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シトロエン C5 3.0 エクスクルーシブ新車試乗記(第535回)

Citroen C5 3.0 Exclusive

(3.0リッターV6・6AT・479万円)

シトロエンの父に贈る、
見事な出来の最新ハイドロ車、
2代目C5で天空を翔る!

2008年11月22日

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キャラクター&開発コンセプト

ミドルクラスサルーン「C5」の2代目


新型シトロエン C5
(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

シトロエンの「C5」は、1970年代のGS/GSA(1970-1986年)、80年代のBX(1982-93年)、90年代のエグザンティア(1993-2001年)の系譜に連なるミドルクラスサルーン。今回の新型C5は、初代(2001年日本発売)から7年ぶりのフルモデルチェンジとなる2代目だ。

デザイン的には2007年9月のフランクフルトショーで発表された4シーターカブリオレのコンセプトカー「C5 エアスケープ(Airscape)」を引き継ぐもの。欧州では2008年1月、日本では2008年10月1日に発売された。

スタイリッシュなデザインは、従来のシトロエン流から一歩踏み出した感のあるもの。そのボディを支えるのは、通称ハイドロ、正式名称「ハイドラクティブIII+(プラス)」サスペンションだ。目指すところは、シトロエン独自の「快適な乗り心地」と「高い走行安定性」である。

価格帯&グレード展開

2リッターは399万円~。3リッターは479万円~

今回導入されたのは先代C5同様、4ドアセダンとステーションワゴンの2種類で、パワートレインも2リッター直4+4ATと3リッターV6+6ATの2種類、計4グレードだ。「2.0」に対して80万円高い「3.0」は、レザーシート(運転席マッサージ機能付)が標準装備となる。

なお、先代C5の「セダン」は実のところ5ドアだったが、新型では固定式リアウィンドウを持つ正真正銘のセダンとなった。セダンにはオプションで電動サンルーフ(14万円)が用意されている。

【セダン】
■「C5 2.0」  2リッター直4(143ps、20.8kgm)+4AT  399万円
「C5 3.0 エクスクルーシブ」  3リッターV6(215ps、30.5kgm)+6AT  479万円 ★今週の試乗車

ステーションワゴンは「ツアラー」


新型シトロエン C5 ツアラー
(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

また伝統的にブレーク(Break)と呼ばれてきたステーションワゴンは、今回から新しく「ツアラー」と呼ばれることになった。セダンに比べて20万円高いが、こちらはパノラミックガラスルーフが標準装備となる。

【ツアラー】
■「C5 ツアラー 2.0」  2リッター直4(143ps、20.8kgm)+4AT  419万円
■「C5 ツアラー 3.0 エクスクルーシブ」   3リッターV6(215ps、30.5kgm)+6AT  499万円

パッケージング&スタイル

大きくなったが、小さく見える

セダンのボディサイズ(先代セダン比)は、全長4795(+55)mm×全幅1860(+80)mm×全高1470(+10)mm。ホイールベースは2815mm(先代比+65mm)。数値的には先代よりひとまわり大きくなっている。

なおツアラーのボディサイズ(先代ブレーク比)は、全長4845mm(+5)mm×全幅1860(+80)mm×全高1490(-80)mm。こちらはリアオーバーハング部がセダンより伸ばされ、全高がルーフレールの分高くなっている。こちらは「よりワイドに、より低く」変化している。

 

ボディカラーは全8色。試乗車のボディカラーは定番の「グリアルミニウム」。ボディパネルの面質が高いせいか、塗装品質も高くみえる

一方、見た目の印象としては、むしろ数字とは逆に先代より引き締まった感じ。初代C5はキャビンに空気を入れて膨らましたような丸々とした空間優先スタイルだったが、新型では4ドアクーペ風に変身。顔はまぎれもなくC4や先代C5後期型で見たことのあるシトロエン顔だが、抑揚のあるプレスライン、シトロエンらしい逆反りリアウインドウ(3次曲面の凹型となっている)といったあたり、見せどころの多いデザインだ。Cd値はセダンで0.29である。

インストと化したステアリング、凝りまくったメーター


内装色はブラック(写真)とライトグレーの2色がある

最近のシトロエンはインテリアの質感も高いが、それ以上にデザインは過剰なくらい凝っている。新型C5でまず目を引くのが、C4やC4ピカソに続いて採用された「センターフィックスステアリング」だ。非回転式センターパッドに無数のボタンを散りばめたもので、数えてみたら左右それぞれに10個ずつ、計20個のスイッチがあり、ほとんどインストルメントパネル状態。これらのスイッチは通常のステアリングスイッチと異なり、リム部分を握ったまま親指での操作がしにくい。リムから手を離して、人差し指で押すのがいいようだ。

