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ホンダ シビック ハイブリッド新車試乗記(第204回)

Honda Civic Hybrid



2002年01月19日

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キャラクター&開発コンセプト

ライバルはズバリ、プリウス

ホンダのハイブリッドと言えば、1999年に登場したインサイトがある。NSXばりのアルミニウム・ボディは空力最優先の完全2シーター。リアのトレッドをフロントに比べて大幅に狭め、さらにスパッツを装着するなど、その空力フェチぶりは市販車としては空前絶後と言ってよかった。それだけに5MTで10・15モード:35.0km/リッターの燃費は量産ガソリン車として世界最高。アメリカのEPA(アメリカ環境保護局)が毎年発表するランキングでも3年連続で「最も燃費の優秀なクルマ」に選ばれた。しかし実用性は、あまりにも乏しかった。

そんなインサイトに対して、昨年末に発売されたシビック・ハイブリッドは思いっきり実用に振られたモデルだ。ボディはすでに発売されているシビック・フェリオほぼそのまま。リアに貼られた「Hybrid」のプレートを見ない限り、よほどのクルマ通でも普通のフェリオと見分けるのは困難だ。

しかしシビック・ハイブリッドの存在意義は見た目ではなく、燃費性能にある。5人乗り量産ガソリン車で世界ナンバー1という10・15モード:29.5km/リッターは、同じく5人乗りセダンのトヨタ・プリウスの数値を0.5km/リッター上回る。

価格帯&グレード展開

プリウスを意識した価格。普通のシビックと比べるとやや割高な印象も

シビック・ハイブリッドは正真正銘のモノ・グレード。オプションも前席用サイドエアバッグやディスチャージド・ヘッドライト、ナビゲーションシステムくらい。標準装備のオーディオはAM/FMチューナー&カセットだが、MDプレーヤー付きもメーカーオプションで設定されている。悩むとしたら計8色も揃うボディカラーぐらいか。内装はベージュ系のモケット&スエード調トリコットの1種類だ。

車両本体価格は209万円。ライバルのプリウスは218~228万円で、単純に装備の豪華さだけ見ていけばシビック・ハイブリッドにやや分がある。量産車のボディを使った分、コスト的に余裕が持てた感じだ。

ちなみに普通のシビック・フェリオの価格は、126.8~170.7万円。一番売れ筋の「iE」(1.5リッター・リーンバーンVTEC+ホンダ・マルチマチック)で151.8万円。「iE」は普通のシビック・フェリオ中、10・15モード:20.0km/リッターと最も燃費が良い車種でもある。アルミホイールなど若干装備が充実している分は割り引く必要があるが、ハイブリッドと「iE」との価格差は約60万円。グリーン税制の対象にはなるものの、仮にこの価格差をガソリン代だけで取り戻そうと思うと最低でも30万km以上走る必要があり、プリウス同様、倹約のためというよりは環境のために買うクルマだと言える。なお、月間予定販売台数はプリウスの1000台に対して500台だ。

パッケージング&スタイル

パッケージング・スタイルはほとんどシビック・フェリオに準ずる。

ボディサイズは全長4455mm×全幅1695mm×全高1430mm。見ての通り、スタイルはほぼシビック・フェリオのまんま。フェリオはここ10年ほど大きくパッケージングを変更していないことを考えると、プリウスのパッケージングのほうがやはり斬新に見える。それでもシビック・ハイブリッドは空力性能向上のため、フロントグリル一体式フロントバンパー、トランクリッド上の小型スポイラーが装備されており、見えない部分では、エンジンアンダーカバー、リアフロアサイドカバーなど、ボディ底面のフラット化にも力が注がれている。車高もフェリオに比べて10mmダウン。これらによってCd値は標準のフェリオより9%向上している。その他、専用デザインのアルミホイール、そしてテールレンズ下にある「Hybrid」のプレートで、差別化が図られている。

インテリアは内装色が明るいベージュ系になるのが大きな特徴。ステアリングホイールが革巻きになったり、細かなパーツがメッキ仕上げになるなど質感の向上が図られる。また、メーターにはLEDによる自発光式を採用。スピードメーターやタコメーター、ハイブリッド・システムの稼働状況を示すIMAメーターがブルー基調の鮮やかな照明で表示される。エネルギーフローをプリウスが“アニメーションで見せる”タイプなのに対して、こちらは“グラフで見せる”タイプだから、少々面白味には欠けるものの、エンジン屋気質が濃いホンダらしい表現方法といえよう。

