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シトロエン C4 ピカソ 2.0 エクスクルーシブ新車試乗記(第470回)

Citroen C4 Picasso 2.0 Exclusive

(2.0L・6速セミAT・345万円)

走るキュビズムが
かつてない視界と
3列シートを得て進化した!

2007年07月14日

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キャラクター&開発コンセプト

視界と空間が売りの7人乗り

C4 ピカソはコンパクトカーのC4をベースに、3列シートの「7人乗りコンパクトMPV(マルチパーパスヴィークル)」としたもの。欧州では2006年、日本では2007年6月21日に発売された。特徴は「ビジョスペース(Visiospace)」なるキーワードの通り、優れた視界(vision)と室内の広さ(space)だ。

なお、日本向けの7人乗りC4ピカソは、本国では「グランC4ピカソ(Grand C4 Picasso)」と呼ばれるモデル。欧州には同じC4ベースながら、やや全長が短くて5人乗りの「C4 ピカソ」が別に存在する。また欧州では先代クサラピカソも07年7月現在、まだ併売されている。生産はスペインの港湾・工業都市として知られるヴィーゴ(Vigo)で行なわれている。

価格帯&グレード展開

6速セミATと4速ATの2種類で、いずれも345万円

日本導入モデルは、2リッター直4・ガソリンの「C4ピカソ 2.0 エクスクルーシブ」。変速機は今回試乗した6速セミAT(6速エレクトロニック・ギアボックス・システム=6EGS)、およびトルコン4速AT(おなじみAL4型)の2種類。車両価格はいずれも345万円で、仕様もまったく同じなので、「運転感覚の好みでお選びください」ということだろう。言い変えればインポーターであるシトロエン・ジャポンとしても、どちらか一方に絞り切れなかった、というところか。

電動ブラインド付のパノラミック・ガラスルーフとラミネーテッド・サイドウィンドウのセット(15万円)が唯一のメーカーオプションだ。

パッケージング&スタイル

サイズはウィッシュ以上、イプサム未満

ボディサイズは全長4590mm×全幅1830mm×全高1685mmとショート&ワイド。長さはトヨタのウィッシュ(全長4550mm)、幅は現行エスティマ(全幅1800mm)並みだが、むしろ現行(2代目)イプサム(4690mm×1760mm×1645mm)をイメージした方が近い。ただし居住空間に直接影響するホイールベース(2730mm)は、イプサム(2825mm)やエスティマ(2950mm)より断然短く、ウィッシュ(2750mm)と同じレベル。

 

外観はピカソという名が期待させるほど奇抜ではないが、どことなくイモ虫っぽく見えるところなど、ちゃんとシトロエンらしく「変」。C6と共通性を持たせた細部のデザインも巧いところ。一番の特徴はフロントウインドウからルーフまでつながったように見えるガラスエリアで、3角窓も今まで見たことのないくらい大きい。Cd値(空気抵抗係数)が0.31と優秀なのは、理詰めのデザインでもある証拠。

インテリア&ラゲッジスペース

文字通り「かつてない視界」が広がる

何はともあれ、パノラミック・フロントウィンドウからの眺めが圧巻。垂直方向の視界は、一般的なミニバンの2倍となる70度で(つまりほぼ頭の真上まで来る)、フロントウィンドウ上縁は一般的なミニバンより30cm以上後退しているという。バックミラーと後席確認用の「チャイルド・ウォッチミラー」が、ウインドウの中にまるで砂州のように取り残されている。Aピラーも最近のクルマとしてはかなり細いため、死角というものをほとんど感じさせない。

さらに面白いのが、陽射しが気になる場合に備えて、通常の位置まで屋根(シェイド)を引き出せるところだ(スライディング・サンバイザー)。そこからさらに通常のサンバイザーを開くと普通の眺めになり、陽射しを遮ることもできる。

