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ホンダ CR-V ZV新車試乗記(第442回)

Honda CR-V ZV

2.4L・5AT・275万1000円

世界ですでに250万台以上。
3代目のホンダ都会派SUVは
荒野ではなく、世界を目指す!

2006年12月02日

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キャラクター&開発コンセプト

世界に向かった都会派SUV

1995 年の初代、2001年の2代目に続いて、2006年10月13日に3代目となったCR-V。基本的には今回も「C」コンフォタブル・「R」ランナバウト・「V」ヴィークル)=機動性が高くて快適な移動手段、という当初のコンセプトを踏襲。FF車ベースのライトクロカンという構造も初代と変わっていない。

むしろ変わったのは海外市場が主となった点だ。11年間の累計販売台数は世界160ヶ国で250 万台以上。エリア別販売台数の内訳は、約120万台の北米(1997年〜)が1番多く、日本は30万台余に過ぎない。新型の国内目標も月間2000台=年間2万4000台と、世界販売の10分の1ほどだ。生産拠点は国内の狭山工場(埼玉県)に対して、海外はタイ、フィリピン、台湾、英国、インドネシア、マレーシア、中国、北米と8拠点にのぼる。

関連リンク:ホンダ>ファクトブック>CR-V>海外展開

価格帯&グレード展開

246万7500円〜323万4000円。+26万円余でインターナビ

4WD 車が3グレード(252万円、275万1000円、323万4000円)、FF車が2グレード(246万7500円、302万4000円)と、珍しく 4WD車に廉価グレードを設定する。全車オーディオレスで、自然とリアカメラ付きHDDインターナビシステム(26万2500円)が推奨される格好だ。

レーダークルーズ(ホンダ流に言えばIHCC)やプリクラッシュ(同じく追突軽減ブレーキ= CMBSおよびE-プリテンショナー)は4WDとFF、双方の最上級グレードに標準装備。その2グレードにはサイド&カーテンエアバッグや、AFS(可変光軸ヘッドランプ)も備わる。全体の品質感や装備、価格から見て、ライバルはトヨタ・ハリアーの2.4だ。

パッケージング&スタイル

スポーティ&プレミアム

ボディサイズ(先代の床下スペアタイヤ車と比較)は全長4520mm(+100)×全幅1820mm(+35)×全高1690mm(−20)。ホイールベースは2620mmと変わらないが、プラットフォームは新規で、現行シビック/ストリーム系とも異なる。スタイリングは従来の道具感重視から一転、スポーティ&プレミアム路線。フロントグリルのデザインが強烈だ。

左ドアミラー下部に日産のようなカメラではなく、樹脂製プリズムガラスを使ったアンダーミラーを装着して、フェンダーミラー(正確にはサイドアンダーミラー)の装着を免れているのもポイントだ。

床下スペアタイヤ&ハッチゲート

ボディ下部に張り巡らした樹脂プロテクターも印象的だ。ストリーム似のサイドウインドウはクロームメッキで縁取ってプレミアムSUVを主張する。先代は背面スペアタイヤの「パフォーマ」と、床下スペアタイヤの「フルマーク」の2本立てだったが、新型は床下に統一。テールゲートは初代、2代目と続いた横開きから、跳ね上げ式に変更された。

同じ名前とは思えない

シフトレバーは初代がコラム(ゲートがあいまいだった)、2代目がインパネシフト風。そして今回の3代目ではセンターコンソール配置となり、操作感も品質感も申し分ないものになった。試乗車のシートはシュクラ社製ランバーサポートを含めて全て電動だし、エアコンは左右独立式。初代CR-Vの感覚からすると、同じ名前のクルマとは思えない贅沢な仕様だ。平均燃費や瞬間燃費を常時チェックできる液晶モニターもありがたい。

ユーティリティも充実している。運転席と助手席の間には、フタがついた大型収納スペース(6.5L=CD24枚分)。ステップワゴンにあった後席確認用広角ミラーも便利だ。ミラーと言えば、左ドアミラー下半分にプリズム式アンダーミラーが見える。手回しのレギュレーターハンドルを模したような、ドア内張りのデザインがユニークだ。

