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トヨタ カローラ フィールダー 1.8S “エアロツアラー”新車試乗記(第671回)

Toyota Corolla Fielder 1.8S “Aerotourer”

(1.8リッター直4・CVT・212万円)

11代目で原点回帰!
新型カローラの意義を
フィールダーで問う!

2012年09月07日

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キャラクター&開発コンセプト

カローラ初のダウンサイジングを敢行


新型カローラ アクシオ 1.5 LUXEL
(photo:トヨタ自動車)

2012年5月11日に発売された新型カローラアクシオおよびカローラフィールダーは、カローラとしては11代目のモデル。1966年の登場以来、46年間にわたって累計約3900万台を国内外で販売したベストセラーカーの最新型になる。

セダンは2006年発売の10代目から「アクシオ」、ワゴンは2000年発売の9代目から「フィールダー」とするネーミングは、今回も継承。と同時に新型はカローラの原点に戻り、日本市場にベストフィットするコンパクト車として開発。具体的には、カローラとしては初のダウンサイジングを敢行しつつ、新コンセプト“ビッグスペースコンパクト”に則って先代と同等以上の室内空間を確保したとのこと。パワートレインは先代の改良版だが、プラットフォームはヴィッツ用をストレッチして新開発されている。

11代目カローラは東北生まれ


新型カローラ フィールダー 1.8S “AEROTOURER”
(photo:トヨタ自動車)

生産拠点は、昨年稼動を開始したトヨタ自動車東日本(株)の宮城工場。ポルテ/スペイドの試乗記でも触れたように、同社は2012年7月1日に関東自動車工業、セントラル自動車、トヨタ自動車東北の3社が合併したもの。

販売チャンネルはトヨタカローラ店で、月間販売目標はアクシオが3000台、フィールダーが4000台の計7000台。先代は各6000台の計1万2000台だったが、近年は販売主力がプリウスやアクアなどのハイブリッド車にシフトしているせいか、目標自体は約4割減になる。発売後一ヶ月(6月10日時点)までの受注台数は、目標の約2倍にあたる約1万5000台とのこと。

■過去の新車試乗記
トヨタ カローラ アクシオ ラグゼール (2006年10月更新)
トヨタ カローラ ラグゼール (2002年12月更新)
トヨタ カローラ (2000年10月更新)

■外部リンク
トヨタ自動車>プレスリリース>カローラをフルモデルチェンジ (2012年5月11日)
トヨタ自動車東日本株式会社HP

価格帯&グレード展開

アクシオは1.3と1.5。フィールダーは1.5と1.8


新型カローラは全車サイド&カーテンシールドエアバッグが標準になった
(photo:トヨタ自動車)

アクシオのエンジンは、1.3リッター(1NR-FE)と1.5リッター(1NZ-FE)の2種類。1.3リッターはトヨタ最小セダンだったベルタが6月に販売終了したため、1世代ぶりに復活したもの。代わりにバルブマチック付の1.8リッターがドロップした。

一方、フィールダーは従来通り1.5リッターと改良型バルブマチック付1.8リッター(2ZR-FAE)の2本立て。変速機はCVT(無段変速機)が主軸で、1.5リッターでは5MTが選べる。そろそろ、このクラスでも6MTが普通に採用されて欲しいところだが……。アイドリングストップ機能は1.5リッターにのみオプション設定(5万4600円)。

新しい安全基準に対応する形で、VSC、TRC(トラクションコントロール)、サイド&カーテンシールドエアバッグは全車標準。価格はアクシオが139万5000円~208万9000円。フィールダーが153万2000円~212万円。アクシオの最上級グレード「Luxel(ラグゼール)」には、ベンチレーション機能付きシート(運転席)も備わるが、先代にあったレーダークルーズコントロールは、新型では廃止されている。

パッケージング&スタイル

全長を50~60mmほどダウンサイジング


試乗車はエアロパーツが装着された1.8S エアロツアラー

新型カローラ最大の特徴は、ボディサイズのダウンサイジング。ホイールベースこそ先代と変わらないが、全長はアクシオの場合で50mm、フィールダーで60mm短くなった。減ったのは主にフロントオーバーハングで、わずか1%ちょっとの縮小だが、モデルチェンジごとに大きくなってきたカローラにとっては画期的なこと。こうしたダウンサイジングによって、最小回転半径は先代より0.2メートル小さい4.9メートルになった。

 

