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新車試乗記 第405回 トヨタ カムリ G ディグニス エディション Toyota Camry G

(2.4リッター・5AT・336万円)



日時: 2006年03月04日

 

キャラクター&開発コンセプト

25年で累計1000万台

初代カムリは2代目セリカ(1977~81年)の4ドアセダン版として1980年に登場。82年に早くもモデルチェンジし、カローラより一足早く前輪駆動を採用、輸出もこの2代目から始まった。今や生産拠点は世界に8ヶ国。販売は100ヶ国以上の国・地域に及び、25年間の累計販売台数は1000万台という(カローラは40年間で3000万台)。特に年間40万台を売る北米では、過去9年間で8回も乗用車販売※でトップだ。
※北米での「乗用車」とは、SUVやピックアップ等のライトトラック類を除くセダンやクーペ

日本向けエンジンは中国製

2006年1月30日発売の新型も、軸足は圧倒的に海外だ。セダン市場が2割を切った国内の目標は年間1万2000台に過ぎない。日本仕様はトヨタ本社の堤工場で生産されるが、その2.4リッターエンジンは中国・広州から輸入される。

海外生産は3月から米国でスタート。オーストラリア、タイ、マレーシア、フィリピン、台湾、ベトナムといった従来拠点が続き、2006年に中国、2007年にはロシアが加わって計10ヶ国に増える。米国では通常モデルが3月、遅れてハイブリッド(2.4リッター直4+モーター)も登場するが、日本には投入されない。

参考サイト:
トヨタU.S.A.(英語)
トヨタ・プレスリリース>カムリ1,000万台販売を突破

価格帯&グレード展開

価格は247万8000円~336万円

北米には3.5リッターV6+6ATもあるが、国内は2.4リッター直4+5ATのみ。標準車(247万8000円)、アルミホイールや電動シート付きの「リミテッドエディション」(264万6000円)、レザーシートやHDDナビ付きの「ディグニスエディション」(336万円)の3グレードで、4WD車もある。

パッケージング&スタイル

外寸はほぼキープ、よりスタイリッシュに

先代に比べてボディ外寸に大きな変化はないが、ホイールベースが55mm伸びた分、オーバーハングは削られてスポーティになった。試乗中にマークXと並ぶ機会があったが、カムリは完全に一回り大きく見える。背の高さが同じ日本人とアメリカ人でも体格が違って見えるように、肉付きが違う感じだ。

見た目のデザインは「大きなベルタ」という印象だが、サイズは立派なのでクルマに詳しくない人はトヨタの新しい高級車と思うかも。先代は特徴に乏しかったが、新型はレクサスのイメージも微妙に取り入れつつ、革新的すぎず地味すぎない。広告キャッチコピーは「内面は顔に出る」だ。

高級感をアップ、半透明のセンターパネルを採用

先代の室内はとにかく広かったという印象だが、新型はセンターコンソールが立派になり、ちょっとレクサスっぽくなった。広さ自体も現行ウインダムを越えている。木目調パネルは全車共通。試乗した「ディグニスエディション」には革シートとウッド調ステアリングが付く。細かい質感はトヨタ品質の平均で、全体的にはヒュンダイ・グレンジャーより一枚上手な感じを受ける。

センターパネルは薄い緑色の半透明アクリル製で、それをバックライトで光らせるアイディアが面白い。高級感という点ではかなり?だが。 CD/MDディスクを入れ替える時は他のトヨタ車ナビ同様、パネルが反転する。ナビは30GBのHDD方式で、最大2000曲が収録できるなどオーディオ機能は充実しているが、なぜかDVDには未対応。スマートキーは全車標準。

側突対策ボディと7エアバッグ

ホイールベースが2775mmと特に長くないのは、格上のアバロン(米国トヨタブランドの最上級セダン)やレクサスに遠慮したからか? とはいえ、もちろん広さに不満はない。新開発のシャシーは側面衝突の衝撃をボディ全体で吸収する「マルチロードパス構造」を採用。ニーエアバッグを含む7エアバッグも全車で装備する点が、世界戦略車らしい。

トランク容量は先代から83リッター減の504リッター。SUVやピックアップ、ミニバンが身近な米国ゆえ、あえてセダンはスタイリング優先ということか。トランクスルーもアームレスト部分のみ。開けたトランクリッドを支えるのはダンパーではなく、最近珍しいトーションバー。スペースは喰うが、あえて言えばダンパーと違ってへたりにくいのが長所。さすがワールドカー。

基本性能&ドライブフィール

実直なエンジン、やや大柄なボディ

世界中で足となるクルマだけに、運転感覚はごくオーソドクス。改良型の2.4リッター直4「2AZ-FE」(167ps、22.8kg-m)はそれなりに4 気筒っぽい振動とノイズを出すが、同乗者には分からないレベル。1シリンダー590ccのロングストロークユニットらしく、1530kgのボディを低回転から力強く引っ張る。エンジンが中国製であることなどすぐに忘れてしまう。

少し気を使うのはボディの大きさで、1820mmという現行セルシオ(1830mm)並みの全幅のせいと言うより、高いウエストラインが原因かと思う。左折時など、何となく助手席側ドアの上端が邪魔で、サイドが見にくい。小回り自体は最小回転半径 5.5メートルと、マークX(5.2メートル)、プレミオ/アリオン(5.3メートル)、先代カムリ(5.3メートル)より大きいが、イメージ通り曲がってくれるので特に困ることはなかった。