なおこの「センターフィックスステアリング」には、舵角に関係なくエアバッグの展開方向を一定にするというメリットもある。

もう一つユニークなのが、「航空機の計器盤に着想を得た」という、アナログ(針式)と液晶デジタルをミックスした3眼メーター。未来的なデザインで、なかなかカッコいい。

が、正直言って視認性は良くない。特に使用頻度の高い速度、回転計、燃料計が一目でパッと目に入ってこないあたり、1日か2日の試乗では最後まで慣れなかった。しかしこのあたりは、同じように視認性の良くない新型フィアット500のメーター同様、目くじらを立てるのは無粋かも。

実はシトロエンもこの点は認識していたようで、ステアリング上のボタンを押すと主要な表示以外ブラックアウトする、サーブ言うところのナイトパネル機能が備わっている。

タイトな室内に、豪華なシート

広々感が何より印象的だった先代C5に対して、新型はFRスポーツセダンのようにタイトな空間に宗旨替え。これには今ではC4ピカソなどのミニバンやCクロッサー(三菱アウトランダーベースの欧州市場向けSUV)といったスペース効率の高い車種が増えたことが背景にあると思う。

電動フロントシートは背もたれに中折れ機構(最大25度)まで備えるなど、立派すぎるほど立派。試乗車(3.0)はレザーシートだったのでフンワリ感はそれほどでもなかったが、とにかくシートへの思い入れやコストのかけ方が他メーカーとは段違いという感じだ。


電子制御パーキングブレーキを、C6、C4ピカソに続いて採用

なお、3.0の運転席シートに付く電動マッサージ機能は、電動ランバーサポートがゆっくりと膨らんだり引っ込んだりするという単純なもの。気休めにはなるが、効果は今ひとつだ。また運転席に関しては、デイズスタッフの中に左腿の圧迫感を訴える声があった。センターコンソールの張り出しがやや大きいようだ。

後席はあくまで2人掛けに特化

スポーティなキャラクターから予想される通り、リアシートは基本的に2人掛けを想定したもの。バケット風の形状とした左右席は、ドアからの圧迫感を軽減するため中央側に寄せている。その結果、中央席はあくまでエマージェンシー扱いで、通常はドリンクホルダー(フロントシートにはなぜか無い!)を内蔵するアームレストのための場所という感じだ。

実際に身長180センチ弱のデイズスタッフが座ると、楽に足が組める、というほどではないが、圧迫感はないようだ。センタートンネルがほとんどないため、両足の置き場が制約を受けないのも効いている。

なお、エアバッグは運転席ニー(膝)エアバッグを含めた計9個。そのうち後席用はサイド×2、カーテン×2である。5人分のシートベルト装着表示灯と警告アラームがあり、これが時々誤作動したが、その警告音まで個性的なのがシトロエンらしい。

5ドアから「本当の」セダンに。トランクスルーすればワゴン並みの積載性

先に触れたように、初代C5セダンは実のところ「5ドア」だったが、今回は本物の4ドアセダン。トランク容量は467リッター。U字型のトランクリッドヒンジが荷室スペースを浸食しているところに「合理性よりデザイン性重視」のスタンスが見える。積載性を重視する人には「ツアラー」があるので、セダンではあえて割り切ったようだ。

 

とはいえ、ヘッドレストを抜くことなくリアシートを6:4分割のダブルフォールディングで倒せば(操作力は軽い)、ばっちりトランクスルーできる。

なお、「ツアラー」の荷室容量は通常時で505リッター、最大拡大時は1490リッターとなる。さらに電動テールゲート(シトロエン初)や、ハイドロならではの荷物の積み降ろしを助ける荷室高上下調整機能(プラスマイナス6cmの計12cm)も備わるなど、ドイツ系ワゴンに負けないスペックと実用性を確保している。

基本性能&ドライブフィール

パワートレインは先代・後期型をキャリーオーバー

試乗したのはセダンの「3.0 エクスクルーシブ」(479万円)。パワートレインはプジョー・シトロエン車で定番の3リッターV6(215ps、30.5kgm)とアイシンAW製6ATの組み合わせだ。2リッター直4+トルコン4AT(AL4)の「2.0」同様、いずれも従来モデルの改良型キャリーオーバーなので、総じて動力性能やパワー感も先代C5後期型の延長線上にある。しかし少なくともこの3リッターV6と6ATに関しては運転していて気持ちがよく、実用性能と信頼性も成熟期にあるパワートレインだ。

