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レクサス CT200h “バージョン L”新車試乗記(第623回)

Lexus CT200h “version L”

(1.8リッター直4+モーター・430万円)

躍るハイブリッド!
それはトヨタの本領たる、
レクサス印の良品だった!

2011年02月10日

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キャラクター&開発コンセプト

レクサス初のコンパクトカー。パワートレインはプリウス、シャシーはHS250h譲り


レクサス CT200h
(photo:トヨタ自動車)

トヨタが2011年1月12日に発売したレクサス「CT200h」は、いわゆるプレミアムコンパクトクラスのハイブリッド車。レクサス初のコンパクトカーであり、同ブランドのハイブリッド車としては「GS450h」「LS600h」「RX450h」「HS250h」に続く第5弾となる。トヨタ曰く、「乗って走って楽しい」5ドアハッチバック車だ。

ハイブリッドシステムは、3代目プリウスと全く同じ。すなわちアトキンソンサイクルの1.8リッター直4(99ps、14.5kgm)、駆動用モーター(82ps、21.1kgm)、ニッケル水素電池を持ち、システム全体で136psを発揮、前輪を駆動する。

プラットフォームはHS250h譲りで、リアサスペンションはそれと同じダブルウイッシュボーン(プリウスはトーションビーム)。ただしホイールベースはHS250hやプリウスより100mm短かく、全長もプリウスより140mm短かくなっている。

販売目標は月間1500台


2009年に発表されたコンセプトカー「LF-Ch」。東京モーターショーにも出展された

車名の「CT」とは“Creative Touring”の意。「200h」は2リッター車並みの動力性能を表す。

生産はISシリーズ(IS Fを除く)、RXシリーズ、HS250hなどと同じトヨタ自動車九州(株)の宮田工場で、販売目標はHS250hの3倍となる月間1500台。広告キャッチコピーは「Dances with Wolves」ならぬ、「Dance with Hybrid」となっている。

 

※過去の新車試乗記
■モーターデイズ>新車試乗記>レクサス HS250h (2009年8月更新)
■モーターデイズ>新車試乗記>トヨタ 3代目プリウス (2009年6月更新)
■モーターデイズ>新車試乗記>レクサス RX450h (2009年6月更新)
■モーターデイズ>新車試乗記>レクサス LS600hL (2007年6月更新)
■モーターデイズ>新車試乗記>レクサス GS450h (2006年4月更新)

 

※外部リンク
■トヨタ自動車株式会社>プレスリリース>LEXUS、CT200hを新発売 (2011年1月)

価格帯&グレード展開

レクサスで最も安い355万円~430万円


上は新色の「フレアイエローマイカメタリック」
(photo:トヨタ自動車)

グレードは以下の4種類で、価格は355万円~430万円。ちなみに排気量2.4リッターのHS250hは395万円~535万円で、装備内容を無視すればCT200hの方が40万円~100万円ほど安い。ただしCT200hの標準車はパフォーマンスダンパーが装着されず、LEDヘッドライトやエアロバンパーの設定もないので、販売主力は“バージョン C”(375万円)以上だろう。

 

LEDヘッドライト(ロービーム)はプリウスと同じデュアルタイプ。ハイビームはハロゲンのマルチリフレクター

ボディカラーは全9色と豊富。内装はファブリック仕様で5色(うち2色は2トーン)、“バージョン L”のレザー仕様では3色を用意。また、“F スポーツ”では専用ファブリック(ブルー/ブラックの2トーン)と専用レザー(セットオプションで28万1400円)の2種類を用意している。

・CT200h(標準車)    355万円
 ※195/65R15タイヤが標準。

・CT200h “version C”  375万円
 ※205/55R16タイヤ、パフォーマンスダンパーを装備。LEDヘッドライト等をオプションで用意。

 

専用サスペンション等を備えたCT200h “F スポーツ”

・CT200h “F SPORT”   405万円
 ※215/45R17タイヤ、LEDヘッドライト、専用サスペンション、専用内装等を装備。

・CT200h “version L”  430万円  ★今回の試乗車
 ※215/45R17タイヤ、LEDヘッドライト、電動レザーシート等を装備した最上級グレード。

パッケージング&スタイル

ロングノーズ&ロングキャビン


試乗車は“バージョン L”。ただしタイヤはオプションで205/55R16にインチダウンしてある

CT200hのプロポーションは、5ドアハッチバックというより、ショートワゴン風。ISのようなロングノーズ、立ち気味のBピラー、そしてロングルーフとロングキャビンがそれっぽい。同じ5ドアハッチでも、プリウスとは全くシルエットが異なる。

