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シトロエン C4 セダクション パノラミックガラスルーフ パッケージ新車試乗記(第639回)

Citroen C4 Seduction Panoramic Glass Roof Package

(1.6リッター直4・4AT・273万円)

6年ぶりにフルモデルチェンジ!
新型C4は非ハイドロシトロエンの
完成型だった!

2011年08月05日

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キャラクター&開発コンセプト

6年ぶりのモデルチェンジでデザインを一新


新型シトロエン C4
(photo:シトロエン・ジャポン)

シトロエンのC4は、2004年に欧州でデビュー、日本では2005年に発売された上級コンパクトカー。そのC4が6年ぶりにフルモデルチェンジし、欧州では2010年、日本では2011年6月7日に発売された。

2代目となる新型C4は、シトロエンの新しいブランドテーマ「クリエイティブ・テクノロジー」に基づいて、内外装のデザインを一新。同時に快適性や安全性を重点的に追求している。パワートレインに関しては、先代の途中でPSA・BMW共同開発ユニットへの換装を行っており、今回は目立った変更はないが、ターボモデルにC4では初の6速EGS(セミAT)を組み合わせるなど、細かな仕様変更・改良を行っている。

価格帯&グレード展開

ノンターボ・4ATが256万円。ターボ・セミATが299万円


C4 エクスクルーシブ。ガラスルーフ、17インチホイール等を標準装備
(photo:シトロエン・ジャポン)

今回導入されたのは「セダクション」、「セダクション パノラミックガラスルーフ パッケージ」、「エクスクルーシブ」の3グレード。

「セダクション」と「セダクション パノラミックガラスルーフ パッケージ」(今回の試乗車)のパワートレインは、基本的には先代C4・後期型の1.6リッター直4エンジン(120ps)と4ATをキャリーオーバーしたもの。シート地はいずれも「ラマ」と呼ばれる明るいベージュのファブリックで、後者はパノラミックガラスルーフと1インチアップの225/45R17タイヤを装備する。価格は前者が256万円で、後者が17万円アップの273万円。

「エクスクルーシブ」は直噴の1.6リッター直4ツインスクロール式シングルターボ(156ps)とパドルシフト付セミATの6速EGS(エレクトリック・ギアボックス・システム)を搭載したもの。このパワートレインは現行のC4ピカソと同じだ。エクスクルーシブは他に、斜め後方の死角に入った車両を超音波センサーで検知してドアミラー内のランプで知らせる「ブラインドスポットモニターシステム」、ファブリック/レザーのコンビシート、AFS機能付バイキセノン、電動パーキングブレーキを備えるなど、かなり装備がいい。価格は299万円で、オプションで黒のレザーシート(25万円)も選択できる。

エンジンはいずれもPSA(プジョー・シトロエン・グループ)とBMWグループが共同開発したもので、自然吸気版はBMWで言うところのバルブトロニックになる。全車、駆動方式はFFで、5ドアの右ハンドルのみ。

 

ボディカラーは全7色。試乗車はルージュバビロン(Me)

■C4 セダクション    256万円(4AT)
 1.6リッター直4(120ps・16.3kgm)
 ※JC08モード燃費:12.1km/L
■C4 セダクション パノラミックガラスルーフ パッケージ 273万円(4AT)
 1.6リッター直4(120ps・16.3kgm)
 ※JC08モード燃費:11.5km/L  ※今回の試乗車

■C4 エクスクルーシブ    299万円(6速EGS)  ※レザーパッケージ +25万円
 1.6リッター直4ターボ(156ps・24.5kgm)
 ※JC08モード燃費:13.1km/L

パッケージング&スタイル

奇抜さは薄まったが、実用性とスポーティさは高まる


ボディサイズは全長4330mm×全幅1790mm×全高1490mm

先代C4のこんもり丸いシルエットから、オーソドクスな4ドアハッチバックに変身した、というのが第一印象。ワイド&ローのスタイルとしつつ、室内の広さなど実用性をより重視した感じで、個性についてはDS4のような派生モデルで追求しよう、ということのようだ。なお、前後の「ダブルシェブロン」も新CIに基づいてリニューアル。角が取れて、少し溶けた?感じになっている。

