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トヨタ カローラ フィールダー 1.5G “W×B”新車試乗記(第760回)

Toyota Corolla Fielder 1.5G “W×B”

(1.5L 直4・CVT・211万4837円)

「地球人の幸福と福祉のため」
カローラがマイナーチェンジ。
その進化を見届ける!

2015年06月05日

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キャラクター&開発コンセプト

マイナーチェンジで「トヨタ セーフティセンスC」を採用


新型カローラアクシオ ハイブリッドG
(photo:トヨタ自動車)

2012年5月に発売された11代目カローラ(アクシオとフィールダー)が、2015年4月1日にマイナーチェンジした。改良点は大きく分けて三つで、一つめが内外装デザインの刷新、二つめが安全装備をパッケージ化した「Toyota Safety Sense C(トヨタ セーフティセンスC)」の採用、三つめがハイブリッド車譲りの技術であるアトキンソンサイクル等を採用した新開発1.5Lエンジン(2NR-FKE型)の搭載になる。

 

新型カローラフィールダー ハイブリッドG
(photo:トヨタ自動車)

販売チャンネルはこれまで通りトヨタカローラ店。月販目標は、カローラ全体では2年前の計7000台から計9000台に引き上げられた。内訳はフィールダーが4000台から6000台に増え(内ハイブリッドは1500台から4000台に増えた)、アクシオは3000台のままになっている(内ハイブリッドは1000台から1300台に増えた)。カローラにハイブリッドが設定されたのは2013年夏だが、今やそのカローラの6~7割がハイブリッド車になっている。

なお、直近の販売実績は、4月が登録車で5位の7331台、5月が同2位の8920台。

■外部リンク
自販連>新車乗用車販売台数月別ランキング
トヨタ自動車>リリース>新型カローラフィールダーならびにカローラアクシオを発売(2015年3月30日)

■参考記事
ニュース>トヨタ、カローラフィールダーとアクシオをマイナーチェンジ (2015年3月30日掲載)
新車試乗記>11代目トヨタ カローラアクシオ/フィールダー ハイブリッド (2013年8月掲載)
新車試乗記>11代目トヨタ カローラ フィールダー 1.8S “エアロツアラー” (2012年9月掲載)
新車試乗記>10代目トヨタ カローラ アクシオ ラグゼール (2006年10月掲載)
新車試乗記>9代目トヨタ カローラ ラグゼール (2002年12月掲載)
新車試乗記>9代目トヨタ カローラ (2000年10月掲載)

 

価格帯&グレード展開

アクシオは146万4873円~。手頃な1.3L・CVT車も用意


カローラアクシオ ハイブリッド
(photo:トヨタ自動車)

アクシオは1.5Lの5MT車なら146万4873円からスタート。また、アクシオにはエントリーモデルとして1.3L(従来型の1NR-FE)のCVT(無段変速機)もあり、こちらは146万4873円から買える。

アイドリングストップ機能の付いた新世代2NR-FKEの1.5L・CVT車は156万4037円~。1.5L車では5MTと4WDも選べるが、その場合はエンジンが従来型の1NZ-FEになり、アイドリングストップ機能は備わらない。ハイブリッドは203万0400円~。アクシオはフィールダーよりおおむね15万円ほど安い。

フィールダーは161万1163円~。上位グレードが充実


カローラフィールダー ハイブリッド G “W×B”
(photo:トヨタ自動車)

フィールダーに1.3L車はなく、1.5L・5MT車の161万1163円からスタート。従来型エンジンの1.5L車で5MTと4WDを選べるのはアクシオと同じ。

アイドリングストップ機能の付いた新世代2NR-FKEの1.5L・CVT車は172万8982円~。フィールダーのみに設定された1.8L車(2ZR-FAE)は221万4000円~。ハイブリッド車は219万5345円~。

 

写真は「モデリスタ クロスフィールダー キット」装着車。フィールダー 1.5G(4WD)に外装キットを装着したもの
(photo:トヨタ自動車)

さらにフィールダーにはスポーティな内外装の「エアロツアラー」や、従来は特別仕様車だった「W×B(ダブルバイビー)」も用意。フィールダーが対象とする年齢層は幅広く、それはアクシオの2倍という販売目標にも表れている。

先進安全装備「トヨタ セーフティセンスC」は、上級グレード(Gグレード以上)に標準装備で、下位グレードでも5万4000円で装着可能。

 

