新車試乗記 第584回 シボレー カマロ LT RS Chevrolet Camaro LT RS

(3.6リッターV6・6AT・430万円)

甦ったカマロは
アメリカのデザイン力を見せつける、
マッスルカーだった!

日時: 2010年01月16日

     
     
     

    キャラクター&開発コンセプト

    初代カマロをイメージした5代目


    シボレー・カマロ・コンセプト(2006年)

    新型シボレー・カマロが、ついに米国で2009年3月に、日本では12月5日に発売された。初代(1967~69年)から数えて通算5代目となるカマロは、4代目(1993~2002年)の生産が終了して以来、約7年振りの復活となるモデルだ。

     

    初代シボレー・カマロ ラリーSS (1968年)
    (photo:GM)

    2006年に発表されたコンセプトカーそのままのスタイリングは、今でも人気のある初代をリスペクトしたもの。その点では今のフォード・マスタングやダッジ・チャージャー、チャレンジャーと同じ路線だ。GMシボレー・ゼネラルマネージャーの言葉を借りれば、「カマロの伝統を敬愛する、あらゆる年代の熱狂的なファン層のためのパーソナルなクルマ」となる。

    ベースとなったFRシャシーは、キャデラックなどGM上級車に広く使われている「シグマ」アーキテクチャーではなく、GM傘下の豪州ホールデン主導で開発された「ゼータ」プラットフォーム。最終組立はカナダのGMオシャワ工場(オンタリオ州)で行われる。


    ■参考リンク
    過去の新車試乗記>キャデラック CTS 3.6 (2008年4月)
    過去の新車試乗記>ホールデン SS ユート (2004年4月)

    価格帯&グレード展開

    V6の「LT」とV8の「SS」。日本仕様はフルオプションに近い


    試乗したV6の「LT RS」
    車両協力:キャデラック名古屋(株式会社ホワイトハウス)

    今回日本に導入されたのは、3.6リッターV6直噴DOHCの「LT」と6.2リッターV8・OHVの「SS」の2グレードで、左ハンドルのみだ。

    装備グレードはどちらも最上級の「RS」となり、しかも本国ではオプションの電動レザーシートや補助メーターなどを最初から備えるなど、事実上のフルオプション車となる。

     

    新型シボレー・カマロ SS
    (photo:GM)

    V6の「LT」とV8の「SS」との外観上の違いはわずかで、SSには専用フロントグリル、ブレンボ製ブレーキ、リアディフューザーが付く程度。標準タイヤはアメリカ本国だとV6が18インチもしくは19インチで、V8が20インチだが、日本仕様は全車20インチになる。

    ということで、日本仕様だとオプションは電動サンルーフ(12万750円)くらい。販売店アクセサリーとしては、地デジチューナー付のパイオニア製HDDナビ(24万9900円)、ワンセグ&バックカメラ付のサンヨー製ポータブルナビ(12万3900円)、21インチアルミホイール(幅はフロント8.5インチ、リア9.5インチ)が用意される。

     

    こちらは2007年に発表されたコンバーチブルモデルのコンセプト
    (photo:GM)

    ■LT RS   430万円 ★今週の試乗車
     3.6リッターV6直噴DOHC(308ps、37.7kgm)

    ■SS RS   535万円
     6.2リッターV8・OHV(405ps、56.7kgm)

    V6エンジンは現行キャデラックCTS 3.6と同じ「LLT」型で、レギュラーガソリン仕様。V8の方はハイオク仕様で、巡航時などに4気筒を休止して燃費を稼ぐ、いわゆる可変シリンダー機構付の「L99型」だ。なお、2008年型コルベットと同じV8「LS3型」(422ps、56.4kgm)は、日本に導入予定のない6MTモデルに搭載される。

    映画「トランスフォーマー」仕様も限定発売


    シボレー・カマロ「トランスフォーマー仕様限定車」(米国仕様)
    (photo:GM)

