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三菱 コルト プラス新車試乗記(第350回)

Mitsubishi Colt Plus

(1.5リッター・CVT・144万9000円)

  

2005年01月22日

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キャラクター&開発コンセプト

コルトに荷室をプラス

2004年10月25日発売のコルトプラスは、コルト(2002年11月発売)のリアオーバーハング(後輪中心軸から後ろ)を伸ばして荷室を大きくしたモデル。屋根は共通だから荷室床が伸びたわけだ。「ワンタッチフォールディングシート」や「エレクトリックテールゲート」など、便利な機能をプラスしたのも特長。シートは2列で乗車定員は5名のまま。よってミニバンではなく「ワゴンコンパクト」を謳う。

再生への第一歩

ドア4枚を含むボディ前半はコルトと同じ。エンジン本体は三菱とダイムラー・クライスラーの合弁会社であるMDC Power社が開発・生産したものをドイツから輸入。ボディ組立とCVTの生産は国内で行う。その点はマイナーチェンジ後のコルトも同じだ。スポーツ仕様「ラリーアート」は従来エンジンをターボ化して搭載する。

販売目標は月間2000台。コルトを含めて月間4000台を目指す。リコール問題でのダメージが尾を引く三菱にとって「事業再生に向けた第一歩」であり、ダイムラー・クライスラーが抜けてから初めての新型車となる。

価格帯&グレード展開

主力は140万円台の「スポーツ」

コルトのようにCFC(カスタマー・フリー・チョイス)システムを採用。好みのメーカーオプションをベース車に追加できる。そのベース車は全部で5種類。「スタンダード」(134万8200円~)、CFCの選択肢が広い「スポーツ」(144万9000円~ ※今回の試乗車)、くつろぎ感重視の「エレガンス-X」(157万5000円~)、15インチホイールや前後ディスクブレーキ装備の「スポーツ-X」(166万9500円)、ターボエンジンの「ラリーアート」(178万5000円)となる。ミッションはすべて無段変速(INVECS-Ⅲ CVT)となる。

パッケージング&スタイル

均整がとれたスタイリング

サイズは全長4185mm×全幅1680mm×全高1550mm。ボディ前半とドア4枚はコルトと同じで、ホイールベースの2500mmも同じだ。リアオーバーハングが300mm伸びて、前後の均整がとれた。ダイムラークライスラー出身のオリビエ・ブーレイが去り、鼻のスリーダイアモンド周辺がすっきりした。コルトプラスはもちろんコルトより後にデザインされており、よりスタイルはまとまっていてユニークだ。初期デザインを描いたのはドイツのMRDE(三菱モーターR&Dヨーロッパ)に所属する若手フランス人デザイナー、トーマス・モレルとのこと。リアウインドウガラスの3次曲面の深さに注目。

フロアシフトが選べる

インテリアは基本的にコルトと共通。ブラック基調、ブラウン基調、スポーツシート、ベンチシートなど様々なタイプがある。

 

シフトレバーはコラム式とフロア式(スポーツモード付き)が選べるようになった。フロアが販売の主力だが、ほっそりとしたセンターコンソールが今風。コラムの場合はフロントがベンチシート風になる。

エレクトリックテールゲートを標準装備

後席はスライドが無くなったことで座面が30mm低くなり、クッションが厚くなった。座面が短いのは気になるが、広くて居心地はいい。大型アームレストも付く。

 

荷室にあるレバーを引けば、後席を簡単に畳むことができる。天地に余裕が欲しい時は「フレキシブルカーゴフロアボード」で底を深くすることも出来る。下は収納スペースで、スペアタイヤの代わりにパンク修理キットが入る。

電動のテールゲートはこのクラスでは珍しいが、撮影中に開け閉めした感じでは、開閉に時間がかかる分、あまり有り難みは感じなかった。コストを考えると、オプションでも良かったのでは。

基本性能&ドライブフィール

低回転キープで静か

試乗したのは売れ筋の「スポーツ」。MTモード付きフロアシフト仕様だが、エンジンやサスペンションはごく標準的なものだ。タイヤも175/65R14の省燃費系が付く。

着座位置も普通だし、ボディもコンパクトで運転はしやすい。CVTはトルクコンバーター付で、発進は滑らか。低回転を積極的に使うプログラムで、交通の流れにのるだけなら1200回転くらい、ちょっと踏み込んで2000回転くらい、アクセル全開(Dレンジ)でも4000回転あたりで済ませてしまう。

