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トヨタ クラウン マジェスタ Gタイプ “F パッケージ”新車試乗記(第556回)

Toyota Crown Majesta G Type “F Package”

(4.6L・8AT・790万円)

5代目となったトップ・オブ・トヨタは
日本人の、日本人による
日本人のための高級セダンだった!

2009年05月02日

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キャラクター&開発コンセプト

「トヨタ=日本」の最高級車を目指した5代目マジェスタ


3月26日に名古屋市・西区の産業技術記念館で開催された報道発表会には、豊田章男副社長も出席した

2009年3月26日、クラウンマジェスタが約5年ぶりにフルモデルチェンジして5代目となった。クラウンとセルシオの間に位置するモデルとして1991年に登場したマジェスタだが、2004年の先代(4代目)マジェスタ以降は、翌年から国内で始まったレクサスの展開を踏まえて「トヨタブランドの最高級セダン」と位置づけられている。世界の高級車を目指したのがレクサスならば、マジェスタは「日本の高級車」と言えるだろう。

販売目標は先代と同じ月間1000台で、生産も従来通りトヨタ自動車の元町工場(愛知県豊田市)で行われる。広告は「持てる技を尽くして」とキャッチコピーでうたい、日本の伝統工芸である蒔絵とサテンゴールドのマジェスタを並べて、匠(たくみ)の精神をアピールしている。

■参考(過去のトヨタ クラウン マジェスタ試乗記)
・トヨタ クラウン マジェスタ Cタイプ (2004年7月)

価格帯&グレード展開

価格は610万~790万円で、ちょうどクラウンとLS460の間


ボディカラーは全7色。試乗車は新色でテーマカラーでもあるサテンゴールドメタリック

計6グレードを設定。ベーシックな「Aタイプ」、それをベースにVGRS付きアクティブステアリングなどを追加して走りに振った「Aタイプ “Lパッケージ”」、最量販を狙う「Cタイプ」、レーダークルーズやプレミアム本革シートなどを標準装備した「Gタイプ」、その4人乗り仕様のトップグレード「Gタイプ “Fパッケージ”」 ※今週の試乗車)、そして4WDの「i-Four」(これのみ4.3リッターV8と6ATをキャリーオーバー)となる。価格帯は610万円から790万円で、ちょうどクラウンシリーズとLS460の間に横たわる200万円前後の溝を埋める。

■Aタイプ          610万円
■Aタイプ “Lパッケージ”  685万円
■Cタイプ          695万円
■Gタイプ          740万円 
Gタイプ “Fパッケージ”  790万円  ★今週の試乗車
■i-Four           690万円

パッケージング&スタイル

従来より派手さや独自性を抑えたデザイン

派手さをかなり抑えた新型マジェスタ。歴代モデルは「クラウンの上だが、セルシオとは違う」という微妙な立ち位置ゆえにアメ車っぽいデザインを採り入れるなど、いろいろ工夫を凝らしていたが、新型ではむしろある種の地味さを売りにするようなデザインとなっている。最近のトヨタ車の中では面処理も異例にシンプルで、キャラクターラインのようなものはほとんど目立たない。マジェスタ自体の独自性も従来ほど強調されず、むしろクラウンシリーズとの近似性を感じさせるものとなっている。

 

そんな見た目の印象もあって「ボディサイズはクラウンと同じくらいかな」と思っていたら、実際には全長4995mm×全幅1810mm×全高1475mmと堂々たるモノ。特に全長がほとんど5メートルもあることに驚いてしまう。ホイールベースも先代より75mm延長されて2925mmだが、ここもクラウンシリーズ(2850mm)と現行LS460(2970mm)とのちょうど中間あたりだ。

ただし全幅だけはクラウンと大差ない1810mm。最小回転半径も5.3メートルとクラウンの0.1メートル増しに抑えている。このあたりはさすがに国内市場を意識した作りだ。

 

インテリア&ラゲッジスペース

艶消し「本杢」ウッド素材を採用。ステアリングは削り出し


本杢のウッドパネル、ステアリングホイール、シフトノブは全車標準

先端装備用スイッチのオンパレードとなっているインパネだが、新型マジェスタで注目すべきはウッド素材の「艶消し」仕上げだろう。柾目や導管を見せる艶消しタイプは、日産のティアナとか現行アリオン/プレミオなども採用していたが、それらはあくまでウッド「調」。一方このマジェスタでは家具やギターに使われる「オバンコール」という木の本杢を使い、仕上げはオープングレインフィニッシュと呼ばれる厚みの薄い塗装で行われる。ライフルの銃床などに使われるオイル仕上げのような見た目を狙ったものだ。

