カーデータ
●カテゴリー: コンパクトマルチワゴン
●クラス(排気量):1493cc
●キャラクター : 今、ノリにノッているホンダが「Jムーバー」こと「楽しさ創造車」第1弾として発表したのがキャパ。昨年のモーターショーで脚光を浴びていたホンダJムーバーシリーズのひとつ「J-MX」の市販モデルだ。1.5リットルエンジンとホンダマルチマチック(無段変速機)を組み合わせ、小さなボディで広い室内、優れた機能性と走行性、そして今までにない楽しい生活を夢見させてくれる新世代マルチワゴン。ターゲットは30代ファミリー層。
●コンセプト:スモール・イズ・スマート、小さいことはいいことだをキーワードに、床を二重にした背の高い「デュアルデッキパッケージ」で5名の乗員のゆとり空間を確保。存在感のあるスタリング、快適な走りと乗り心地、高い安全性などを融合させた。要はロゴをベースにシビックのパワーユニットを移植したミニミニバン。これからのファーストカーになりうる新しいコンパクトカーを目指して、家族で乗ってもひとりで乗っても楽しいクルマとした。
●注目度:日産・キューブ、マツダ・デミオといった新しいコンパクトサイズのマルチワゴンが続々誕生し、激戦区となっているミニミニバン市場。その美味しい市場に後発モデルとして投入されただけに注目度は熱い。
●特筆装備 : ライバル車たちを研究し尽くしたカタチで誕生となったキャパだけに様々な、ユーティリティに優れた装備が満載される(パッケージ参照)。
また全車に無段変速ベルトドライブ、ホンダマルチマチックを搭載し、ステアリングに設けられたD(ドライブ)、S(スポーツ)スイッチで走行に応じてモード切り換えを可能としている。
●燃費 :10・15モードで14.8km/リットル。1.5リットルモデルとしてはなかなかの数字だ。ちなみに1.3リットルのキューブが15.4km/リットル、1.5リットルのデミオが14.8km/リットル、1.5リットルのラウムが13.8km/リットル。
●価格・販売 :基本グレードは装備の異なる2タイプのみで、価格は東京地区でCタイプが139.8万円、Dタイプが155.8万円。外観の違いはCがモノトーンカラー、Dはツートーンカラーとなり、ドアハンドルもボディ同色となる。
電動格納式ドアミラー、アシスタントシートバックテーブル、キーレスエントリーなど快適装備を充実させた「ユースフルキット」(7万円)、アルミホイールとプライバシーガラスをセットにした「スタイルキット」(8万円)のセットオプションが両車に用意される。
スタイル
大きなグラスエリアを持つ台形フォルムは、このクラス随一の存在感があり、実際より大きくみえる。さらにフロントおよびリアに装着されるホンダ(H)エンブレムは他車からの流用品ではなく、キャパのために作られたホンダ車の中で最も大きなもので、キャパに対するホンダの意気込みが感じられるところ。上部のターンランプと一体感を持たせた大型マルチリフレクターヘッドランプ、縦長のリアコンビランプなど、そのスタイルは一目でホンダのキャパと認識させられるもの。小さい割に見事にまとまったデザインだ。
パッケージング
ロゴベースではあるが、厳密にいえば新設計だ。最も注目したいのが「デュアルデッキパッケージ」。これは新骨格2重フロア構造と呼ばれるもので、オフセット&側面衝突に対応する補強材をフロア下に埋め込むことで高強度ボディとし、さらには前席シートレール、リアヒータダクト、2つのフロアボックスをフロア下に埋め込むことにより室内の機能部分の張り出しを最小限に抑え、いわゆるフラットフロアを実現している。室内高1240mmから生まれる余裕あるヘッドクリアランス、最大限に広げたガラス面積と相まって、実際のサイズ以上に広々とした開放感に溢れる室内を作り出している。
クラス最大級である250mmものスライド量をもたせたマルチモードリアシート、マツダカペラ同様の助手席のシートバックが倒れテーブルになるアシスタントシートバックテーブル(メーカーオプション)など多彩な空間アレンジが楽しめる。
内装(質感)
一見、ロゴと同じインパネと思いきや、実はキャパ専用設計となっている。質感はこのクラスとしては平均レベルだが、純正ナビを使うとエアコンパネルが隠れてしまったり、カップホルダーを使うとオーディオパネルが隠れてしまったり(純正ナビ装着車)、何かと不都合が生じてしまう。「Jムーバー」すなわち楽しさ創造車にふさわしい新しさを感じるデザインが欲しかった。
シート・ステアリング・シフト感触
ライバル車がフルフラットシートを実現しようと、シートを小さくしたりサポート性を犠牲にしている中、キャパはあえてフルフラットシートを断念し、座り心地の良さを追求したという点は評価できる。それだけに厚手で腰のあるシートとなっており、きちんと座ることを強いるタイプで、ロングドライブでも疲れにくい。同じホンダ車でもステップワゴンやS-MXとは大違いだ。特にリアは立派なシートが収まっている。
ただ、上級グレード(Dタイプ)の柄付きのラッセルシート生地よりも下級グレード(Cタイプ)のシンプルなジャージ生地の方が好感が持てたのはちょっと皮肉ではあるが。
動力性能(加速・高速巡航)