新型フィールダーのバックドアは樹脂製で、軽量化や操作性、デザイン性に貢献している

エクステリアデザインは、そんなダウンサイズを感じさせないよう、スタイリッシュにまとめられた印象。フロントフェンダーの膨らみが強調されたり、ヘッドライトとフロントグリルがつながってシャープな印象になるなど、スポーティさも加味された。また今風のモノフォルム感を捨てて、Aピラーを後ろに引き、運転席からの視界を重視した点も、開発陣の主張が感じられるところ。さらに、ここ数年トヨタが好んで採用してきた複雑なドアパネルの造形が一段落し、比較的シンプルなデザインがキープされていることも好ましく感じられる。

 

ただしフィールダーに関しては、小型ワゴンの宿命なのか、少々没個性的で、新鮮さに欠ける感じも。仕事で使う場合には都合がいいが、RVとして考えた場合はもう少し遊び心が欲しくなる。逆に言えば、日産ウイングロード、ホンダ フィットシャトル、マツダ アクセラ スポーツあたりと比べて地味なところが特長か。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) WB(mm) 最小回転半径(m)
トヨタ カローラ フィールダー 4360 1695 1465~1500 2600 4.9
ホンダ フィットシャトル 4410 1695 1540 2500 4.9
先代トヨタ カローラ フィールダー 4420 1695 1480~1490 2600 5.1~5.2
スバル インプレッサ スポーツ 4415 1740 1465 2645 5.3
日産 ウイングロード 4440 1690 1495~1505 2600 4.7~5.2
マツダ アクセラ スポーツ 4460 1755 1465~1505 2640 5.1
 

インテリア&ラゲッジスペース

デザイン一新、クラス感が向上


内装色がベージュもしくはグレーのアクシオに対して、フィールダーはブラックのみ。ファブリック素材のタイプはグレードによって異なる

上級グレードのインパネにファブリックを張ったり、シフトレバー奥を空洞にするなど、新しい試みがあるインテリア。アクシオではウッド調パネルや、ベージュもしくはグレー内装で上質感が強調されるが、フィールダーは手堅く黒基調。また運転席からの視界も良好。Aピラーを細くして、取り付け位置を後方に移動したり、ドアミラーのドアパネル付けなどを行ったりして、死角を減らしている。

各種スイッチ類の操作性はよく、特に迷うことはないが、販売店オプションのオーディオ・ナビは、先回試乗したスペイドと同様、タッチパネル操作を基本としたもので、操作性はやはりイマイチ。

 

ベースはカムリ譲りという大柄なシート。エアロツアラーのシート表皮はスエード調トリコット

上級グレードのインパネにはファブリック素材が張られる

フィールダーのメーター文字盤はシルバー。視認性は良好で、燃費情報等の表示も完備
 

熟成のパッケージング。目新しい工夫はなし


リアシートも大柄で、頭から腿の裏までしっかりホールドしてくれる。リクライニング機能も備わる

全長は50mm~60mm短くなったのに、後席の膝前スペースは40mm拡がるなど、先代よりさらに広くなった後席。室内高や室内幅も十分で、足もともセンタートンネルがないフラットフロアになるなど、どこをとっても広々している。プリウスはもちろん、ミドルクラスセダンと比べても遜色ない。

また荷室容量も先代より増えて、フィールダーの場合は407リッター(先代の4リッター増)。荷室長も90mm増えて970mmになった。また後席背もたれを倒した時の最大容量は872リッターで、最大荷室長は約2メートルにも及ぶ。当然、大人が足を伸ばして寝ることもできる(ただし身長が170センチ以上の場合は、頭が床面からはみ出るが)。ちなみにアクシオのトランク容量は471リッター(12リッター増)。

 

背もたれは荷室にあるレバーを引くと倒れる。ただし完全に水平にはならない

床下には収納スペース。天地が薄いため、入れるものは選びそう

テンパースペアはオプション(1万0500円)で、床下にパンク修理キットを備える。白い発泡スチロールが珍しい
 

基本性能&ドライブフィール

エンジンは力強いが、常用速度域では何となく落ち着かない感じ

試乗したのはフィールダーの最上級グレード「1.8S エアロツアラー」。搭載される1.8リッター「2ZR-FAE」エンジンは、吸気バルブの開閉を自在に制御することで、スロットルの代わりに吸気量を制御する「バルブマチック」を採用したもの。先代フィールダーのモデル末期にも搭載されていたが、今回のものは改良型で、新型カローラではフィールダーだけに搭載される。CVTも伝達効率を大幅に高めた改良型。

 