期待通りの乗り心地と静粛性

そんなわけで新型C5に乗る時は、エンジン関係のことはさっさと忘れて、シャシーを味わうことに集中したい。そのサスペンションはもちろん通称「ハイドロ」。窒素ガスと専用オイルをスフィアと呼ばれる鉄球に詰めて(ガスとオイルの間はゴム製の膜で仕切られる)、ガスはスプリングの役目を、オイルは減衰力、車高調整、姿勢制御をつかさどるものだ。新型C5のものは電子制御が加わった最新世代のハイドロで、正式名称はC6と同じ「ハイドラクティブIIIプラス」。先代の「ハイドラクティブIII」の改良型であり、極端な話、基本的な理論は完全機械式だった昔のハイドロサスペンションと同じと言っていいだろう。

その乗り味はひとことで言って「いかにもシトロエン、いかにもハイドロ」。微妙と言えば微妙だが、期待通りのフラット感、路面の凹凸を遠くから伝えてくる独特のコツコツ感、独特の揺らぎがあるドッシリ感などが渾然と混じり合ったものだ。もちろんハイドラクティブIIIプラスにも、姿勢を一定に保つ「セルフレベリング機能」やスイッチで車高を調整できる「ハイトコントロール機能」などが備わる。試乗車は新車からすでに900kmほど走っていたせいか、新車状態のハイドロ・シトロエンにしては、コツコツ感やハーシュネス(突き上げ)が小さかった。

静粛性もそうとうに高い。サイドウインドウに二重ガラスを使ったり、前輪と後輪のホイールハウス内を吸音用フェルトで覆ったりと、遮音対策はラージクラスセダン並みに入念だが、とにかくその静粛性も「独特の疾走感」を盛り上げている。

ワインディングでは強力なライントレース性

ワインディングでも前輪が路面を掻くという感じはなく、前からロープで引っ張られているような強力なライントレース性でもって、滑るように走る。これはハイドロ(姿勢を適度にフラットに保とうとする)はもちろん、1585mmのフロントトレッド(リアトレッドより25mmもワイド)やフロントダブルウィッシュボーンサス、それに245/45R18サイズのミシュランなどの相乗効果だろう。さらにサスペンションを「スポーツ」モードにすると、パワステの手応えや身のこなしが劇的にシャープになる。前後重配分は1120kg:610kg(65:35)とフロントヘビーだが、運転者はそれをほとんど感じない。

試乗燃費は6.7km/L

今回もほぼいつものコースで190kmを試乗。試乗燃費はトータルで6.7km/Lとなった。そのうち一般道を60kmほど、余分な加速を控えて走った区間では8.6km/Lをキープしたが、渋滞や多少の全開加速をまじえれば、7km/L台が現実的だろう。10・15モード燃費は未発表だが、ほぼ同じパワートレインと車重のプジョー407SW 3.0が8.0km/Lなので、まあそのあたりだろう。もちろん指定燃料はハイオクだ。

ここがイイ

独自の乗り味、カッコ、シートなどなど

新車状態で早くも多走行シトロエンの味を出してあること。乗り心地はとにかくフワフワというべきもの。ブレーキをかけて止まると軽く揺れるほど。ブレーキのタッチもカックンブレーキぽくて、なんとなく昔のシトロエンみたいだ。シトロエンとしては十分なパワーで、6速ATのプログラムも先代に引き続き問題なし。速度を問わず軽いパワーステアリングを切り込むと、路面を舐めるように曲がっていくコーナリングフィールはやはり独自かつ素晴らしい。100km/h巡航は2000回転、150km/hで3000回転といったところの、ゆったりと心地よい高速クルージングは絶妙。

シトロエン初?の万人受けするカッコ良さ。若干ドイツ車っぽくもあるが、カッコいいに越したことはない。ベルトーネがデザインしたエグザンティアを思い出させる、「カッコいい中型シトロエン」。それでも細部にシトロエンらしいひねくれ感も残されている。逆ぞりのリアガラスはもちろん、サイドウィンドウを見るとガラス面積より室内側の枠が大きく、室内からはガラスサイズより視界が狭い。これまた他では見られない光景。

体にフィットする大柄なシートは素晴らしい。背もたれの真ん中が折れて角度が変えられるという機能もこのクラスではまず他にない。ちなみに右ハンドル化による左足のスペースはアウディA4ほど狭くはない。