 

それでも実車の印象は、ワイドな割に背が低く、リアウインドウも寝ているので、角度によってはかなりスポーティに見える。またボディサイドにキャラクターラインが複数入るなど面構成はより複雑になり、高級感もグッと高まった。そもそも、現行のC3やDS3の質感がかなり上がっているから、C4も負けてはいられなかったはず。デザインにおけるジェネレーション自体も、これで現行C3に追い付いた感じになった。

 

ボディサイズは先代に比べて35mm長く、15mmワイドで、10mm高いだけで、ホイールベースは2610mmのまま。ただ、このクラスでは最も大きな部類でもあり、例えば全長はゴルフより120mm長い。一方、最小回転半径は先代の5.7メートルから5.3メートルに縮小。そのせいか取り回しは意外に悪くない。

インテリア&ラゲッジスペース

個性的な意匠は消えたが、質感は大幅アップ


「セダクション」のインパネ。1DINのオーディオ(AM/FM、CDプレーヤー)は標準装備だが、装着は販売店で行われる。これは装着前の状態

インテリアについても、先代C4の特徴だった外光透過型のデジタル式センターメーターやセンターパッド固定式のステアリングは廃止され、オーソドクスに変身。質感も大幅にアップし、今風のカチッとした仕上げになった。フランス車の場合、プラスチッキーなところも味ではあるが、やっぱり質感は高いに越したことはない。ダッシュボードにはソフトパッド風の新素材「スラッシュスキン」を採用している。

 

エビアン&ボルヴィック対応のドリンクホルダー。ちなみに両方とも仏ダノン社のミネラルウォーター

エアコンが左右独立調整式になるなど、装備も良くなっている(香りが選べるパルファム・エアフレッシュナーは無くなってしまったが)。またセンターコンソールにドリンクホルダーが丸形と角形で計2つ備わるほか(エビアンやボルヴィックはピッタリ収まるが、「おーいお茶」との相性は悪い)、巨大なドアポケット、シートアンダートレイが付くなどユーティリティも充実。

テクノ風?も選べるウインカー作動音


サウンド選択画面。ウインカーの他、各種アラーム音もテーマに沿って変わる

最近シトロエンは、メーターの照明色を好みで変えられるといった、ある意味どーでもいいことに凝る傾向があり、新型C4でもメーター色は白から濃いブルーまで5段階で変えられる。新型C4ではさらに、ウインカーの作動音も4種類から選べるようになった。

もともとシトロエンはすでにC3などで「ポッコ、ポッコ」と和み系の電子音になっていたが、今回のものはアバンギャルド。標準の「クラシック」は割と普通の電子音だが、初期テクノ風の「クリスタル シンフォニー」を選んだ場合は、およそウインカーらしくない音になり、かなり笑える。それ以外の「アーバン リズミック」「ジャングル ファンタジー」も、ビートの効いたリズミカルな音で面白い。シートベルトなどの警告音もかなり奇抜だ。

 

左下のダイアルスイッチを押すと車両設定に入り、長押しで平均速度・燃費をリセットする

またシトロエンと言えば、昔からステアリング周辺にスイッチを集中させることが大好き。固定式センターパッドを止めた新型C4でも、そのあたりは相変わらずで、センターパッドの左上エリアにクルーズコントロールを、右上にオーディオコントロールを、そして左下には多機能オンボードコンピューターや車両設定を行うスイッチ類を配置。右下のハンズフリーフォン用スイッチは日本仕様では機能しないが、ステアリング上に多数のスイッチを手際よく配置している。操作性も従来のステアリングスイッチより良くなった。

シートの座り心地はとても良い


ヘッドレストはそら豆型で、頭へのフィット感を調整できる

立派な作りのフロントシートは、座り心地も非常にいい。試乗した「セダクション」のシートはフルファブリックだが、サラッとした生地で、汚れは付きにくそう。リクライニングやランバーサポートがダイアル式で調整は面倒だが、いいシートだ。ステアリングはチルトとテレスコが出来るので、ポジションもお望み通りに出来る。