またステアリングやシフトノブも同じような艶消し仕上げだが、こちらは何とウォールナットウッドの無垢材から削り出し、職人が磨き上げたものという。

上級グレードに「ナイトビュー」を設定


TFT液晶画面に表示されるファイングラフィックメーター(オプション)は、夜間ナイトビュー画面にもなる

上級グレードにはメーターパネル全体をTFT液晶パネルにした「ファイングラフィックメーター」も標準装備される。アナログ風の速度計や回転計は、つまり映像(動画)に過ぎない。これは現行クラウンハイブリッド(2008年発売)に採用されていたものと同じだ。

 

メータークラスターのスイッチを押せばナイトビューに切り替わる
(photo:トヨタ自動車株式会社)

夜間は近赤外線による暗視映像「ナイトビュー」(Gタイプの場合は42万円のオプション)のモニターになる点もクラウンハイブリッドと同じだ。この新型ナイトビューはヘッドライトの光を特殊なフィルターに通して近赤外線とし、それを近赤外線カメラで捉えるもの。ホンダ・レジェンドのものは遠赤外線、つまり熱を捉えて画像化したものでそれで歩行者を検知していたが、トヨタのナイトビューはヘッドライトの光があたっているものを捉えるため、肉眼で見る景色に近い映像が表示される。画像処理によって歩行者を検知するのはレジェンドと同じで、クルマの進行方向に入ってくる歩行者を一定の条件で検知すると、オレンジ色の枠でその歩行者を囲んでドライバーに視覚で注意を促す。

快適装備の数々。足りないのはマッサージ機能だけ?

クラウンよりホイールベースが75mmも長いので、その分だけ当然リアシートの足もとも広い。とはいえこの2人掛けとなる最上級グレード専用の電動オットマンに足をのせて伸ばす時には、フロントシートを電動でウィィィンと一番前に動かす必要があり、「これくらいの余裕は欲しいな」と思えてしまう。人間とは贅沢なものだ。

 

快適装備もてんこ盛りで、背もたれと座面から冷風だけでなく温風も送り出す「コンフォタブルエアシート」、フルセグ対応の9インチワイドディスプレイ(14万1750円)、ついに最大19チャンネル、20スピーカーとなった「トヨタプレミアムサウンドシステム」(Gタイプ用)などが備わる。足りないモノは、LS600hLの最上級グレードに付くマッサージ機能くらいのものか。

 

ちなみにドアは「Aタイプ」を除いて、全車4枚ともイージークローザー付きで、半ドアを防げるのはもちろん、ドアを静かに閉めることができる。「高級車」にはぜひとも欲しい装備だ。

万一の事故から後席のVIPを守る。エアバッグは最大11個!


世界初の後席センターエアバッグ(4人乗り仕様のみ)
(photo:トヨタ自動車株式会社)

なおトヨタブランドの最高峰ということで、安全装備に関しても最新のものが投入されている。特にこのマジェスタで世界初となるのが、プリクラッシュ用のミリ波レーダーを左右に追加して交差点での出合い頭衝突に対応する「前側方プリクラッシュセーフティシステム」、プリクラッシュと連動して後席の電動リクライニングを衝突前に起こす「プリクラッシュシートバック」だ。

また後席で隣り合った乗員がお互いに二次衝突するのを防ぐ「後席センターエアバッグ」(4人乗りのみ)も同じく世界初。エアバッグは計10個が全車標準で、この後席センターエアバッグを含めると計11個になる。

スペアタイヤもフルサイズで手堅く

このクラスでは居住性が最優先となるので、トランクスルーはなし。容量は523リッターと先代(521リッター)とほぼ同等。中の形状はよく似ているが、実はトランクリッドのヒンジが荷室内への浸食が少ないパンタグラフ式から、浸食は多いが開口部は広くできるアーム式に変更されている。ゴルフバッグのように横に長いものは、新型の方が積みやすいようだ。なお積載できるゴルフバッグの数は明記されていないが、従来通りとすれば最大4個だ。

 

開閉には運転席近くのスイッチかキーレスの操作が必要だが、これはトヨタの高級セダンではお約束で、もちろん防犯性を意識したものだ。電動トランクリッドは全車オプションとなっている。

床下にはフルサイズのアルミホイール付きタイヤをスペアとして備える。こんなところも何となくコンサバだ。

基本性能&ドライブフィール

誰でもベテランお抱え運転手になれる

試乗したのは最上級グレードの「Gタイプ“Fパッケージ”」。車両本体価格は790万円だが、前方+前側方+後方プリクラッシュやナイトビューなどを含むお値段は何と963万2500円と、LS460の最上級グレードにも張るレベルだ。

