新車試乗記 第12回 日産 キューブ X Nissan Cube X




日時: 1998年02月20日

     
     
     

    カーデータ

    ●カテゴリー:小型ミニバン
    ●クラス(排気量) :1300cc
    ●キャラクター:生活を楽しむ若者の足グルマ。マーチは依然として売れているが、そろそろモデル末期であり、しかも小型3ボックスというスタイルに人々の関心が向かなくなっている現在、ドル箱のこのクラスをどう生き延びさせるかと言うことで考えられたのが、マーチベースにミニバンを仕立て上げること。で、妙にノーズが長いミニバンルックで登場。座ると頭上も妙に広い。
    ●コンセプト:マーチのエンジン、シャシーを使うことがコスト的に大前提だったので、そこからすべてが始まっている。いわばマーチをどう改造するともっと使いやすく安全になるか(そして売りやすくなるか)がコンセプト。したがっていろいろ矛盾もあるけれど、安いから許して、という仕上がりとなった。
    ●注目度:むちゃくちゃ大量の広告出稿で、さすがに知名度は高い。ただ注目度がいまいちなのは、ベーシックカーの悲しさか。
    ●特筆装備:コンビニ袋を引っかけるためのフックが助手席の他にリアヘッドレストのメクラ蓋にもあったり、小物入れがやたらいっぱいあったり(床が底上げされているから後席フロア下にもある・合計23ヶ所)と今時の若者のライフスタイルをよく研究してある。
    ●燃費:マーチより100kg以上重いのに10・15モードはほとんど変わらない14.6Km/リットル。エンジンリファインの成果。
    ●価格・販売:価格はFの114万8000円からXの141万8000円。4速ATが標準で、無段変速のCTVは2万3000円高。オーテックが作るアメリカンエアロバージョンのライダーは139万8000円とXより安い。

    スタイル

    ミニバンを名のるにはあまりにノーズが長い。乗用車ともミニバンともつかぬ妙な格好に見える。フロアが同じで当然ホイールベースもマーチと同じなので、このカタチになるわけだが、リアドアの形状も無理があるし、スタイルはちょっと誉められない。

    パッケージング

    床を10cm底上げしてフロアのフルフラット化をはかってある。マーチより20cmも全高が上がっているが、室内高は7.5cm高くなっているだけ。そうはいっても四隅を広げてあるので、心理的には室内空間は広大な印象がある。リアシートはめいっぱい下げて取り付けてあり、リアの居住空間は非常に広い。マーチとは比較にならない便利空間を持っていることは確か。

    内装(質感)

    スカイラインGTRと同じ形状のステアリング(余っているのか?)を持つインパネは黒一色で味気ないが、質感は高い。やはり日産車だけあって、不満がでるようなことはない。あとはセンスの問題。

    シート・ステアリング・シフト感触

    日産車として普通の文句ないシート。ステアリングはセンターあたりの挙動がシビアで、ちょっと動かすとボディがグラグラする(遊びが少ない?)もう少しゆったりしたフィーリングが望ましいのでは。コラムとしては普通の感触のシフト。

    動力性能(加速・高速巡航)

    1速は軽快に飛び出せて出だしに不満はないものの、それ以降のギアの加速はちょっとトロい感じ。特に高速での追い越し加速は実にツライ。4速は完全なオーバードライブなので、高速巡航は静かで快適。

    ハンドリング・フットワーク

    前述のように、妙にグラグラしたフィーリングが気になった。もしかすると個体の問題だったかもしれないが。ロールセンターがぐっと上がっている分、コーナリングはマーチより苦手。普通に走る分には十分だが、もちろん攻め込んだりはしない方がいい。

    乗り心地

    乗り心地は悪くない。というかごく当たり前に、普通の乗り心地を確保している。

    騒音

    持ち上げられたフロア下には防音材がたっぷり入っているはずで、とても静か。リアシートではフロントと違い排気系の音が聞こえてくるが、ほとんど気にならないレベルだ。

    安全性

    ゾーンボディ、デュアルエアバッグ、ブレーキアシスト、ABS、シートベルトプリテンショナー全車標準。サイドエアバッグもクラス初の装備で4万円のオプション。こうした装備がほとんど標準なのがトヨタや日産のクルマを買うメリット。

    環境対策

    新開発触媒の採用でNOx、HC、COを規制値の1/10レベルに下げたLEV(ローエミッションヴィークル)を売れないCTV車に設定。全車設定を望む。

    ここがイイ

    スタイルはさておき、やはりこのカタチはクルマとしては理想的。特に小さなクルマは高効率のこのカタチこそがスタンダードだと思う。スペースが十分にあるから、これ一台ですべてまかなえるのはうれしい。どうせ売れない変な小型車はなくなって、すべてこのカタチになってしまえばいい。その方が資源的にもムダがない。

    ここがダメ

    若者向けキャラクター商品としてはファンシーさが足りないこと。男性ユーザーねらいがちょっとロコツで、ちょっとシックで中途半端。ごくベーシックで安い「素材」としてのグレード、女子供ウケするグレード、ノーマルで乗れるフル装備グレードと明確に分けるといいかも。女子供ウケグレードにはもちろんベンチシートが欲しい。]

    総合評価

    小さいミニバンというより、ベーシックカーのあるべき姿がキューブとそのライバル達(デミオ、パイザー、ワゴンRワイド、ラウム、S-MX)。そんな中でキューブはデミオやラウムよりミニバンぽくて、ワゴンRやパイザーより質感高くて、S-MXよりコンパクトでよい。逆にラウムより斬新さに欠け、パイザーよりスタイルが悪く、デミオより知名度が低く、ワゴンRよりミニバンぽくない。またS-MXのファンシーさにも負ける。この6車で主観的に順位をつけると銅メダルといったところ。

    お勧め度(バリューフォーマネー)

    3年リース「キューブ・プラン」で乗ると141万8000円のXXが頭金20万弱、月々4800円で乗れるとあるが、ボーナス時は14万6000円もいるから実質は毎月約3万円。携帯並というのはちょっとウソっぽい。このクラスの値落ちから考えるとそう得でもないが、頭金がたくさん用意できない人には悪くない。ただし20万円の頭金すらないと月々は約3万5000円になる。この制度のメリットは登録費用、税金、任意保険、オプションまですべて組み込めること。メーカーは一文無しにもクルマが買える仕組みを作って、この販売冬の時代を乗り切るつもり。安易に乗ると行き詰まるかも。ちなみに月1000km以上乗った場合は精算時に1km3円の超過料金が必要です。

    公式サイトhttp://www2.nissan.co.jp/CUBE

     
       
       

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