静粛性も乗り心地もそこそこ

乗り心地は国内専用車のようにソフト一辺倒ではなく、多少ゴツゴツ。これは高速走行時でも変わらない。先日のグレンジャーより乗り心地は洗練されているが、エンジンノイズは当然ながらV6に劣り、後席ではロードノイズも耳に届く。何か突出して気になる音はないが、すごく静かなクルマというわけではない。

山道での安定感は一般的なペースでは問題ないが、オーバースピード気味だとタイヤのグリップ性能がそこそこなのでまずアンダーステアになり、そこでアクセルを閉めると穏やかにリアが流れ、アンダーのまま4輪を流しつつ結果的にはクリアする、というもの。VSC装着車ではリアが大きく流れた時点で制御が働く。同じトヨタ車でも、欧州車風のアベンシスとは全く違う思想のクルマだ。

カムリが生きるのはやはり高速道路で、100km/h巡航は1900回転ほどと大排気量車並み。クルーズコントロールを使えば燃費も良さそうだが、もちろん日本向けゆえ120km/hではセットできない。10・15モード燃費は11.0km/L(試乗車)だが、今回の試乗では高速主体(計250kmほど)で8.6km/L、一般道で撮影しながら7.6km/Lだった。

ここがイイ

美しいかどうかは微妙としても、スタイリングには強い個性があってなかなかいい。もちろん全体としては地味な部類だが、絶対的な販売数が少ないこともあって、トヨタ車の中では他と違うことを強みとできるだろう。

輸入車並みの衝突安全装備は利点。また、一番安いグレードなら250万円で手に入る「高級セダン並みのボディサイズ」は、それが欲しい人には魅力。同様にセダンにゆったりした室内を求める人にも魅力だろう。

4気筒エンジンは静かで、走りも十分力強い。日々接するクルマとしては、当然のことながら特に不満をいうところはない。

ここがダメ

新型エスティマのように、快適で特別に魅力のある室内空間を持つクルマ(ミニバンだがセダン的な利用を想定したクルマ)が出てきてしまうと、ただ広いだけのセダンはその存在意義が薄れてしまう。広い室内はカムリの魅力だが、それはあくまでセダンとして。逆に広い分、ボディサイズが大きくて日本でのチョイ乗りユースには向かないから、国内市場では難しいスタンスのクルマだ。

レクサスのリースでは3年後の残存価値がなんと55%もある。こうなると価格は絶対的なものではなくなる。カムリはリセールがあまり期待できないから、比較的お値打ちな価格もちょっと色あせてくる。

総合評価

世界の標準セダンは日本の標準セダンにあらず。もちろんそれはトヨタもわかっているから日本ではわずかに月1000台を販売目標にするだけだ(初期受注は4000台入っているようだ)。北米でカムリはカローラのような存在。それを日本で売ることを考えると、サイズが大きい分高級感を出さないといけないから、何だか無理に高級に仕立てた感じがしてしまう。最初はなかなか高級に感じるのだが、やがてじんわり本当の高級車とはちょっと違うな、と感じてくる。それは振動であったり、音であったり。

本当ならV6が主力で、この4気筒バージョンは廉価版という位置付けのはずが、日本国内ではトヨタヒエラルキーの関係で4気筒モデル+豪華装備という変則的な設定になっているのが難しいところ。動力性能的には4気筒で十分だが、車格から期待される高級感はどうにも不足気味。V6にこだわった日産ティアナと対照的だ。緻密に作られた日本の高級車を思うと、カムリはアメリカの大衆車を無理やり高級に仕立ててあるようでどこか痛々しい。そこに、何となく違和感を感じるわけだ。

カタログを眺めているとトヨタ車はどれも高級車に見える。カムリももちろん安いクルマではないので、高級をうたうのは仕方ないかもしれない。ただ、何でも高級仕立てだと、買う側は麻痺してしまって、本当に高級なものが売れなくなってしまうだろう。トヨタの場合、レクサスという本当に高級な(高級にしていかなくてはならない)商品があるのに、その差をどんどん詰めて、自ら首を絞めているようにも感じてしまう。その点だけで言えば日本でカムリハイブリッドを出さないのは賢明だろう(やがてトヨタ全車にハイブリッドが投入される時が来るかもしれないが、それまでは)。

普通の北米のセダンを、日本でそのまま売ればいいのにと思う。廉価で大きいセダンはそれなりの需用が日本でもあるはず。エンジンだって中国製なのだから、これが「質実剛健さで世界で最も売れるセダン」というキャッチをつければ、けっこう引き合いはあるはずだ。月1000台程度だからこそ国内市場でもそんな立ち位置を確保できるように思うが、それはクルマ好きのマニアックな見方なのだろうか。「マーケティング的には何でも高級仕立てにしないと売れない」という意見を論破するのはなかなか難しい。

試乗車スペック
トヨタ カムリ G“ディグニス エディション”
(2.4リッター・5AT・336万円)

●形式:DBA-ACV40●全長4815mm×全幅1820mm×全高1470mm●ホイールベース:2775mm●車重(車検証記載値): 1530kg(F:910+620)●乗車定員:5名●エンジン型式:2AZ-FE●2362cc・DOHC・4バルブ・直列4気筒・横置●167ps (123kW)/6000rpm、22.8kg-m (224Nm)/4000rpm●カム駆動:タイミングチェーン●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/70L●10・15モード燃費: 11.0km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:215/60R16(TOYO PROXES J33)●試乗車価格:345万4500円(含むオプション:チルト&スライド電動ムーンルーフ&可動式リーディングランプ<後席用> 9万4500円)●試乗距離:360km ●試乗日:2006年2月

公式サイト http://toyota.jp/camry/index.html

 
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