走り出すとそこは、クラウンよりも穏やかで、レクサスよりも軽快という高級セダンの理想郷。走行モードを「エコモード」に設定すれば、LS460譲りのV8エンジンはどんなアクセルの踏み込みに対しても穏やかに反応し、軽やかにクルマを走らせる。また同じくLS譲りの8速ATはコトリとも音を立てない完璧な仕事ぶりで、文句のつけようがない。

また全車標準のエアサスの出来も、「エアサスってこんなにいいものだったっけ」と思えるほど素晴らしい。最初のアタリから大きな入力まで、すべてゆったり柔らかに受け止めて、しかもフワフワ感もコツコツ感もなく走る。少なくとも日本の常用域で走る限りは非の打ち所がなく、ひょっとすると最高のエアサスかも。ブレーキング時やコーナリング時の姿勢制御も自然で、常に車内は平穏なまま。またスイッチ操作で20mm車高を上げたまま走ることもできる。いずれにしても新型マジェスタは「誰でもベテランお抱え運転手になれる」クルマだ。

同時に正真正銘のドライバーズカー。「スポーツモード」では驚くほど速い。

エンジンは4WDの「i-Four」を除き、全車レクサスLS460の4.6リッターV8(385ps、51.0kgm)を347psと46.9kgmにデチューンしたものだ。デチューンと言っても先代マジェスタの4.3リッターV8(280ps、43.8kgm)に比べればはるかにパワフルだし、基本はLS460と同じもの。車重はLS460より200kg前後軽く、パワーウエイトレシオ(試乗車の場合は1840kg/347psで5.3kg/ps)はほぼ同等、速さも同等と思われる。逆に言えばデチューンしておかないと、マジェスタの方が速くなってしまうわけだ。

といったような数字遊びをマジェスタオーナーがわざわざするとは思えないが、それでもマジェスタは先代同様、その大人しい外観からは想像できないほど速いし、LS460より全ての面で軽快だ。特に「スポーツモード」でアクセルペダルを深く踏み込むと、感心せざるを得ない俊足ぶりを発揮する。駆動力統合制御システム( DRAMS=Driving Response and Acceleration Management System )の効果だろうか、トラクションコントロールが介入するような状況でも失速することなく、挙動の乱れも一切なく、もちろんホイールスピンもなく、スルスルと、しかし猛烈に加速する。濁りのまったくないサウンドも素晴らしく、洗練度ではこの「1UR-FSE」ユニットが世界最高のV8かもと思えてくる。

しかもパワーモードでは、エアサスも電動パワーステアリングもスポーツモードになるため、シャシー的にもまったく不安感がない。すべての操作に対して望む通りの手応えを返すセッティングは見事で、従来のレクサスよりもダイレクトに良さが伝わってくる。こうなるとマジェスタは正真正銘「ドライバーズカー」だ。

試乗燃費は6.4km/L。10・15モード燃費は9.1km/L

今回はトータルで260kmを走行し、試乗燃費(車載平均燃費計による)は6.4km/Lだった。街乗りや「スポーツモード」による走りだと5km/h台は必至だが、高速巡航はかなり良好で、車両情報にはどこかの誰かが記録した7.9km/Lという平均燃費が残っていた。10・15モード燃費は一番軽量なAタイプ(9.4km/L)とi-Four(8.6km/L)を除いて9.1km/Lだ。指定燃料はもちろんハイオクとなる。

ちなみに、最近のトヨタ車は「給油後の平均燃費」以外に、自由にリセットできる「通算平均燃費」が表示できるようになった。マジェスタの場合は、プリウスなどと同じように「区間燃費」や「毎分燃費」もナビ用モニターに表示できる。

ここがイイ

日本の最高級セダンと言い切れる素晴らしい出来

素晴らしいV8エンジン、見事な電子制御、目から鱗が落ちるエアサス。「クルマは道が作る(トヨタは日本の道をよく知っている)」とは豊田章男次期社長がよく口にする言葉だが、確かに「日本の道でベスト」の高級セダンだ。サイズ、ほどほどの上質感、見事な静粛性、至れり尽くせりの快適装備、気の利いたユーティリティなど、さすがに価格は安くないが、それだけのことはあると納得できる。日本の最高級セダンと言い切れる、素晴らしい出来だ。

試乗車の場合で細かく指摘すると、TFT液晶のファイングラフィックメーターはクラウンハイブリッドと比べ違和感がなくなっているし、暑くなってもシートのベンチレーションは快適そのもの。助手席のスライドとリクライニングは運転席からでも後席からでも動かせるし、助手席が相当前方まで動くので、後席の電動オットマンを持ち上げても足先空間には余裕がある。

