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MINI クーパー S クーペ新車試乗記(第661回)

MINI Cooper S Coupé

(1.6リッター直4ターボ・6AT・FF・352万円)

MINIマリストのための
新型マイクロスポーツは
究極のゴーカートだった!

2012年06月02日

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キャラクター&開発コンセプト

MINI初の2人乗りクーペ


MINI クーペ コンセプト(2009年)
(photo:BMW ジャパン)

「MINI クーペ」(R58型)は、第2世代のMINIをベースにした量産型MINI初の2人乗りクーペ。3ドアの「ハッチバック」(R56型)、電動ソフトトップの4人乗りオープン「コンバーチブル」(R57型)、観音開きドアのステーションワゴン「クラブマン」(R55型)、4ドア・SUVタイプの「クロスオーバー」(R60型)に続く、MINIファミリーで5番目のモデルになる。

もともとは2009年にコンセプトモデル「MINI クーペ・コンセプト」として登場。量産型は2011年に登場し、日本では12月にデリバリーが始まっている。

ベースはコンバーチブル


MINI クーペ。2011年11-12月に開催された東京モーターショーにて

MINI クーペの特徴は、ハッチバック比で全高が50mm低いスポーティなスタイル、軽量・低重心設計、優れた空力性能など。中でも最も高性能なエンジンを積む「ジョン・クーパー・ワークス」は「歴代の量産MINIモデルの中で最も高い加速性能を持つ」(プレスリリース)とされる。

メーカーではエンジン部分、キャビン部分、トランク部分の3つで構成されるという理由で「MINI初の3ボックスモデル」と謳っているが、構造的にはリアゲートを備えたハッチバック。またシャシー自体は、現行のコンバーチブルがベースになっている。

またクーペに続いて、そのルーフを手動式ソフトトップに変更した2人乗りオープンモデル「MINI ロードスター」(R59型)も登場。日本では2012年3月にデリバリーが始まっている。これによってMINIは計6モデルとなった。

価格帯&グレード展開

クーペとロードスターで、297万~451万円


MINI JCW クーペ
(photo:BMW ジャパン)

現行MINIは、エンジン種類別に1.6リッター直4のワン(98ps、15.6kgm)、クーパー(122ps、16.3kgm)、1.6リッター直4ターボのクーパー S(184ps、24.5kgm)、ジョンクーパーワークス(211ps、26.5kgm)の4グレードで展開しているが、クーペとロードスターはワンを除く3グレードのみ。海外にはこれ以外に、2リッター直4ディーゼルターボのクーパー SD(143ps)がある。

 

MINI JCW ロードスター
(photo:BMW ジャパン)

価格はクーペの場合、ハッチバックより30万円前後高く、またロードスターはそのクーペよりさらに30万円前後高い。後者は電動トップで4シーターのコンバーチブルより10万~30万円ほど高く、トップグレードのJCWは451万円もする。これはMINIのカタログモデルでは最高値。

ちなみにエコカー減税(取得税と重量税)は両モデル共、6MTモデルが75%減税、クーパーSのATモデルが50%減税の対象。


■MINI クーパー クーペ     297万円(6MT)/310万円(6AT)
■MINI クーパー S クーペ
   339万円(6MT)/352万円(6AT)  ※今回の試乗車
■MINI JCW クーペ       426万円(6MT)

■MINI クーパー ロードスター   334万円(6MT)/347万円(6AT)
■MINI クーパー S ロードスター  364万円(6MT)/377万円(6AT)
■MINI JCW ロードスター     451万円(6MT)

パッケージング&スタイル

ハッチバック比で50mm低い

ウエストラインから下は、ハッチバックとほぼ同じで、全長3745mm、全幅1685mm、ホイールベース2465mmという寸法も共通。ハッチバックと異なるのは、いわゆるグリーンハウス(ガラスで囲まれた部分)で、全高は50mmダウンの1380mmになり、Aピラーの傾斜は13度強められている。。

 