 

Cd値は0.28。空力面ではプリウスより不利なスタイルでも頑張っている

デザインはレクサスらしく凝りに凝ったもので、いわゆる「L-finesse」、つまりLeading-Edge(先鋭)とFinesse(精妙)に沿ったもの。サイドウインドウはモールの処理も含めて、他のレクサス車に通じる形状で、リアウインドウはサイドまでガラスが回り込んでいるように見える(実際にはリアクォーターウインドウがある)。

ボディサイズはセグメントのど真ん中

下の表を見ても分かるように、サイズ的にはCセグメントのど真ん中だ。そのサイズ感から、プラットフォームはプリウスと共通かと早合点しそうだが、実際には前述の通りHS250hの改変版。特徴的なのは、ホイールベースがプリウスやHS250hより100mm短いことだ。シャープなハンドリングや軽量化にも効いているはずだが、見た目に関しても2700mmではかなり間延びしてしまったはず。

 
    全長(mm) 全幅(mm) 全高(mm) ホイールベース(mm)
■VW ゴルフ TSI コンフォートライン 4210 1790 1520 2575
■アウディ A3 1.4 TFSI 4290 1765 1465 2575
■レクサス CT200h 4320 1765 1460 2600
■トヨタ プリウス G 4460 1745 1490 2700
■マツダ アクセラスポーツ 20S 4490 1755 1465 2640
■レクサス HS250h 4700 1785 1505 2700

インテリア&ラゲッジスペース

上級レクサス車に見劣りせず


写真は“バージョンL”の本革内装(色はウォーターホワイト)

試乗車はレザー内装の最上級グレード“バージョン L”で、高級感はレクサスの上級モデルにも見劣りしない。何より一目でレクサスと分かるデザインや仕上げがいい。欧州車にはない独自のテイストがあり、しかもハイテク感や清潔感も含めて、「日本」を感じさせるデザインになっている。

リモートタッチも標準装備


パソコンのマウスのような操作感が特徴の「リモートタッチ」

「リモートタッチ」は、RXシリーズやHS250hに続いての採用。ジョイスティック式のコントローラーで画面上のポインターを動かすもので、操作性の良さは、これまで当試乗記でお伝えしてきた通り。RXシリーズの初期リモートタッチには、モーター駆動によって独特の操作感を生み出す「ハプティック技術(Haptic technology)」が採用されていたが、内部構造に変更があったのか、CT200hでの操作感は普通で、結果的にスムーズに操作できる。

内装パネルに「竹」を採用


本木ならぬ本「竹」のパネルをオプションで用意。着せ替えも可能だ

もう一つ目を引くのが助手席側ダッシュボードのオーナメントパネル。標準装備のブラック(“Fスポーツ”は専用メタル調パネル)、オプションの艶消しウッドパネル(アッシュバールと呼ばれるタモを使ったもの)もあるが、試乗車は「バンブー」、つまり竹のパネルだ(3万1500円のオプション)。

竹は高知県産らしいが、もちろんそのままではなく、合板にして薄くスライスしたもの。竹の内装パネルというと何年か前のアストンマーティン DB9が思い浮かぶが、量産車ではCT200hが初では。DB9と違って使用面積は狭いが、後で他のパネルに付け替えることが出来る。

スポーティな前席。広々ではないが、実用になる後席


エアバッグは運転席・助手席ニーエアバッグを含む計8個

フロントシートの着座位置は、レクサス車の中でLFAに次いで低く、ISよりも低いという。実際のところはリフターの調整幅が大きいせいか、そこまで低くは感じないが(BMW・1シリーズの方が体感的には低い)、言われてみれば確かにスポーティ。その割りに見晴らしも良く、乗り降りもしやすい。

 

3名分のヘッドレストと3点式シートベルトを備える。座面は固定で、その下に駆動用バッテリーが収まる

一方、後席の広さは、Cセグメント車の平均といったところ。アクセラやゴルフ、プリウスほど広くはないが、A3とはだいたい互角、ISシリーズやBMWの1シリーズは上回る、といったところか。身長170センチでも頭上に圧迫感はなく、つま先はフロントシートの下に入る(後席足もとへの空調吹き出し口がフットレスト代わりになる)。着座姿勢も問題なく、座り心地もいい。

