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三菱 コルト新車試乗記(第254回)

Mitsubishi Colt

(1.3リッター 114.5万円)

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2003年02月01日

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キャラクター&開発コンセプト

世界を見据えた新型シャシー

2001年から始まった「ターンアラウンド計画」で、コスト削減、新モデル投入、ブランドイメージの回復に取り組む三菱が、2002年11月16日に発売したのが新型コンパクトカーの「コルト」だ。ダイムラー・クライスラー出身のロルフ・エクロートCEOの体制下で送り出される、新商品第1弾でもある。

主な特徴は未来的な「ワンモーションフォルム」や内外装や装備が自由に選べる「カスタマー・フリー・チョイス」。そして激戦の小型車市場で闘うための基本性能の高さ。具体的には、三菱とダイムラー・クライスラーの「アライアンス」第一弾となる新プラットフォームが注目ポイント。次期スマートが共有すると言われている。

三菱の原点

コルト(仔馬の意)という車名が使われたのは、1962年発売のコルト600が最初。初期の三菱自動車を代表する小型車であり、原点とも言えるモデルだったが、最終的にはジャパニーズ・マッスルカーとも言うべき「コルトギャランGTO」(70年発売)にまで発展。以来、コルトの名前は30年ぶりの復活となる。

販売目標は7000台/月。立ち上がりは順調で、1ヶ月で1万5000台を突破。昨年12月の登録台数は9555台と販売ランキングで3位となった(1位フィット、2位カローラ)。今年5月に投入予定の新型ミニバンとともに、三菱復活の推進役となるか。

価格帯&グレード展開

1.3は「スタンダード」「カジュアル」「エレガンス」

初期需要で約7割と販売の主力となる1.3リッター。素の状態の「スタンダード」(104.3万円)、クール内装と前席セパレートの「カジュアルバージョン」(114.5万円)、ウォーム内装や前席ベンチ、オートエアコンの豪華版「エレガンスバージョン」(129万円)の3種類となる。

1.5は「スタンダード」「スポーツ」「スポーツX」

1.5リッターも3種類。15インチアルミ、エアロパーツといった仕様の「スポーツ」(143万円)。そしてオートエアコンとオーディオ付きの豪華版「スポーツX」(149.5万円)。こちらにも素の状態の「スタンダード」(116.3万円)を用意。

「カスタマー・フリー・チョイス」を採用

売りである「カスタマー・フリー・チョイス」をフルに生かせば、「スタンダード」仕様を元に、欲しい装備だけ選ぶことが可能。三菱によるとこの方法を選んだのは今のところ4人に1人程度らしいが、自動車販売では当たり前になった「抱き合わせ」に一石を投じるという意味では画期的。しかし販売店にとってはあらかじめオーダーが入れにくく、メーカーにとっては生産計画が立てにくいはず。今後、定着するどうかはユーザーの利用状況や反応次第だろう。

なお、03年1月25日から、全車にビスカスカップリングを使ったフルタイム4WDが設定された。リアサスはトーションビームから車軸式に変更、スペアタイヤはオプションとなっている。価格はおおよそ2WDの18万円高。

パッケージング&スタイル

ある意味、三菱らしいデザイン

全長3870mm×全幅1680mm×全高1550mm。フィットとほぼ同じだが、少しだけ大きい。2500mmのホイールベースはこのクラス最大。衝突安全性確保のため、ボディ前端から後端まで真っ直ぐ通った「ストレートフレーム」が特徴。メンバーの複雑な断面構造やフロアの「球面化」など、剛性アップに工夫が凝らされる。

「ワンモーションフォルム」は、2001年東京モーターショーのコンセプトカー「CZ2」譲り。デザイン監修はダイムラー・クライスラーでCクラスやSクラスなどを手掛け、現在は三菱でデザイン本部長を務めるオリビエ・ブーレイ。ボンネットとフロントガラスが1直線なところに、CZ2の面影が残る。が、かなり現実的に軌道修正されたのは否めないところ。とは言え、どことなくガンダムチックな形は三菱ファンの期待を裏切らないかも。

一番人気のウォーム内装。コラムAT&足踏みブレーキも◎

インテリアの質感は高い。住宅内装材のような木目調パネルが使われた「エレガンスバージョン」のウォーム内装はとても印象がよく、購入者の多くが選ぶのがよく分かる。ベンチシートの色合いや素材感も良い。このクラスでは珍しい、コラムAT&足踏みパーキングブレーキも見逃せない(ヴィッツの新グレード「ペアスタイル」もそうだが)。前席セパレートならウォークスルーも可能だが、 何より足元がスッキリして操作が楽なのが良い。

基本性能&ドライブフィール

デザインを取るか、視界を取るか

駐車場から出ようとして戸惑ったのが左右の視界をさえぎるAピラー。ワンモーションフォルムを実現するためには仕方なかったかもしれないが、取り回しの良さをアピールしたい小型車としては困った点だ。フォルクスワーゲンのニュービートルも思い出した。

1.3リッター&CVTはそつなく

昔のミラージュを思い出す「MIVEC」の名が付いたエンジンは、試乗した1.3リッターで10・15モード燃費20.0km/Lを誇る環境仕様。82ps/5600rpm、12.3kgm/4250rpmを発揮するが、実際のパワーも十分。高速道路でもパワー不足を感じさせない。タコメーターが無かったので、巡航時の回転数は未確認だ。

ランサーセディア同様、INVECS-IIIと呼ばれるトルコン付きCVTは、普通に走る限り違和感もなく静か。ただし、中間加速が必要な時はCVT特有の「回転先行感」を感じる時がある。いずれにしても、同じ「1.3リッターとCVT」であるホンダのものとは微妙に(あるいはハッキリと)フィーリングや音質が異なる。

快適かつ高い安定性。セパレートシートは不可?