ルーフ形状は単にファストバック風なだけでなく、後方でルーフエンドが庇のように突き出てルーフスポイラーになっている。またサイドウインドウ、リアクォーターウインドウ、リアウインドウは滑らかにつながり、後方から俯瞰すると、まるで宇宙船。また後部は一見トランクリッドのように見えるが、実はハッチバック。MINIがベースという条件を守りながら、それ以外は自由にデザインしました、という感じ。

 

またクーペおよびロードスターには、MINI初の車速感応式電動リアスポイラー「アクティブ・リヤ・スポイラー」が採用されている。80km/hを超えると上昇してリフト(揚力)を抑制。60km/hを下回ると格納される。最高速が200km/h以上のモデルだけに、これはもちろんギミックではない。

 

本当は上から見ると分かりやすいが、ガラスはリアクォーターからリアにかけて弧を描く

電動スポイラーは80km/h以上で上昇、60km/h以下で格納。手動スイッチでの操作も可能
 

インテリア&ラゲッジスペース

2人乗りだが、乗車感覚はハッチバックと大差なし


センターメーターの視認性は相変わらず。運転中はもっぱら回転計内のデジタル速度計を見ることになる

特大のセンターメーターが特徴のインパネは、ハッチバックと共通。全高が50mm低く、Aピラーの傾斜が強いので、乗り込む時はスポーツカー的だが、シートリフターで座面を下げてしまえば、乗車時に頭をルーフに擦ることはなく、ヘッドルームも十分で、圧迫感はない。

またフロントウインドウが寝たことが幸いしてか、視界も意外に悪くない(ハッチバックは上方向の視野が限られる)。また、後方視界も、80km/h以上で例のウイングが立ち上がると半分くらいになってしまうが、見た目から想像されるほど悪くない。

 

乗車感覚はハッチバックに似たタイトなもの。天地が狭くなった分、昔のスポーツカーにあった「クルマを着る」感覚があり、ポルシェのケイマンとか、現行マツダ ロードスターの乗車感覚にも似ている。一方で、FFだけに足もとは広く、ドアまでの距離もあり、また全高もスポーツカーとしては高めの1380mmあるので、狭いところに押し込められた感じはしない。慣れてくると、MINIのハッチバックと大差ない気がしてくる。

 

2シーターで実用性を左右するのがシート背後のスペース。MINI クーペではジャケットやカバンなどが置けるほか、小物入れもある。

トランクスルーも可能。リッドは鍵付きで、つまりロードスターと共有品
 

一見、トランクリッドだけが開くように見えるが、実はハッチバック

天井のトグルスイッチはハッチバックと共通。中央に電動リアスポイラーの手動スイッチが備わる
 

ロードスターの幌は、あのロードスターによく似ている


ロードスターの幌は手動だが、乗ったまま開けられる
(photo:BMW ジャパン)

ロードスターの屋根は、最近では珍しい手動式のソフトトップ(幌)。とはいえ幌自体がコンパクトなため、操作は簡単。開ける時は吊り革のような丸型レバーを回してロックを解除し、幌を押し上げ、パチンと音がするまでZ字型に畳み込むだけ。広報写真にあるように、オープン操作はシートに座ったままでも可能だ。幌の構造や操作性は、マツダの3代目(NC型)ロードスターの幌とよく似ている。

閉める時はキャビン背後のボタンを押してロックを解除し、引き上げるだけだが、少し力が必要で、シートに座ったまま行うのはちょっとたいへん(腕をグギッとやりやすい)。いったんクルマを降りて操作した方がイージー。ここも広島製ロードスターと同じ(RHTを除く)。

トランク容量はアウディ TTと張る


ハッチバックゆえ開口部は広く、大きな物も載せやすい

後席を省いた分、トランク容量はハッチバック(160リッター)より増えて280リッター。だいたいBセグメント車(ヴィッツ、デミオ、ポロあたり)と同程度で、現行(2代目)アウディ TT クーペの後席使用時(290リッター、ただし拡大時は700リッター)と互角。全長が3.7メートル余しかない割に大容量では。

床には小物スペース(折りたたみ傘が入る程度)、荷物を固定するネットが備わる。また、クーパーとクーパーSは、床下にパンク修理キットを搭載する(オプションでランフラットも選択可)。ランフラットタイヤはJCWのみ標準装備。