    2010年2月には、米国に続いて「トランスフォーマー仕様限定車」が販売される予定だ。これは映画「トランスフォーマー」(2007年)と続編の「トランスフォーマー/リベンジ(Transformers: Revenge of the Fallen)」(2009年)で活躍するロボット生命体「オートボット」の主人公「バンブルビー」をイメージしたものだ。

    通常モデル同様、トランスフォーマー仕様車もV6の「LT RS」(442万円)とV8の「SS RS」(547万円)がある。ベース車からわずか12万円高だが、日本導入は16台限定となる。

    パッケージング&スタイル

    写真で見るより実物は大きい


    Cd値はV6で0.37、V8(SS)で0.35

    写真はV6の「LT」だが、ボディサイズは「SS」と共通で、全長4840mm×全幅1915mm×全高1380mm。ホイールベースは2855mmだ。長さはトヨタ・クラウンやキャデラックCTS並み、幅は大型SUV並み、そして全高はスペシャリティらしく低め、といったところ。

     

    初代シボレー・カマロ(1969年モデル)

    似たようなジャンルで、日産のCV36型スカイラインクーペと比べると、全高とホイールベースはどっこいどっこいだが、カマロの方が全長は185mm長く、幅も95mmワイドだから、やはり一回り大きい。写真で見ると引き締まって見える新型カマロだが、実物は「けっこう大きいな」というのが率直な印象だ。

    ちなみに初代カマロの代表的な寸法は、全長4690mm×全幅1840mm×全高1300mm。新型カマロはその初代より全長で3%、全幅で4%、全高で6%大きいだけだ。

    さすがアメリカ? ドーピング気味のマッスルカールック

    デザインは初代カマロを彷彿とさせるもの。初代同様、短くて、しかも絞り込んだフロントオーバーハングの先に、ブラックアウトしたフロントグリルを設置し、丸目ヘッドライトを両脇に配している。

    さらにパワーバルジで盛り上がったアルミ製ボンネットから、V字型に尖ったグリル上部までの造形も、初代カマロの雰囲気を再現。その獰猛な面構えは今どきのハッピーフェイス系とは対極を成すもので、流行りの言葉で言えば完全に肉食系だ。

     

    スタイリング全体はとにかくマッシブでマッスル。とくにリアフェンダーの膨らみは、「禁止薬物、使っちゃいました」という感じ。さらに、にらみを効かせた4連のリアコンビランプが周囲を威嚇し、いかにも喧嘩っ早そう。試乗中に黒のF430と併走したが、ぜんぜん負けない気がした。ちなみにこの4連リアコンビも初代カマロへのオマージュだ。

     

    初代シボレー・カマロ(1968年)

    一方、昔のカマロと違って、ヘッドライトは現代的なHIDのプロジェクター。しかもライトレンズ周辺には、BMWのようなエンジェルリングが光る。もちろんバンパーは鉄ではなく、ボディ同色の樹脂製だ。また一見は新型も初代カマロのようにBピラーレスのハードトップに見えるが、実際には内側にばっちりストラクチャーが通っているあたり、現代のクルマならではの工夫が見える。ただリアフェンダーの魚のエラ風レリーフは、ちょっととって付けたような感じだ。

    視界の狭さにビックリ。インパネデザインは超カッコいい

    室内に乗り込むと面食らうのが、フロントガラスの小ささ、天地の狭さだ。MINIのそれもかなり小さめだが、カマロの場合は左右に広い分、まるで軍用車両の覗き窓みたい。特に右Aピラーと日本仕様の可倒式ドアミラーが成す死角の大きさは、ちょっと他に例がないほどだ。この件については後でも触れる。

    V6モデルは430万円だが、内装の質感は期待以上に高い。アメ車というと一昔前はいかにも樹脂っぽかったが、カマロの内装はカチッとした仕上がりで、何よりブルーの照明を活かしたデザインがカッコいい。