カップホルダーはないが、右下の小物入れに500mlのペットボトルがピタリと収まるので、救われている。またステアリングのグリップ部分にアルミ?が使われているのも独自。ダッシュパネルと同じ素材のようだ。ウッドとは異なり、滑りは革と同じなので違和感がないし、明らかに革部分とは触れた時の温度が違うので運転中はヒヤッと刺激になっていい。センター固定パッドゆえ、ステアリングを横着に逆手で回すと引っかかるから、きれいなハンドル操作を心がけることになりそう。メーターも枠の部分だけで針が回るタイプなので、軸がないからメーター真ん中をディスプレイにできるのがいい。


(photo:プジョー・シトロエン・ジャポン)

相変わらずAFS(ディレクショナルヘッドライト)とコーナーリングライトは便利。高速コーナーから住宅街の交差点まで、曲がり角の向こうを見事に照らしてくれる。

ここがダメ

ドリンクホルダーやカーナビの不備

まったく細かい話だが、信じられないことに今時のクルマで、フロントシートにドリンクホルダーが無いこと(先代もそう)。それにこれもシトロエンならではの美学かもしれないが、現実問題として困る機会は多そう。確かにキャップの付いた500㎜ペットボトルを斜めに放り込めるスペースはあるし、アームレスト部の収納がその代用とはなるが、そもそもリアシートにはあるのにフロントにないというのが変。そのリアアームレストのカップホルダーも浅くて小さいので、500mlペットボトルが主流の日本では使い勝手が悪そうだ。

ライバル各車はもちろん、C6もインパネと一体になったカーナビを用意しているが、C5にはなく、またこのダッシュ形状ではいかんともしがたい。オプションではダッシュ中央小物入れにセットする地デジ付きカロッツェリア(28万8750円)があるが、選択肢は事実上これだけ。しかもいかにも後付け風。こうなるとPNDを取り付けたいところだが、先代C5ではフロントスクリーンの電波通過状況が芳しくなかった。今度ははたして。いっそメーター内ディスプレイにPNDを埋め込んで欲しいくらいだ。そのインフォメーションディスプレイも外国語表示のみで、今ひとつわかりにくい。

もう一つは、オーディオの使い勝手といまいちの音。静粛性の高いこの移動空間を楽しむなら、マニアならずともオーディオのグレードアップがしたくなるのでは。オプションのUSBコネクタが3万1500円もするというのも、ちょっとどうかと思う。

絶妙のシートもマッサージ機能ばかりは不要であるとしか言えない。それよりクーリング機能が欲しい。リアシートは大柄な人がきっちり座るとピタリとくるシートで、小柄な人がもうちょっとゆったりできるといい。またV6にもファブリックのシートが欲しい。革しか選べないのは残念。またこれは個体の問題だったかも知れないが、荒れた路面になると右フロントあたりから結構大きめのロードノイズが伝わってきたのはちょっと気になったところ。

総合評価

トヨタiQとシトロエンC5

C5はCOTYのインポートカー・オブ・ザ・イヤーを獲得した。国産車はiQで、これに関しては色々難しい話?もあるようだが、C5に関しては衆目の一致するところだったのだろう。モーターデイズとしてもC5はまさにイヤーカーにふさわしいと思う。こんな個性的なクルマは他に見あたらないからだ。それでいてシトロエンらしからぬ仕上がりの良さも。

しかし欧州メーカーにとって主戦場ともいうべきDセグメントに、無難な、ではなく、かなり、いや相当に個性的な味を持たせたモデルを投入するなど、おおよそ90年の伝統を持つシトロエンでなければ出来ないことかもしれない。マイクロカーやハイブリッドというような悪くいえばギミックではなく、ごくスタンダードな内燃機関を持ったセダンとして「うちの味」を強烈に打ち出しているわけで、しかもそれを伝統の味で押し通せるところがシトロエンの強みだ。そういえば2年前にもCOTYはシトロエンC6をインポートカー・オブ・ザ・イヤーにしている。またまたシトロエンが選ばれたことで、難しい話?は関係なく、素直にいいから選ばれた、と考えてよさそうか。

いきなり余談だが、朝日新聞にはC5の受賞記念全面広告が掲載されていたが、名古屋の中日新聞(中部でのシェア80%ともいわれる)には小さな広告すら掲載されていなかった。同じ日の中日にはiQの受賞全面広告があっただけに、C5も並んで載ればインパクト強烈だったのにと、残念至極。中部には関東に勝るとも劣らない数のシトロエンディーラーがあるゆえ、ここはちょっと検討の余地はあっただろうと思う。