低反発クッションを採用

後席の背もたれはストリームに似た4:2:4の3分割。つまり真ん中だけ倒して、長尺物が積める。低反発クッションを使って座り心地にも配慮。SUVとしては異例に低いサイドシルのおかげで、乗り降りもしやすい。後席を150mm前にスライドさせて、荷室を簡単に拡大することも出来る。

自転車が立てて積める

5名乗車時の荷室容量(最小)は524L。樹脂性ボード(ダブルデッキカーゴシェルフ)で上下二段に仕切って使えるのが嬉しい。スライド&折り畳み(タンブル・フォールディング=座面ごと前に跳ね上げる)は6:4の2分割。最大時の容量は955Lで、荷室奥行きは1430mm、高さは1020mmだ。おかげで27インチの自転車をそのまま積むこともギリギリ可能。前輪を外せば2台は楽勝だ。

リアゲートが跳ね上げ式になったのはいいが、便利だったガラスハッチ機能(ガラス部分だけ跳ね上がる)が失われたのは残念なところ。しかし、ヒンジ部分が奥にあるおかげで開閉時の張り出しは少なく、操作力も軽いので困ることはない。

基本性能&ドライブフィール

出足のいいヤツ

アクセルひと踏み目で、思わず「軽い!」と唸ってしまう。それほど新型CR-Vの出足はいい。試乗したのは4WDの中間グレード「ZX」。全車共通の2.4 リッターDOHC「 i-VTEC 」(170 ps、22.4 kg-m)は、先代後期モデルのユニットを改良して出力を10ps上げたもの。ホンダ特有のシャープな吹け上がりは健在で、どんな状況でも歯がゆさは一切ない。低回転から高回転までトルクフルな特性は、この手のクルマのエンジンとしては理想だろう。

キビキビ、しなやか、限界そこそこ

ハンドリングは従来のCR-Vの延長線上にあるキビキビとした動きと、ストリームのようなしなやかなロールを兼ね備えたもの。アンダーステアとロールの大きさで、誰でも簡単にクルマの限界が察知できる。225/60R18サイズのM+S(マッド&スノー)はいかにもバネ下が重そうだが、実際にはまったくネガを感じさせない。高張力鋼板の使用率アップにより、先代に比べて曲げで32%、ねじりで24%剛性アップしたボディも頼もしい。

改良された「リアルタイム4WD」

今回オフロード走行は試していないが、簡単にCR-Vの4WDシステムについて説明しておこう。長年ホンダがこのクラスに採用してきた「デュアルポンプ」式 4WDは、通常は前輪駆動、前後輪の回転差が生じた時に前後のポンプ(デュアルポンプ)で油圧を発生させ、その圧力でクラッチを圧着、後輪に駆動トルクを配分する方法だ。言わば機械式のオンデマンド4WDの1種で、ホンダでは「リアルタイム4WD」と呼んでいる。

これの弱点は、前後輪の差動→油圧発生→後輪へトルク配分という流れのため、4WDに移行するレスポンスが遅いこと。前輪が空転して初めて後輪を回すため、4輪による駆動力も限定的だった。一方、最近のFF車をベースとした4WDはトヨタRAV4 や三菱アウトランダー、あるいはボルボXC70やXC90のように、電子制御クラッチで前後トルク配分を自在にコントロールするものが主流になっている。

そこで3代目CR-Vは従来のデュアルポンプ式4WDに、ボールを二つのカムで挟んだ単純な仕組みのワンウェイカムを追加。これによって油圧が立ち上がる前に素早くクラッチを押し付け、後輪駆動力の立ち上がりを早めた。また後輪への駆動トルクを増やすため、クラッチの伝達容量も20%強化。加えてVSA(ビークル・スタビリティ・アシスト)を全車標準としている。もちろん、絶対的な走破性はセンターデフロック(前後直結)を備えた本格4WD車にはかなわない。総じてホンダ・リアルタイム4WDの長所は、日常生活に必要十分な4WD性能をシンプルかつ低コストで得られるところにある。

ここがイイ

正常進化で、特に大きな不満がないこと。誰が乗っても、なるほど過不足無しと思える出来の良さ。軽い走りなのでストレスなく日常の街乗り、長距離ドライブまでこなせる。もちろん跳ね上げ式ハッチになった荷室はセダンを凌駕する使い勝手だし、後席も広い。上下二分割できる硬質樹脂製の「ダブルデッキカーゴシェルフ」は使える装備だ。