ロードスターのトランク容量は240リッター


ロードスターのトランク
(photo:BMW ジャパン)

ついでにロードスターのトランク容量にも触れておくと、こちらは幌の収納分だけ減って240リッター。おおむね現行アウディ TT ロードスター(250リッター)と同等で、こちらも意外に広い。ちなみにMINI コンバーチブルの容量は125(オープン時)~170(クローズド時)~660リッター(トランクスルー時)。現行のNC型マツダ ロードスターは150リッター(ソフトトップとRHTで共通)。

基本性能&ドライブフィール

街中ではハッチバックのように

試乗車はクーパー S(6AT)。エンジンはおなじみ1.6リッター直4の直噴ターボだが、2010年からクーパーS用はバルブトロニック化されており(JCWは非バルブトロニックのまま)、最高出力は184psに向上している。

見慣れた円盤型のキーをスロットにカシャッと差し込み、ボタンを押すと、「ザザザザ……」と押し殺した音でエンジンが目覚める。試乗車は6ATということで、発進は普通に滑らか。街中を走る限り、ズォーン、ウォーンというエンジンノイズのほか、ザラザラとしたロードノイズがキャビン内にこもる。試乗車のタイヤはオプションの17インチで、ブリヂストンのポーランド製ポテンザ RE050A(非ランフラット)。オプションでランフラット(コンチ スポーツコンタクト3など)も注文できるようだ。

 

路面がスムーズなら、乗り心地もスムーズだが、舗装が荒れ始めると、凹凸で「ダダン、ダンダン!」と硬質な衝撃音が響き、「激硬」という印象に。試乗車はオプションのスポーツサスペンション付(4万円)のはずだが、それにしても新型車でこんなにカタいクルマは久々。ただ、この衝撃はほとんど乗員まで伝わってこなくて、お腹のあたりをグイグイ揺する動きにはならない。このあたりはちょっとポルシェチックで、いかにもフロア剛性が高そう。

街中で普通に走る限り、タコメーターは2000回転前後を行ったり来たり。減速時には律儀にシフトダウンを行い、エンブレを効かせる(燃料噴射をカット)。こういった走り方では、ほとんどクーパーSらしい弾けたパワー感はなく、これならクーパーでもいいか、と思えてくる。

「スポーツ・ボタン」でステーキ定食に

とはいえ、アクセルを踏み込めば、「ズワーン!」とエンジン音を高めながら、直噴ツインスクロールターボらしいリニアなレスポンスで意のままに加速。出力特性がフラットなので、思ったほど速くない、などと最初は錯覚しがちだが、実際にはもちろん速い。

特にオプションの「スポーツ・ボタン」(5万円)を押した時は、エンジン特性が激変。オーバーブースト機能が働き、最大トルクは2.0kgm増しの26.5kgmにアップ。さっきまで「必要最小限の燃料噴射しかしません」とやや草食系だったエンジンが、「これが実力でっせ」と言わんばかりのパワーモードに変身し、さっきより2~3割増のパワー感で、「ズワン!」と一気呵成に加速する。おまけにアクセルを戻すと、「ボボボボ、ボボン、ボン!」と景気よくチューニングカーのような炸裂音。やっぱりステーキ定食は美味しいな、という感じ。

 

ちなみに0-100km/h加速は、UK仕様のメーカー公称値で、

・クーパー:9.0秒(6MT)/9.2秒(6AT)
・クーパー S:6.9秒(6MT)/7.1秒(6AT)
・JCW:6.4秒(6MT)

これに対してハッチバックは、クーパー Sで7.0秒(6MT)/7.2秒(6AT)、JCWは6.5秒なので、クーペの方がいちおう0.1秒速い。乗車定員が減った上、値段も高いので、一緒だったらメーカーとしても申し訳ないだろう。

ただ後席が無くなり、ルーフ部分も小さい割に、車重はハッチバックよりおおむね30kgほど重い(試乗したSの6ATだけ、ハッチバックと同じ1270kg)。またクーペとロードスターでは車重も変わらない。

