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トヨタ クラウン ハイブリッド新車試乗記(第515回)

Toyota Crown Hybrid

(3.5L+モーター・619万円)

クラウンの皮をかぶったGS450h!
あるいはトヨタの集大成?
その答は3年後・5年後に分かる!

2008年06月21日

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キャラクター&開発コンセプト

パワートレインはGS450h譲り

クラウン ハイブリッドは、13代目クラウン(2008年2月18日発売)に追加設定されたハイブリッド車。発売は通常のクラウンより3ヶ月ほど遅い2008年5月6日に行われた。ロイヤルサルーン、アスリートに続く、第3のクラウンとなる。

3.5リッターV6エンジンとモーターから成るハイブリッドシステムは、レクサスGS450h(2006年3月発売)から移植されたものだが、EVモードを追加するなど、より燃費を重視している。

販売目標台数はクラウン全体の月間5500台のうち、ハイブリッドは800台。これは国内で月間150台相当(年間1800台)を掲げたGS450hの3倍強に相当する(ただしGS450hには輸出もある)。

※過去の参考記事
■新車試乗記>レクサス LS600hL (2007年6月)
■新車試乗記>レクサス GS450h (2006年4月)

価格帯&グレード展開

価格は600万円前後。ハイブリッド代は50万円ほどか

価格は、標準仕様(本革シート仕様)が619万円。ファブリックシート仕様の「スタンダードパッケージ」が595万円。アスリート3.5のトップグレードに比べて、おおよそ50万円高と言える。

オプションとしては標準仕様にミリ波レーダーを使ったプリクラッシュ系安全装備(ナイトビューとセットで83万2650円)、18スピーカーの「トヨタ プレミアム サウンドシステム」(8万9250)が用意される。

レクサスGS450h(683万~783万円)に比べると安いように見えるが、実はフルオプションにするとその差はかなり小さくなる。むしろ、より「素」の状態でこの「FRハイブリッド」が手に入るのがクラウンハイブリッドのメリットか。

クラウン ハイブリッド  619万円 ※今回の試乗車
■クラウン ハイブリッド “スタンダードパッケージ”  595万円

パッケージング&スタイル

ハイブリッドの象徴、ブルーをあしらう

ボディサイズは普通のクラウンと変わらず。全長4870×全幅1795×全高1470mm、ホイールベース:2850mm。外観でハイブリッド専用となるのは、フロントグリル、王冠マーク(スリット部がブルー)、ヘッドライトレンズ(一部ブルー)、「HYBRID」のバッジ、リアコンビネーションランプ(ブルー調クリアレンズ)、そして専用18インチアルミホイール&タイヤなど。さらに試乗車の場合は、クラウンハイブリッド専用色の「ライトブルーマイカメタリック」(GS450hの「プレミアムライトブルー」とよく似ている)ゆえに一目でハイブリッドと分かる。

ハイブリッド専用の全面TFT液晶メーターパネル

インテリアはアスリート風に黒基調だが、加飾パネルはアスリートのような黒木目調ではなく、独特の「幾何学調」となっている。カーボン風のような、木目調のような、不思議な模様だが、立体感があって質感は高い。インテリアの広さや使い勝手は普通のクラウン同様だ。

 

もう一つハイブリッドならでは、と言えるのが、新開発の全面TFT液晶「ファイングラフィックメーター」。乗り込むと車両のシルエットが映し出され、イグニッションをオンにするとクラウンロゴが登場、続いて速度計とパワーメーター(表示は回転数ではなく「%」)の擬似アナログメーターがアニメーションで浮かび上がる。画面内にナビ情報と連動した車線案内、道路案内、ハイブリッドシステムインジケーター、プリウス等でおなじみのエネルギーフロー等を表示。さらにスポーツモードにすると、色調が青から赤に変化する。この高精細モニターを生かしてフルセグ地デジ映像も・・・・・・ということはもちろんない。

試乗車にはなかったが、ナイトビュー装着車では近赤外線カメラによる映像もここに映す(その場合、アナログメーターは消えてデジタル速度計のみとなる)。なお、今回の最新型ナイトビューは、画像処理によって近赤外線タイプでは初めて歩行者検知機能(2人まで)を実現したという。ちなみにホンダ・レジェンド(2004年発売)に採用されたインテリジェントナイトビジョンにも歩行者検知機能があったが、こちらは遠赤外線タイプ。つまり熱反応で、映像はダッシュ上の専用ディスプレイに表示していた。