乗降性はまずまず。なぜかアームレスト&ドリンクホルダーはない

乗降性は、乗る時も降りる時も、頭を意識して屈める必要はあるが、開口部が狭い割には苦にならない。また足運びも、サイドシルの高さがそれほどないので、意外とスムーズに出来る。

ただし、後席でちょっと驚いたのが、ドリンクホルダーや後席アームレストがないこと。「いちいちモーターデイズは細かいな」と思うかもしれないが、フランス車やイタリアならいざ知らず、このクラスの国産車でそんな例がこの10年であっただろうか? 何か意図があるとしか思えない。

荷室:プリウスより狭いが、十分に実用的


床下スペースは全面樹脂製で、汚れたものや濡れたものも入れやすい

床下奧にニッケル水素バッテリーがあることや、おそらくリアサスの関係もあるだろう、荷室フロアは高め。後席使用時の容量(VDA測定法)はプリウスの446リッターに対して、375リッターに留まるが、Cセグメント車(350リッター前後がベンチマーク)としては大きい方だ。ゴルフバッグの横積みも出来る。

さらに背もたれを倒せば、ほぼツライチでフラットになり、荷室容量は960リッター、奥行きも1.5~1.6メートルほどになる。レクサス初のステーションワゴン?としても使えそう。

 

後席背もたれはほぼフラットに畳める

樹脂製ボックスを外すと、パンク修理キット、工具、そして駆動用バッテリーが現れる
 

基本性能&ドライブフィール

パワートレインはプリウスと同じ


パワートレインは3代目プリウスと基本的に同じ

試乗車は上級グレードの“バージョン L” 。だが、よく見ると標準の215/45R17タイヤは、メーカーオプションで205/55R16にインチダウンされていた(3万7800円安くなる)。このタイヤは本来なら中間グレードの“バージョン C”用だが、(見栄えを無視すれば)これが開発サイドの本音バージョン、ということか。

制御ソフトウエアは専用とのことだが、パワートレインは基本的に現行の3代目プリウスと同じで、運転感覚もそれに近い。発進や低速走行はほぼモーターで行い、走行中にいつの間にかエンジンが掛かっているところもプリウスと同じだ。

なおCT200hには、レクサス車としては初めて、歩行者に接近を知らせる車両接近通報装置が採用されている。肝心の音は、「ビョ~ン」「ミョ~ン」みたいなテクノな音で、未来的というか、ちょっと笑えるもの。音量が小さく、指向性もあるせいか、車内では窓を開けていても聞こえない。

エコモードは使えないが、スポーツモードは演出が面白い


メーター表示も連動する「ドライブモードセレクトスイッチ」を採用。もちろんEVモードも備わる

またCT200hには、走行モードを3パターンで切り換える「ドライブモードセレクトスイッチ」も採用されている。これはスバルの「SIドライブ」とよく似たもので、上からプッシュするとノーマルモード、左に回すとエコモード。そして右に回すとスポーツモードだ(スバル車はそれぞれ「 i 」「スポーツ」「スポーツ♯」)。またCT200hには、パドルシフトによる6速マニュアルモードも備わる。

 

こちらは通常のエコモード(ノーマルモードもほぼ同じ)

ただしエコモードでの走りはかなりかったるく、ちょっと実用的とは言い難い。まるで10・15モード燃費の測定対策みたいで、特に後続車がいる場合は、ハイブリッドインジケーターの針が振り切れるほどアクセルを深く踏まないと迷惑になるから、さっさとノーマルモードに戻した方がいい。一方、ノーマルモードは、さすがノーマルとうたうだけあって実用的だ。

 

こちらはスポーツモード時。指針自体は「本物」だ

面白いのはスポーツモードで、それに切り換えた瞬間、メーター背景色が赤く染まり、ハイブリッドインジケーターがタコメーターに変身する。文字盤はバーチャル(カラー液晶)だが、針は実物(アナログ)というのがアイディア賞。ちなみにこのタコメーターは、ノーマルモードでもパドルシフトを引けば現れる。確かトヨタのハイブリッド車でタコメーターを備えるのは、LS600hとこの2台だけのはずだ。

ただし、スポーツモードでも、パワーウエイトレシオはプリウスと同等の約10kg/ps(正確にはCT200hの方が若干重い)。アクセル全開なら確かに速いが、エンジン音も普通の純ガソリン・CVT車的に高まり、少なからずノイジー。「スポーツモード」というより、「スポーティなモード」だ。ただし、ちょっとだけ楽しむ分には悪くない。このあたりはCR-ZのCVT車的で、これはこれでアリだろう。

