Published by DAYS since 1997 from Nagoya,Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > カンナム スパイダー F3

新車試乗記 第770回 カンナム スパイダー F3 Can-Am Spyder F3

(1.33L 直3・6速MT/セミAT・199万8000円~)

バイクでもない。
クルマでもない。
カナダから来た
3輪バイクに試乗!

2015年09月26日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

カナダ生まれの“リバース型トライク”。日本上陸は2014年


日本では2014年に発売されたカンナム スパイダー RT

「カンナム(Can-Am) スパイダー」は、スノーモービルや水上バイクで世界トップシェアを誇り、カナダに本拠があるBRP(ボンバルディア・レクリエーショナル・プロダクツ)社の3輪モーターサイクル。

いわゆる「トライク」の一種だが、一般的なトライクのように2輪から派生したモデルではなく、前2輪、後ろ1輪の通称「リバース型トライク」と呼ばれるタイプであり、専用に設計されている。

同社がカンナム スパイダーを発表したのは2007年で、販売は2008年から北米でスタート。初代のエンジンはBRPの子会社であるロータックス社が開発し、アプリリアのバイクにも搭載された990cc V型2気筒だったが、日本では排ガス規制が通らず、試験的な導入に留まっていた。

しかし2014年モデルでは新開発のロータックス製1330cc 直列3気筒エンジンを採用したことで、晴れて日本の排ガス規制をクリア。これにより日本でも2014年1月から「RT」の販売が本格的にスタートしていた。

2015年には第2弾として「F3」も登場


2015年から登場したカンナム スパイダー F3
(photo:BRP)

さらに2015年には、RTのパワートレインや基本設計を受け継ぎながら、全く異なるデザインとキャラクターが与えられたニューモデル「F3」が第2弾として登場し、日本では5月に発売された。今回はRTに加えて、このF3を中心に試乗した。

なお、カンナム スパイダーの世界累計販売台数は、この7年間で約7万台。日本での累計販売台数(2014年1月~2015年8月)は、今のところRTを中心に約450台だという。国内の正規販売店は2015年9月現在、関東に7店、近畿に5店、東海に3店など計25店。

日本では4輪免許でOK


今回、メディア向け試乗会が行われた「Sea-Gets(シーゲッツ)」。名古屋市近郊でBRP社の水上バイク等を長年取り扱っている

カンナム スパイダーは日本では3輪車に区分されるため、一般的なトライク同様、普通自動車免許で乗ることが可能で、逆に自動二輪免許では乗ることができない。なお、海外では国・地域によって2輪免許が必要とされる場合もある。

また、安全上はヘルメット装着が推奨されるが、日本ではヘルメットなしでも法的には走行できる。高速道路での通行料金は軽自動車や2輪車と同じだが、制限速度は100km/hではなく、3輪車と同じ80km/hになる。

ボンバルディア社とBRP社について


(photo・BRP)

カナダ・モントリオールに本社があるBRP(Bombardier Recreational Products)社は、スノーモービル、水上バイク、ATV(全地形対応車)などの“パワースポーツ車両”を製造・開発するメーカー。

その起源はスノーモービルを発明したJ.A.ボンバルディア氏が1942年に創業したボンバルディア社にある。後に同社は航空宇宙や鉄道を主力事業とする一大コングロマリットに発展。その基礎を築いたスノーモービル(ブランド名は「Ski-Doo」)、世界で初めて座って乗るタイプとなった水上バイク(「Sea-Doo」)、ATVなどの事業は、2003年に別会社となったBRP社が担っている。2015年現在、BRP社の従業員数は約7100人とのこと。

なお、日本でのBRP製品の輸入販売は、BRP社の100%子会社であるBRP ジャパン(川崎市)が行っている。

 

なお、欧州オーストリアのエンジンメーカーであるロータックス社は、1960年代からボンバルディアにスノーモビール用エンジンの供給を開始した関係で、1970年頃にはボンバルディアが買収。現在はBRP社の傘下にある。BRP社の製品だけでなく、BMW、KTM、アプリリアなどの2輪にもロータックス製エンジンが使われている。

■外部リンク
BRP ジャパン
BRP ジャパン>スパイダー
BRP ロータックス(英語)

 

価格帯&グレード展開

カウル付き「RT」とネイキッドな「F3」の2モデルで展開


RT(左)と F3(右)

ラインナップは大きく分けて、2014年からある「RT」と2015年に新登場した「F3」の2種類。前者は電動フロントスクリーン、大型カウル、サイドケース、タンデムシート用バックレストを備えたツアラー(ツーリングモデル)で、後者は2輪で言えばネイキッドもしくはストリートファイター風のモデルになる。外観や装備だけでなく、フレーム等の設計も異なり、車重もF3の方が70kg以上軽くなる。

