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ホンダ クロスロード 20X新車試乗記(第457回)

Honda Crossroad

(2.0L・5AT・FF・222万6000円)

3列シート・7人乗りの
コンパクトSUV、クロスロードで
街の交差点を駆けぬける!

2007年03月30日

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キャラクター&開発コンセプト

SUV×ミニバン×コンパクトカーのクロスオーバー

2007年2月23日に発売されたクロスロードは、コンパクトなSUV風の3列シート・7人乗りクロスオーバー車。車台とエンジンは2代目ストリームと共有。駆動方式には4WDのほか、FFがある。サイズや価格帯で言えば、3代目で上級移行したCR-Vの跡を埋めるモデルであり、デザインや街乗り重視のキャラクターは、販売終了したHR-V(1998~2006年)に近い。

車名は約10年ぶりの復活

国内販売目標は月間3000台。車名のクロスロード(Crossroad)は、英語で「十字路、交差道路」のことだが、もちろんここではオンロードとオフロードのクロスオーバー(融合)という意味だろう。なお、1993年から96年頃までの一時期、当時の初代ランドローバー・ディスカバリーのOEM車が同名の「ホンダ・クロスロード」としてホンダ・ディーラーで販売された。

価格帯&グレード展開

200万円台を幅広くカバー

グレードは5つエンジンは1.8と2.0、駆動方式はFFと4WD、変速機は5ATのみで、計7モデル。価格は1.8が193万2000円~225万7500円、2.0が222万6000円(★今回の試乗車)~291万9000円だ。最上級モデルにはレーダークルーズ(IHCC)、プリクラッシュ(衝突軽減ブレーキ+Eプリテンショナー)が標準装備となるが、HDDインターナビは全車オプションになる。

パッケージング&スタイル

サイズは先代チェロキー、デザインはハマー

スリーサイズは全長4285/4290mm×全幅1755mm×全高1670mm。2リッタークラスにしては、短めの全長がいい。ベース車のストリーム(全長4570mm)より300mm弱短く、3代目CR-V(全長4520mm)より230mm以上も短い。

全幅は5ナンバー枠内のストリームやHR-Vと違って、完全に3ナンバーサイズ。真正面から見るとかなりワイドだ。実はこのボディサイズ、1990年代にやはりホンダ販売店が扱っていた先代ジープ・チェロキー(全長4255mm×全幅1765mm×全高1650mm)に限りなく近いものだ。

一方、デザイン的には全体の角丸スクエアな形状に始まって、窓枠を太めにとったサイドウインドウ周り、別体オーバーフェンダー、平坦なボンネットなど、ハマーH2/H3を意識したと思って間違いない。同じようなディテールは実験的に?日本へ導入されたエレメント(2003年)にもあったが・・・。1.8リッター車はボディ下回りとオーバーフェンダーが黒の樹脂になる。

3列シートを無理なく配置

樹脂の表面処理など、最近のホンダ車に共通する質感のインパネ。純正のHDDインターナビやオーディオの操作には少々慣れが必要だが、携帯電話の入力端子がセンターコンソールにちゃんと用意され(ブルートゥースも可)、インターナビの通信機能が利用しやすくなっている。ステアリングはチルト/テレスコ調節が可能だ。

7人乗りとしたパッケージングはストリーム(全長もWBもクロスロードより短い)で手馴れたもの。2列目中央の背もたれがアームレストになるのは、初代/2代目ストリームから受け継ぐ良い点だ。これだと2×2×2で3列目に座った人の前方視界が効く。6人分のカップホルダーも大きくて使いやすい。

リアドアは約80度まで開き、3列目への乗降を助けている。その3列目だが、多少2列目を前に出してもらえば、大人でもけっこう快適。少なくとも5人乗るなら、1人は3列目に回った方が快適だ。

ついにこのクラスもスペアタイヤを廃止

3列目のヘッドレストを90度折り曲げ(ロックが無いから簡単)、背もたれをパタンと倒すだけで、荷室が拡大できる(5人乗車時で348L)。写真ではそうなっていないが、2列目の背もたれも水平まで倒れる。

スペアタイヤは全車で廃止。代わりにパンク修理キットがリアゲートと床との透き間にパズルのように収納されている。スポーツカーではもう珍しくないパンク修理キットだが、このクラスの国産ミニバンでは珍しい。

基本性能&ドライブフィール

CR-Vとほぼ共通の、軽快な走り

上に書いたようにエンジンは1.8(140ps、17.7kgm)と2.0(150ps、19.4kgm)、駆動方式はFF(1410kg~)と4WD(1480kg~)とあるが、試乗車は2リッターのFFモデル。悪路走破性はともかく、オンロードでは最も走りが良さそうなタイプだ。