ロゴよりも約200kgも増加された車重に、シビックよりも7馬力少ないパワー、SOHCで、ましてVTECでもない…とデータ的には大したことはない。しかし、シビックより1000回転下でシビック同様の最大トルクを発生するという、実用域を重視したトルク設定となっており、出足は車重増加をものともせず、市街地から高速道まで十分な加速力を体感できる。130km/h(一応、メーター読みで160km/hまでは出た)くらいまでなら、実際の排気量以上の余裕が感じられるほど。高速での直進安定性も大したもので、1.5リットルモデルの走りとしては文句無し。
D(ドライブ)/S(スポーツ)モードのスイッチがステアリングに設けられ、積極的に切り換えができるというのは、さすがホンダというべきところ。でももう少しDモードとSモードの走りの違いを極端にした方が、よりキビキビとした走りが楽しめると思うのだが。
ホンダマルチマチック(CVT)は発進時の微妙なアクセル操作で若干、ギクシャク感があるものの、クリープ現象が設定されているので普通のAT車に乗り慣れている人でも、違和感なく乗れるだろう。
ハンドリング・フットワーク
低速域では軽すぎる感があるものの、スピードが増すにつれ手応えのあるステアリングフィールとなり、剛性感の高さが認識できる。背が高くなっているのにも関わらず、強いロール感を感じることはなかったが、きついカーブでのタイヤの鳴りは早い。ワインディングマシンでないのは確か。
乗り心地
少し硬い感じもするが、突き上げが上手く押さえ込んであるので、マイルドな乗り心地となっている。高速巡航ではホイールベース2360mmと短い故に多少のピッチングが発生するので、落ち着きのある走りは少し損なわれてしまうが、このカテゴリーのクルマとして評価すると、やはりは文句のつけようがない。
騒音
気になるのは高速での風切り音だけ。とにかく静か。ライバル車と比較しても、実際に最も静かと感じたのがキャパであり、特にエンジン音が非常に静かだったことには驚かされた。これも防音材の詰め込まれた2重フロア構造が大きく貢献しているのだろう。
安全性
新骨格2重フロア構造によって居住空間を犠牲にすることなくフロア下にクロスメンバーやアッパーフレームを最適に設け、全方位衝突安全設計ボディ(GOAとかTAFといったように愛称がないので長ったらしいネーミングだが)を具体化している。デュアルエアバッグ、ABS、ロードリミッター&プリテンショナーシートベルトは標準装備。
環境対策
排ガスの浄化性能を向上させた触媒を採用し、CO、HC、NOxの排出を、国内排出ガス平均規制値に対して大幅に削減している。
ここがイイ
リアシートヒーターダクトやアシスタントシートバックテーブルなどアイデア装備を豊富に詰め込み、ロゴベースということを全く感じさせない真面目なパッケージングは、ボディの小ささを感じさせないファミリーカーとして、存分に機能を果たしてくれるだろう。もちろん快適な走りも2重マル。
しかし、本当の魅力は、クラスを感じさせないボリューム感のあるスタイルなのかもしれない。小さなサイズのクルマが欲しいくせに、小さくてもちょっと大きくみえる方がいいという消費者心理を見事についている。
ここがダメ
座り心地を重視したためにフラットシートを断念したのは納得できるが、せっかくフラットなフロアと高い室内高を実現したのだから、コラムシフトとウォークスルーをなんとか実現させると、何かと重宝するような気がするが。
クラス最大級という250mmスライドするリアシートは最前位置にすると、人が座れなくなってしまうので、このスライドはあまり役に立ちそうもない。
最近では高さ制限が1.7mとか2m以上ある立体駐車場も多くなっているが、やはり1.55mが中心となっているので、この点では全高1640mmのキャパよりも1535mmのデミオが有利といえる。
総合評価
手頃なサイズなのに大きく見える外観、エクステリアデザインの洗練度、乗員重視のシートとインテリア、心地いい無段変速機、十分な走りの性能、そして素晴らしい静粛性。キャパのハード面での評価はかなり高い。特に背の高いクルマとしながらも走行性能が犠牲にされてなく、RV作りに慣れてきたホンダの集大成的な作品だ。日本のファミリーカーのスタンダードになりえるクルマだろう。真打ちのキャパの登場で、コンパクトワゴン市場はますます盛り上がることになりそうだ。
お勧め度(バリューフォーマネー)
充実した安全&快適装備、優れたユーティリティ、そして1.5リットルエンジンに無段変速機を搭載して約140万円というのは、誰もが納得できる価格といえる。
キューブが最大のライバルと思われがちだが、キャパとキューブは明らかにクラスが分かれる。カタログ比較では使い勝手でキューブの方がリードしているように見えるが、実際の存在感、快適性、走りはキャパの方が明らかに勝っていて、キューブはセカンドカーとして、キャパはファーストカーとして考えるのが妥当だろう。排気量、価格帯がバッティングするトヨタ・ラウムが、最もキャパに近い存在なのでは。長い目で見れば同じホンダのステップワゴンやオデッセイがキャパに喰われたりするかも?
公式サイト http://www.honda.co.jp/auto/