 

アップライトな着座姿勢の後席。ヘッドルームが少なめだが、目の前の天井は高い

リアシートも先代のフワフワとちょっと落ち着かなかったクッションが改められ(それもシトロエンらしいと言えば、らしかったが)、しっかりした座り心地になった。着座姿勢がいくぶんアップライトになり、ルーズな座り方は許してくれないが、長距離でも疲れにくそう。

そして空間的にも横方向や足もとが広く、視界に入る天井も高いので閉塞感もなし。パノラミックガラスルーフ仕様なら、広々とした空を後席から眺めることができる。

 

上位グレードに装備されるパノラミックガラスルーフ。もちろん電動シェード付

ただ、ルーフが思いのほか頭上で低いため、身長が170センチを越えると天井に頭を擦るかも。またドリンクホルダーは前席には2つあるのに、後席には一つもない。センタートンネルの付近にドリンクホルダーにはうってつけの場所があるのに、あえて付けないのは、何かのポリシーだろうか?

エアバッグは計6個で、後席はカーテンエアバッグが守る。2011年のEuro NCAPで最高評価の5つ星を取得している。

ゴルフを越える大容量トランク


一目でゴルフより大きいと分かるトランク。奥行き、幅、高さ、すべてに余裕がある

このクラスのトランク容量はVWゴルフの350リッターがベンチマークで、先代C4も352リッターを確保していたが、新型C4はそれらを上回る380リッターで、文句なしにクラストップレベル。リアゲートの開口部を広く、敷居を低くするなど、荷物の積み下ろしにも配慮している。このあたりにも実用性を重視するというコンセプトが明確に表れている。

 

後席の折り畳みはシングルフォールディングで、6:4分割の背もたれをパタンと前に倒すだけ。荷室フロアとツライチにはならないが、それは要するに荷室を「上げ底」にしていないのとシートのクッションが分厚いから。積載性と座り心地を両立するなら、この方法がベストだ。

 

床下には手堅くフルサイズのスペアタイヤを搭載

荷室の側面には最近のプジョーと同じように、充電式の懐中電灯や12Vのシガーソケットを装備。床下にはミシュランのフルサイズタイヤをスペアとして積む。ただしターボの「エクスクルーシブ」の場合はマフラーの関係か、スペースセーバータイヤになるようだ。

フューエルキャップが無くなった


C4のフューエルリッド。キャップレスで便利

フューエルリッドはインパネのボタンを押すと威勢よくパカッと開くのだが、中を見て驚くのがフューエル「キャップ」がないこと。よく見るとリッドの裏側にはゴム製のフタが付いており、リッドを閉めるとそれが栓をするという仕組み。このタイプ、シトロエンでは初のようで、また少なくともモーターデイズで試乗したクルマでも初めてだ※。

※追記訂正
と書いたのだが、後日「2007年に登場したC4 ピカソも同じタイプです」との指摘があり、確認してみると確かにそうだった。当時のC4 ピカソにも今回の取材担当者が給油を行っているが、その時はすっかりスルーしてしまったようで、ここに訂正します(2011.8.9)。

基本性能&ドライブフィール

乗り心地は「C4.5」くらい


モーターデイズで何度も登場しているPSA・BMW共同開発ユニット。中身は基本的にMINI クーパーと同じ。ターボの場合は「EP6CDT型」となり、少し前のクーパーSと同じになる

試乗したのは1.6リッター自然吸気エンジン「EP6C型」を搭載した「セダクション」(のパノラミックガラスルーフ付)。エンジン自体は今のMINI クーパーとほぼ同じものだが、トランスミッションは新型車ではめっきり乗る機会がなくなってきた4AT。メーカーの資料には「高効率の新型トルクコンバーターを採用」とあるが、基本的には現行のC3やDS3の自然吸気版と同じパワートレインだ。