パッケージング&スタイル

最新のトヨタ顔に。リアはよりワゴンらしく


写真はフィールダーの1.5G “W×B”

今回はマイナーチェンジなので、ボディサイズやパッケージングはこれまでと大差なし。フィールダーのデザインテーマは単純明快に「スポーティ」とのことで、具体的には最近のトヨタ車同様、大きな台形ロアグリルで「アンダープライオリティ」(下側に重点を置き、低重心感やワイド感を強調)を表現。最近マイナーチェンジしたヴィッツ、アクア、オーリス同様に、アグレッシブな顔つきになった。

 

フィールダーのボディカラーは全9色。写真は“W×B”専用色のクールボルドーガラスフレーク

“エアロツアラー”と、試乗した“W×B”には、クラウンアスリートを思わせるドットパターンのフロントロアグリルが、リアには専用のロアガーニッシュが備わる。リアコンビランプの形状も今回のマイチェンで変更され、よりステーションワゴンっぽい後ろ姿になった。

 
 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転半径(m)
ホンダ シャトル (2015~) 4400 1695 1545~1570 2530 4.9~5.2
トヨタ カローラ フィールダー (2015~) 4400~4410 1695 1465~1535 2600 4.9~5.5
トヨタ プリウス α (2011~) 4615~4645 1775 1575~1600 2780 5.5~5.8
トヨタ アベンシス (2011~) 4780 1810 1480 2700 5.4
 

インテリア&ラゲッジスペース

質感や触感をテコ入れ


写真はW×Bのブラック内装。オーディオ・ナビは全車ディーラーオプション

いかにもカローラらしい手堅いインパネデザインは、おおむね従来通り。ただし今回のマイナーチェンジでは、W×Bなどの上位グレードで、ステアリングやシフトノブの本革を触感のいい「スムースシボ」に変更。センターパッドにもリアルな革シボが入った。

さらに、シフト周りのピアノブラック仕上げやメッキ加飾、サイドのエアコン吹き出し口の形状変更、運転席フットレストの標準装備化(MT車を除く)といったテコ入れ策で質感を高めている。

“W×B”ではホワイト内装も


“W×B”のホワイト内装
(photo:トヨタ自動車)

フィールダーW×Bの場合、内装カラーは標準のブラック内装(ファブリック+合成皮革)に加えて、オプション(3万2400円)でホワイト内装を新設定。シート表皮が白の合成皮革になるほか、インパネ加飾やドアトリムの一部も白の合皮張りになる。真っ白のシートはオオッと思わせる反面、汚れやすいのが心配だが、いちおう防染機能付とのこと。

ちなみにW×B(ダブルバイビー) とは、内装色の白(White)と黒(Black)の頭文字とのこと。なーる。

 

いかにもカローラな乗員空間。手頃な広さの荷室


フィールダーはテレスコも全車標準。写真はW×B(ブラック内装)のスポーツシート

室内空間はよく知ったカローラワールドで、特に広くもないが、狭くもなく、特に華やかでもないが、簡素でもないという、いろんな意味で必要十分なもの。最近のトール型軽自動車より狭いが、スタンダードなクルマらしいホッとできる雰囲気がある。W×Bとエアロツアラーに装備されるスポーツシートの座り心地はなかなかいい。

 

後席の背もたれは若干のリクライニング(最大16度・8段階))が可能

フィールダーの荷室は、後席使用時の容量が407Lで、奥行きは970mm。後席格納時は872Lで、奥行きは2025mmになる(いずれもカタログ値)。新型シャトルの後席使用時540L(床下込だと570L)には負けるが、奥行き寸法はおおむね互角で、とりあえず小型ワゴンとしては合格というか、手頃なスペースが確保されている。

 

拡大時には大人が足を伸ばして横になれる。後席は荷室側のレバーで格納可

外したトノカバーはデッキアンダートレイ(床下収納スペース)に収納可能
 

基本性能&ドライブフィール

常用域ではトルクがあって燃費もいい


1.5Lの新世代エンジン「2NR-FKE」

試乗したのは新開発1.5L「2NR-FKE」エンジンの1.5G W×B。

この新型エンジンは、従来の1NZ-FE型に代わるユニットで、自然吸気の1.5L。アトキンソンサイクル、高圧縮比、クールドEGR(排出ガス再循環)システム、低フリクション技術、可変バルブタイミングを電動モーターで制御する「VVT-iE」(Variable Valve Timing-intelligent by Electric motor:電動連続可変バルブタイミング機構)、アイドリングストップ機能といった技術を投入したもの。JC08モード燃費はフィールダーの場合、先代1.5L・CVT車の19.6km/Lを2割近く上回る23.0km/Lを誇る。