パワートレインは基本的に両者共通で、ロータックス製の1330cc 水冷直列3気筒(115ps、130Nm)。トランスミッションにはバイクと同じリターン式の6MTに加えて、RTとF3の上級グレードに6速セミATを用意している。いずれも全車にバックギアが備わる。

 

RTはパニアケースやリアトランクを標準装備し、計155Lの積載容量を持つ

ABS、トラクション コントロール、スタビリティ コントロール、パワーステアリングは全車標準。RTにはiPod接続ケーブル付AM/FMラジオやグリップヒーター、RTの上級グレード(RT-S、RT リミテッド)には電子制御式エアサスペンション(リア)が備わる。また、RT全車とF3の上級グレード「F3-S」にはクルーズコントロールが装備される。

2015年モデルのラインナップと価格(消費税8%込)は以下の通り。2輪車でライバルを挙げるなら、ホンダのゴールドウイング(1832ccの水平対向6気筒、240万8400円~)、BMWのK1600GT(1600cc 直列6気筒、285万円~)、ハーレーダビッドソンのトライク「トライクグライド ウルトラ」(1689cc V型2気筒、425万円~)あたりか。

■スパイダー RT
・RT (6MT)   233万8200円
・RT-S (6速セミAT)  295万9200円
・RT リミテッド (6速セミAT) 308万8800円

■スパイダー F3
・F3 (6MT)   199万8000円
・F3-S (6MT)  215万7840円
・F3-S (6速セミAT)  232万2000円

 

パッケージング&スタイル

バイクでもなければ、クルマでもない


(photo:BRP)

カウルやパニアケースといった装備のないF3のスタイリングは、真横から見るとスポーツバイクのようで、なんとなくドゥカティのディアベル風。鋼管製のロングスイングアーム、短く切り詰められたシートフレーム、スイングアームから伸びたアームで支持されるリアフェンダー&ナンバープレートなど、最新バイクのトレンドを上手に取り入れている。メインフレームは外から見えず、横からチラリと見える極太パイプはF3専用の補強パイプとのこと。低重心・ロースタイルを実現するため、フレームはRTと異なる専用設計になっている。

フロントから見ると、いわゆるノーズコーンとサイクルフェンダーを備えた顔がケータハム セブン風でもあるが、人間はオートバイのように車体中央にまたがるわけで、バイクでもクルマでもない、新ジャンル感が強い。

全長は大型バイク並み、全幅は軽自動車並み


オレンジのフレームは剛性アップ用で、メインフレームは外から見えない。後輪はハーレーのようにベルトドライブで駆動される

ボディサイズは、全長がだいたい大型の2輪車並み(4輪ならスマート並み)、全幅はF3なら軽自動車並み。F3のシート高は675mmで、バイクとしては極めて低いが、どちらにしても停車時に足を地面につく必要はまったくない(むしろ引きずられるのを防ぐため、足はつかない方がいい)。乾燥車重(燃料、オイル、冷却水などのない時の車重)はF3で386kg、RTで459kgあるが、バイクと違って倒れる心配がなく、バックギアもあるので、重くて困るということは基本的にはない。

各部の作りこみや仕上げはボンバルディアの名にふさわしく、200万から300万円クラスの輸入バイクと比べても申し分ないレベル。

 

写真はいずれもF3-SのセミAT仕様。左はオプションのフロントスクリーン付き

足を置く場所はRTのフットボードに対して、F3はステップになる。ステップの前後位置は工具を使って5段階で調整可能。ハンドルバーの形状もオプションで各種用意されている。
 

F3のリアシート下スペースはミニマムだが、ETCくらいならここに入る

フロントトランクは防水仕様で、もちろん施錠が可能。F3の場合、容量は24.4Lとミニマムだが(フルフェイスヘルメットは入らない)、オプションでパニアケース等を装着できる
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) シート高
(mm)
BMW K 1600 GT(2012~) 2324 1000 1440 1680 810~830
ホンダ ゴールドウイング (2011~) 2630 945 1525 1690 740
BRP カンナム スパイダー F3(2015~) 2642 1497 1099 1709 675
BRP カンナム スパイダー RT(2015~) 2667 1572 1510 1714 772
ハーレーダビッドソン トライグライド ウルトラ (2014~) 2670 1390 1430 1670 720
 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

カンナム 最新の試乗記10件

最近の試乗記