Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > ボルボ クロスカントリー

ボルボ クロスカントリー新車試乗記(第147回)

Volvo Cross Country


2001年11月10日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

新型V70ベースで2代目になったXC

輸入車ステーションワゴンの売れっ子モデルといえばボルボのV70。今年日本上陸を果たした新型は、街中でもチラホラと見かけるようになった。今回紹介するクロスカントリーは、そのV70を4WD化して車高を上げたSUV風モデル。先代“V70 XC AWD”の後継モデルだ。北米市場をメインに、新たな市場を開拓しようと開発された。レガシィ・ツーリングワゴンから派生したランカスターみたいな存在と思っていいだろう。

パワートレーンはライトプレッシャーターボ付きの2.4リッター直5エンジン+5速AT。ハンドル位置は左/右の選択可。乗車定員は5名となるが、オプションでラゲッジにシートを収納した7名仕様も選択できる。なお、ボルボは1999年からフォード傘下に入っているが、このクルマではまだフォードの影響は表れていないようだ。

価格帯&グレード展開

標準仕様で490万円、豪華仕様で530万円

装備の違いによって2グレードある。「クロスカントリー2.4T」には、5速ATにシーケンシャルモード「ギアトロニック」が付く他、クルーズコントロール、トリップコンピューター、パワーシート、アルミホイールなどが装備されて530万円。そして、それらの装備を省いた「クロスカントリー」が490万円だ。グレード名が誤解を招きやすいが、いずれもエンジンは共通の2.4リッターターボだ。

パッケージング&スタイル

リフトアップして専用バンパーやフェンダーを装着

ベースはもちろん新型V70。このワゴンボディのロードクリアランスを50mm高め、SUV並の215mmを確保し、215/65R16という大径タイヤが装着されている。専用の前後バンパー/オーバーフェンダー/ドアガードプロテクター/ルーフレール類は、ボディ同色でなく、むしろ樹脂であることを強調するかのような黒色のウレタン剥き出し。知的でお洒落なボルボ、というイメージとは少々異なるワイルドな装いで、その差は先代XCよりも明確だ。

ボディサイズは全長4735mm×全幅1860mm×全高1560mm。V70と比較して25mm長く、45mm広く、そして 90mm高い(車高アップ分+ルーフレール装着分)。タイヤとサスペンションの取り付け位置の違いにより、ホイールベースは10mm長い2765mmだ。力強さや頑丈さが強調されたおかげで、見るからに大きさを感じる。後から取って付けた不自然さがなく、むしろ中途半端に黒のウレタンを付けている V70よりもカッコイイ。

暖かみのある高級車イメージのインテリア

photo_3.jpg室内でクロスカントリー専用となるのは、いかにも丈夫そうな本革シートの三角ステッチと、コンソールボックスの助手席側に付くアシストグリップぐらい。あとは快適&安全装備も含めて基本的にV70と同じと思っていいだろう。

淡いベージュ色(黒色もある)を基調とした内装色に、赤みを帯びた木目パネル、見た目にも厚みを感じさせる本革シート。オフロード性能を備えたクルマとは思えない高級車然としたたたずまいだ。また、雰囲気だけでなく、使い勝手にも神経が行き届いているのがボルボらしいところだ。

ラゲッジの容量はV70に準ずるが(最大で1621リッター)、アレンジはさらに一歩推し進めている。V70では後席が2段階リクライニングと、6:4の分割可倒だったが、クロスカントリーでは世界初の4:2:4の3分割可倒式を採用。4人乗車でスキーを車載できるのが売りだ。また、真ん中の「2」となる中央席の背もたれには専用クーラーボックスを装備することができる(オプション)。こんなアイデア装備は、日本車顔負けである。

基本性能&ドライブフィール

ギアトロニック5速AT+AWD

エンジンはV70にも搭載される2.4リッター直列5気筒のライトプレッシャーターボのみ。最高出力は 200ps/6000rpm、最大トルクは29.1kg-m/1800~5000rpmと、スペックもV70と同じだ。ギアボックスもV70と同じ5速 ATだ。