プリウスよりワンランク上のイイモノ感

街中で普通に走る限り、CT200hはとても静かで、重厚感があり、何となく高級感のあるプリウス、とクールに言えなくもないが、各項目は確かにそれよりワンランク上。特にボディの剛性感は、プリウスだって文句なしだが、CT200hではさらにボディがカチッと硬く、サスペンションの動き方も際立ってソリッド。大きな段差を通り過ぎる時には、リアサスがトーン!と軽く硬質なショックと共にいなす。この感覚は欧州車でも味わえない、独特のものだ。

車重はプリウスより大人1人分ほど重いだけで(プリウスが1310~1350kg、CT200hが1380~1400kg、試乗車はオプション追加で1420kg)、意外と軽い。これはホイールベースの短かさ(全長も短い)のほか、アルミ製のボンネットやテールゲート、そして高張力鋼板の拡大採用あたりが効いていそう。さすが高価格車、お金が掛かっている。

 

そしてCT200hで面白いのが、標準車以外のグレードで前後サスペンションに装着される「パフォーマンスダンパー」だ。一見はストラットタワーバーのようなボディ剛性強化パーツだが、油圧ダンパーを内蔵しており、振動や入力を減衰する働きを備える。結果、乗り心地が良くなるほか、操縦性も向上するらしい。

あのクルマの感覚に再会

シャシーの良さは、特にコーナリング時にはっきり分かる。電動パワステを切りこんだ瞬間、スッとノーズがインに入るところから、いきなり気持ちいいが、さらにいいのが後輪の動き。まるでスキーやスケートでエッジを切るように、タイヤの角を路面に押しつけながらスムーズにスライドしてゆく様子がアリアリと伝わってくる。VSCもそれなりに介入してくるが、「ダンス with ハイブリッド」という広告キャッチコピーは伊達じゃない。

ただしスポーツモードでもエンブレの効きが甘いのは気になるところ。エンブレは低フリクションエンジンの特性上、ほとんど効かないようで、CT200hでは回生ブレーキを意図的に効かせているらしい。それでもフロントの入りがいいため、荷重移動にメリハリを付けなくても、ステアリング操作だけで気持ちよく旋回してゆける。

この感覚、モーターデイズでとり上げたトヨタのFF車では、おそらく3代目カルディナ(2002~2007年)やアベンシス(2003~2008年)以来のもの。ちなみにCT200hとこの2台のリアサスは、共にダブルウイッシュボーン。クルマ好きのプリウスオーナーがこのハンドリングを知ったら、そうとう羨ましいはず。

試乗燃費は14.0km/L~23.0km/L

最後に、あくまで参考ながら恒例の試乗燃費は、いつもの一般道と高速道路をまじえた区間(約90km)が14.0km/L、流れのいい郊外の一般道を無駄な加速を控えて走った区間(約30km)が18.0km/L、朝の通勤路など渋滞の多い一般道をやはり大人しく走った区間(約30km)が23.0km/Lだった。

総じて渋滞路(EV走行が増える)では20km/Lオーバー、飛ばすと15km/L前後に留まる傾向は、歴代プリウスに近い。

なお10・15モード燃費は32.0~34.0km/Lで、現行プリウスの35.5~38km/Lには及ばないが、JC08モード燃費(CT200hが26.6~30.4km/L、プリウスが30.4~32.6km/L)では差が縮まる。実燃費は同等ということだ。

パワートレインが一緒のプリウスと差が出た要因は、空力性能(Cd値は現行プリウスが0.25、CT200hは0.28)、車重(CT200hの方が50~70kg重い)、装着タイヤだろうか。またCT200hの方が飛ばした時の面白さ、運転感覚のリニアさが段違いに上回るため、飛ばしがちになるとも言える。

なお、指定燃料がレギュラーガソリンなのは嬉しいところ。タンク容量はプリウスと同じ45リッターだ。

ここがイイ

ボディサイズ、実用性、燃費性能、イイモノ感

トヨタの新型FF車の中では、久々に胸の透くような気持ちいいハンドリング。パワーはたいしてないが、この程度のパワーで振り回して楽しむのは快感といえるだろう。ボディも小さいから、狭い道でも心置きなく走れる。

