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ダイハツ コペン新車試乗記(第236回)

Daihatsu Copen

(アクティブトップ・4AT)

2002年09月21日

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キャラクター&開発コンセプト

ダイハツの長年の夢

バブルがハジける寸前の'91年春、「今しかない」とばかりに突如デビューしたホンダ・ビート。同年末にはプロトタイプがすでに公開されていたスズキ・カプチーノが遅ればせながらデビュー。翌年にマツダがAZ-1を発売。ただしすでに商機を逸したのは誰の目にも明らかだったが。

ダイハツも指をくわえて見ていたわけではない。'91年に公開したプロトタイプ「X-021」は1,600ccエンジンをアルミフレームに搭載したFRスポーツカー。そのままの市販は無理にしても、何らかの形で実現しそうなモデルだった。が、それもバブル期ならばの話。あっという間に時代の雰囲気は「スポーツカーなんか売ってる場合じゃない」というものに激変した。

時代は流れ、2002年6月19日に発売された新型軽オープン・スポーツカー「Copen(コペン)」は、ダイハツにとって悲願の「本格的オープン・スポーツカー」。'99年の東京モーターショーでの好評を追い風にした渾身の一台だ。

SLK、ソアラなどに続く電動ルーフ「アクティブトップ」

当初の「Kopen」(軽のオープン)改め「Copen」(Compactなオープンカー、もしくはCoupe & Open)となったコペン。最大の特徴はダイハツが「アクティブトップ」と呼ぶ電動メタルルーフ。同種のシステムは現在、高級スポーツカーであるメルセデス・ベンツのSL、SLK、トヨタのソアラ、そしてプジョー206CCが採用するのみ。もちろん、軽自動車初。

エンジンはMAX等と基本的に同じ4気筒ターボ。シャーシはミラのホイールベース短縮&強化版。4速ATが最初から用意されるあたり、ビート(5MTのみ)やカプチーノ(途中から3AT追加)等と異なる、販売上の大きな強みだ。

生産中止のミゼットIIにかわって生産

生産は大阪本社工場の「エキスパートセンター」。最近までミゼットIIを生産していた場所だ。コペンはここで熟練工により高品質を目指して「手作り」される。目標販売台数は500台/月。

ダイハツの発表によると、発売後1ヶ月の受注は約5,000台。ATが7割を占めるが、MTも3割ある。ボディカラーはダントツでシルバー(54%)。男女比は、男性が全体の8割と(統計上は)圧倒的だ。CFでは若い女性が乗っているが、まずはエンスーな男性が飛びついたということだろう。

価格帯&グレード展開

全仕様(MTもATも)同価格の149.8万円

コペンにはアクティブトップ(電動開閉式ルーフ)仕様と、ディタッチャブルトップ(樹脂製脱着式ルーフ)仕様の2つがある。それぞれ5速MTと4速ATがあり、価格は全て149.8万円。

ディタッチャブルトップ仕様はスポーツ派向け。電動トップに比べて30kg軽くなり、トップを取ればさらに軽く、重心も下がる。「スポーツパック」(足が固められ、フロア後半に剛性アップ用の追加ブレース装備)が標準になり、リアにはスポイラーと「Copen S」のプレート(「Boxster S」を意識?)。アクティブ・トップで標準となるロールバーとエアロディフレクターはオプションとなる。

魅力的なセットオプション。でも値段はどんどん上昇……

コペンは全車オーディオレス。2DINサイズなので、社外オーディオの取り付けは簡単だが、セットオプション「Gパック」(10万円)のHIDヘッドライトが選ぶと、嫌でもCD/MD付きチューナーが付く。

同じくメーカーオプションの「レザーパック」(15万円)はシートヒーター付き本革シートと本革MOMO製ステアリングのセット。冬場のオープン走行を考えるとぜひ付けたいものだ。

などと言ってると、コペンはあっけなくマツダ・ロードスターの1.6リッター並みのお値段になる。しかし、登録時の諸経費、その後の任意保険料、毎年の税金、車検費用などを考えれば、軽自動車コペンの経済的メリットは大きい。セカンドカーとして考えるなら、ここは重要なところだ。

ライバルは今のところなし。ビートもカプチーノももはやなく、軽のクーペを買うならこれしかない。コペンだから買う、という指名買いが多いだろう。とは言え、同じ電動メタルルーフのプジョー206CC(275~290万円)は考える価値があるかも。コンパクトでキュートなデザインも共通項だ。

パッケージング&スタイル

現代版ポルシェ356?