1.8リッター「2ZR-FAE」エンジン。最高出力は140ps、最大トルク17.5kgm

国内専用モデルということで、スタートボタンはステアリングの右側。カローラクラスとしては排気量が大きめということもあり、出足から加速まで力強さはあるが、軽快感は少ない。先回試乗したばかりのポルテ/スペイドと車重はほとんど同じだが(試乗したスペイドは1170kg、今回のフィールダーは1160kg)、その1.5リッターの軽快感がちょっと懐かしく思える。

この1.8Sの場合、足回りは専用チューニングになり、電動パワステもクイックレシオの専用品になる。街中での第一印象は何となく軽々しく、また段差でガツンと来るハーシュネスが気になるところ。先代カローラにあったシットリ感がなく、何となく落ち着かない感じがするのは、試乗したグレードのせいか。印象が現行ヴィッツに似ているあたり、新型プラットフォーム自体の特性かもしれない。

グリップは甘めで、全車標準のVSCがカバーする

ワインディングでは、1.8リッターエンジンのフラットトルクや1.8S専用シャシーのおかげでよく走る。また1.8リッター車に備わるAIシフト機能付のスポーツモードが、実に賢い。エンジン回転を高めに保つほか、Gセンサーによる情報でコーナー進入前にシフトダウンし、コーナリング中にはシフトアップを抑制。また加速時には、7速マニュアルモードを使用していなくても、段付き感のあるシフトアップを行うなど、実に芸が細かい。パドルシフトはないが、その必要を感じさせない。

 

そんな中、最初に根を上げるのは185/60R15サイズのタイヤで、ノーズがインによく入る分、コーナー進入時にはリアが流れ始め、これを標準装備のVSCがすかさず落ち着かせる、という感じ。VSCの介入は適切で、走りに水を注す感じもないが、本来であればもう少しタイヤのグリップレベルを上げたいところ。

100km/h巡航時のエンジン回転数は約1900回転。当然ながら乗り心地や静粛性に問題はなく、80~100km/h巡航をキープすれば、限りなく20km/L台に迫る平均燃費を維持してくれる。巡航状態(スロットル開度の小さい状況)での燃費の良さは、まさにバルブマチックならでは。馬力は140psと1.8リッターとしては特にパワフルではないが、それでも最高速は十分に伸びそう。

ヘッドライトのハイ/ローを切り替える「オートマチックハイビーム」を採用


オートマチックハイビーム用のCMOSカメラ
(photo:トヨタ自動車)

試乗車に装備されていた「オートマチックハイビーム」は、メルセデス・ベンツなど欧州車に最近多く採用されているシステムと類似のもので、状況に応じてヘッドライトとローとハイを自動で切り替えるもの。カローラの場合は、フロントウインドウ上部のCMOSカメラによる画像解析によって、ハイビームで走行可能と判断した場合は、自動でハイビームに切り替え、逆に先行車や対向車のランプ、街路灯などを検出し場合は、ロービームに切り替える。

実際にはメルセデス・ベンツのものなどと同様、街灯や他の走行車両が多い街中では、ほとんどロービームのままで、ありがたみを感じにくいが、郊外では対向車が来ると絶妙なタイミングでロービームに切り替えてくれるので、なかなか便利。ただし気になることもあり、これについては後で触れる。

試乗燃費は10.3~15.3km/L。JC08モード燃費は16.6km/L

今回はトータルで約260kmを試乗。試乗燃費は、いつものように一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)が10.3km/L。夜間、空いた一般道を無駄な加速を控えて走った区間(約30km)が15.3km/Lだった。JC08モード燃費は16.6km/L。

なお、1.5リッター車(CVT・FF)は19.6km/Lで、オプションのアイドリングストップ機能付は21.2km/L。これはポルテ/スペイドの1.5リッター車より、ちょうど0.6km/Lずつ良い数値。またアクシオの1.5リッター車(CVT・FF)は20.0km/L(アイドリングストップ付は21.4km/L)、1.3リッター車は20.6km/Lになる。

燃料タンク容量はポルテ/スペイドと同じ42リッター。指定燃料は全車レギュラー。

 

ここがイイ

煮詰めたパッケージング、高まった質感、6エアバッグやVSCの全車標準化

このサイズのステーションワゴンとしては煮詰めに煮詰めたであろうパッケージング。ボディサイズの割に荷室も広いし、ハッチ側からもシートバックを倒せるなど、実用性は高い。質感も新型カローラ単体で見ると、特に感激はないが、先代と比べるとずいぶんモダンになったことが実感できる。

また前後ドアの「ロングプルドアハンドル」はドアが閉めやすくて、握り心地もよい。年寄り向けというより、これぞまさに誰にとっても使いやすいユニバーサルデザイン。他の車種でも装備を望みたいもの。

