)×全高1480mm(同)とフロント部分の変更分だけ少し伸びた。もちろんホイールベースは2610mmのままだ。サイズ的にはおおむねVWゴルフと似たような感じ。

インテリア&ラゲッジスペース

内装は質感のアップが著しい

インテリアも基本的にはほぼ従来モデルを踏襲している。形状としての変化は、従来はステアリングコラム上にあった液晶の回転計(今ひとつ見にくかった)が、センターメーターの液晶ディスプレイ内に移動したことくらいか。前より見にくくなったような気がするのだが・・・・・・。

それより目立つのは質感アップの方で、例えば少なくとも初期モデルのダッシュボードにうっすら見えていた助手席エアバッグ展開用の「切れ目」がきれいさっぱりなくなったのは従来型オーナーなら悔しいところ。さすがのシトロエンもこれはいかんと思ったらしい(当然だ)。またダッシュボード全体を覆う樹脂の質感も良くなったほか、化粧パネルも変更されて質感を高めている。

「変わっていない」という話が先行したが、もちろんC4の内装デザインは元からヘンという意味で「変わっている」。日本の障子みたいな外光透過式の液晶センターメーター、ステアリングのセンターパッドが回転せず操作スイッチパネルになっている「センターフィックス・ステアリング」、C4が先駆?となった香り発生装置「パルファム・エアフレッシュナー」などは従来通りで、相変わらずユニークだ。

シートも独特。柔らカタイ

フランス車ならではのシートは従来通りで、分厚いウレタンで身体全体を支えるプジョー・シトロエン系にほぼ共通するものだ。ドイツ車あたりのカチッとしたシートとは全然違う。

なお最初のうち、よく分からないのは、座面のサイドに付いているダイアル。普通なら座面の角度を調整するものだが、どうやらここからワイヤーで引っ張っているのだろう、回すと遠く離れた背もたれランバーサポートの張り出しが調整される。とはいえその動きはかなり微妙で、ちょっと体感しがたいが・・・・・・。ここも従来通り。

リアシートも相変わらずで、特にホールド感に優れるわけではないが、やはりフランス車らしく和やかな座り心地。パノラミックガラスルーフも1.6T エクスクルーシブには標準で備わり、開放感を高めている。天井のサンシェイドは手動式だが、前席からも後席からも操作可能だ。サイドウィンドウは全開でも若干残るが、これくらいなら問題ないだろう。

荷室まわりも変わらず。拡大操作も簡単で、手堅い作り

荷室も変更なし。通常時の容量は320リッターで、ダブルフォールディングで拡大が可能。ヘッドレストを外す必要はないので、そう面倒ではない。床下にはテンパースペア&車載工具を収納する。

基本性能&ドライブフィール

排気量不詳のトルクフルな走り

試乗したのは新型1.6リッター直4ターボ(140ps、24.5kgm)を積んだ「1.6T エクスクルーシブ」。前述の通りこのエンジンはBMWとPSAが共同開発したもので、基本的にMINIのクーパーSやプジョー207GT、308シリーズなどと同じものだ。

ただしピークパワーは元気一杯なクーパーS(170ps)よりぐっと控えめの140ps/5800rpm(308と同じ)。従来の2リッターエンジンは143ps/6000rpmなので、最高出力は大差ないわけだが、トルクは20.8kgm/4000rpmから24.5kgm/1400-3500rpmへと大幅に増加し、しかも発生回転域がはるかに低く、広範になっている。こんな具合に排気量を下げて燃費性能を確保し、小径ターボで分厚いトルクを確保するというやり方は、昨今VWアウディがとっている路線と同じだ。

しかし実際に走らせた時の印象は、VWアウディとは違ってマイルド。DCTではなく、トルコン4速ATのAL4を使うせいもあり、すごくパワフルという感じはしない。ただ、低速トルクは確かに強力で、排気量不詳とも言うべき力強さがある。1.6リッターなんていう排気量のことはつい忘れて、2.4リッターくらいのクルマに乗っていると錯覚する。

またプジョー308の時と同じように、AL4特有の変速プログラムの違和感もこのエンジンならほとんどない。街中でなかなか3速から4速にシフトアップしてくれないのが気になるくらいだ。