トランク容量はレクサスIS並み

後席との間にニッケル水素電池を積むため、狭くなりがちなトランクだが、荷室寸法(カッコ内数値はロイヤルシリーズ)は、横幅1360(1600)mm×奥行き690(1100)mm×高さ490(同)mmと、当然ながら奥行きが狭い。ただし容量自体は、普通のクラウン(524L)の約7割となる376Lを確保。これはマークX(437L)より狭いが、レクサスIS(378L)並みというところ。床下には普通にテンパースペアタイヤを搭載する。GSはガソリン車でも430Lだったので、ハイブリッドの450hでは明らかに狭いという印象があったが、これなら購入をためらわずに済むだろう。

基本性能&ドライブフィール

静かでマイルド、割と普通の運転感覚

GS450h譲りのパワートレインは、おなじみ3.5リッター直噴V6「2GR-FSE」(296ps、37.5kgm)とモーター(200ps、28.0kgm)の組み合わせ。トータルで発揮されるシステム出力は345psだ。これらカタログ数値はクラウンハイブリッドでもGS450hでも一緒で、動力分割機構や2段変速式リダクションギアを経て、後輪を駆動するレイアウトも変わらない。車重は標準仕様で1840kgと、1.9トン前後のGS450hより少し軽いが、レクサスに備わる各種装備やアクティブスタビライザーを省けば、実質的な差は小さいと思われる。

第一印象はとにかく「静か」。エンジンが掛かっているのかいないのか分からないほど、エンジン音は聞こえない。その代わりに徹底的に抑え込まれた後に残った独特のロードノイズだけが、静かすぎるゆえに目立つ、という感じで室内に響く。一方で2年前、GS450hに試乗した時に感じた、低いギアにホールドして走っているような独特の直結感はなく、その意味で運転感覚は普通になった。

アスリートと同じ225/45R18サイズのロープロファイルタイヤはクラウンハイブリッド専用品で、静粛性や乗り心地を重視したもの。少なくともモーターデイズで試乗した車両はアスリートがBSのポテンザRE050Aだったのに対して、ハイブリッドがダンロップのSPスポーツ「Veuro」だった。乗り心地はクラウンらしくマイルドで、アスリートとロイヤルの中間くらいを狙った感じ。ソフトな足まわりはワインディングでは姿勢変化をけっこう許すが、それゆえアスリートより限界はつかみやすい。

中間加速と高速域の速さは無敵

アクセルを踏み込めば、もちろん速い速い。80km/hあたりまではどうということはないが、パワーメーターが100%(システム最大出力の345psを意味するはず)に達するやいなや、まったく抵抗感もなく頭打ち感もなく、デッドスムーズに加速してゆく。そしてメーター読み180km/hに達する直前で出力が制限され、パワーメーターの針が一気に35%までストンと落ちる。そこまでは無敵の速さ。実力的には250km/hも可能だろう。

とはいえ、速さ自体はGS450hからも想像がつくところ。むしろクラウンハイブリッドで印象に残ったのは完成度の高さで、率直なところ2年前に乗ったGS450hや3ヶ月前に乗った3.5アスリートに比べて、操縦性はより自然で、乗り心地はより良くなっている気がした。

なおクラウンハイブリッドには、ハイブリッドの効率を高める上で発生しがちなエンジンのこもり音を制御音で打ち消す「アクティブノイズコントロール」が採用されている。天井のマイクでこもり音を検出、さらにエンジン回転数の情報も入れてフロントドアスピーカーとリアウーハーから逆位相の音を出力し、静粛性を高めるというもの。この技術はすでに国内の数社で実用化されているが、なかなか効果は実感しにくいところ。

試乗燃費は7.5km/L

今回は約230kmを試乗。一般道から高速まで走った結果、車載の平均燃費計はトータルで7.5km/Lとなった。いつもの試乗コース(約100km)でも7.5km/Lをキープ。満タン法では約32リッターを消費したため、7.2km/Lといったところ。エコランに徹すれば一般道でも10km/L台は不可能ではないが、実際には大人しく走っても9km/L台というのが現実的だろう。もともとトヨタのプレスリリースには「4.5L車クラスの動力性能と2.0L車クラスの低燃費」とある。高速道路の区間が長ければもっと伸びたはずだが、パワーと車重があるだけに、飛ばしてしまえば正直に悪化する。

なお10・15モード燃費は15.8km/L、JC08モードは14.0km/L。ハイオクを前提とした設計の「2GR-FSE」エンジンゆえ、指定ガソリンはもちろんプレミアムだ。GS450hの10・15モード燃費は14.2km/Lだから、1割ほど燃費は良いということになる。

ここがイイ

トヨタの集大成であること。TFT液晶メーター

すべてにおいて世界唯一無二の存在であること。クラウンシリーズ、いやトヨタFR車随一の完成度の高さ。トヨタというメーカーのすべてがここにあり、「これが欲しい」と思わせるだけのブランド力と実力がある。