そんなボディのサイズ感も、日本で使うにはちょうどいい。大きな高級車はやはり持てあますが、これくらいならコンパクトカー並に毎日使える。上質なものを毎日使えるというのは贅沢。5ドアハッチで実用性もそこそこあるから、費用対効果は抜群だろう。さらにレクサスのおもてなしもあるのだから、言うことはない。新車価格はそこそこするが、値落ち分を考えると5年も乗れば多分もっと安いクルマとそう大きな差はないような気がする。

また、どんなふうに走っても燃費に関しては全く文句がない。いつものペースで走っても14km/Lという燃費は、もうガソリン代のことなど考えなくてもいいと思えるほど。長距離ドライブに出ても圧倒的に経済的で、高速1000円を使えば、ガソリン代と合わせても3000円ほどで名古屋から東京まで行ける。この燃費性能やリセールバリューは、車両価格の高さを幾分かフォローするものだ。

独自のイイモノ感。プレミアムカーだからこそ出来た部分はあるだろうが、「許されれば、ここまで出来る」ということ。オプションだが、レーダークルーズ&プリクラッシュセーフティもつけられるし、通信型ナビも含めてハイテク感もなかなか。アイサイトも早く搭載して欲しいが。

ここが気になる

少々普通っぽい外観デザイン

外観デザインに、圧倒的な存在感がないのは残念。トヨタのデザインといえばそれまでだが、トヨタブランド車に通じる意匠も散見され、インテリアやハードウエアの特別感と比べると、ちょっと普通感が強い。もちろん、日本ではそれくらいの普通さがいいという確信犯的なものがあるなら話は別だが。これだけの価格であれば、「オッ」と人が振り向いてくれるインパクトが欲しいと思ってしまう。せめてもっと大径のタイヤをはいてカッコよくして欲しかった。

総合評価

久々に出た「走りのハイブリッド」

やっぱりトヨタのクルマはハイブリッドが一番だな、と思わせてくれる一台。ホンダのハイブリッドとは全く異なり、「これぞハイブリッド」という走行感覚は、「エンジンの時代」の終焉を確実に表している。日本では今や全ドライバーの半分くらいが、トヨタのハイブリッド車に乗ったことがあるのでは、と思うので、言葉にしなくても「あの感じ」は分かってもらえるだろう。「あの感じ」でありながら、ハンドリングが素晴らしくいい。このところは燃費のためのハイブリッドというのがトヨタの方針だったようで、ひと世代前のハリアーハイブリッドやGS450hのような、走りのハイブリッドは出ていなかっただけに、走らせて楽しいハイブリッド車がようやく出たことは、素直に嬉しい。

パワートレーンは、まあ実際に乗ってみてもプリウスみたいな感じだが、足はすっかり楽しめるものに仕上がっている。いや、楽しめるというにはおとなしすぎるのでは、というのが元気な走り屋系の意見だと思うが、一般的にはまあこんなもの。ちょっと限界を超えたかな、というあたりでVSCが介入してきて、何のリスクもなく楽しめるあたりは、21世紀的なスポーツ車のあり方だと思う。何よりパワーがない分、フルスロットルでいけるので、大雑把な走りではあるが、誰もが安全に楽しめる健全な大人のスポーティ車だ。もうちょっと不良系の走り屋には“Fスポーツ”もあるし。

 

上質な室内は、特に竹のパネルが斬新だが、全体にはコンサバな高級車といったもの。クラウンあたりを乗り継いで来た人でも、操作系を含めて違和感なく乗れるだろう。シートも良い意味でごく普通だし、リアシートの居住性もボディサイズの割にまあまあ。ナビのコントローラー(リモートタッチ)は、すべてのクルマの中で最も使いやすいと言ってもいい。変なクリック感もなくなったし、ポップアップディスプレイの位置もダッシュボードの一番高いところで見やすい。メルセデスのCクラスも同じような電動ポップアップ式だが、この高さにモニターを設置するためには、ポップアップが必要要件なのだろうか。

カッコいいクーペ、もしくはワゴンが欲しい


レクサス LF-Ch (2009年)

何よりサイズが小さいことはいいこと。高級車というと大きなクルマという固定観念を、日本車でやっとひっくり返すクルマが出た、という感じだ。今回の試乗では、日常的なチョイ乗りを繰り返したが、立駐にも入るし、どんな駐車スペースに行っても持て余さない。ハイブリッドでハイテクで、高級で小型で、硬めの乗り心地が心地良くて、走りも楽しい。こういうクルマを待っていた。これこそ日本車の進むべき方向だ。レクサスというブランドゆえ、虚栄心もちょっとだけ満たされるので、小金持ちならほんとに文句ないクルマだと思う。これ、欲しいぞ、とても。小金持ちじゃないけど。