独特の味付けは、やっぱり確信犯。乗り心地は改良された

エンジンよりも印象的なのが足まわりだ。荒れた路面で見せる、まるでサスペンションアームの一部が脱臼しているかのような4輪それぞれの自在な動きはプジョーにはないシトロエン独自のもの。ドイツ車基準では「なんだこりゃ」と言いたくなるが、ストローク量は絶対的に豊かで、底付き感は一切ない。このあたりの印象は4年前から変わっておらず、要するにシトロエンはこれを確信的にやっている。タイヤは従来通り205/50ZR17のミシュラン・パイロット・エグザルトだが、4年前の初期モデルにあった硬さや細かい上下動がすっかりなくなったのは大きな進歩だ。

コーナリング性能の高さは相変わらず

しかもこのシャシー、ワインディングへ行くとやたら速い。コーナーではベタッと路面に張り付いたまま高い旋回スピードを維持し、普通なら強いアンダーステアに陥りそうな状況でも、ステアリングを切り増しすればちゃんとそちらへ曲がってゆく。以前、ウェット路のワインディングでBMWの1シリーズに乗っていたとき、同行のC4 1.6になすすべもなく引き離されたことがあるが(1シリーズはすでにDSCが作動しっぱなしで限界だった)、C4はその一見捉えどころのないサスペンションの印象からすると、別のクルマのようなシャシー性能を見せつけてきて驚かされる。

足まわりの地道な改良のおかげか、高速走行時の直進安定性やフラット感も大幅によくなっている。二重ガラスの「ラミネーテッド・サイドウィンドウ」なども従来通りで、静粛性もまずまず。4ATゆえ100km/h巡航時のエンジン回転数が約2500回転と高めなのは惜しいが、余裕ある高速クルージングが可能だ。ターボによって低速トルクが大幅に強化されたため、追い越し加速も4速のままスムーズに行えるようになった。

試乗燃費は8.5km/L。10・15モードは10.5km/L

今回は計220kmを試乗。いつもの試乗コース(約100km)では7.8km/L、それ以外の撮影を除く移動区間では8.6~10.9km/Lで移行し、トータルでは8.5km/Lとなった(すべて車載燃費計の表示)。10.15モード燃費はこの1.6T エクスクルーシブの場合、10.5km/Lだ。

なお、同じエンジンのプジョー308の10・15モード燃費は10.8km/Lで、過去の試乗燃費は真夏だったこともあり、7.1km/Lだった。もう一段ギアがあればC4も308も、もう1割は伸びそうだなのが。

ここがイイ

トルクフルになった走り。硬軟併せ持つ足まわり。高まったインテリア質感

従来モデルにあった欠点、例えば非力な2リッターエンジンとAL4とのマッチングの悪さ、乗り心地、内装の質感などが、ことごとく改善されたこと。トルクがモリモリあって、良くも悪くもシトロエンのイメージを裏切られる。中間加速も速く、もう動力性能に不満はない。またシトロエンになじみのない人には信じられないかもしれないが、コーナリング性能の高さも特筆できる。そしてそれにもかかわらず乗り心地はシトロエンそのもの。この乗り心地が金属バネでも出来るのだから、もうハイドロはいらない?

インテリアの質感が驚くほど向上している。助手席エアバッグの埋め込み跡もそんなに気にならなくなった。インテリアのデザインは完全に好みが分かれるが、独自という点ではやはり「ここがイイ」に入る部類だと思う。また4年前にはカーナビの付け方で悩んだと思うが(純正オプションのナビはセンターの小物入れに設置する)、PNDがある昨今はそう悩まずにすみそう。GPSの電波もフロントガラスを問題なく通ることを確認した。

ここがダメ

ハザードスイッチがステアリングホイールの影に隠れて見えない。どうせならセンターフィックス・ステアリング上に配置して欲しかったところ。

剛性感あふれるシャシーこそ高性能の証だとすり込まれている人に、この独特の足まわりは理解不可能。個性的な内装をはじめとして、誰にでもオススメできるクルマではないとは言える。

シトロエンでは伝統的と言える5ドアハッチバックだが、シトロエン好きに今ひとつピンとこないスタイリングなのが残念。中国ではC4ベースのセダンが売られているが、これがかなりシトロエン好きのハートをくすぐるスタイリングだ。セダンか、あるいはステーションワゴンがあれば、エグザンティアの再来となるマニアックなヒット車になったのではないか、と思う。