ハイテク系では、全面TFT液晶メーターパネルとそこに表示されるナイトビューというあたりが未来的。というか、今や大型液晶パネルは当たり前ゆえ、遅すぎる感すらあるのだが。とはいえモードを切り替えるごとに背景やカラーが変化するあたりは、今後すべてのクルマがこうなって行くであろうことを予感させる。

ここがダメ

効かない「EV」モード、エンジン稼動時の車外騒音、擬似的な指針の動き

なかなかEVモードに入らない。プリウスにあってGS450hには(今のところ)ない、クラウンハイブリッドのウリとなる機能だが、「EV」ボタンを押しても、充電不足です、とか、ただいまEVモードには入りません、といった警告が出て、最後まで受け付けてもらえなかった。こんなにパワーは要らないから、もう少しモーターだけで走って欲しい。

このGS450を含めて「2GR-FSE」エンジンに共通する問題だが、アイドリング時の車外騒音が大きいこと。特にハイブリッド車ではアイドリングストップ時とエンジン稼動時の差が大きく、周囲の人から見た高級感や「ハイブリッド感」を損ねている。知り合いの2代目プリウスユーザーは「プリウスよりうるさい」と感じたそうだが、それも分からないではない。

エンジンが止まった状態でしばらくたち、エンジンが始動した瞬間にかなり大きな振動が出る。走行を始めてエンジンが始動する場合には感じないものだが、静かなだけに気になった。液晶メーターパネルではグラフィックで表示される速度計とパワーメーターの動きが、本物のアナログに比べて滑らかすぎて少し違和感がある。もう少しクイックに動いた方が感覚に合うのだが。

ルーフのねじ込み式アンテナ。レクサスのシャークフィン式との差別化なのかもしれないが、実際問題として見た目はあまり良くないし、洗車機を利用する際に外すのが面倒(ショートタイプなので外さなくても多分大丈夫だとは思うが)。ガラスアンテナという手もあったと思うが。

総合評価

月5万円でクラウンハイブリッドに乗れる?

トヨタは今、残価設定型プランと銘打った車両販売に躍起になっている。いわゆる「TOYOTA 3年分ください」というやつだ。あらかじめ3年後や5年後の車両残価を設定し、残った分を分割で支払うというもの。3年後・5年後に車両を返却すれば、それ以上お金は必要ない。もちろん残価を支払えば、そのまま乗ることもできる。で、このプランの、トヨタにとっての重要なポイントは3つ。ひとつは多くの人がクルマを手放すと同時に、次の新車を同じプランで買うだろうこと。また新車が売れるわけだ。次に3年後に車両が確実に下取れること。これで良質中古車を確保できる。最後はローン金利を、残価を含めた車両代金全体にかけられること。金利はそこそこかかるのだが、あまり気にしていない人が多い。つまり金融商品でもあるわけだ。

クルマが売れない昨今、大きなお金を用意しなくても買えるというこのプランは、確かにたいへん魅力的に映る。ちなみにクラウンハイブリッド(619万円)を5年で計算してみると100万円を頭金にした場合、月々5万200円、ボーナス月に15万円(金利は3.9%)となった。最終残価は204万2700円。5年でこの残価はすごい。支払総額は690万円だから、金利は71万円(年間14万2000円)ということになる。ちなみにフルローンの場合だと月々8万4500円となり、毎月3万円以上余分に支払わなくてはならない。そして5年後には新しいクラウンが出ているはずだから、車両を返却してまた同様にプランを組めば同じような価格で新型車に乗れる。「月5万円でクラウンハイブリッドに乗れるのであれば・・・・・・」と考える人は少なくないはず。こういう展開を繰り返してもらおうとトヨタはもくろんでいるわけだ。

このプランは先日試乗したアルファードでも積極的に提案されており、受注一ヶ月で3万6000台という驚異的な数字は、このプランのたまもののようだ。400万円もするようなクルマがどうしてそんなに売れるのか、という秘密はそこにある。月々のローン支払いが抑えられるこのプランは、3年後・5年後の返却時に大きなトラブルが起きない限り、今後もますます増えるだろう。そのトラブルとして考えられるのは、ユーザーの中途破綻や、事故車になったら残価でディーラーは引き取らないからそのあたりの押し問答など。サブプライムローンのように社会問題化する可能性も考えられなくはないが、額は小さいからたぶん大丈夫だろう。