乗り心地はソフト。ボディや足まわりもまずまずしっかりしていて、飛ばしてもそれほど不安はないし、ゴトゴト異音が出るようなこともない。電動パワステは素早い操作をするとネットリしていて、やっぱり電動っぽく、軽過ぎる感じも皆無ではない。困ったのはセパレート仕様のシート。クッションに腰がないせいか、短時間で腰に違和感を覚えた。好みや相性もあると思うので、気になる人は短時間でも一度試乗をお薦めする。

ここがイイ

三菱がウリとしているのはデザイン。CZ2のすさまじいまでのカッコよさは無いものの、熾烈な競争のコンパクトカークラスで埋没しないだけのオリジナリティはある。ボディカラーが10色あるのも楽しい。

内装も質感が高く、デザインはオシャレで、ウォーム内装では控えめな木目パネルが「いいなぁ」という気持ちにさせる。ベンチシート車の助手席ではシートクッション下の収納や座面裏のコンビニフックが日常的には便利そう。ボタンを押すだけの天井スポットライトは使い勝手良好だ。

後席の座面が高く、後席からの見通しがよいのは気分がいい。セパレートシートでは前後のウォークスルーができるのも何かと便利かも。

1.3でも発進加速時は、エンジンをそう回さなくても自然な速さがある。0-400m加速は19.5秒で、競合他車より速いらしい。最高速は170km/hに達し、150km/h巡航も可能(どっしり感が無く、風切り音はかなりうるさいが)。シトロエンC3やサイファなどよりこのあたりは上。

ここがダメ

デザイン面ではグリルの三菱マークが中途半端。大きめのものをグリルに直接、ドーンと付けられなかったものか。また前述のようにCZ2のままだったら大ヒットも考えられるかも。現デザインの斬新さはイマイチ。

デザイン優先のためと思われるが、太い右Aピラーが斜め前方視界をかなり妨げる。得に小柄な人(女性?)がイスを前に出した場合は。またセパレートシートの座り心地は今ひとつ、というか、かなり印象がよくなかった。

コルトのCVTは、昔のCVTのようにフルスロットル時に違和感がある。エンジン回転が先走り、速度が後からついてくる感じが強いのだ。また、エンジンブレーキが利きにくいのも辛い。D・Ds・Lの3つのポジションがあるが、2つはハイギアード、Lはローギアードすぎ、程良いエンブレが効かないのは、長い下りなどでは辛そうだ。コーナリング中もタイヤが地に着いているという、しっかり感があまり感じられない。電動ステアリングも軽め。タウンカーとしてはいいが、積極的に走りたくなるクルマではない。

総合評価

開発のベンチマークとなったはずのヴィッツと比べると、ボディデザインは同等程度、内装デザインも同等程度、内装質感はちょっと上、走りもちょっと上、ユーティリティーは同程度、という感じだ。フィットほどの強い個性はなく、デミオのような感動的な走りの実力はなく、マーチのような斬新なボディデザインでなく、イストのようなスペシャリティ感もない、まじめだがTBのようなクソまじめさもない。

そういうと、いいところが無いように聞こえてしまうが、逆にいえば売れそうな要素はすべて備えているといえるだろう。突飛すぎない程度に個性的なボディデザイン、過不足のないユーティリティ、上質感のあるインテリア、柔らかめの街乗りに適した乗り心地、フルチョイスシステムで無駄なくグレード選びが出来る購入システム、など最後に出たクルマらしくそつがない。

つまり、どの部分も標準以上の仕上がりになった小型車だが、それ以上でもそれ以下でもない、というのが、率直な印象。しかしこういうクルマほど、えてして大ヒットすることがあるだけに侮れない。普通に乗っている限りほとんど不満は出ないし、「数が出れば、それだけ人目につき、人目につけばそれだけ買う人も増える」という好循環にはまれば、三菱の救世主となるかもしれない。

試乗車スペック
三菱 コルト カジュアルバージョン
(1.3リッター・CVT)

●形式:UA-Z25A●全長3870mm×全幅1680mm×全高1550mm●ホイールベース:2500mm●車重:1010kg(F:650+R:360)●エンジン型式:4G19 MIVEC●1343cc・DOHC直列4気筒4バルブ・横置●82PS(66kw)/5600rpm、12.3kgm(121Nm)/4250rpm●トランスミッション:CVT●10・15モード燃費:20.0km/L●タイヤ:175/65R14(ヨコハマ ASPEC)●価格:114.5万円(試乗車:128.7万円 ※オプション:エアロパーツ3点 計14.2万円) ●車両協力:中部三菱自動車販売株式会社

公式サイト http://www.mitsubishi-motors.co.jp/colt/index.html

 
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