操作系はステアリングに、計器はセンターに集中配置

フロントウインドウにとどまらず、C4ピカソ、とにかくインテリアがたいへん魅力的だ。リム部分だけが回転するC4譲りのステアリングには、固定式センターパッドにスイッチ類を集中させてある。そこからニョキッと生えたシトロエンDS風の電子式「セレクターレバー」は6速セミAT車の場合、「R - N - A(オート) - M(マニュアル)」となり、指先で軽く押して操作する。「P」(パーキング)はないが、エンジンを切ると自動的に電子制御パーキングブレーキが作動する。

 

計器はセンターの大型液晶モニターに配置。速度はデジタル、エンジン回転は液晶の擬似アナログで表示。オーディオの状態もここに表示する。この液晶モニター、背景色をベージュから濃いブルーまで変えられる。メーター手前には電子制御パーキングブレーキの手動操作用ボタンがあるが、走り出せば自動的に解除される。

その下の大型小物入れ(容量5.4L)はクーリング機能付きで、暖房使用時にも使用可能だ。ダッシュボードの上にも、照明つきの小物用スペースがある。細部のクオリティは、トヨタ車も負けそうなくらい高い。

凝りまくりの空調機能

エアコンの操作パネルも凝っている。いまどき調整が左右独立式なのは珍しくないとして、C4ピカソの場合は操作パネルをダッシュボードの両端に別個に設けている。ルノー・アヴァンタイムもこんな風だったが、C4ピカソはさらに後席(セカンドシート)の乗員も温度が設定できるよう、左右Bピラーに操作パネル(ちゃんと液晶モニター付きだ)を設けている。しかもこのエアコン、エンジン停止後もバッテリーの充電状態に応じて最大で8分間、設定温度での送風を維持するという。さらに外気の汚染を感知して内気循環に切り換えるセンサーはもちろん、フランス車お得意のフレグランス機能(パフューム・ディフューザー)も装備。念のため付け加えておくと、当然ながらエアコンの冷却性能は今や日本車にまったく劣らない。

いかにもフレンチな前シート

フロントのシートも素晴らしい作りだ。まずシート全体がC6やちょっと前のXMを思わせる、過剰なほど分厚く、大柄な作りで、車両価格の345万円よりずっと高価なクルマに見える。ホールド性はそこそこだが、ソフトな座り心地や肌触りのいいベロアのシート生地など、いかにもフランス車らしい気持ちよさが味わえる。

3人掛けのセカンドシート

前席に比べてやや見劣りするセカンドシートだが、クッション自体は柔らかくて厚みがあり、こちらも座り心地は悪くない。3席ともに個別に前後スライドが可能。シート幅は平等に45cm幅で、そのため横方向にはややタイトだ。ただ、中央席の座面クッションを左右より心もち柔らかくするなど、どこに座っても居心地がいいように工夫されている。前席背もたれの折り畳み式テーブルは、この手のものとしては最もがっしりした作りで、しかもリーディング・ライト(読書灯)付きだ。

空間的な余裕はないが、装備充実のサードシート

小型ミニバンの鬼門となるサードシートへのアクセス性は、レバーを引くだけのワンタッチ。セカンドシートの座面跳ね上げ→前方スライドが一瞬で行なえる。この時、スプリングの力で「バタン」と座面が急に跳ね上がるので、壊れやすいものをセカンドシートの上に置かないように注意が必要だ。

 

サードシートはクッションが薄く、掘り下げられたフットルームも絶対的な広さがないので、基本的にはエマージェンシーという感じだ。このあたりはウイッシュや2代目ストリームに近い。ただし、C4ピカソはそれを補う工夫や装備群がすごい。大きなリア・クォーターガラス、横方向の余裕、実用的なドリンクホルダー、エアコン吹き出し口、収納式ブラインドなど、補助席と言い切るには忍びないレベルだ。