オーディオ関係では携帯とブルートゥースでペアリングがやりやすく、いったんペアリングすると乗り降りしても常に問題なく自動でつながるということが、当たり前にできたのが素晴らしい。リアエンターテイメントシステムの天井ディスプレイは、注視しても気持ちが悪くならない位置まで遠ざけられている(先代は酔った)。4人乗り仕様のセンターコンソールにある引き出し式のテーブル(耐荷重10㎏)も何かと便利だ。

ショーファードリブンとしても、ドライバーズカーとしても魅力的

後席の快適性、安全性(4座の場合は後席左右の間にエアバッグがあるし、前側方プリクラッシュセーフティは世界初、さらには後席プリクラッシュとシートバックリクライニング自動起こし、そしてナイトビューといった装備)がショーファードリブンとしても素晴らしいし、乗り心地が悪化しないスポーツモードや、ドライバーに意識させず挙動を安定させるVDIMがもたらすこの手のクルマ(オヤジカー)とは思えないファンな走りで、ドライバーズカーとしても十二分に魅力的だ。

ここがダメ

電子制御パーキングブレーキの見送り。発展途上のナイトビュー

電子制御パーキングブレーキを採用しなかったのは、まったくもって残念。これほど先進的なクルマなのに、いまだにパーキングブレーキを足で踏み、左手で戻すという20世紀的な運転操作を強いられる。今や欧州の高級車は電子制御パーキングブレーキが当たり前なのにだ。日本のオヤジに配慮したという言い訳は聞きたくないところ。

またLSのような低速追従機能付きレーダークルーズの採用が見送られたのは、マジェスタでは電子制御パーキングブレーキを採用していないのが一因だという。しかしもともと低速追従は先代マジェスタが世界で初めて採用したものなので(ただし先代のものは高速側レーダークルーズとシームレスではなかった)、新型にはLS460に採用された全速度域対応の進化型をぜひ装備して欲しかった。

オプションで42万円と高価なナイトビューはまだまだ発展途上。運転する時は当然「リアルビュー」の方を見るべきなのだが、そうなるとナイトビューの画面が目に入りにくいし、むしろナイトビューの画面が気になって注意がおろそかになる。また、歩行者検知機能も検知しない、もしくは検知してもあえて警告しない?時が多く、今ひとつアテにできない感があった。将来的にはリアルビューと重なるようにフロントウィンドウに表示するところまで行くと思うが、現時点ではそんな印象。

あまりに地味なスタイリング。日本の高級車にはある種のダサさも必要というのが現実なのだろうが、「地味カッコいい」という新しいデザイン提案も見たかった。

艶消しの本杢を使ったステアリングに関しては、本革の部分と本杢の部分の滑り感が同じで操作しやすくていいのだが、インパネも含めてその本杢が本物のウッドに見えない。ランチアのテージス(日本には少数のみ並行輸入されていた)のウッドパネルもこれに似た艶消しだったが、あちらは見事に本物に見えるし、質感もセンスも素晴らしい。トヨタの方が耐久性とかは優れていると思うのだが。

総合評価

その存在はまさに中小企業のオーナードライバーのため

今度のマジェスタ、とてもいい。乗って素直にそう言える出来のクルマだった。またトヨタブランドのフラッグシップだというのに、妙な威圧感がないこともいい。知り合いにセルシオから旧マジェスタに乗りかえたお金のある人がいるが、LSにしなかったのは、その威圧感と、レクサスという「鼻持ちならない」感じに馴染めなかったから。もちろん旧知のセールスマンがトヨタ店であるせいも大なのだが、妙に金持ちっぽいあのショールームや接客、そしてサービス(ショールームで着飾った音楽会があったりする)は、ホントの金持ち(の年寄り)にはなんだか違和感があるようだ。もちろんその製品版たるLSには成り上がり感が感じられるという。そんな人に新しいマジェスタは待望のクルマかもしれない。

そしてマジェスタオーナーに多い中小企業のオヤジにとっても、営業車でもある自家用のマジェスタはこれくらい地味な(メッキパーツも意識的に少なくしてあるようだ)方がこのご時世、何かと都合がいい。「LSに乗っちゃあ仕事にならない、でも今や大衆車であるクラウンでは辛すぎる」そんな人の受け皿カーと言えよう。となれば、必然的に立駐も頻繁に利用されるはずだから、幅は狭い方がいい。今回、試乗中に立駐やらコインパーキングやらにはすんなりと入れられたし、さらに最小回転半径が5.3メートルしかないから全長が5メートル近いこともほとんど気にならなかった。エアベンチレーションの付いたフロントシートは暑がりのデブなオヤジには快適そのものだし、客や親族を後席に乗せれば確実に喜ばれる。その存在はまさに中小企業のオーナードライバーのためにある、といえそう。