ハンドリングは超クイック

走りの実力を実感するなら、やっぱりワインディングが最適。引くとアップ、親指で押すとダウンというBMW&マツダ方式のシフト・パドル・スイッチに戸惑いつつも、ワインディングを走れば、速い速い。スポーツ・ボタン使用時の直噴ターボエンジンは、小さなボディを弾丸のように加速させる。

DTCが賢いせいか、RE050Aのグリップのせいか、この大パワーにしてトルクステアはほとんど発生せず。まるでミッドシップ車のように、あるいはMINIがうたう「ゴーカート」のように、ほとんど姿勢変化を体感させず、リアの接地感も抜群のまま、ボディが一丸となって走る。この感覚、ルノー ルーテシア RSのボディを二回り小さくした、みたいな感じ。

電動パワーステアリングは、BMWの135iみたいに超クイック。でもって、普通ならアンダーステアが出る状況でも、寸分のためらいもなく曲がる。タイトコーナーではアンダーステアを抑制するため「ギギギギ」とブレーキ制御が入るが、軌跡は変わらず、失速感もなし。サーキットではいざしらず、ワインディングレベルでは終始そんな感じで、限界域ははるか彼方。

とはいえ、ステアリングとタイヤが直結したような超クイックなハンドリングは、良くも悪くもドキドキ、スリリング。真面目な話、ここまでクイックじゃなくても、と思うが、これぞまさしく究極の「ゴーカートフィーリング」か。

盤石の高速スタビリティ。最高速は200km/h超

高速道路を淡々と流す限り、エンジン音やロードノイズもそう気にならず、風切り音も聞こえてこない。100km/h巡航は約2100回転。乗り心地もよく、ちょっとしたマイクロGTカーっぽく乗れる。ちなみに80km/h以上になると、立ち上がった電動スポイラーがバックミラーで見えて、これがちょっと嬉しい。ポルシェだと見えないので。

超クイックなステアリングレスポンスに、高速コーナーでは思わず手に汗を握ってしまうが、安定感は文句なし。80km/hで立ち上がる電動スポイラーがどれほどダウンフォースを生むかは不明だが、安定感はコンパクトなFF車とは思えないレベル。試乗車ではスポーツサスペンションと17インチタイヤが相まって、盤石な感じがあった。このあたりは、いかにもドイツ車。

ちなみにUK仕様の最高速は、

・クーパー:204km/h(6MT)/200km/h(6AT)
・クーパー S:230km/h(6MT)/224km/h(6AT)
・JCW:240km/h(6MT)

対してハッチバックはクーパーSが228km/h(6MT)/224km/h(6AT)、JCWが238km/hなので、空気抵抗が少ない分、2km/hほどクーペの方が速い、ということになっている。ドイツ車は全体的にこういう上下関係に厳しい。まあ、いずれにしてもクーパー S以上ならアウトバーンを200km/hオーバーでカッ飛んで行けるはず。

試乗燃費は10.6~13.0km/L、JC08モードは15.4km/L~

今回はトータルで約250kmを試乗。参考までに試乗燃費は、いつものように一般道と高速道路を走った区間(約90km)が10.6km/L。深夜の空いた一般道を無駄な加速を控えて走った区間(約30km)が13.0km/Lだった。

印象として今回のクーパー S(6AT)は、アクセル操作に対する反応が敏感でエコランしにくく、またアイドリングストップ機能もなし(6MTには標準装備)。一方、高速巡航では素晴らしく燃費が良く、大人しく走れば6ATでもJC08モード燃費の15.4km/Lは楽に出せそうだった。

なお、燃料タンク容量は燃費性能の差を埋めるために、クーパーが40リッター、クーパー SとJCWが50リッター。航続距離はおおむね500km程度か。試乗車を返却時に満タンにすると、航続距離が580kmと出た。

ここがイイ

マニアックなデザイン。意外に実用的

BMWという真面目な会社が作った量産モデルながら、今どき正気とは思えないほどマニアックなモデルであること。生産台数は世界規模でも大したことないと思うが、既存モデルのコンポーネンツを使えば、今でもこれだけ自由に遊んで作れるということ。日本車でも1990年代には、刺さる人にだけ買ってもらえばいい、と割り切ったクルマがあったと思うが、それも今や絶滅状態。そう思うと、馬鹿にできない存在。