全長、全幅は軽自動車ゆえ3,395×1,475mmの枠一杯。全高は1,245mm。ビート(1,175mm)、カプチーノ(1185mm)、AZ-1(1150mm)と比べると、やや高め。ホイールベースは2,230mm。フロアを共有するミラから130mm短縮される。

全体のプロポーションはお椀を伏せたような形。前後対称デザインなど、アウディTTを意識したのは間違いない。が、開発デザイナーに言わせればこの「ティアドロップ・シルエット」はダイハツのオリジナルだと言う。疑うなら'92年発売のオプティを見よ、というわけだ。

ただし、コペンに関しては'50~'60年代の名車ポルシェ356などをモチーフにしたとのこと。そう思ってあらためて356の写真と比べてみると、確かに外観はニュービートルならぬ、「ニュー356」風。トップを閉めた時の角度の立ったリアウインドウ周りが個人的にはイビツだと思っていたが、比べてみると356コンバーチブルの幌も似たような形状だった。ヨーロッパや、今でも356の人気が高いアメリカではどう思われるのだろうか。

ボディパネルの質感は非常に高く、高級スポーツカーに全く見劣りしない。塗装にも気合いが入って、高級車並みの5層コート(ソリッドのホワイトは4層)。カラーは全8色と、少量生産ながら豊富だ。

実直なインテリア

一方、インテリアはやや地味。特徴は丸型の3連メーターと、それに呼応した丸い空調ダイアル&吹きだし口といったあたり。吹き出し口はマツダ・ロードスターに配置も部品形状もそっくり。全体に無難なデザイン。もっと楽しい試みがあっても良かっただろう。

運転席ヒップポジションはかなり低く(数値的にはビートより低いらしい)シートのサイズも十分。サイドサポートもたいへんガッシリしている。軽新規格(幅が80mmアップ)ということで室内幅もミニマムながら無理のないものになった。そう言えば、コペンは新規格になってから初の軽スポーツだ。気になったのはステアリングのチルト調節。もう少し上方向に調節が出来た方が良いと思う。また、低く座らせることがコンセプトだったからか、シートの上下調整機能がない。やはり大柄な人と小柄な人が同じ高さに座るのは無理がある。スポーツドライヴィングを標榜するなら、シート調整の自由度はぜひとも必要だろう。

クローズド時は十分な荷室容量

イージクローザー付き(アクティブトップ)のトランクルームは屋根を閉めた状態で210リットル(VDA方式)と広い。一応、ゴルフバッグが一つ収まるようだ。ただし、屋根がトランクに収納されるオープン時は、ブリーフケースのような薄い荷物しか無理。2名乗車だと室内に大物を積むスペースはまったく無い。買い物帰りは、屋根を閉めて帰りましょう。

基本性能&ドライブフィール

約20秒で開閉可能なトップ

試乗車は販売主力となるアクティブトップ仕様の4速ATモデル。オーディオ、レザーパックなど、オプションは一切ない「素」の状態(149.8万円)だ。

まずアクティブトップの開閉方法だが、操作は簡単。開けるときはロックを2ヶ所外し、後はボタンを押し続けるだけ。閉めるときは逆。注意点は、トランクが閉まるまでボタンを押し続けること。

コペンは1個のモーターで油圧を起こし、屋根を開閉する。複数モーターで駆動するメルセデスやソアラと仕組みは少々違うが、開閉動作自体はそういった高価なクルマとほぼ同じ。小さなボディに同じような凝ったメカニズムを載せた点がまさにメイド・イン・ジャパンだ。何回か開け閉めしたが、信頼性も高そうだ。

開閉時間を計ってみると20秒はかからず、15秒強といったタイムで開閉できた。この気軽さは何よりの魅力。この手のクルマはできるだけオープンで走りたいが、雨が降ってきたとしてもすかさず閉められるのはやはりありがたい。