一つだけハイブリッド化で犠牲になったのはトランクスペースだ。リアシート背後にニッケル・水素電池とパワーコントロールユニットが収まる。とはいえプリウスより容量は少なく、また小型化に努めたということもあり、見た目にも荷室スペースが大きく削られた印象はない。

9インチゴルフバッグ4個収まるというその容量は342リッター。これにはもともとシビック・フェリオのトランクが大きかったせいもある。プリウスに比べて、シビック・ハイブリッドは全長で145mm長く、しかもハイデッキ。トランク容量を稼ぐ面ではやや有利な条件を持つ。

ただしトランクスルー機構はない(プリウスはマイチェン後から可能となっている)。スキーなど長モノはキャリアなどを利用することになるだろう。

基本性能&ドライブフィール

新開発1.3リッターエンジン+CVT+電気モーター

シビックのハイブリッドシステムは、インサイト同様、ホンダ独自のIMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)。ただしエンジン、モーターそのものはインサイトと別物で、主動力となるエンジンはインサイトのそれよりも300cc増しの新開発1.3リッター直4・VTECを搭載する。リーンバーン仕様で、アイドリングストップ機能付き。しかも減速時に3気筒のバルブ駆動を休止させることで、電力エネルギー回生量をアップさせることを実現したという優れモノだ。最高出力/最大トルクは86ps/12.1kgm。1.3リッターながらプリウスの1.5リッター(72ps/11.7kgm)を上回る。一方、補助動力となるモーターは10kW/5.0kgm。こちらはプリウス(33kW/35/7kgm)の圧勝だ。ミッションはホンダ独自の無段変速機「ホンダマルチマチックS」となる。

見所はIMAの軽量化、小型化だ。IMA専用に開発されたインサイトとは異なり、シビック・ハイブリッドは既存車のパッケージをスポイルすることなくIMAを搭載しなければならない。そのためにはエンジンとモーター以外のユニットもそれまで以上にコンパクトにすることが必要となる。そこで、ハイブリッドシステムの核となるIPU(インテリジェント・パワー・ユニット)と、ニッケル水素のIMAバッテリーと小型・軽量のパワーコントロールユニットの組み合わせとなっており、電装ユニット全体の容積は約50%の削減を達成。その結果、セダンとしてのトランク容量を確保しながら、リアシート背面への配置を実現している。

走行状況によるIMAの作動は、基本的にインサイトと同じで、以下の4パターンとなる。

1. 加速時:エンジン+モーターで最大のパワーとトルクを発生。
2. 巡航時:エンジンのみの低燃費走行。
3. 減速時:減速エネルギーをモーターが回生してバッテリーに充電。かつ気筒休止VTECシステムによって、より高率的な回生を行う
4. 停止時:アイドリングストップによって燃料消費と排出ガスを抑える。ただし情況に応じてエンジンは始動したままとなる。

プリウスのようにモーターのみで走るというパターンはない。

ハイブリッドシステム内のモーターをスターターとしても使用しているため、キーをひねっても甲高いスターター音は聞こえてこない。これがフェリオと異なる、まず最初の特徴。あとは普通のクルマと比べても遜色の無い、自然な運転感覚だ。“電気自動車モード”によって、ほぼ無音のままに走るという異次元フィールも味わえるプリウスより、良くも悪くも普通のクルマという感覚が強い。ハイブリッドカーゆえの特別な感触を予想すると、期待を裏切られることになろうが、そもそもホンダとしてはこのクルマをそうした新鮮なフィールはこれっぽっちも狙ってはいない。万人にすんなり受け入れられやすいのは、間違いなくシビック・ハイブリッドである。

出足の加速は、1.6~1.8リッタークラスと思っていいだろう。ただし低速域からグイと強力に前に押し出してくれる感触はプリウスに共通する、電気モーターによる特性だ。そのまま踏み始めると、普通のクルマ同様にエンジン回転が上昇。4000回転で一旦(時間にして2秒ぐらい)エンジン回転の上昇が止まるが、加速はそのまま継続するので違和感は無い。

乗り心地は少々硬め。タイヤサイズは標準のフェリオと同じだが、タイヤ銘柄の違い、サスチューニングの違い、このあたりが影響しているのかもしれない。減速時は3気筒のバルブが閉じるというが、そのブレーキングのタッチや減速感にも特に違和感は無い。走っている限りは本当に普通の感覚で乗れるハイブリッドだ。