走り始めてすぐに体感できるのが、現行CR-V(2.4リッター)同様の走りの軽さ。エンジンを回さなくてもスルスルと軽快に加速し、ここ一発のダッシュもアクセル一踏みで事足りる。200万円台のクルマにふさわしく遮音対策も入念で、エンジンノイズや排気音もよく抑えこまれている。5速ATはいつも通り変速が滑らかで、出来のいい(ベルトノイズのしない)CVTかと勘違いしそうなほどだ。OD(オーバードライブ)オフで「D3」(1-3速)になってしまうホンダ流は相変わらずだが、実用上は何の問題もない。

静粛性と乗り心地は3列目でもOK

乗り心地も良く、荒れた路面でもボディが振動したり軋んだりすることは一切ない。サードシートでもほとんど上下に揺れず、下手な大型ミニバンよりフラットだ。また、このクラスだと荷室から入ってくるロードノイズや排気音が気になるものだが、クロスロードは静粛性も高く、一般道なら1列目と3列目で楽に会話が出来る。高速巡航は100km/h時に2000回転。とても静かで快適だ。

(当然ながら)舗装路はFFで十分

ワインディングでは、タイヤ(215/60R17 ※2.0に標準)がM+Sのオールシーズンであるため、特に限界は高くないが、ストリーム譲りの低重心とそこそこのグリップによる挙動が気持ちいい。交差点での立ち上がりで一瞬タイヤが鳴くことはあるものの、トラクション性能も直進安定性も、FFで十分と言える。舗装路を走っている限り、4WD車だと信じてもおかしくない。ちなみにこの2リッター車の17インチタイヤは、センター部と両端ショルダー部に違うゴム材を使った3分割トレッドタイヤだそうだ。

今回は約120kmを試乗。車載燃費計による燃費はトータルで約7km/L、撮影時を除くと約8km/Lだった。10・15モードは13.8km/L(2.0・FF)とある。

ここがイイ

さすがに最新の街乗りSUVだけあって、そつのない作りと走り。運転して特に楽しいわけでないが、まったくもって走りに不満はなく、ワインディングでも軽いスポーティ感が楽しめる。レーダークルーズや追突軽減ブレーキを一部グレードに用意したのも評価できる。ナビにはPCカードスロットがあって、ウィルコムの定額通信カードを差し込める。ホンダだけのメリットだ。

高いアイポイントは違和感がなく、ボディが角張っている分、車両感覚がつかみやすいため、幅は広いが気にならない。Aピラー回りの死角が気にならないのは、巧みな造作だ。4つの窓ガラスが全開できるのもうれしいところ。左ミラー下部にあるプリズムアンダーミラーもCR-Vよりは見やすく感じた。センターコンソールの後部トレイはハンドバッグが入るサイズと深さで実用性が高い。

スペアタイヤを廃したことは英断だろう。実際、スペアタイヤほど無駄な装備はないと常々思っている。デイズでは様々なクルマでそれぞれ月間1万km以上の距離を走っているが、パンクはせいぜい2年に1回程度しかない。そのパンクもいきなりエアが全部抜けるようなことは少なく、スペアに頼ることなく自走で修理へ行くことが多い。また、市販のパンク修理剤も積んでいるから、本当にスペアタイヤは使ったことがないのだ。使わないまま廃車にされることも多いというスペアタイヤ廃止には大賛成だ。

ここがダメ

とてもよくできているけれど、特別ワクワクもしないこと。ものすごい優等生というか、そつがないというか。デザイン的におもしろいだけに、もうちょっと「これは!」というアクが欲しくなる。道具としては申し分ないのだが。

こういうスタイリングだけに、シート高は中途半端に高め。小柄な人や女性は乗り込みやすいとはいえない。ステアリングコラムとシートの間の空間ももう少し広いと乗車時に足さばきしやすいと思う。またシートの座面前後高さ調整はぜひ欲しい(単純な上下調整は可能)。小柄な人はたぶんベストポジションが取りにくいだろう。

走行中、シートベルトが内装に当たる音がカタカタする。また100km/hを超えると風切り音がかなり高まる。静かなクルマだけに残念。

左ドアミラーのプリズム式アンダーミラーは前述のように鏡面が小さくて、いま一つ実用にならない。出来れば日産やマツダのようなサイドのモニターが欲しい。欲しいと言えばATにはマニュアルモードがぜひ欲しいものだ。