VSC、TRC(トラクションコントロール)、サイド&カーテンシールドエアバッグの全車標準化。また室内灯をつけたまま駐車していると、20分後に消灯してバッテリーあがりを防ぐ「室内ランプオートカットシステム」(全車標準)。こういう装備は今後、全ての新車に当たり前のように付いていて欲しいもの。特にVSCはもはやあって当たり前の安全装備ゆえ、標準化は素晴らしいことだ。

ここがダメ

1.8Sの場合、落ち着きのない乗り味。オートマチックハイビームの使い勝手など

試乗した1.8リッターの場合、スポーティな走りを重視したせいか、街中での常用域で何となく落ち着きのない乗り味になってしまったこと。また専用設定の足回りやVSCで、ワインディングでは確かに速いが、しなやかさは先代カローラの方があったような感じ。

ポルテ/スペイドのようにアイディアてんこ盛りみたいなクルマを見た後だと、これといった飛び道具や斬新な工夫のないフィールダーの荷室には、物足りなさを感じてしまう。例えば助手席背もたれの前倒し機能はないし、後席の背もたれはリクライニングこそ可能だが、垂直での固定はできない。また後席の背もたれを倒しても、完全に水平にはならない。他にもトノカバーの装着が面倒、床下収納スペースの形状や容量が中途半端……といったところが気になる。新しい試みはポルテなどの新型車でやればいい、ということだろうが、もう少しキャッチーな工夫も欲しかった。

 

オートマチックハイビームをオンにしたところ(メーター内にある作動灯が目印)

一部グレードに標準装備ないしオプションの「オートマチックハイビーム」機能は、レバー先端のライトスイッチを「AUTO」にし、さらにレバーを奥に押してハイビームを選択すると作動オンになる。しかし、この状態だと手動でハイビームには出来ず(レバーを手前に引けばパッシングは可能)、手動でハイビームにするにはライトスイッチを「AUTO」ではなく、通常のヘッドライトオンにしなくてはいけない。しかしそうなるとコンライト機能は無効になってしまうし、またオートマチックハイビームをオンに戻すためには、いちいちレバー先端のライトスイッチをひねり、ハイビームを選択しなくてはいけない。

 

本文中でも触れたが、試乗車のオーディオ・ナビはタッチパネル操作を基本としたもの。ステアリングスイッチで音量調整や選局ができるのはいいが、操作性はイマイチ。停止中にパーキングブレーキを踏むとワンセグが映るタイプだったが、TV画面が映るまで一秒ほど待たされるのも気になった。

先進技術に関しては、先代にあったレーダークルーズコントロールが廃止されたほか、昨今流行りの自動ブレーキシステムの採用もないなど、後退した感が拭えない。

総合評価

ワインディングで印象が好転した

今回は新型カローラの試乗というより、フィールダーの1.8Sという、カローラの中では特殊なグレードの試乗ということで、ご考慮いただきたい。同じフィールダーでも1.5はかなり印象が異なると思うし、ましてアクシオの方はまったく違うクルマかもしれないからだ。

とはいえ、カローラの一種と思って乗ってみた最初の印象は、かなり悪かった。足は硬くて乗り心地はいまいちだし、パワフルではあるが、走りが鋭いわけでもない。街乗りに関しては、先週乗ったスペイド(1.5リッターの方)の滑らかな力感が良かっただけに、え?という感じだった。スペイドのエンジンとCVTが載っている1.5リッターであれば、まったく違う印象となっただろう、とも思える。

 

ところが、ワインディングを走ってみると、なかなかパワー感が心地よく、CVTも見事な制御ぶりを見せる。スペイドの1.5リッターもそうだったが、フィールダーの1.8でも、CVT特有のダイレクト感の無さはもうほとんど感じられない。何よりワインディングでは鼻先軽く曲がっていくし、スポーツモードに切り替えると、そのプログラムはマニュアルモードで下手に頑張るより、明らかにお利口で、見事にエンジンをぶん回してくれる。高速での中間加速もラグは感じられず、またかなりのハイペースで巡航してもエンジン回転が低くて快適だった。

VSCの標準装備が前提

そして何よりこのクルマで素晴らしいのはVSCが標準となっていること。タイヤ(試乗車はBSのB250)は今時まったくハイパフォーマンスとは言えないもので、ワインディングではもうVSCに介入されまくり。一般的には、そんな領域で走ることは滅多にないのだろうけれど、明らかにスポーツ志向のフィールダー 1.8Sの場合、その領域へけっこう簡単に行ってしまいがちなので、VSCがない場合はそれなりに自制心が求められる。逆に言えばVSCの標準装備が前提ゆえに、こういうクルマ作りが出来たのかもしれない。本当のスポーツドライビングを楽しみたい人には、VSCはウザイかもしれないけれど、なんちゃってスポーツ走行で軽く遊びたい人には、これで十分楽しめると思う。