と盛り上がってクルマを降り、外観をじっくり眺めてみると、なんだかスタイルが今ひとつ。東京モーターショーのコンセプトカーと比べると、ちょっとボテッとした感じ。シャープさが無くなって、ぜい肉がついた感じがする。こういう形は平ペったくて低い感じがもっと必要なんだけど、なにかちょっと背が高い感じだ。この高さなら車幅を50mm程度は広げたい。ショーカーは全長4300mm、全幅1790mm、全高1400mm、ホイールベース2600mm。比べると横幅が25mm狭くなって、全高は60mmも高くなっている。それともう一つ、タイヤがあまりに貧弱にみえる。これは試乗車がサイズダウンしていることもあるけど、もっとバーンと張り出してツライチであって欲しい。どうも現状、優等生的なのだ。

リアの居住性が意外にマシなだけに、それがスタイリングに影響してるとしたら、ちょっと残念。5ドア車で、例えばシロッコのような、あるいはCR-Zのような、日産のZのような、そんなクーペのカッコよさを求めてはいけないのだろうけど、出来がいいだけに無い物ねだりをしたくなる。セダンのISがスタイリングを重視した結果、後席の狭さがハンディとなっただけに、その轍は踏まないというのがあったのだろうか。でもせっかくこれだけのお金を出して買うのなら、不満のないカッコよさのほうが優先すると思うのだけど。

 

そんなふうに、最後でトヨタ的な80点主義が出てしまった感はあるけど、日本のクルマとしてはひとつの頂点だと思う。日本車の頂点といえば高級セダンで言えばLSだが、これにはライバルが多い。でもCT200hには存在していない。電子制御スロットルに問題なしということで、北米でも濡れ衣が晴らされたトヨタ。こういうクルマが作れるのであれば、まだまだ今後も負けはしない。あとは一刻も早くプラグインを出すことだろう。現在もEVモードはあるけど、やはりまだ実用的とは言いがたい。電池がリチウムになり、プラグイン化され、今の3モードに本格的なEVモードが加われば、まさに鬼に金棒だ。さらにいえば、真のEVモードを持ったそのクルマをベースに、カッコいいクーペ、あるいはいっそステーションワゴンを出してくれたら、個人的には絶対に買う。

試乗車スペック
レクサス CT200h “バージョン L”
(1.8リッター直4+モーター・430万円)

●初年度登録:2011年1月●形式:DAA-ZWA10-AHXBB(L)
●全長4320mm×全幅1765mm×全高1460mm
●ホイールベース:2600mm ●最小回転半径:5.2m
●車重(車検証記載値):1420kg(840+580) ●乗車定員:5名

●エンジン型式:2ZR-FXE
●1797cc・直列4気筒DOHC・4バルブ・横置
●ボア×ストローク:80.5×88.3mm ●圧縮比:13.0
●99ps(73kW)/5200rpm、14.5kgm (142Nm)/4000rpm
●カム駆動:タイミングチェーン
●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/45L

●モーター形式:3JM
●モーター種類:交流同期電動機 ●定格電圧:-V
●82ps(60kW)/-rpm、21.1kgm(207Nm)/-rpm
●バッテリー:ニッケル水素電池

●システム最大出力:136ps(-kW)/-rpm
●システム最大トルク:-kgm(-Nm)/-rpm
●10・15モード燃費:32.0km/L ●JC08モード燃費:26.6km/L

●駆動方式:前輪駆動(FF)
●サスペンション形式:前 マクファーソンストラット(+コイル)/後 ダブルウイッシュボーン(+コイル)
●タイヤ:205/55R16( Yokohama DNA db decibel )

●試乗車価格:465万5950円( 含むオプション:オーナメントパネル<バンブー> 3万1500円、205/55R16タイヤ&6Jアルミホイール -3万7800円、プリクラッシュセーフティシステム<ミリ波レーダー方式> 14万7000円、“マークレビンソン” プレミアムサウンド サラウンドシステム 21万5250円 )
●ボディカラー:ホワイトパールクリスタルシャイン
●試乗距離:約300km ●試乗日:2011年2月
●車両協力:トヨタ自動車株式会社

 
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