出足はトルコンのトルク増大効果もあってか、スムーズに出る。普通に街乗りする限りは、これといって不満はない。このPSA・BMW共同開発のノンターボユニットは、ピークパワーこそないが、低回転からトルクフルで、レスポンスに優れるのが特徴だ。

サスペンションは従来通り金属バネ(スプリング)だが、乗り心地はとても良く、この点は先代C4を明らかに上回る。少し硬めながら、姿勢をフラットに保ち、大きな入力をしっかり受け止めるところなど、ハイドロの現行C5によく似ている。座り心地のいいシートと合わせて、確かにこれはシトロエンの乗り心地だ。

さらに静粛性の高さがC4の高級感を、C5寄りの「C4.5」くらいに高めている。パワートレインから出るかすかな唸り、サスペンションがゴトゴト動く音を除けば、室内はかなり静か。安っぽい低級ノイズがないのがいい。

全開加速で目立つ非力感をシャシー性能が補う


サスペンションは前がマクファーソンストラット、後ろがトーションビームと一般的。ただし乗り心地やハンドリングは独特

そうは言っても、少しペースを上げようと思うと、この自然吸気モデルでは非力感がある。車重はC3やDS3より120kgほど重い1310kgで(ガラスルーフ付はさらに+10kg)、さすがに最高出力120psの自然吸気エンジンには荷が重い。

特に歯がゆいのは、急加速を期待してアクセルを踏み込んだ時。エンジンを目一杯回したいところだが、実際にはシフトダウンやキックダウンを拒むことが多く、あるいはやや唐突にキックダウンを行う。そのマイペースな性格は、シフトレバー根元のスポーツボタンを押しても、マニュアルモードに入れても変わらない。

とはいえ、速さを生み出す武器がサスペンションという思想は、見事に新型C4にも受け継がれている。とりあえず一定の速度に達してしまえば、後はハイスピードを維持するだけ。要するに加速は遅いが、コーナーでスピードが落ちない。フロアが妙に分厚いような、いかにも頑強そうなボディが、路面からの入力をしっかり受け止めるので、荒れた路面でもすごく安心感がある。

 

ミシュランと共同で開発したというプライマシーHP。低燃費を意識したようだが、グリップ感もしっかりある

こうやって飛ばした時ですら、ロールやピッチングといった姿勢変化はハイドロ風に少なめ。そこからステアリングを切れば、新開発のミシュラン製タイヤでもって、切った方向にしっかり曲がってくれる。高速コーナーで何をやろうが、リアが出る、なんてことはまずあり得ない。シャシー性能が先代よりワンランク上がったことで、このシトロエン独特の操縦感覚がはっきり味わえるようになった。

それからブレーキにも感心した。シトロエン伝統?の「カックン」ブレーキ(初期タッチが敏感)が残っているのも面白いが、慣れればコントローラブルで、しかもよく効く。特に踏み込み速度が速い時に作動するブレーキアシストによる減速は上手い。自動的にハザードの点滅を始めながら、ジャッキングを抑えつつ、タイヤのグリップを限界まで使って最短距離で止まろうとする。

100km/h巡航時のエンジン回転数は、4AT車で落としどころの約2500回転。4速トップには50km/h手前で早くも入ってしまうので、郊外の幹線道路や高速道路を大人しく流す限りは、ずぅーと4速、という感じになる。パワーがパワーなので、そんなに飛ばす気にもならず、その点では燃費も悪化せずに済むタイプ。

試乗燃費は10.3~11.9km/L。JC08モードは11.5~12.1km/L(セダクション)

今回は約165kmを試乗。参考までに試乗燃費は、いつもの一般道と高速道路を走った区間(約90km)が10.3km/L。さらに深夜の一般道で無駄な加速を控えて走った区間(約30km)が11.9km/L。朝の通勤時間帯に一般道を走った区間(約25km)が10.9km/Lだった。

ちなみに試乗車のJC08モード燃費は11.5km/L(ガラスルーフ無しなら12.1km/L)で、我々の試乗燃費とそう大差ない数値。実用燃費に近いと言われるJC08モードだが、中でも新型C4の数値は、隔たりが少ない方では。ただし4ATにとって不利なゴーストップを繰り返す状況では、8km/L台が目安としては妥当なところ。借用時に残っていた履歴は8.0km/Lジャストで、撮影時の移動でもそのあたりで推移した。指定燃料はもちろんハイオクで、タンク容量はゴルフより5リッター多い60リッターだ。