総合評価

CR-Vの時にも書いたが、いよいよ日本でもミニバン時代からSUV時代へと舵が切られているようだ。クロカン四駆ブームから15年も過ぎているのだから、こういうSUVのカタチが多くの人の目にそろそろ新鮮に映るようだ。ましてクロスロードのターゲットである団塊ジュニアは30才プラスマイナス5才。四駆ブームの頃はティーンネージャーだったことになり、SUVのカタチに憧れはあっても抵抗はないだろう。高級SUVブームがSUV全体のイメージをアップさせており、いよいよそれが大衆化し始めているわけだ。日本もミニバンブームの次はSUVブーム、というアメリカと同じ道を進みつつある。

大衆化という意味で、クロスロードは見事にツボを押さえた作りとなっている。まさに手頃な街乗り四駆(試乗車は二駆だが)。実に便利なタウンカーだ。デザインは窓を小さめにした最近のアメリカンデザインテイスト。今度のトヨタ・サイオン(イストやbB)もショーカーで見る限り窓は小さめで、塊感がある。ホンダが自らハマーにインスパイアされたとは言わないだろうが、ちょっとクルマが好きな人ならだれもが想像できるカタチゆえ、クロスロードはカッコいいのだ。小さい窓にすればクルマはカッコよくなる。素人スケッチでクルマを書いてみてもそれは分かる。

しばらく主流だったデカ窓や丸っこい外観デザインに対して、皆アキがきていることは明白。デカ窓の最たるものがモビリオだが、売れ行きは今ひとつだった。また同じようなコンセプトのCR-Vはまさに丸のデザインだから、たぶん国内ではクロスロードの方が売れると思う。窓が狭いと室内に閉塞感があると言われるが、開放感を好む人ばかりではないはず。もちろん乗っていれば、窓の大きさなどだんだん気にならなくなってくるものだ。昔は丸いクルマは売れなくて、四角いクルマが売れると言われたものだが、SUVにもその通説が当てはまりそうだ。

クロスロードは国内専用車種。CR-Vにはない3列シートなど、国内市場マーケティングの産物以外の何物でもないと思う。ミニバン慣れしたユーザーに、3列シートの便利さは知れ渡っている。特に団塊ジュニア世代は子育て世代ゆえ、チャイルドシートがあれば3列シートは必需品だ。また国内市場といえば、このクルマを作るにあたり、今も売れ続けている脅威のクルマ、日産エクストレイルをホンダが気にしなかったはずはない。四角いボディとハードな道具仕様のエクストレイルは、国内の嗜好を見事に反映している。クロスロードでもユーティリティパッケージではシートを撥水表皮にし、セカンドシートバックや荷室を樹脂素材にできるなど、結構それに近い仕様にできる。その上で3列シートというアドバンテージもあるから、モデル末期のエクストレイルを喰うことは簡単なはずだ。

「クロスロード」という言葉を聞くと1968年にロックバンド「クリーム」がヒットさせた古いブルース(「Crossroads」)が思い出される。ギターのために十字路で悪魔に魂を売るというこの歌のように、ロックは反抗の音楽だったのだ、というとジジイ丸出しだが、最近は「ロック検定」などというものもあって、古いロックもジジイの戯言ではなくアカデミックなイメージすらあるようになった。いまやロックはすっかり文化の主役で、反逆精神は消え去り、メインストリームになってしまった。

クロスロードもそんなスタンスのクルマだ。トラックの派生で生まれたSUVもどんどん洗練され、今や世界中でメインストリームとなっている。ミニバンやSUV、コンパクトカーなどの良さをクロスせたこのクロスロードに至っては、ワイルド感あふれるスタイリングながら洗練された走りと乗りやすさ、便利さに満ちた、誰もが満足できるクルマだ。大型のSUVと違って燃費もいいから、反社会性はまったくといっていいほどない。まさにクルマを道具として使う現代人の「アクティブライフ・ナビゲーター」だと思う。趣味のクルマに乗るために悪魔に魂を売った人がいく道とは、けしてクロスしない道を行くクルマ、といえるだろう。

試乗車スペック
ホンダ クロスロード 20X
(2.0L・5AT・FF・222万6000円)

●形式:DBA-RT3 ●全長4285mm×全幅1755mm×全高1670mm ●ホイールベース:2700mm●車重(車検証記載値):1440kg(870+570)●乗車定員:7 名●エンジン型式:R20A ● 1997cc・直列4気筒・SOHC・4バルブ・横置 ● 150ps(110kW)/6200rpm、19.4kg-m (190Nm)/ 4200rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/55 L ●10・15モード燃費:13.8 km/L ●駆動方式:前輪駆動(FF) ●タイヤ:215/60R17(Toyo Tranpath A20 )●試乗車価格:255万1500円( 含むオプション:ディスチャージドヘッドライト、HDDインターナビシステム ) ●試乗距離:約120km ●試乗日:2007年3月 ●車両協力:株式会社ホンダカーズ東海

 
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