逆に言えば、パッケージングがやや中途半端とも言えるが、これも小型ミニバンとしての分をわきまえた選択か。本国には3列目にキャプテンシート(独立式シート)を備えたエグゼクティブミニバンの「C8」(日本で言えばアルファードクラスに相当)があるからだ。

細かい配慮から安全・防犯装備まで

室内のいたるところにムード照明が仕込まれ、夜間のドライブ中でも真っ暗にならないように気が使われている。ドアパネル収納ポケットの照明は、差し出した手を感知して点灯するセンサー式だし、乗降時に自動点灯するドアミラー内蔵式の足もと照明も、このクラスの国産ミニバンでは珍しいものだ。サードシートの収納方法やこうした照明などは、日本車(特にトヨタ車)からの影響が感じられる。

欧州車らしく乗員保護性能は充実している。運転席ニーエアバッグを含む7エアバッグを装備。また、防犯性もエンジン・イモビライザーだけでなく、割れても飛散しにくい合わせガラスのサイドウインドウ(ラミネーテッド・ウインドウ)を装備するほか、万一窓が破られた場合にドアが開かなくなるスーパー・ロッキング機構を備えている。

簡単な操作でワゴンやバン並みの空間に

荷室はサードシート使用状態(7人乗り)でも、とりあえず小型スーツケースが置けそうなスペースがある。サードシートを床下に収納し(操作は割と簡単)、5人乗りとした時の容量は、大型ステーションワゴン並みの576L。

床下にスペアタイヤはなく、代わりにパンク修理キットを搭載する。荷室の右側にセットされているのは、充電式の懐中電灯(約45分間使用可能とのこと)で、ふだんは荷室用の照明として機能している。こういう光りモノへの凝り方フランス車らしい。

 

セカンドシートを収納するには、シングルフォールディングで畳む方法と、ワンタッチで座面跳ね上げ→前方スライドさせる方法の2通りがある。右写真の状態は前者の場合で、最大1951L、最大荷室長2.06メートルの大容量となる。シートを取り外すことなく、割と簡単にこの状態にすることが可能だ。

ガラスハッチや車高調整機能もある

リアゲートは何とガラスハッチ付き。SUVやステーションワゴンならともかく、ミニバンでは珍しい装備だ。開閉はリアゲートのドアハンドルで操作できる。また、リアのみエアサスペンションとなっているので、重い荷物の積載時に楽なように、荷室の高さを50~64cmの範囲で調整できる。一番下にすると、ベンチとして座るのにちょうどいい。これは走り出して時速10kmに達すると自動的に通常レベルに戻る。

さらにさらに、運転支援システムも充実

これぐらいで装備の話は終わりにしたいが、あともう少し。駐車をサポートする装置はトヨタ車のお家芸だが、このC4ピカソにも「パーキング・スペース・センサー」と呼ばれるものが付いている。これは縦列駐車する際に駐車スペースが十分にあるかどうかをボディ側面のセンサーで検知し、液晶センターディスプレイに「駐車可能」なのか「困難」なのか「不可能」なのかを表示するシステム。いかにも縦列駐車の国、フランスらしい装備だ。一般的なパーキングセンサー(警告音と画面表示あり)も前後に備わる。

また、C4ピカソにはハイ/ローのバイキセノン・ヘッドライトだけでなく、光軸可変機能(いわゆるAFS)も付いている。さらにだめ押しで、クルーズコントロールやスピードリミッター設定機能、携帯電話用のブルートゥース・ハンズフリー機能まで装備している。まさに至れり尽せり。

基本性能&ドライブフィール

運転が楽しい6速セミAT

日本向けC4ピカソにはトルコン4AT車もあるが、試乗したのは6速セミAT(6速EGS)。2ペダルMTとも言われるセミATは、トルコンATのようなクリープが無く、坂道発進でコツが必要だが、C4ピカソには3%以上の勾配ならブレーキペダルから足を離した後、2秒間ブレーキを保持するヒルホルダーが付いている。発進時のクラッチ制御もなかなかスムーズだ。