一般報道はほとんどされていないが、今後VSCというか、メーカーによってESP、VDC、VSA、ESCなど様々な呼び名のある電子制御デバイスが、すべてのクルマに搭載されることはとても評価できることで、大げさに言えば日本の自動車業界にとって、今世紀に入ってから一番の快挙だと思う。物理的な限界を超えない限り、スピンやコースアウトする可能性はかなり低くなったわけで、もともと上級車の装備であったものが大衆車にもつくことは、本当に素晴らしいことだと思う。

 

(photo:トヨタ自動車)

ということで、一般道でもスポーツモードで走ると、ノーマルモードとは違ってクルマのキャラクターが活き活きと発揮され、ストレスなく走れる。その代わり、いわゆるカローラのつもりで、のんびり走るのにはまったく向いていない。おとなしいカローラの、ステーションワゴンが欲しいという人は、1.5を買ったほうがいいだろう。フィールダーの1.8Sは、かつての3代目カルディナとまではいかないものの、トヨタの中では今や貴重なスポーツワゴンなのだから。そもそもステーションワゴンは、もはや国産車に限ると絶滅危惧種で、5ナンバーの小さなステーションワゴンが欲しいと思った時には選択肢がかなり限られる。その上、全高1550mmが上限のタワーパーキング族にはトールワゴンは無理。高価な輸入車ワゴン以外の選択肢として、フィールダーは貴重な存在だ。

カローラという冠

サイズとパッケージングを優先した結果、なんだかスタイリング的には凡庸になっている感は否めないが、逆に言えばスタイルで乗るクルマではなく、利便性と走りの実用車と考えれば、たいへんよく出来ている。実用車だから、質感だのは言いっこなし、ということで。となれば、そろそろカローラという「冠」を外してもいいのじゃないかとも思う。すでにカローラが販売首位の座から滑り落ちて久しく、返り咲く意味もあまりないのだから、折角のいい道具(的なクルマ)に、オーナーの平均年齢64歳というクルマの名称をあえて冠にしなくてもいいのではないかと思うのだ。特にフィールダーに関しては、狙いは若者(あるいは若者の心を持った熟年)だと思うし。もはやカローラという冠は、イメージという点ではマイナス要因かもしれない、とも思う。

 

そんなカローラだが、先代では果敢にバックモニターを全車装備としたのに、途中でフェードアウトしたり、新型ではレーダークルーズの設定もなくなるなど、法律で義務となったVSC以外の先進装備がほとんど無いのは、価格とのトレードオフとはいえ残念なところ。カローラの場合、高齢者が乗ったり、営業車として使われたりするからこそ、プリクラッシュセーフティといった安全装備を標準化してもらいたいもの。スバルのEyesightを搭載しました、なんて無理だろうか。VSCのように法的義務付けで装備が進むのであれば、プリクラッシュセーフティ系も義務付けしてもらいたいと思う。そうすれば小型車に至るまで日本のクルマは世界に誇れる安全車として存在感を発揮できる。世界一安全な日本車、これこそ技術立国ニッポンが生き残る道のように思うのだが。 
 

 

試乗車スペック
トヨタ カローラ フィールダー 1.8S “エアロツアラー”
(1.8リッター直4・CVT・212万円)

●初年度登録:2012年5月●形式:DBA-ZRE162G(-AWXSP-S) ●全長4360mm×全幅1695mm×全高1465mm ●ホイールベース:2600mm ●最小回転半径:4.9m ●車重(車検証記載値):1160kg(710+450) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:2ZR-FAE ●排気量・エンジン種類:1797cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置 ●ボア×ストローク:80.5×88.3mm ●圧縮比:10.6 ●最高出力:103kW(140ps)/6200rpm ●最大トルク:172Nm (17.5kgm)/4000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/42L ●10・15モード燃費:-km/L ●JC08モード燃費:16.6km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイル/後 トーションビーム+コイル ●タイヤ:185/60R15(Bridgestone B250) ●試乗車価格(概算):233万4148円  ※オプション:185/60R16タイヤ+5.5Jアルミホイール 4万7250円、カジュアルナビ 12万9150円、バックガイドモニター 2万7300円、ETC 1万0448円 ●ボディカラー:ダークバイオレットマイカメタリック ●試乗距離:約260km ●試乗日:2012年9月 ●車両協力:トヨタ自動車株式会社

 
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