風の巻き込みはミニマム

サイドウインドの上下に関わらず、オープン時の風の巻き込みはとても少ない。最新オープンカーには定番のガラス製ウインドディフレクターが効いているようだ。マツダ・ロードスターやビートより平穏なキャビンであるように感じた(それが良いかどうかは好みだが)。一方でAピラーは結構立ち気味で、開放感は高い。

発進はやや非力(AT車)だが、走行中は不足ない動力性能

「わずか2,000rpmで最大トルクの約9割を発生する低速トルク」とカタログでうたうコペン。が、少なくともAT車の場合、回転計で約3,000回転までの出足はトロい。ターボが効かない限り、力強さは味わえないのだ。また軽量化のためボンネット、ルーフ、トランクリッドをアルミ化した贅沢な作りながら、車重は840kgと軽くはない。ブースト(最大0.7kg)が本格的に上がらない状況での緩慢さは、ある程度仕方ないと言える。ちなみにカプチーノは700kgと大人3人分も軽い。

しかし、いったん走り出せばパワー不足は感じない。専用チューンの4気筒DOHCターボエンジン(64ps/6,000rpm、11.2kgm/3,200rpm)は、3,000rpm付近からレッドの約8,500rpmまで、シュイーーンとスムーズに吹け上がる。回してもうるさくないのは、さすが4気筒ターボ。パワー感はちょうど1リッターのヴィッツに近い感じ。カプチーノのようなターボらしいトルク感やパンチはなく、ビートのように高回転までブン回して面白いエンジンでもない。試乗車がATだった点は差し引く必要があるが、スポーツ性よりは快適性の高さが光るユニットだ。

ATは滑り感が少ないタイプ。通常のドライブモードでも適切にキックダウンが効くので、普段はほとんどDのままでイージー・ドライブが可能。ただし楽しく走りたいなら積極的にシーケンシャルモードで高回転をキープしたい。反応も速く、楽しめる。こういう小排気量の(ローパワーの)クルマこそ、一般道でシーケンシャルを使う意味がある。

オープンカーでトップクラスの剛性感

回転方向指定の165/50R15という薄っぺらいタイヤ(専用設計のブリヂストン・ポテンザRE040)に関わらず、乗り心地はいい。サイドウォール/トレッド剛性を高めたと言うが、乗り心地にも配慮した感じだ。路面の細かいゴツゴツを拾わないため、通常速度域は快適そのもの。ただし、大きな段差では相当強力なショックが伝わる。その意味でもタイヤの性能に依存している部分が大きそうだ。15インチという大きなホイールを採用したのは、おそらくデザイン上の理由が大きいだろう。

センタートンネルを厚板化、ボディ前半部フロアに2つのクロスビーム、さらに強化ブレースを複数追加したシャーシのガッシリ感は最新のマツダ・ロードスターもウカウカしていられないレベル。ボディが小さくパワーが限られる分、同じ技術ならコペンが有利だ。

ただし、荒れた路面や段差を通過する時は、それなりにシェイク(ボディの振動)が出る。もちろん、ポルシェ・ボクスターでさえシェイクはそれなりに出るわけで、このあたりはコペンだけではなく、オープンカー共通の癖みたいなものか。

クイックなハンドリング

ワインディングでのフットワークは期待以上に機敏だった。油圧式パワステはフィーリングが良く、重さもちょうど。ステアリング操作に敏感に反応して、小気味よくコーナーをクリアする。頼りがいのあるサイドサポートに背中を預けてハンドルを切り込むと、小さなロールのままリアタイヤがスーと気持ちよくアウトに流れる。一方でタックインは押さえられていて、安心感は高い。FFらしからぬ素直な走りで、試乗車は標準のサスペンションだったが、ワインディングではこれで十分だと感じた。

一方、屋根を閉めた状態では、段差を越える際にアクティブトップのロック部分から音が出るのと、ノイズが室内にこもるのが気になった。とはいえ、むろんオープン時より静粛性は高く(高速走行時やトラックなどが併走している場合は特に)、クローズドボディ並とまではいかないまでも、幌とは比較にならない。