シフトアップ時、特に1速→2速時に失速感が出やすいのもセミATの弱点だが、C4ピカソの6速EGSはアクセルの踏み方を加減するだけで、ほとんど気にならないレベルになる。制御方法の進化のほか、6速となってギアのステップ比が小さいせいもあるだろう。

普段はオートマチックモードの「A」で、通常のATのようなイージードライブが可能だ。そこからパドルを引けば、マニュアルモードに移行。ほぼ思った通りにシフトが決まる。変速スピードもオートマチックモードで0.75秒、マニュアルモードで0.65秒と十分に速い。しばらく手動変速しなければ、再びオートモードへ戻る。運転の面白さだけで言えば、トルコン6速ATより多分こっちだろう。

クラス随一の乗り心地。「まったり」が楽しい

2リッターエンジン(143ps、20.8kgm)と6速セミATの組み合わせは気持ちのいい走りを見せる。車重1630kg、パワーウエイトレシオ11kg/ps以上と、数字的には少々厳しいが、実際の力感は十分。6速なのでエンジン回転の上下動が小さく、ゆったり走る時は低い回転数を、ペースの速い時は高めの回転数をキープしやすい。出力特性が穏やかで、なおかつ微妙なアクセル操作によく応えてくれるので、まったり走っても楽しいのだ。しかもこのエンジン、高回転域でも振動がなく、小気味よく回ってくれる。

乗り心地はいかにも今時のフランス車らしく、頑丈なフロアの上に乗っかって、タイヤだけが遠くで上下動しているような、独特のフラットライド感が楽しめる。日本製ミニバンに比べると重厚感は明らかに上だ。路面の細かい不整はソフトなシートクッションが吸収してしまう。セカンド/サードシートで突き上げや上下動が気にならないのは、ピカソ専用のリアサスペンション+エアスプリング、新タイプのハイドロリック・ブッシュ(液封ブッシュ)が効いているからだろう。

静粛性もまずまず

他の欧州車同様、ディーゼルエンジン対策で遮音対策がしっかりしており、静粛性も高い。エンジン音、ロードノイズ、外部騒音、風切り音など、どれか一つが突出して気になる、ということがなかった。ただし一度気付いてしまうと気になるのが、高速巡航時における屋根のあたりからの風切り音。これはほかのクルマでは今まで気にしたことのないもので、このあたりの遮音の問題はガラスルーフ独特のものかもしれない。

100km/h巡航時のエンジン回転数は2500回転。無理して6速トップをオーバードライブとせず、つながりの良さを重視したクロスレシオだ。今時のクルマらしく、120㎞/hあたりの巡航には何一つ不満はない。そのフラット感にはシトロエン独自の味がそのままで、現在の他の快適なクルマを知らなければ「雲の上を走っているかのごとく」と形容したくなるはず。150㎞/hあたりまでは快適だが、やや騒音は高まってくる。

ミニバンゆえ期待していなかったワインディングでも、これがなかなかどうして軽快に楽しませてくれる。パドルでマニュアルシフトしながらのコーナリングは、オンザレール感覚に満ちたやはりシトロエン独自のもの。腰高な感じは否めないが、最近の国産ミニバン同様のレベルで、いわゆるセダン並みか、それ以上だ。

ここがイイ

異様なフロント視界を提供してくれるフロントガラス。ダイハツ・タントの視界も異様だったが、それとは別の異様さがあるのは、さすがシトロエン。フロントスクリーンの上端が視界に入らず、地平から空まで見渡せるこの視界は、一般的なオープンカーでも無理。逆に外からの視線が気になるほどだ。さらに、細いAピラー、Bピラーで横方向にも視界は広く、前を向いている限り、空間に投げ出されたような気すらする。しかしこの細いAピラー、よくできたものだ。衝突安全性確保という理由で、太いAピラーに甘んじてきた他メーカーにはショッキングな眺めだと思うが、どうだろうか。