 

最高出力109ps、最大トルク136Nmという数値は従来モデルと同じで、車重は試乗車で1140kg。パワーウエイトレシオは約10.5kg/psに過ぎないが、1500~2000rpmくらいの常用域ではトルク感がしっかりあり、この回転域ならCVTのスリップ感も全く気にならない。なので街中では、過不足なく加速し、思い通り走ることができる。そうやって走らせると燃費もいい。

試乗した“W×B”のタイヤは、下位グレード(185/60R15)よりホイール径が1インチ大きい185/55R16で、最小回転半径が15インチ仕様車の4.9mから5.5mになってしまうのが残念だが、それでも取り回しは悪くない。フィールダーは営業車としても人気らしいが、さもありなんと思わせる乗りやすさがある。

パワフルな走りを求めるなら1.8Lか

試乗車が履くミシュラン エナジーセイバーのグリップはそこそこだが、ワインディングもそつなく走る。基本的には弱アンダーステアで、それ以上の挙動はVSCがギギギッとブレーキ制御で抑えこむ。特に楽しくはなく、限界も高くないが、セーフな操縦性。乗り心地も悪くないし、凸凹でのショックも無難に受け止める。

高速道路での100km/h巡航は1900rpmくらいで、上り坂では2100rpmくらい。この程度ならエンジンは静かで、ロードノイズや風切り音も静か。直進安定性も問題ない。ゆえにレーダークルーズコントロールどころか、普通のクルコンもないのが惜しまれる。

ただ、少し元気よく走らせようとすると、3000rpmを超えたあたりからエンジンが唸り始める。またCVTの節度感(ロックアップ感)も薄まり、エンジン回転が落ち着きなく上下しがち。パワフルな走りはガソリンの1.8Lモデルに任せた、という感じ。

 

【トヨタ セーフティセンスC】…搭載性の良さが売りの、普及型先進安全装備


Toyota Safety Sense C (センサー部)。左の丸いレンズが単眼カメラ、右に2つ並んでいるのがレーザー受光部、下がレーザー発光部

トヨタ車では今回のカローラから採用されることになった「トヨタ セーフティセンスC」は、センサーに赤外線レーザーと単眼カメラを組み合わせたもの。最大の特徴はセンサーユニットがコンパクトで、搭載性に優れることで、大ざっぱに言えばミリ波レーダーのようにバンパー内などに搭載スペースを確保する必要がなく、フロントウインドウの上部にポン付けができる。

このセーフティセンスCにより、トヨタは以下に挙げる、主に3つの先進安全装備を広く普及させることを目指している。

【トヨタ セーフティセンスC】…PCSの自動ブレーキは10~80km/hで作動


室内側から見たセンサーユニット。2つのセンサーがあるとは思えないほどコンパクト

安全装備の一つは、「衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ(PCS=Pre-Collision System)」。これは、近距離の物体を高精度で検知できる赤外線レーザーレーダーと、遠距離を画像解析によって認識する単眼カメラという2つのセンサーによって、前方の4輪車などの障害物を検知し、衝突の危険があると判断した場合は、ドライバーにブザーとディスプレイ表示で警報し、ブレーキを踏むように促すもの。

さらに、ドライバーがブレーキを踏まなかった時は、例えば、停止車両に対して自車の相対速度が30km/hの場合は、自動ブレーキにより約30km/hの減速を行い、衝突回避を支援する。また、この自動ブレーキの作動速度域は約10~80km/hとのことで、軽自動車やコンパクトカーに多い赤外線レーザーのみのタイプ(一般的には約30km/hまで)より高い。トヨタによれば、これにより実際に発生している追突事故の80%以上に対応するという。また、80km/以上で走行している時でも、衝突の可能性があれば警告は行うとしている。

ただ、より高性能なミリ波レーダー方式やEyeSightと違うのは、車間距離制御式のクルーズコントロール機能を持たないこと。ここは高速道路を走ることが多い人には物足りない部分だろう。