3年後・5年後には、さらにハイブリッド車が進化する

トヨタに3つのメリットと書いたが、実はもう一つ、このプランにはトヨタにとって大きなメリットが潜んでいる。それはハイブリッドの増販だ。トヨタは2010年までにリチウムイオンバッテリーを使ったプラグインハイブリッド車を、日米欧で導入する計画を打ち出している。またハイブリッド車の年間販売台数を2010年代の早期に100万台に拡大させ、さらにモデル数も現行7車種から倍増させるという。つまり3年から5年後には、魅力的なハイブリッド車がいっぱい登場するということだ。この時、残価設定型プランの車両返却時期がやってくることが多いわけで、そういう人はたぶん迷わずハイブリッド車に代えることになるだろう。例えクラウンハイブリッドに乗っていても、リチウムイオンバッテリーだったり、プラグインハイブリッドだったりの新型が出れば、それが欲しくなるのは当然。特に今回の試乗では期待したほど燃費がよくなかったから、こうなると欲しいのはクラウンのプラグインハイブリッド車だ。月々の支払いが多少増えても、プラグインハイブリッド車なら燃費で月数万円の差額を出せるはずだから。

こうしたトヨタの展開を批判する気は全くない。というより支持したい。新車が売れないと日本経済は失速するのだから残価設定型プランはその救世主かもしれない。またハイブリッド車を普及させるためにもこれでOKだ。デイズはサイトの名がモーターデイズというくらいで、エンジンに対する過剰な思い入れは持ち合わせていない。クルマが好きで、そのクルマにいつまでも乗り続けたい。地球環境のためにクルマをやめようとは思わないのだ。そのためにはガソリンエンジンもディーゼルエンジンも消えてしまっていい。それよりエコなクルマを、メーカーに作ってもらうしかないのだ。トヨタのハイブリッドに対して、「それが本当にエコなのか」 という様々な意見があることは分かっているが、現時点では他より明らかにマシである。中国まで含めた資本主義社会が現実である以上、人類はテクノロジーに頼るしか生き伸びるすべはないだろう。トヨタには、よりエコなテクノロジーを開発してもらい、バリバリ売ってもらいたいものだ。ただ、できればあまり独占せず、他メーカーが出てくる余地を残してもらいたいとは思うが。

夢への大いなる一歩

ということで、クラウンハイブリッドは素晴らしいクルマといってもいい。確かに燃費はいまいちではあったが、ハイブリッドの動力系、VDIM、レーダークルーズコントロール、パーキングアシスト、アクティブノイズコントロール、液晶パネルの速度計、歩行者検知機能付きナイトビュー、モニターカメラ類、ドライバーモニターカメラ、前後プリクラッシュセーフティーシステムなどなど、ハイテク類の数々はどう考えても世界の最高峰に位置する。ハイブリッド+ハイテクてんこ盛りで、しかもこれまでそのジャンルで一番安かったレクサスGSより、さらに安くなっている。これらをもっともっと下のクラスまで広げ、それによってクルマというものをいつまでも存続させてもらいたい。クラウンハイブリッドは、今秋に登場するマイクロカーのiQ(のようなクルマ)がプラグインハイブリッドでハイテクてんこ盛りだったら、という夢に近づくための大いなる一歩なのだ。


試乗車スペック
トヨタ クラウン ハイブリッド
(3.5L+モーター・619万円)

●初年度登録:2008年5月●形式:DAA-GWS204-AEXZH ●全長4870mm×全幅1795mm×全高1470mm ●ホイールベース:2850mm ●最小回転半径:5.2m ●車重(車検証記載値):1860kg( 940+920 ) ※ 標準仕様は1840kg ●乗車定員:5名●エンジン型式:2GR-FSE ● 3456cc・V型6気筒・DOHC・4バルブ・縦置 ●ボア×ストローク:94.0×83.0mm ●圧縮比:11.8 ●296ps(218kW)/ 6400rpm、37.5kgm (368Nm)/ 4800rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/65L ● モーター形式:1KM ●200ps(147kW)、28.0kgm(275Nm)●システム出力:345ps(254kW) ●バッテリー:ニッケル水素電池 ●10・15モード燃費:15.8km/L ●JC08モード燃費:14.0km/L ●駆動方式:後輪駆動(FR) ●サスペンション形式:前 ダブルウィッシュボーン/後 マルチリンク ●タイヤ:225/45R18 (Dunlop SP Sport 2050 Veuro ) ●試乗車価格:643万9900円( 含むオプション:インテリジェントパーキングアシスト【IPA】+クリアランスソナー&サイドモニター 9万7650円、トヨタプレミアムサウンドシステム 8万9250円、リアオートクーラー 6万3000円 )●試乗距離:約220km ●試乗日:2008年6月 ●車両協力:トヨタ自動車株式会社

 
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