ただし、アイドルストップの介入が早すぎるのが気になるところ。まだクルマが完全に止まりきる直前からエンジンが停止してしまう。安全性において支障はないのだろうが、やはり初めて乗るとぎょっとさせられる。エンジンはブレーキから足を離すと即、再始動となるものの、その直後にブレーキを踏んでもエンジンは停止しない。再始動後は一定速度以上に上げないと次のアイドルストップに入らないのだ。従って数mづつしか進まない渋滞の時などは、ほとんどアイドリングストップが活躍することはないわけだ。このあたりはまだ改善の余地があるのでは。

ここがイイ

専用ボディではなく、市販のボディで完全なハイブリッドカーとしたこと。トランクスペースがわずかに少なくなっただけで、ほとんどフェリオそのものでハイブリッドになっているので、うまくやれば今後は様々な車種に対応できそうだ(といってもホンダは今やミニバンばっかりだが)。

ここがダメ

アイドリングストップの時、エアコンをエコノミーモードにしておくと、ファンなど全てが止まってしまい、たいへん寒かった。冬場にエアコンで暖をとろうという発想が間違いかもしれないが、これ、夏の場合はどうなのだろう。エアコン温度と連動してエンジンがかかったりする事はないようだし。一旦停止してからブレーキペダルを緩めて再始動すれば止まらないのだが、いちいちそれも面倒。

総合評価

試乗する限り、ごく普通のクルマに思える。ハイブリッドといって気負うこともなく、毎日普通に使えるセダンだ。モーターのおかげで1300という排気量とは思えないパワーがあり、加速は力強く、コーナーではそこそこスポーティーに楽しめる。プリウスやエスティマのようにエンジンなのかモーターなのかわからない走りではなく、走っていてもエンジンを4000回転あたりまでモーターが助けているということが、たいへんよくわかる。あくまでエンジンが主役で、それをモーターが補助しているという意味では、クラウンのハイブリッドに近いが、クラウンよりモーターのサポート幅は大きい。

ブレーキをかけるとかなり強いエンジンブレーキを感じる。回生ブレーキのペダルタッチに違和感はないが、このエンブレは気にすれば少し違和感があるだろう。またボディーが停止しない前にアイドリングストップしてしまうのだが、これも気にすると少し違和感があるところ。この方が合理的だし、慣れれば特に問題はないのだが、クルマが止まったらエンジンが止まるという方が、アイドルストップとしては自然な気がする。そしてブレーキを離すとエンジンがかかるが、この場合は特にギクシャクすることはなく、ボディが止まりきる前にまたエンジンがかかるような走りをしても、問題はない。

けっこう素早い発進をしても、エンジン回転は3000回転を少し回った程度だし、130~140km/h程度の高速巡航でも4000回転程度で、基本的にはモーターのサポートがどこまでもうまく続くよう、CVTのプログラムが書かれている。結果、CVTにありがちな回転が先に上がってスピードが後からついくるという違和感がまったくなく、通常のATのようなリニアなフィーリングなのは好感が持てる。

さて問題は燃費だ。メーター内にオドメータやトリップメーターに連動した燃費計があるのだが、230kmほど市街地を中心に走った結果は、その表示では12km/リッターにわずかに達しなかった。エアコンは常にオン状態(エコノミーモード)だったが、これはやや期待はずれ。15kmは走らないと打倒プリウスとしては辛いところ。試乗車はバリバリの新車だったが、ホンダはしばらく走り込んでから燃費がよくなるという話もあるし、我々の走り方の問題かもしれないが、一応報告しておく。

ナンバー2メーカー(実際にはナンバー3だが、現在の勢いはまるでナンバー2のよう)としての「本田技術研究所」が、威信をかけて作った技術力誇示商品と言う意味では、このシビックハイブリッドも先のインサイトに近いものがある。というのもインサイトよりは一般的とはいえ、ある意味では最も売れない小型セダンがベースだからだ。プリウスをわずかに上まわる10・15モード燃費、プリウスよりわずかに安い価格など、あまりに見え見えなマーケティング。そうではなく、例えばモビリオのような売れ筋小型ミニバンがハイブリッドだったら、それこそ大喝采ものだろう。ホンダというメーカーには皆それを期待しているはず。ぜひ得意の小型ミニバンにハイブリッドを積み込んで、打倒エスティマ(ハイブリッド)を打ち出して欲しい。

●車両協力:本田技研工業株式会社

公式サイト http://www.honda.co.jp/CIVICHYBRID/2005/index.html

 
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