【トヨタ セーフティセンスC】…LDAは割とおなじみのもの


セーフティセンスCの3装備のオン/オフはドライバーの右ひざの辺りにあるスイッチで行う

装備の二つ目は、国内外メーカーを問わず、かなり普及してきた「レーンディパーチャーアラート(LDA)」。その機能は既存のものとだいたい同じで、単眼カメラで走行車線の白線や黄線を認識し、例えば居眠りや前方不注意で車線を逸脱しそうになった場合には、「ピー、ピー」とブザーを鳴らし、液晶ディスプレイに表示された左右車線のうち、踏み越えた方が点滅する。もちろん、ウインカーを出せば警報は出ない。本来的には、居眠り運転や集中力の低下をドライバーが自覚するのに有効。

なお、最近はステアリングを振動させて警告するタイプや(ピーピー鳴らないのでうるさくない)、電動パワーステアリングで操舵アシストまで行うタイプもあるが、今回のカローラには採用されていない。

【トヨタ セーフティセンスC】…AHB+バイビームLEDは実用的


写真がボケてて分かりにくいが、AHBとLKAが作動オンになっていることがインジケーターで分かる

装備の三つ目は、オートマチックハイビーム(AHB)。これは単眼カメラによって、対向車のヘッドランプや先行車のテールランプなどを検知し、ハイビーム/ロービームを自動で切り替えるもの。新型カローラのAHBは現行クラウンやレクサスLSのように遮光板を使って照射範囲を無段階で変更するタイプではなく、シンプルにハイ/ローを切り替えるタイプだが、上級グレードのヘッドライトはハイ/ロー共にLEDの「バイビームLED」(オートレベリング機能付)になる。

従来、この手のAHBは、真っ暗な田舎道や高速道路を走ると、もう少し先を照らして欲しいのにロービームのまま、といったことが多かったが、新型カローラのものは単眼カメラでの画像解析レベルが高まったせいか、2~3年前のものよりも反射板などを対向車のライトだと誤認識してハイビームにならないといったケースがほとんどなくなった印象。また、バイビームLEDの配光パターンも適切で、ハイ/ロー共に夜間の視認性は良好だった。もちろん、AHBオンなら、ハイビームにしっぱなしで対向車や前走車に迷惑をかけるということも防げる。

とは言え、慣れていないと、とっさに手動でハイビームにしにくい点は、これまで通り。ハイビームにするにはパッシングする時と同じでライトレバーを引き続けるか、右ひざのあたりにあるAHBボタンをオフにするしかない。この点についてはさらに改善の余地があると思う。

なお、セーフティセンスCにはもう一つ、信号待ちや渋滞時などで、前のクルマが発進したのを知らせる「先行車発進告知機能」も備わる。これは間違いなく便利。

 

試乗燃費は13.0~19.0km/L。JC08モード燃費は24.2~25.0km/L

今回はトータルで約320km試乗。参考ながら、車載燃費計による試乗燃費は、いつものように一般道と高速道路を走った区間(約80km)が13.0km/L。多少渋滞のある一般道をおとなしく走った区間(約30km×3回)は16.0km/L。高速道路を走った区間(約90km)は同じく16.0km/Lで、うち、90~100km/h程度で巡航した区間は約18.0km/L、80km/h前後で巡航した区間は約19.0km/Lだった。また、撮影のための移動を含めた320kmトータルでの燃費(満タン法)は約13km/Lだった。

試乗したガソリン1.5G(CVT)のJC08モード燃費は23.0km/L(アクシオの場合は23.4km/L)。ちなみに、新型シャトルの純ガソリン1.5L車(FFは21.8km/L、4WDは19.4km/L)と比べると、FFなら新開発2NR-FKEを積むフィールダーが勝ち、4WDではシャトルが勝つ。

指定燃料はもちろんレギュラーで、タンク容量は42L(ちなみにハイブリッドは36Lと小さい)。実質的な航続距離は550~600kmくらいか。

 

ここがイイ

安心感のあるパッケージング。W×Bのシート。トヨタ セーフティセンスCの採用など

オーソドクスな、そして安心感のあるパッケージング、同じく安心感のあるカローラ、そしてフィールダーというブランド。5ナンバーサイズのコンパクトなボディに、見慣れた5人乗りの室内、シンプルな構造の荷室など、新鮮味はないが、妙にこだわり過ぎたところがなく、日々の道具として優れている。新1.5Lエンジンの燃費も実燃費で13km/L程度なら、昔のことを思えば十分では。