使いやすいHDDインターナビ。音声認識技術もコマンド(命令語)こそまだ少ないが、ますます良くなっている。このクラスのSUVでIHCCや追突軽減ブレーキなどのハイテク装備を用意したことも評価できる。

ここがダメ

プリズム式アンダーミラーだが、実際には小さすぎてほとんど役に立たない。お役所対策としてはアイディアものだが、左サイドミラー鏡面の下3分の1程度が犠牲になっており、バックミラーとしての機能が不足しているのは本末転倒ではないか。とにかくこのミラー問題は、日本のクルマ行政の悪しき慣習が生んだものだと思う。ベストな方法は日産のようにカメラにしてしまう手だが、この価格帯のCR-Vなら無理ではないと思う。

相変わらずホンダの5ATは、シフトゲートが1速−2速−D3(1〜3速)−D(1〜5速)という区切りで、4速が任意で選べない。確かに不都合はないが、せっかくの5ATなのだからやっぱり3速でも5速でもない4速が選べる自由は欲しいところ。そもそも見た目が4ATと同じなのも、もったいない。マニュアルモードがあればなお良し。

総合評価

インパネは今風のオシャレさ、高級感のあるものとなり、先代までのウォークスルー優先という斬新さはなくなった。つまり道具としてのSUVから、オシャレなSUVへの方向転換が図られたと思う。今の高級SUVブームの流れに乗った、高級までは求めない「上級」SUVのスタンスをねらったのだろう。ハリアーの都会っぽさに負けない都会っぽさを出すべく、旧ストリームにも似たサイドウィンドウグラフィックスも効いている。内外装の都会っぽさ、ちょっとアッパーな雰囲気が今回のキモだ。

だから、そういうクラスのSUVとしては何も不満がない作りになっている。5ATのおかげで、高速巡航も100km/hで1900回転と快適そのものだ。ただ、そこから速度を上げていくとマッド&スノータイヤのせいかロードノイズが気になるし、風切り音も高まるなど、高級SUVではないことが分かる(高速巡航も150km/hあたりが快適ゾーンの上限)。むろん、最近の高級SUVのようにスポーツカーを打ち負かす走りが売り物ではないが、かといって本格オフローダーでもない。街を走る「普通の」SUVで、セダンやワゴンより生活をアクティブにし、ミニバンのような生活感を感じさせないためのツールだ。

初代でも2代目でもラゲッジボードがアウトドアテーブルになったりしたが、今回は荷室の上下間仕切りにしか使えない。アウトドア人口が減っている現状の象徴だし、このクルマがシティSUVである証拠と言ってもいいだろう。で、デザインがスタイリッシュになり、レーダークルーズコントロールなど様々なハイテクデバイスが搭載される、といったことで5年ぶりのフルモデルチェンジとなったわけだ。日本ではシティSUVの人気は今ひとつだが、北米はすごい。その意味で、このクルマも北米や世界市場を向いている。ゆえに価格は高め。国内向けには、もうちょっと小さくて価格の安いモデルが欲しいところだ。とはいえ道具として使え、オンロードの走りも良く、静かで高級感もあり、ハイテク満載で、いざとなれば悪路走破性もあるというSUVはクルマとしての理想型だろう。このクルマに乗っていると、日本でミニバンの次にくるブームの本命は、やはりSUVかと思えてくる。

試乗車スペック
ホンダ CR-V ZX
(2.4L・5AT・275万1000円)

● 形式:DBA-RE4 ●全長4520mm×全幅1820mm×全高1690mm●ホイールベース:2620mm●車重(車検証記載値):1550kg(F:−+R:−)●乗車定員:5 名●エンジン型式:K24A●2354cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・横置●170 ps(125 kW)/5800rpm、22.4 kg-m ( 220 Nm)/4200rpm●カム駆動:チェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/58L●10・15モード燃費:11.6 km/L ●駆動方式:4輪駆動(オンディマンド式4WD)●タイヤ:225/60R18( DUNLOP GRANDTRECK ST30 )●試乗車価格:304万5000円( 含むオプション:HDDインターナビシステム<リアカメラ付> 26万2500円、パール塗装 3万1500円 ) ●試乗距離:約150km ●試乗日:2006年11月 ●車両協力:株式会社ホンダカーズ東海

公式サイト http://www.honda.co.jp/CR-V/

 
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