ドイツ製の新型エンジン(105ps、14.4kgm)はアルミブロックで軽量化され、バルブもチェーン駆動に変更。触媒早期活性化に有利な後方排気となって排ガス基準も4つ星になった。トルキーで、低回転を選ぶCVTに応えてよく粘る。小排気量のCVT車は加速時にうるさいのが難点だが、回転を抑えてうまくカバーした感じだ。

快適性重視のシャシー

6速マニュアルモードで高回転を使うのも、けっこう楽しい。シフトレバーにクリック感があるし、ダウンシフトも気持ちよく決まる。レッドまで引っ張ると、レブリミッターが効く(電子制御スロットルなのか滑らか)のもいいし、回してもエンジン音が耳障りじゃない点も評価したい。けっこうこのクラスのCVTはノイジーなことが多いのだ。

足まわりはコルトより固め。車重が50kg増えたこともプラスして安定感は増したが、基本的には快適性重視。街乗りでは気にならないが、山道で飛ばすと電動パワステの操舵感が人工的で接地感が薄い。追い込むとリアタイヤが流れ始めるのもやや古めかしい。もう少し操縦性を追求しても良かったと思う。

これだけ低回転ばかり使っていれば燃費も良いはずで、10・15モード燃費も18.2km/Lとある。100km/h巡航は2200回転弱。120㎞/hで2600回転、140㎞/hで3100回転といった調子で、急な追い越しなど試みずに、のんびり走れば高速巡航も快適にこなせる。それ以上はやや直進性が心許ない。風切り音もかなり気になる。

ここがイイ

初期コルトで気になったCVTは、アクセルにリニアに反応する大変良いものとなっていた。マニュアルモードも心地よくきまり、シフトブーツも雰囲気作りに一役買っている。スポーティに走るにも、高速巡航にも、このCVTはおすすめできる。

こちらが本来のデザインで、コルトはこれのショートバージョンでは、というほどデザイン的には良くまとまっている。二段に分けられた荷室の使い勝手や積載性、ハッチ側からレバーで倒れるシートバック、リアシートの快適性など荷室ストレッチは大正解。全長も4.2mを切っているから、取り回しはほとんど気にしなくていい。グリルのデザインも主張こそないが、デビュー当時の新生コルトのような違和感はない。

ここがダメ

「爽快な走り」を目指したというその走りは、街中をきびきび走るし、ちょっとしたワインディングではなかなかスポーティに楽しめる。ところが少し追い込んでいくと、繰安面で辛さがでてくる。いわば合格点すれすれ。これが欧州でハンドリング賞をとったとはちょっと思えない(受賞はコルトだが)。日本仕様はかなり足回りのセッティングが違うのだろう。思い切って欧州仕様のように足をバンと固めるのもアリだったはず。電動のステアリングも切り込んだときと返ってくる時とで手応えが違い、違和感があるのだ。このため、いわゆるスポーティなクルマという評価はしにくい。

シートは膝裏が上がった姿勢でお尻を落とし込む姿勢を強いられる。この座り方を好まない人のために、前後のハイトコントロールが欲しいところ。寝たAピラーが視界を妨げるのは、コルトと同じだから仕方ないものの、やはり気になる。

総合評価

このクラスのクルマを作るのは、実はなかなか難しい。ユーザーは基本的にタウンカーとして使うことが多いにもかかわらず、快適性重視で作ればハンドリングがどうの、加速がどうのと、つっこみが入りがち。もちろん少しでもひろく、より使いやすく、しかもバリューフォーマネー重視と、いくつもの相反する要素をまとめてクルマの「性格付け」をしなくてはならないからだ。

そんな中、コンパクトクラスの多くが向かっているのは、スポーティな性格付けだろう。自動車評論を生業としている人々の多くは、スポーティであればひとまず許す、という傾向にあるし、三菱はそれを意識してか、今後スポーツ性をウリにすることを会社の方針にもしている。従ってコルトプラスもスタンダード(ビジネスモデル)の上はスポーツというグレードで、これが量販グレードになる。とはいえシティユースのクルマでも、スポーティを目指すのはいかがなものか。個性を出すなら、小さな上質車といった方向がわかりやすいし、売りやすいだろう。