    円高に感謝! かなり充実した仕様・装備内容

    フルオプションに近い日本仕様は、装備も充実している。エアコンこそマニュアルだが、シートヒーター付の電動レザーシート、レザーステアリング&シフトノブ、クルーズコントロール、アメリカンなサウンドのボストン・アコースティック社製の9スピーカー・245Wオーディオシステム、USBポート、DC12ボルト電源が2つ、そしてバックセンサーが標準装備される。

    またエアバッグに関しては、前席フロント×2、前席サイド×2、頭部保護用のヘッドカーテン×2の計6個が備わる。

    メーターデザイン&機能も秀逸

    目を奪われるのが、ブルーで統一された計器類の照明だ。VWがかつて使っていたビビッドなブルーではなく、ネオンサインのような淡い水色。また両サイドのドア内張りにもブルーのラインが走る。

    ドライバー正面には大ぶりの速度計と回転計、そして小さく水温計と燃料計が収まる。その中央にある多機能モニターは、トリップメーター、平均燃費計、残り航続距離、速度警告設定画面、水温、エンジンオイルの交換目安(寿命を%表示)、さらに前後・左右のタイヤプレッシャーまで表示する。

     

    さらにセンターコンソールには、本国ではオプション装備となる4連メーターが備わる。表示されるのは今どき珍しい油圧計、油温計、電圧計、そしてATフルードの油温計だ。走行中に見るのはほとんど無理だが、デザインがいいので完全に許せる。

    標準の電動レザーシートもOK

    全車標準のレザーシートも、なかなかいい。運転席はフル電動で(前後スライド、高さ、リクライニング)、クッションもアメ車に多いフカフカ系ではなく、硬めでホールド性がある。ステアリングはチルトとテレスコが調整できるので、誰でもほぼ思った通りのドラポジが取れるはずだ。ドイツ車のシートに慣れた人でも、目立った不満はないと思う。

    ただ、これはパッケージングに関係することだが、シート高をあまり上の方にセットしてしまうと、今度は降りるときに頭がルーフにつかえてしまう。

     

    一方、助手席はリクライニングのみ電動で、後は手動。しかもシート高が調整できないため、小柄な人が乗ると室内に埋もれた感じになる。おかげで助手席では乗降時に頭がつかえることはないが。

    乗降性は2+2だが、空間的にはフル4シーター

    リアシートに乗り込もうとして戸惑うのが、背もたれをワンタッチで前倒しするレバーが、なぜか背もたれの真後ろ(裏側)にあることだ。なぜこうしたのは理由は分からないが、おそらくコストやデザインだろう。

    また普通ならレバーを引くと、シートが同時に前方へスライドするものだが、カマロは動かない(つまりワンタッチではない)。「基本的には2人乗りです」ということか。

     

    後席からの前方視界はこんな感じ

    じゃ、やっぱり後席は狭いのか、と思いきや、これが意外にも広くて、拍子抜けする。というか乗降性の点では2+2でも、空間的には完全にフル4シーターだ。

    例えばヘッドルームは十分で、身長170センチ程度なら頭が当たる心配はなし。サイドのクォーターウインドウは小さいが、実際には運転席と助手席の間が離れているおかげで前方視界が良く、ほとんど狭さを感じない。

    また背もたれの角度が適度に後ろに倒れていて、ゆったり座れるのもいい。クッションも分厚く、シートアレンジを優先した下手なハッチバック車より座り心地は良いと言える。このあたりはホイールベースが高級セダン並みの2855mmもある大らかなボディサイズゆえだろう。

    大きな荷物はドアから入れる

    トランク容量は小型セダン並みの320リッター。またリアシートの背もたれを倒してトランクスルーさせることも可能だ。自転車や家具でも積もうとしない限り、積載性で困ることはないだろう。ただ、開口部が狭いのに最初はびっくりするが、これもいざとなれば通常のドアから入れればいい、という判断だろう。

     

    なお、空気圧センサーを標準装備するので、パンク修理キットかと思ったが、床下にはいちおう応急スペアタイヤが収まる。

       
       
       
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