4WDシステム、ボルボで言うところのAWD(オール・ホイール・ドライブ)システムは、トラクションコントロールシステム「TRACS」とビスカスカップリングを組み合わせたフルタイム4WD。通常はほぼ前輪のみ(95:5)で駆動し、路面状況に応じて後輪にも駆動力を伝えるトルクスプリット型となっている。

足回りは型式こそV70と同じ前マクファーソンストラット、後ろマルチリンクだが、AWDシステムと高くした車高によって、専用の改良が施されている。また、215/65R16インチのワイドタイヤの装着とそれに伴いトレッド幅も60mm広げられている。最小回転半径は5.8m。10・15モード燃費は8.5km/L。なお、V70 2.4Tはそれぞれ5.6m、9.1km/Lだ。

十分な動力性能。ハンドリングはイマイチ

試乗したのはギアトロニック付の「クロスカントリー2.4T」。ギアトロニックはレバー操作でマニュアル変速できる、いわゆるスポーツモード付きATのこと。Dレンジから左にシフトすると+/-のシーケンシャルモードに切り替わる。選んだギアは完全固定(例えば3速にしたとき、勝手に2速、1速にならない)。また、2速発進だけでなく、3速発進もできる。

車重が1700kgと、V70の2.4Tより90kgも重いこともあって、走る前までは加速面に不安があったが、実際には思った以上にトルクフルな走りをみせる。ターボは低速域から働き、その存在がほとんど感知できないほど。また、通常はほとんど後輪に駆動力が伝わっていないので、四駆ということも意識させない。乗り心地も、オフロード走行に配慮したマッド&スノータイヤを履いているせいか、V70にあった硬さが薄らいでおり、快適と言っていいだろう。

ハンドリングは鈍めで、その名の通りクロカン的。高速巡航などで直線をキープするときは細かな修正舵を必要としないから、これはこれでいいと思う。ただ、コーナーでは大きなロールを伴い、乗用車感覚で急にステアリングを切るとヒヤッとさせられる。市街地でのレーンチェンジでも少し配慮が必要だ。タイヤのグリップ力もないから、ノーマルのV70のようにコーナリングを楽しもうというに気にはならない。ただ、各媒体の試乗記ではしっかりした2WD並の足回り、としたものも多い。

ギアトロニックは、オフロードでそれなりに有効だと思うが、ステアリングにスイッチがないし、前述のようにワインディングマシンでもないので、ふだんはあまり活躍の機会がないだろう。

ここがイイ

昔からのボルボのイメージ「装甲車(軍用車)みたいな無骨なカッコよさ」が復活。骨太で男っぽいムードが実にうまく演出されている。ボルボは日本ではかなり割高感が感じられたが、ここまで特別な雰囲気なら500万を出す価値はあるだろう。

シートの前部分、膝のウラあたりにポケットがあるが、携帯電話を差しておくのにとても便利だった。

ここがダメ

V70と比べて落ち着きのない挙動。このあたりは購入時に比較試乗して判断していただきたい。

総合評価

photo_2.jpgレガシィランカスター、アベニールブラスターと次々登場してくるハイリフトワゴンは、どうやら流行のよう。最初からハイリフト車として作られたホンダH-RVはあまりウケなかったが、通常のワゴンをハイリフトしたこれらのクルマは、スペシャリティ感が高く、改造車っぽくてウケは悪くないようだ。

チェロキーより高い最低地上高を誇るボルボクロスカントリーだが、本格的なオフロード性能より、雰囲気こそが最大の商品力だろう。4WDになればそれなりに価格も高くなるが、その分をわかりやすく外に向けて誇示しているため、買う気をそそるのは確か。20年も前に、スバルレオーネ(レガシィの前身)も同様の手法で人気があったが、カッコよさの基準は今も昔も変わらないのかも。

SUVには今さら乗りたくないが、スキーによく行くから4WDが欲しいし、それなりにステイタス感も欲しい、そんな中小企業の若き経営者にはピッタリだろう。サラリーマンにはちょっと高いか。

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

ボルボ 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧

関連コンテンツ一覧