国産同クラスミニバンより50万~100万円くらい高い345万円とはいえ、400万円台の国産高級ミニバンをも部分的には上回る、快適装備の充実ぶり。詳しくは本文を読んでほしいが、よくもまあここまで、というほど。それから以前乗ったC4と比べると、インパネの樹脂類は質感が著しく向上していた。特に白い横目シボがついたダッシュの素材は見た目こそC4と同じ感じだが、しっとりしており、エアバッグの切れ目も入っていない。黒い部分の質感も高く、センターメーターのバイザーとなっている部分はソフトパッドだ。C6より質感が高いのでは、と思えるほど。またフロントシートに関しては、はっきりC6よりいいと思った。内装はもう何も文句はない。

これはDSでしょう、とニヤリとさせられるセレクターレバーは、昔のモチーフでありながら、実は現代そのもの。最新のメルセデスやBMWがプレステージカーでやっていることを、50年も前にやっていたシトロエンだが、それを今頃になって大衆車クラスで実現しているあたりは、もう痛快としかいいようがない。

輪の部分だけが回るこのステアリングは、奇抜なだけでなく理にかなっている。固定式のステアリングセンターパッド(各種スイッチ付)とパドルシフトは、位置が動かないだけに操作がしやすい。左右にある蓋付き物入れ、センターメーター、センターにある冷蔵ポケット、そしてシフトレバーとセンターパッド、運転席まわりの設計は、もう完璧だと思う。チルト&テレスコでポジションは決まるし、ステアリングのグリップが適度に太いのもいい。パーキングブレーキをマニュアル操作するスイッチも大きくて使いよい。すべてにおいて、日本車にもない素晴らしいユーティリティだ。

ここがダメ

普通のクルマなら、変速機がクリープが無くて1速→2速シフトアップ時に失速感のある6速セミATか、旧弊な4ATしかない、というのはバツとなるのだが、ことシトロエンというクルマの場合、運転感覚があまり普通になってしまうと、本当の(買ってくれる)ファンの心をつかめなくなってしまう。その点、C4ピカソは走りも個性的で、シトロエンマニアの満足度は高いだろう。仮にトルコン6ATを載せても、そう数が出るクルマではない。よって、説明が長くなったが、「ここがダメ」はなし、としたいくらいだ。

とはいえ、いくつか細かい点はある。ライトスイッチ(左レバー)がステアリングの影になって運転中に見えないこと(右のワイパーレバーも見えないが)。フロントのサンバイザーを勢いよく開けると、ロックが外れがち。荷室の取り外しトーチライトはいいアイデアだが、LEDではなく電球で暗い(荷室ライトとの共用だから、しかたないのだが)。

それから右ハンドル化によって、左足のスペースが窮屈なのはちょっと辛かった。特に狭くはないが、左足を自由に動かしにくいのだ。いつも同じ位置に足を置いておく必要がある。ペダル類のオフセットはないのだが、左ハンドルならこんなことにはならないだろう。それからヒルアシストの時間はもうちょっと長い方がいいと思う。ちょっと気を抜くと、後ずさりしてしまう。あとはパーキングスペースセンサーなど様々な警告系をわかりやすい日本語にして欲しい。カーナビの取り付けに関しては悩みそうだが、このインパネ形状なら手はありそうだ。

総合評価

C4ピカソの本国フランスでは移民系のサルコジ氏が大統領となり、アメリカ的グローバリズム路線を進み始めたようだ。伝統的なフランスではなく、移民をフランスにとけ込ませて多民族国家アメリカ的にしていこうとしているのかもしれない。そんな中、2000年以降かつての独特の味を失い、EU迎合型ともいうべき無国籍風に変わってきていたフランス車が復古してきている。シトロエンでも、C1はトヨタとのコラボモデルとなり、ハイドロを搭載した上級車種以外は、どんどん普通になってしまうのかなと、少し心配になっていたのだが、このところの新型車はゆったりとした乗り心地のおフランス度がかなり上昇している。C4ピカソも本当におフランス車シトロエンそのもので、ユラユラした乗り心地は後席の人が車酔いするのでは、と心配になるほど。フロントガラスの異様な大きさといい、個性的かと問われれば、まさにその通りと答えるしかない「変なクルマ」だ。さらにステアリングコラムのシフトレバーなどのマニアックな仕様はクルマ好きを泣かせるもの。いや、クルマ好きではなく、シトロエン好きを泣かしているだけかもしれないが(苦笑)。