総合評価

日本でのシトロエンの市場規模

日本のシトロエン販売台数を調べてみた。今年2009年4月は99台。C4ではなくシトロエン全体でこの台数だ。10年前の1999年4月も99台。C4がデビューした年(2005年)の4月は139台売れているが、何にせよ月1万台が販売目標のプリウスあたりと比べれば、実に微々たるもの。日本でのシトロエンの市場規模とはこんなものだ。

そんな市場に大きな投資は無理。日本車ならフルモデルチェンジするサイクルで行われる欧州車のマイナーチェンジは、過去の事例からするとかなり大幅なものが多かったが、今回のC4に関してはあんまり変わっていない。エンジンこそ変わったが、肝心のミッションが4ATのままなのは辛いところ。変速プログラムも60km/h近くで4速へ入る昔からのパターンだ。欧州ではMTが主流だろうし、北米へは輸出しないのだから、それも致し方ない。とはいえやはり4ATでは商品力が弱いといわざるを得ない。そこが残念なところだ。

「愛でる」対象

それでも小排気量エンジンとターボという欧州車のトレンドだけは押さえ、走りはWRCチャンプらしい元気さで、燃費もまあまあ。いかにもシトロエンという「ありがたい」乗り心地だし、デザインは独創的だし、旧モデルよりは走りがイイという点でかなり魅力が増している。ただ、オートマチックで乗るクルマとして冷静に考えてみると、もうちょっと出来のいいクルマは確かに存在している。DCTがこれだけ普及してきた昨今、C4は万人におすすめとはいえない、とはっきり書いておく。

しかしクルマを「愛でる」対象としたい人なら、清濁を飲み込んで、「やっぱりこいつが一番カワイイ」と愛する対象になり得るのがシトロエン車の魅力だ。その強烈な独自性は「愛でる」に値する。機械として優秀でなくても、クルマとしてカワイイヤツなのである。同窓会では優等生よりちょっと出来が悪いくらいのヤツの方が記憶に残っているように、20年後、30年後に乗ってきたクルマを思い出したとき、C4は記憶に残るクルマであるのは間違いない。

愛の差が、市場の差

日本でC4に乗ろうなどと思う人は、クルマを単なる足ではなく一種の嗜好品として見ているはず。クルマは相棒であり、オーナーのアイデンティティを表す鏡として捉えているはずだ。そしてかつてはすべてのクルマがそういったものだった。思い入れいっぱいで乗られていたクルマというものが、現代では単なる便利な道具に成り下がっている。そのことが、クルマの不人気、ひいてはクルマ不況につながっているようにも思える。日本の基幹産業を支えるクルマLOVEな人を増やすためには、子供の頃からの教育ということをそろそろ考えないといけないのではないか。

モーターデイズが「クルマはやがてロボットになる」と考え始めて久しい。クルマが人の相棒として擬人化できるほど愛されていれば、やがてクルマはパートナーロボットにも進化し得るが、単なる道具として見られていれば、そこまでの進化はなかなかしないように思う。クルマは今でも、人と行動を共にし、人の移動能力を高めてくれ、人の生活を助けてくれる相棒であることは間違いない。シトロエン好きが自分のクルマを愛するように、人が皆、自分の相棒であるクルマを今以上に愛せば、きっと明るい未来がやってくる、と楽観的に考えたい。中国の人はきっと今もクルマを愛している。その愛の差が日本と中国の市場の差になっている、とも思うのだ。


試乗車スペック
シトロエン C4 1.6T エクスクルーシブ
(1.6Lターボ・4AT・324万円)

●初年度登録:2009年3月●形式:ABA-B55FT ●全長4295mm×全幅1775mm×全高1480mm ●ホイールベース:2610mm ●最小回転半径:5.7m ●車重(車検証記載値):1340kg( -+- )●乗車定員:5名 ●エンジン型式:5FT ● 1598cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:77.0×85.8mm ●圧縮比:10.5 ● 140ps(103kW)/ 5800rpm、24.5kgm (240Nm)/ 1400-3500rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L ●10・15モード燃費:10.5km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット/ 後 カップルドビーム ●タイヤ:205/50ZR17 ( Michelin Pilot Exalto )●試乗車価格:334万円 ( 含むオプション:パノラミックガラスサンルーフ 10万円)●試乗距離:220km ●試乗日:2009年4月 ●車両協力:株式会社渡辺自動車(シトロエン名古屋中央)

 
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