コペンはクローズド時よりオープン時の方が剛性「感」が高く感じられた。実際にはクローズド時の方が高いはずだが(ゆえにデタッチャブルトップにスポーツパックが用意される)、あくまで感覚の上ではオープンの方が上。いずれにしても、オープン時の爽快感や快適性が際立つクルマだ。

ここがイイ

リーズナブルな軽自動車という枠の中で、ほぼすべての理想を達成した点。軽でなければもっとできることは多いと思うが、軽としてはおそらく究極の形ではないか。一般道なら不満のない動力性能で、足回りも十分スポーティで、走りそのものを楽しめるし、オープンボディゆえの爽快感は格別。特にスクリーンが前の方にあり、オープン時の頭上の開放感はトヨタMR-Sに次ぐもの。ロードスターより上等だ。わずかな時間で手をふれることなく開閉できる屋根はやはり便利だし、閉めればクーペ並の快適性がある。メルセデスのSLとほぼ同じ快感(動力性能は別として)を、わずか150万円足らずで味わえ、維持費も破格に安い。ビートやカプチーノなどのように今後、価値をキープすることは約束されたも同然ゆえ値落ちも少なく、経済的にはほぼパーフェクト。セカンドカーとして持つならこんないいクルマはない。

ここがダメ

どうしてもこのスタイリングはいいとは思えない。ビートやAZ-1、カプチーノなど軽規格の中で十分カッコいいスタイリングを達成した過去のモデルに比べ、ちょっと「ファニー」へ逃げた感がある。カッコいいとか見惚れるという表現で表すにはかなり遠い位置にあるスタイルだ。4年前のモーターショーに出たときからずっとカッコ良さとは無縁と思ってはいたが、市販版でもその印象は払拭できなかった。若い女性が乗っているならともかく、それなりの大人が乗っているとき、外から見るかぎり、そのミスマッチ感は否めない。遊園地の乗り物みたいに見えてしまうのだ。マツダロードスターならまだ大人のかっこよさを演出できるが、コペンでは無理。そのあたりはダイハツもわかっているのではないだろうか。初期は男に売れても、やがて女性の車になるだろうと。お父さんがミニバンのセカンドカーにするには、ちょっと辛いと思う。

総合評価

そのスタイリングだが、フェンダーを際だたせることができないことが大きい。むろんこれは軽の規格を無視すればもう少し何とかなるはずだ。車幅をフェンダーでもう少し広げ、全長をもう少し延ばせば、特にクローズド時のリアスタイルなどはもう少し伸びやかなものになるだろう。その結果、ファニーさは薄れ大人の男が乗っても耐えるクルマになるはず。KopenでなくCopenにしたあたりに、今後のダイハツの野望が秘められているのかもしれないが、現状では軽規格の限界がかいま見えてしまう。

とはいえ(サイズはもちろんその経済性も含めた)軽の枠の中ではほぼパーフェクトなクルマになっていると思う。MTが楽しいであろうことは想像に難くないが、ATでも十分楽しめるというあたりはシーケンシャルATのなかった10年前の軽スポーツでは考えられなかったことだ。走りの限界を極めるクルマではないのだから、買うならAT。電動トップとATの組み合わせにこそ、21世紀初頭を飾るにふさわしい、コンパクトカーの理想がある。元来小さなものに理想の機能を組み込んで製品化することが日本の工業製品の王道だったわけで、トランジスタラジオとコペンには通じるものがあると思う。古くからの軽自動車ファンとしては、スマートに出し抜かれた日本の軽も、コペンなら対抗できると溜飲が下がる思いだ。スマートクロスブレードに対抗して、コペンも世界で売ってもらいたい、と願う。

試乗車スペック
ダイハツ コペン (アクティブトップ・4AT)

●全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,245mm●ホイールベース:2,230mm●車重:840kg●エンジン:659cc直列4気筒16バルブDOHCターボ横置き●駆動方式:前輪駆動●64ps/6,000rpm、11.2kgm/3,200rpm●10・15モード燃費:15.2km/L(MT:18.0km/L)●タイヤ:165/50R15●価格:149.8万円(試乗車:149.8万円) ●車両協力:名古屋ダイハツ株式会社

公式サイトhttp://www.daihatsu.co.jp/copen/index.htm

 
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