ここがイイ

お買い得。汎用ナビの純正オプション指定。新型フューエルキャップ

独特かつ抜群の操縦安定性。独特かつ良好な乗り心地。先代より一気に高まった品質感、高級感。そして非ハイドロながら、シトロエンらしい乗り味を堅持しているところ。

輸入車の場合、今に始まったことではないが、安全装備がしっかり揃っていること。6エアバッグやESP、フォースリミッター付シートベルトなどは言うに及ばず、オートライト、オートワイパー、コーナリングライトなども立派な安全装備に含まれる。さらに、いかにもコストが掛かっていそうなシャシーを考えれば、256万円~という価格はぜんぜん高くない。いや、かなり安い。円高の恩恵も?

ナビゲーションシステムはオプションだが、パナソニックのHDDナビ(35万1750円)の他、バックカメラもオプションで追加できる富士通テンのPND(8万1900円)とか、ソニーのVICS内蔵PND(価格未定)とかを、お手頃価格で付けられるのはうれしい。というか、もうこれで十分。ただ、純正指定のオーディオ・ナビ以外は、基本的にステアリングスイッチが使えない、というのはちょっと辛いか。

新型フューエルキャップは、現行のC4 ピカソからのよう。これ、何気ない話だが、クルマとしては革命的な話なのでは。特にセルフスタンドが増えた日本では、「キャップの閉め忘れにご注意ください」がなくなるわけで、結構な話。

ここがダメ

ATはできれば6速化したい

自然吸気モデルの場合、本文にもあるように絶対的なパワーはない。4ATもよく出来ているが、そろそろミッションは何とかしたいところ。プログラム的にも50~70km/hあたりで流していて追い抜き加速を行うと、ドンとショックがあってシフトダウンするのがいただけない。DCTと言わず、せめてMINIのような6ATは欲しい。最新のMINIは6ATでも燃費がかなりいいので、同型エンジンを使うC4でも同じことが可能のはず。

パワーという点では直噴ターボの「エクスクルーシブ」の方がいいだろうし、燃費もパワーの割に良さそう。ただしミッションはセミATの6速EGSと、ちょっと癖のあるものになる。

試乗は大変暑い夏の日の午後にも行ったが、オートエアコンの設定温度を20度程度にしておかないと快適性が保てなかった。他のクルマだと22~24度くらいなので、ちょっと違和感があった。また夜間でも温度設定を少し低めにしておかないと、エアコンが効いている感じがしない。冷やす性能自体は十分だ。

総合評価

乗り味はBXに相当近い

新型C4はシトロエンでありながら、シートに収まった瞬間からシトロエン独特の強烈な個性というか、違和感のようなものがない。シートはある意味、ドイツ車のように自然に体になじむし、インパネ形状もメーター位置もごくごく普通。センターパッドは先代と違って普通にクルクル回るし、何よりインテリアの質感が大きく向上しているので、もうシトロエンらしい「プラスチッキー」さとは無縁だ。トヨタ車から乗り換えても、何ら不満はないどころか、このクラスであれば最近のトヨタ車を超えていると思う。意地悪く探してみても、気になるのはせいぜい日本のペットボトルとカップホルダーのサイズがぴったりでないことくらい。

 

では、何か変なところはないかと見ていくと、速度メーターの外周を針が回る(針が短いので見づらいじゃん、と突っ込みたくなる)とか、エアコンがオートモードなのに、ファンの回転を3段階で変えられるとか(それじゃオートじゃないだろ)とか、メーター照明色が変えられるとか(走行モードを変えたら自動で変化する日本車があったよね)、ウインカーの音が変わるとか(この機能、いったい何の意味がある?)とかいったところ。巨大なパノラミックガラスルーフもC4の特徴ではあるが、運転席では実際のところ、あまり意味をなさないから、C3やC4ピカソみたいにフロントウインドウが頭上まで伸びていればいいのに、と思った。