試乗したW×Bのスポーツシートは、座り心地、ホールド性、デザイン、触感などが良かった。シートに関しては同クラスの欧州車に負けないと思う。フィールダーの場合は、ステアリングのテレスコ調整が全車標準なのもいい(アクシオは一部グレードのみ標準)。

トヨタ セーフティセンスCの採用。このクラスのトヨタ車にも自動ブレーキがついに備わり、しかもそれが10~80km/hという幅広い速度域で作動するものになった(衝突を回避できるとされるのはあくまで速度差30km/hまでだが)。これまで赤外線レーザー方式の自動ブレーキをかたくなに?採用してこなかった理由がこれで分かった気もする。

ここがダメ

少し物足りないガソリン1.5Lの動力性能、セーフティセンスCの諸性能

外観デザイン、新開発ガソリン1.5Lエンジンの動力性能、セーフティセンスCの機能については、今ひとつ物足りなさがあること。外観デザインについては好みだが、新1.5Lエンジンの走りは全体に大人しく、燃費性能に振られた印象。セーフティセンスCについては、車間制御機能付クルーズコントロールが備わらないのが残念。また、自動ブレーキの減速性能(現状は30km/h分だけ減速)や検知対象の範囲(明記されているのは先行車のみで、歩行者や自転車は含まない)なども、進化著しい他社の先進安全装備と比べると少し物足りない。今後の性能アップを期待したい。

ナビは全車、販売店オプションで、純正ナビで高機能なものはT-Connect対応モデルか、試乗車(トヨタ自動車の広報車)に装着されていた一般的なSDメモリーのナビくらい。インフォテイメント装備については、フォードグループとの協業が検討されているようだが、しばらくはインターフェイス面も含めてマツダコネクトのような取り組みは望めそうにない。フィールダーの場合は、汎用ナビの方が実際のユーザーには喜ばれそうだが、この分野での先進的な取り組みも早く見たいところ。

総合評価

ひとまず「現在の普通」になった

3年前のカローラハイブリッド試乗記では、「残念なことが一つ。先進安全装備がないのは痛い。簡易なものであれば、今や5万円で軽自動車にも装備される自動ブレーキ装置はぜひ欲しかった。また、ATペダル踏み間違いの多い年配層をターゲットとしているなら、ダイハツのスマートアシストやスバルのEyeSightにあるようなAT誤発進抑制制御も欲しい」と書いた。

今回、AT誤発進抑制制御こそないが、トヨタ セーフティセンスCは搭載されたわけで、ひとまずは良かった。まあ、これで「現在の普通」になったわけだが。

また、フロント部の雰囲気が大きく変わった。あくまで好みの問題としておきたいが、いわゆる“キーンルック”にはちょっと無理矢理感を覚える。上部フロントグリルを狭くして、大きく口を開けたような顔となったわけだが、特に試乗したW×Bでは通常の横バーグリルがドットパターンになり、メッキ加飾もあってなんとなくシャチホコをイメージしてしまう。最近のトヨタ車の顔はどれも皆、怒っているように見えるが、マーケティング的には今の世の中、そういう強そうな、勇ましそうなものが受けるということなのだろうか。

 

ただ、3年前に指摘した「W×Bのインパネ仕上げ。カーボン調のパネル、艶のある黒のセンターコンソールなどでドレスアップされているが、これが若者向けのかっこ良さなの? と思ってしまう。むしろ、しっとりしたシボ加工でまとめられたアクシオの方がスポーティに思えた」というあたりは、今回のマイナーチェンジでまんまそのようになったようだ。しかしエクステリアをここまで変更できるのであれば、インパネもいっそ大胆に変更して欲しかったと思う。3年経って見ても、デザインはあまり好ましくは思えない。

とはいえ、3年目のビッグなマイナーチェンジで商品性は高まった。新しいエンジンの燃費はいいし、それでいて走りもまぁ不満はない。特に大きな魅力も感じないが、トヨタ国内販売トップ3のアクア、プリウス、カローラ(アクシオとフィールダー)から一台選べと言われたら、ワゴンのフィールダーを選ぶだろう。魅力はいまどき貴重な5ナンバーワゴンであること。その使い勝手は広い世代から支持されているようで、売れ行きも好調だ(代替分母が大きいことも要因だとは思うが)。ワゴン好きとしては溜飲が下がる。