2人しか乗れないことを除けば、意外に実用的。デミオやスイフトより小さなボディは小回りも効くし、視界もそんなに悪くない。シートの後ろには2+2ほどではないが手荷物が置けるし(2シーター車では重要なポイント)、トランクもまずまず広い。快適性もハッチバックと同レベル。日常使いでも、2人乗りである以外はデメリット無し。

日常的な速度域で楽しい。いくら高性能でも宝の持ち腐れになるクルマと違って、どんなシチュエーションで走っても楽しめるのがいいところ。

ここがダメ

ATの走り。オプション込みだと意外に高い。センターメータースペースの使い方

アイシンAW製の6ATは、伝達効率を高めた改良型だが、同じBMWの新型1シリーズに採用されている8ATと比べると、変速やアクセル操作に対するレスポンス、伝達効率、レシオカバレッジ(ローからトップまでカバーする範囲)、ステップ比、ブリッパーの不備、アイドリングストップ機能への未対応といった点で、物足りなさがある。また感覚面でも、何となくフライホイールが重いような、フリクションが大きいような印象。現状、オートマチックが絶対条件でなければ、6MTを選んだほうが「MINI クーペ」らしい走りが味わえるし、燃費もいい(エコカー減税も75%になる)。

ほとんどセミオーダーのようなオプション設定はMINIの売りだけれど、調子に乗って次々選んでゆくとたいそうな金額に。試乗車の車両価格は352万円だが、オプション込では420万円オーバー。これを「自力で」買える若い人は、日本だけでなく、世界的にも少ない気がする。

 

MINIの特徴であるセンターメーター(主に速度計)だが、場所ばかりとって見難い。速度の確認は、ドライバー正面にあるタコメーター内のデジタル速度計で十分。それよりこのスペースには大きめの液晶表示パネルが欲しいもの。と思ったら、メーカーオプションにはそれに近い「MINI ビジュアルブースト」(12万円)なるものが用意されていた。ただしこれも現状では大きな車両情報ディスプレイでしかなく、少なくとも日本仕様ではナビも表示できない。理想を言えば、フル液晶にして、バーチャル式のアナログメーター、ナビ、地デジ、バックモニター等を切り替えて表示できるようにしたいところ。次期MINIではセンターメーターが廃止されると言われているが、せっかくのアイデンティティでもあり、廃止よりそういう新しいデバイスに置き換えてもらいたい。

日常使いでデメリット無しと書いたが、もうちょっと室内が静かであればより良い。乗り心地はとにかく、ちょっと騒々しいのは日常的にはデメリット。

総合評価

マーコス GTのオマージュ?

というわけで、本文にあるように大変面白いクルマとして楽しませてもらった。もともとゴーカートフィーリングなMINIを、より低く、そして2シーター化してあるわけで、走りの面で更に楽しさが増している。そしてある意味、BMWはクーペよりもロードスターこそ作りたかったのかもしれない。それはポルシェで言うところのスピードスターだ。通常のオープンモデルよりさらに低いスピードスターは、昔からカッコイイものである。なるほどそれなら、このクルマの存在意義が見えてくる。

そしてロードスターだけではもったいないのでハードトップ版も作ったというのが、このクーペだと思う。クラシックミニでも、ルーフを切り詰めたチョップトップは伝統的改造車として存在していたわけで、クーペはその伝統をメーカー自らカバーしたもの、ということになる。まあクラシックミニの場合は、コンバーチブルも改造車だったわけで、今はそれもメーカーがカバーしているのと同じだ。とはいえ、新しいクーペは単に屋根を切っただけでなく、完全にクーペとなっているから、その意味ではミニ マーコスGTあたりのオマージュなのかもしれない。

遊び心がブランド力を高めている


MINI JCW ロードスター
(photo:BMW ジャパン)