 

しかし走行1000km足らずの新車だったのに、乗り心地の柔らかさはお見事。ハイドロ車のように低速で路面のゴツゴツを拾うといったこともなく、高い静粛性と相まって室内は快適そのもの。路面を舐めるように曲がっていく独特のコーナリングもシトロエン流。ワインディングの登りで2速キープになってしまうのがちょっと悲しいが、平地なら低回転域のトルクがあるから、アンダーパワーでゆるゆる走る昔のシトロエンのようになる。つまりこれ、乗り味は名車BXに相当近いと思った。これは万人に勧められるシトロエンならではの素晴らしい個性。もう緑色の液体を吐くこともないのだし。

マジョリティは快適な普通のクルマを求めている

となれば、スタイリングがもうちょっと変だとシトロエン好きにはうれしいところだが、これは見事によくまとまっていて、一般的に見ればなかなかカッコいい。しかし逆に言えば、没個性。来るべきDS4との対比、あるいは販売主力モデルとしての立ち位置もあって無難な姿に仕上げてあるのだろう。

それともう一つ、書いておくべきことはハイドロの話だ。今年5月に乗ったマイチェンC5の試乗記で、もうそろそろその役割を終えているのかもしれないと書いたが、今回C4に乗って、改めてそれを実感した。正直なところ、ハイドロではないC4の方が、先回乗ったハイドロのC5より常用域ではハイドロっぽい乗り心地、コーナリング感覚があったからだ。この前、もうちょっと小型のハイドロがあったら欲しいと書いたが、新型C4の乗り味はまさにそれ。つまり今回のC4は、シトロエンからの、もうハイドロはいいでしょ、という回答なのかもしれない。

 

ということで、変なクルマを求める「エンスー」という人々は、そろそろ表舞台から退場する時期になったのかもしれない。今後もエンスーでいるなら、クラシックなクルマをレストアして楽しめばいいだろう。新しいクルマに昔の面影を求めるのは、もはや少数派。マジョリティは快適な普通のクルマを求めている。広報資料にはC4プロジェクトマネージャーの「現代社会では、いたずらにスピードを追い求めるのではなく、クルマの中で過ごす時間をより充実させることが重要になっています」という言葉が載っていた。その意味ではまさに、この言葉のままに作られたのが新型C4ということになる。

そういえば、現在日本で売られているシトロエンのエンジンは、全て1598ccの直4だ。ターボの有無やミッションの種類で性能差は付けられているが、エンジン性能を特に売り物にしているわけではない。日本では今、クルマは走りではなく、快適性能や環境性能などの良さが求められているが、いよいよ欧州でもそんな傾向になってきているのだろう。エンスーがこだわって乗るクルマではなく、ちょっぴり個性的で、オシャレで快適な、おフランスのブランドカー、それが現在のシトロエンであり、今回のC4と言えるだろう。

試乗車スペック
シトロエン C4 セダクション パノラミックガラスルーフ パッケージ
(1.6リッター直4・4AT・273万円)

●初年度登録:2011年6月●形式:ABA-B75F01S
●全長4330mm×全幅1790mm×全高1490mm
●ホイールベース:2610mm ●最小回転半径:5.3m
●車重(車検証記載値):1320kg(-+-) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:5F01
●排気量・エンジン種類:1598cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置
●ボア×ストローク:77.0×85.8mm ●圧縮比:-
●最高出力:120ps(88kW)/6000rpm
●最大トルク:16.3kgm (160Nm)/4250rpm
●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60L
●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:11.5km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF)
●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイル/後 トーションビーム+コイル
●タイヤ:225/45R17 (Michelin Primacy HP)
●試乗車価格:273万8820円 ※含むオプション:フロアマット 8820円
●ボディカラー:ルージュ バビロン ●試乗距離:165km
●試乗日:2011年8月
●車両協力:株式会社渡辺自動車 シトロエン名古屋中央

 
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シトロエン名古屋中央

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