クルマがロボットになる時代は急速にやってくる

ところで先日、自動運転技術を開発するZMPとDeNAが、ロボットタクシーの合弁会社設立を発表した。グーグルやアップル、DeNAなどのIT企業は皆、ロボットカー業界へ参入してきている。先日、ITSあいち県民フォーラム2015で、ZMP取締役の講演を聞いたが、人が運転できる半自動運転はとても難しく、ロボットと人間が協調する場合の成功例はない、逆にいえば、完全自動運転にはこの問題がないから、ある意味では楽だと言っていた。なるほどそうかもしれない。過疎地に住む高齢者の足として自動運転のクルマが導入された場合を考えてみても、アクセル踏み間違いなど心配しなくていいから、人間の運転できる余地などない方がいい。

もう一つ、その講演ではこうも言っていた。そういう自動運転時代になれば、クルマの性能の大きな差別化は必要なくなり、車両そのものよりモビリティサービスがウリになると。なるほど、そうなるとクルマ屋さんよりIT屋さんの方が強いことになるだろう。ZMPとDeNAは、このロボットタクシーを2020年の東京オリンピックの時に走らせるというし、なんだかクルマがロボットになる時代は急速にやってきそうな気配だ。

 

その東京オリンピックまではあと5年で、それはだいたい6年と言われる最近のクルマのモデルチェンジサイクルより短い。ハイブリッドが追加された2年前、カローラセダン/アクシオユーザーの平均年齢は64歳と聞いたが、そのカローラのフルモデルチェンジが6年サイクルとすれば、3年後(2018年)に発売される次期モデルは、東京オリンピックの時にロボットタクシーと比較されるかもしれない。それから3年経った時(今から9年後の2024年)に出る次々期カローラは、ロボットタクシー(のような自動運転車)といよいよ同じ土俵で戦うことなる。今回はフルモデルチェンジから3年でセーフティセンスCを搭載したカローラだが、今後2世代でそこまで進化できるのか。IT屋さんが参入してくる中、自動車メーカーはモデルサイクルを含めて、新しいビジネスモデルを考えないといけない時期に来ているのではないだろうか。

今、60代のカローラユーザーが後期高齢者になる頃には、ロボットカーは確実に走っているはず。ロボットカーのお陰で免許を返上しなくていい世界がやってくるかもしれないが、その時にカローラはどんなスタンスで、どこまで自動化しているのだろう。いよいよ面白くなってきた。まあ運転はつまらなくなりそうだが。

 

試乗車スペック
トヨタ カローラ フィールダー 1.5G “W×B”
(1.5L 直4・CVT・211万4837円)

●初年度登録:2015年3月 ●形式:DBA-NRE161G-AWXEB-X
●全長4410mm×全幅1695mm×全高1510mm
●ホイールベース:2600mm
●最低地上高:155mm ●最小回転半径:5.5m
●車重(車検証記載値):1140kg(680+460) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:2NR-FKE
●排気量・エンジン種類:1496cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置
●ボア×ストローク:72.5×90.6mm
●圧縮比:13.5
●カムシャフト駆動:タイミングチェーン
●最高出力:80kW(109ps)/6000rpm
●最大トルク:136Nm (13.9kgm)/4400rpm
●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/42L

●トランスミッション:CVT(無段変速機)
●JC08モード燃費:23.0km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動)
●サスペンション形式(前):マクファーソンストラット+コイルスプリング
●サスペンション型式(後):トーションビーム+コイルスプリング
●タイヤ:185/55R16(Michelin Energy Saver)

●試乗車価格(オプション込)):243万1439円
※オプション:オプション塗装 3万2400円、アルミホイールブラック塗装 5400円、スマートエントリー&スタートシステム 4万6440円、スタンダードナビ ステアリングスイッチ付 15万0120円、バックガイドモニター 3万3480円、ETC車載器 1万7442円、フロアマット(W×B専用) 3万1320円
●ボディカラー:クールボルドーガラスフレーク

●試乗距離:約320km
●試乗日:2015年6月
●車両協力:トヨタ自動車株式会社

 
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