またそんなオーナードライバーにとってうれしいのは、安全装備の数々だろう。様々な衝突安全系のハイテクは、確実に事故そのものや事故時に傷害を負うリスクを下げる。会社(と従業員)の安全のためにこのクルマに乗る、というのもありなのではないか。そのように快適で安全と来れば、あとは環境対応とプレミアム性の問題が残る。このクラスに乗ること自体、環境に負荷を掛けることだから、ひとまず燃費が改善されているという点で環境対応はパスとしよう。プレミアム性の問題も、対外的にはあまり高そうに見えない方がいいという人にとっては申し分なし。ということで、これ、かなり売れると思う。もし売れなかったとすれば、やはりこの景気のせいだろう。

環境(燃費)の問題が落ち付いたら、次は安全

ところで、このクルマに搭載された様々なハイテクは、いつも書くことだが早く大衆車クラスへ搭載されるようになるべきだ。特に安全系のハイテクはそう。現在の大衆車では環境(燃費)の問題だけが注目されているが、この問題が一段落ち付いたら、次は安全だろう。

新型プリウスにはやっとミリ波レーダークルーズコントロールがオプション設定され、これに伴って前方プリクラッシュセーフティシステムも用意される。しかし今回はそこまで。マジェスタのようなサイドやリア用はまだない。過去にプリウスの試乗記でも書いたが、環境に優しいハイテク安全車なら高くても売れると思うのだが。

もし他の装備を削ってでも、あるいはハイブリッドでなくても、安全に特化したクルマができれば、このご時世でも売れると思うのだ。もちろんそんなクルマは重量が増えるので、いかに軽くできるかが開発陣のウデの見せ所。そう考えると、クルマはこれからもまだいくらでも改良、成長させられそうだ。クルマの技術がデッドエンドにきているという認識は、「これまでのクルマ」というものに関して。ハイブリッド車、電気自動車、そして安全特化車など、「これまでとは違うクルマ」の技術はどんどん進化していって欲しいもの。そうすればクルマはまだまだ人の興味を引くもの、面白くて安全なものになっていくと思う。

今の日本にぴったりなのは、これ

LSは世界で勝負するクルマだから、日本では輸入車同様、ある種の不便さを強いられる部分を持っているが、外国と陸続きではない日本という国で乗るなら、国内専用のマジェスタの方がいいのは自明の理。駐車場に自分で入れる必要のない人はメルセデスのSクラスだってLSのロングだって乗ればいいが、そうでない人はやっぱりマジェスタがいい。日本の道に合わせて設計され、日本の匠が日本の工場で作っている日本の高級車がマジェスタ。グローバリゼーションを肯定するならSクラスでもLSでもいいが、新保守主義が終焉を迎えたと思われる今の日本にぴったりなのは、これ。伝統的な保守の人はぜひ新型マジェスタに乗りかえて、バイジャパニーズで景気を盛り上げて欲しい。

試乗車スペック
トヨタ クラウン マジェスタ Gタイプ “F パッケージ”
(4.6L・8AT・790万円)

●初年度登録:2009年3月●形式:DBA-URS206-CEZVH(F) ●全長4995mm×全幅1810mm×全高1475mm ●ホイールベース:2925mm ●最小回転半径:5.3m ●車重(車検証記載値):1840kg( 980+860 )●乗車定員:4名 ●エンジン型式:1UR-FSE ● 4608cc・V型8気筒・DOHC・4バルブ・縦置 ●ボア×ストローク:94.0×83.0mm ●圧縮比:11.8 ● 347ps(255kW)/ 6400rpm、46.9kgm (460Nm)/ 4100rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/71L ●10・15モード燃費:9.1km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:後輪駆動(FR) ●サスペンション形式:前 ダブルウィッシュボーン+エアスプリング/ 後 マルチリンク+エアスプリング ●タイヤ:235/50R17 ( Bridgestone Turanza ER33 )●試乗車価格:963万2500円 ( 含むオプション:プリクラッシュセーフティシステム<前方+前側方+後方>+ドライバーモニター+プリクラッシュシートバック+レーンキーピングアシスト 103万9500円、クリアランスソナー&サイドモニター 7万3500円、ナイトビュー+ファイングラフィックメーター 42万円、パワートランクリッド 5万7750円、リアエンターテイメントシステム 14万1750円 )●試乗距離:260km ●試乗日:2009年4月 ●車両協力:トヨタ自動車株式会社

 
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