新車からシトロエンの味

話を戻してそのスタイリング。確かにドイツ車っぽいが、それでもかなり変な部分は多い。インテリアや操作系などはやっぱり変(というか独自)。シートは絶妙、乗り心地は独自かつ絶妙というあたりまで、成り立ちすべてがシトロエンの伝統どおり。旧来のシトロエンファンには十二分に受け入れられる作りだろう。しかも、最近のクルマはどれも同じようだと思っている人でも、乗ってみると確実にこれはちょっと違うと分かるという点で、C5には競争力がある(まあ勝てるかどうかは別だが)。要は没個性化しつつあるセダンで明確な差別化を行ったわけで、これを刺激として各社のクルマがより個性化することをクルマ好きとしては期待してしまう。クルマ好きが欧州車を好きだったのは、明らかに各社に違いがあったからで、最近は何となくどれも似たようなテイストになっていたことが、クルマ離れに拍車をかけていたと思うからだ。

何よりC5に重要なのはこうした「味」が新車時から発揮されていることだろう。デビューした頃のC6が今ひとつの評価になってしまったのは、新車では足が硬めに感じてしまったから。しかしハイドロは数千km走ると激変するはず。C6もたぶんその状態で乗ると、大きく評価が変わると思う。ところがC5は新車(試乗車は走行900㎞ほど)でも十分ハイドロの味を出している。これはもう確信犯的にそう作られているのだろう。工業製品である以上、新品状態が一番いいのが普通で、だんだんよくなるという工業製品は本来あり得ない。まあそれをやっていたのがシトロエンで、それゆえファンも付いたのだが。先代後期モデル同様、新型C5は「新車からシトロエンの味」だ。例えばC4ピカソなどはハイドロでないにもかかわらず、かなりシトロエンらしい乗り心地だった。C5も本国には金属サスのモデルがあるようだが、それもたぶんそうとうシトロエンの味になっていると思う。

マニアとしてはやはりハイドロが欲しい

C5を全面的に支持しづらい部分があるとすれば、それは全長4795mm×全幅1860mm×全高1470mmというサイズだろう。Dセグとはいえ、かなりでかい。サイズ的には全長が115mm違うくらいのC6(全長4910mm×全幅1860mm×全高1465mm)があるのだから、ここまで大きくしなくてもよかったんじゃないか、と誰もが思うはず。例えばメルセデスのC200と比べると全長で210㎜、全幅で90㎜も大きいし、大きくなったと言われるアウディA4より幅は35㎜も広い。ダウンサイジングの昨今、「ハイドロは欲しいが、ここまで大きなセダンはちょっと」という人は多いのでは。サイズがたいして変わらないなら、スタイリング的によりシトロエンらしいC6も欲しくなる。今売られているC6であれば、乗り心地はかなり改善されているはずだし。

思い起こせば、日本で一番売れたハイドロ車であるシトロエンBXは、C5より全長で565mm、全幅では200mmも小さかった。全長は今でいえばC4くらい。ハイドロを使わないC4もかなりシトロエンの味が出ているが、マニアとしてはやはりハイドロが欲しい。コスト面で厳しいのはわかるが、小さな、そしてより個性的なスタイリングのハイドロ車をぜひ開発してもらいたいものだ。

ところで去る2008年11月15日に、名古屋の、いや中部のシトロエンマニアにとって父とも呼ぶべき人、渡辺自動車の渡邉剛 名誉会長が亡くなられた。シトロエン整備の巨匠であるこの方がいたおかげで、名古屋のシトロエン濃度は日本で一番といえるほど濃くなったのだ。会長がこの出来のC5に乗られたら、たぶん喜んでいただけたと思う。謹んでご冥福をお祈りしたい。

試乗車スペック
シトロエン C5 3.0 エクスクルーシブ
(3.0リッターV6・6AT・479万円)

●初年度登録:2008年10月●形式:ABA-X7XFV ●全長4795mm×全幅1860mm×全高1470mm ●ホイールベース:2815mm ●最小回転半径:-m ●車重(車検証記載値):1730kg( 1120+610 ) ●乗車定員:5名●エンジン型式:XFV ● 2946cc・V型6気筒・DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:87.0×82.6mm ●圧縮比:- ● 215ps(155kW)/ 6000rpm、30.5kgm (290Nm)/ 3750rpm ●カム駆動:タイミングベルト ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/72L ●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 ダブルウィッシュボーン/後 マルチリンク ●タイヤ:245/45R18( Michelin Primacy HP )●試乗車価格:-円( 含むオプション:- -円)●試乗距離:約190km ●試乗日:2008年11月 ●車両協力:株式会社渡辺自動車 シトロエン名古屋中央

 
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