いずれにしても、何が何でもこのスタイリングで出さなくてはならない必然性はなく、まさにメーカーのお遊び的なクルマだ。MINIというブランド、あるいは基本デザインでもって「楽しんでる」わけで、その遊び心がさらにブランド力を高めるという相乗効果になっている。ブランドと基本となるデザインがしっかりしているから、また伝統も継承しているから、どんなふうにでも遊べるわけだ。BMWがMINIブランドを手に入れた時、最初からここまでのことを考えていたかどうかは分からないが、結果的にはここまでやったことでMINIは世界的に大成功を収めている。日本のメーカーにはこれを見て、たぶん地団駄踏んでいる人がいるのではないか。

今年はザ・ビートル、そしてポルシェ 911(991型)と昔のデザインを引き継いでいるニューモデルが発売されている。そのお仲間であるMINIも、来年あたりには新型ハッチバックが出そうだが、やはりカタチを大きく変えることはないだろう。トヨタ86はどことなくトヨタ 2000GTに似ているが、いっそ2000GTの再来というイメージで出したらなら、今以上に爆発的売れ行きとなったはず。そういう遊び心が日本のメーカーにはもっとあってもいい。

次はぜひピックアップで


MINI ペースマン コンセプト(東京モーターショー 2011)

さてどんどん派生モデルが増えるMINIだが、2011年のデトロイトショーに続いて、東京モーターショーにも出展された「ペースマン コンセプト」の市販バージョンが、もうじき登場するようだ。ベースはクラシックミニにはなかった4ドア・SUVのクロスオーバー(海外名カントリーマン)で、それをBMWお得意のSUVクーペにして、新しいユーザーを獲得するというもの。ブランドが立っていて、デザインが良ければ全て良しということだろう。今やクルマは魅力的なデザインがすべてに優先すると言い切ってもいい。豊田章男社長が「デザイン」と言っていることに間違いはない。問題はそれが本当に作れるかだ……。

MINI クロスオーバーはSUVタイプのモデルだが、クラシックミニにはもう一台忘れてはならないアウトドア車があった。バギーのミニ モークだ。しかしさすがに安全性などの面から、このクルマを現代に甦らせるのは難しいかも。出れば、そうとう欲しい気もするが。となると、あとはピックアップか。クーペで2シーターを出したのだから、2シータースポーツトラックも出来ないことはないはず。昔も書いたと思うが、MINIでもっとも復活して欲しいのは、実はトラック、という人は世界中でけして少なくないだろう。モークは無理でも、次はトラックをぜひ出してほしいものだ。


試乗車スペック
MINI クーパー S クーペ
(1.6リッター直4ターボ・6AT・FF・352万円)

●初年度登録:2012年3月●形式:DBA-SX16S ●全長3745mm×全幅1685mm×全高1380mm ●ホイールベース:2465mm ●最小回転半径:5.1m ●車重(車検証記載値):1270kg(-+-) ●乗車定員:2名

●エンジン型式:- ●排気量・エンジン種類:1598cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・直噴ターボ・横置 ●ボア×ストローク:77.0×85.8mm ●圧縮比:10.5 ●最高出力:135kW(184ps)/5500rpm ●最大トルク:240Nm (24.5kgm)/1600-5000rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/50L ●10・15モード燃費:15.6km/L ●JC08モード燃費:15.4km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF) ●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット+コイル/後 マルチリンク+コイル ●タイヤ:205/45R17(Bridgestone Potenza RE050A)※オプション

●試乗車価格(概算):423万5000円  ※オプション:マルチファンクション・ステアリング 3万5000円、クローム・ライン・インテリア 2万2000円、自動防眩ルームミラー 2万5000円、シートヒーター 5万2000円、インテリア・サーフェス・ストライプド・アロイ 2万8000円、スポーツボタン+DTC 5万円、レインセンサー 2万4000円、ブラック・リフレクター・ヘッドライト 2万5000円、シルバー・ルーフ&ミラー・キャップ 1万7000円、シルバー・スポーツ・ストライプ 1万7000円、ホワイト・ターン・シグナル・ライト 1万円、スポーツ・サスペンション 4万円、7J×17 アロイホイール+205/45R17タイヤ 10万円、スポーツシート・レザー・パンチ 27万円 ●ボディカラー:ライトニングブルー(メタリック) ●試乗距離:250km ●試乗日:2012年5月 ●車両協力:MINI 名古屋名東

 
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MINI 名古屋名東

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