そうはいっても、コルト同様、出来自体は悪くない。少し固めの乗り心地は確かにスポーティ感があるし、良くできたCVTとエンジンのマッチングは、他社のこのクラスに負けない。荷室も使いやすい。まじめ一本で作ってあると思う。ただ、それだけでは売れないのが今の辛いところ。クルマの出来はいいのだが、いまやブランド力だったり、信頼感だったり、要はイメージで売れる商品がクルマだ。コルトが出たとき、これを機に2年もたてば回復しているだろう、と誰もが思っていたはず。コルトを2年で10万台売ったのに、まだ重いものを引きずっている三菱。コルトプラスもその影響を受けないわけにはいかないだろう。

そこで少し三菱を擁護したい。実際のところ、クルマは完全な商品ではない。例えば編集部のヴィッツは3万㎞足らずでオイル漏れを起こした。ディーラーへ持ち込むと、時々あるとのことで、もちろん無償修理された。しかし今時のクルマがオイル漏れ? 良くある? まあ、トヨタ車でもそんなことはあるのだから、リコールはいたしかたない。そして、リコールに至らないまでも、何らかの不都合を隠しているのはおそらく三菱だけではないだろう。

今回の問題は思うにきっと、三菱は何かの尾を踏んでしまったのだ。むろんそれまでの体制やその後の対応の問題が相当大きく、それゆえここまでの事態にまで展開してしまったことは三菱自体の問題として、擁護できない部分だ。しかし大マスコミを中心とした世間の「三菱たたきブーム」が現在の状況のかなりの部分を生みだしていると思う。その結果、そんなに悪くない出来のコルトも、ブランドイメージ低落のあおりであまり売れない、ということになってしまっている。

商品がイメージで売られる現在、ブランド力の低下は致命的だ。世間はそうハードウェアに詳しくなく、クルマにしても試乗して買うことは少ない。そしてクルマは洋服のように、乗る人を着飾るものゆえ、よりイメージが重視される商品の一つだ。コルトプラスは特に悪くはない(まあ、特に良くもないが)。ということはイメージさえよければ他のメーカーにそう負けはしない。実際、同じプラットフォームのスマートフォーフォーより遙かに出来がいいと感じた。げに恐ろしきは大マスコミによる風評被害だ。

そこで、試乗してみた我々が「これは良くできている、絶対おすすめだ」と言えるだけの、絶対的に素晴らしいクルマを世に問うて欲しいと思う。コルトプラスは悪くないが、そこまではちょっと言えない。例えばスポーティを標榜するなら、導入される北米仕様のエクリプス・スパイダーのように、欧州で出すはずのCZT(コルトの3ドアスポーツ車・スタイリング秀逸)を「欧州仕様のまま」輸入販売して欲しいところ。あまり売れはしないと思うけれど、少なくとも話題性作り、クルマ好きへの刺激にはなり、イメージアップに貢献するはず。ニッチな三菱車は世界中にあるから、どんどん入れればいい。そうすれば三菱はとてもおもしろいブランドになるはずだ。ランエボ・パジェロにこだわっていてはブランドイメージは上がらないと思う。

試乗車スペック
三菱 コルト プラス
(1.5リッター・CVT・144万9000円)

●形式:DBA-Z23W●全長4185mm×全幅1680mm×全高1550mm●ホイールベース:2500mm●車重(車検証記載値):1080kg (F:640+R:440)●乗車定員:5名●エンジン型式:4A91●1499cc・DOHC・4バルブ・直列4気筒・横置●105ps(77kW)/6000rpm、14.4kgm (141Nm)/4000rpm●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/45L●10・15モード燃費:18.2km/L●駆動方式:前輪駆動(FF)●タイヤ:175/65R14(GOODYEAR GT3)●価格:144万9000円(試乗車:ー円 ※オプション:AM/FM・CDプレーヤー&4スピーカー ー円)●試乗距離:約120km ●車両協力:中部三菱自動車販売株式会社

公式サイト http://www.mitsubishi-motors.co.jp/colt_plus/

 
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