そんなマニアックなクルマにもかかわらず、実用車としての完成度は素晴らしく高い。輸入車ということで価格を厳密に比較しづらいのだが、だいたい輸入車は80万円程度、本国価格より高いとしたものだから、だいたい270万円程度の日本車と比べるのがフェアなところか。そうするとやはりエスティマの量販グレードXやイプサムあたりがライバルとなり、装備的にもそう負けてはいない。エスティマも相当個性的だが、ピカソはそれに勝るとも劣らない。いや、ピカソは日本のミニバンを研究したあとの「後出しじゃんけん」的なところがあるので、はっきり勝っているとすら思う。装備にしてもミニバンとしてはベストではないか、と思うほど素晴らしい。

実際、ミニバンが必要な世代で輸入車好きならば、すぐにでも欲しいと思うはずだ。価格もそこそこだし。かつて輸入車のミニバンがほとんどなかった時に、泣く泣く国産ミニバンを買っていた輸入車好きから見れば、本当にうらやましい時代になった。フランス車好きもドイツ車好きも、それぞれが「これなら」と思えるミニバンがあるのだから。「インテリアのピカソ」「走りのトゥーラン」というあたりで、うれしい悩みが生じるかもしれない。

問題はミニバンはもういらないという人だろう。そういう人は、いくらおフランス度が高くてもいまさらミニバンなんてと思うはず。これがセダンやステーションワゴンなら興味もわくが、ミニバンじゃあねと。しかしこのクルマ、もはやミニバンと捉えなくてもいいのではないか。本国に5人乗りがあるように、元々はマルチパーパスヴィークルで、そのロングバージョンにすぎないのだ。シトロエンのユニークな5人乗りワゴンが、たまたまプラス2だったと思えばいい。輸入車好きはミニバン嫌いが多いが、ピカソは普通の人が見てもあまりミニバンには見えないし、おフランス車好きが何も考えず乗用車として買っても十分満足できると思う。

しかしこうなると2列目シートを2+1とした後席ゆったり仕様が欲しくなる。サードシートはあってもなくてもいいから、1列目のようなゆったり座れるシートが2列目の位置に欲しい。そうすれば日本で一番需要が多い、4人ゆったり、荷物たっぷりの理想的な未来型ヴィークルになるはずだ。それがあったならホントにもう即買いなのだが。

試乗車スペック
シトロエン C4 ピカソ 2.0 エクスクルーシブ
(2.0L・6速セミAT・345万円)

●形式:ABA-B58RFJP ●全長4590mm×全幅1830mm×全高1685mm ●ホイールベース:2730mm●車重(車検証記載値):1630kg(930+700)●乗車定員:7名●エンジン型式:RFJ ● 1997cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・横置 ● 143 ps(103 kW)/ 6000rpm、20.8 kg-m (200 Nm)/ 4000 rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/60 L ●10・15モード燃費:- km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●タイヤ:215/55R16(Michelin Primacy HP ) ●試乗車価格:360万円 ( 含むオプション:電動サンブラインド付パノラミック・ガラスルーフ+ラミネーテッド・サイドウィンドウ 15万円 ) ●試乗距離:約150km ●試乗日:2007年7月 ●車両協力:渡辺自動車 シトロエン名古屋中央

シトロエン公式サイト>C4 ピカソhttp://www.citroen.co.jp/products/picasso/index.html

 
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