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マツダ CX-7 Cruising package新車試乗記(第447回)

Mazda CX-7 Cruising package

(2.3Lターボ・6AT・366万円)

RX-7の心を持ち、
SUVとして生れたクロスオーバー。
マツダが作るSUVの
Zoom-Zoom 度はどうだった?

2007年01月20日

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キャラクター&開発コンセプト

2.3L・直噴ターボの「スポーツクロスオーバーSUV」

2006年12月19日に発売されたCX-7は最近流行りの5人乗りのクロスオーバーSUVだ。CX-7の場合はSUVとスポーツカーを融合した「スポーツクロスオーバーSUV」(広告ではCrossover Sportsと表記)を謳う。スポーティなスタイリング、2.3リッター直噴ターボ、スポーティな操縦性といったところが主な特徴で、言うまでもなくマツダのブランドテーマである“Zoom-Zoom”に則ったニューモデルだ。右画像は2005年の東京モーターショーでのもの。

北米が主力。国内向けは月間380台が目標

生産は2006年2月に宇品第2工場(広島市南区)でスタートし、北米で5月後半に先行発売。同年度・上半期(4月~9月)の輸出実績は4万台余、月間平均で約7000台と急ピッチだ。一方、国内の目標販売台数は月間380台と少なめ。なお、すでに7人乗りSUV「CX-9」(2007年初頭に北米へ導入)の生産が宇品第1工場で始まっている。

マツダ・プレスリリース> CX-7生産開始(2006年2月)
http://www.mazda.co.jp/corporate/publicity/release/2006/200602/060220.html

マツダ・プレスリリース> 2006年9月および4~9月の生産・販売状況(2006年10月)
http://www.mazda.co.jp/corporate/publicity/results/2006/061024_product.html

価格帯&グレード展開

2WDと4WDがあり、306万~366万円

全車2.3L・直噴ターボ+6AT。グレードは標準車と「Cruising package」の2つ、駆動方式も2WDと4WDの2つで、計4グレードとなる。
■「CX-7」・FF(306万円)
■「CX-7」・4WD(332万円)
■「CX-7 Cruising package」・FF(340万円)
■「CX-7 Cruising package」・4WD(366万円)
全車、HDDナビ、サイド&バックガイドモニター、18インチタイヤ&アルミホイール等を標準装備。「Cruising package」はさらに、プリクラッシュ&レーザークルーズ、革シート、カードキー等を備える。カードキーは追加オプション(オートライト等とセットで5万2500円)でも選べるので、プリクラッシュや革シートを必須としなければ標準車でも構わないだろう。

パッケージング&スタイル

文句なしにカッコいいが、代償もある

ボディサイズ(トヨタ・ハリアー/日産ムラーノ比)は、全長4680mm(-55/-90)×全幅1870mm(+25/-10)×全高1645mm(-35/-40)。ハリアーと同等、幅はムラーノに近い、という感じだ。実際の印象は、背の低さ、張り出した前後フェンダー、ボディ前後の強い絞り込み等の造形で、かなりカッコいい。マツダは相変わらずスポーティなデザインが上手だ。試乗車はミリ波レーダー装着車だが、デザインを重視してバンパー裏に隠してある。

カッコよさの代償はそれなりにあり、一番気になるのが左前方の見切りの悪さだ。日産と同じようなサイドブラインドモニターで死角を補っているが、全体的に「視界の良くないクルマ」という印象は拭えないところ。フロントウインドウの傾斜も強く、4ドアクーペのようなパッケージングだ。Cd値はSUVだと公表されないことが多いが、CX-7は0.34と優れている。これは車体下面のアンダーカバーの効果が大きいようだ。

コックピット感の強い運転席

足元は広いが、タイト感の強い「コックピット」。独立3眼メーターや3本ステアリングなど、完全にスポーツカー風のデザインだ。スリットが入って2階建てのように見えるダッシュボード上面(マツダではメーターフードの上にまた「ルーフ」があるので「ダブルルーフ構造」と呼ぶ)や、本革シートのセンター部分にあるバックスキン調生地のアクセントがポイント。アメリカンサイズのドリンクホルダーなど、ユーティリティも問題ない。細かいことを言えば、ステアリングにテレスコ(前後調節)が無いのがちょっと惜しい。

G‐BOOK ALPHA対応のHDDナビはトヨタのものとほぼ同じで、「ヘルプネット」や「Gセキュリティ」サービス(有料)が受けられる。大出力・9スピーカーのBoseサウンドシステムは7万3500円のオプション。CX-7に限らず、このクラスの国産車に付く純正オプションのオーディオはかなり高性能になってきた。

不満のない後席と荷室

しっかりしたシート、センタートンネルの張り出しの小さい床、つま先が前席シート下に突っ込める点など、そつのない後席。前方の見晴らしが良く、横方向に適度な囲まれ感があるなど、不満はない。

トランク容量は455L。床面積は奥行きと幅、それぞれ約1メートルほどあり、荷室内のレバーを引けば後席の背もたれをパタンと倒れる。開けた時のテールゲートの位置が高く、身長160cm程度だと閉めるのに背伸びが必要だが、欧州製の大型SUVよりは手が届きやすい。

基本性能&ドライブフィール

2.3リッターDISIターボを搭載

CX-7の2260cc・直噴ターボ(238ps、35.7kg-m)は、MPVの23T(245ps、35.7kg-m)、マツダスピード・アクセラ(264ps、38.7kg-m)、マツダスピード・アテンザ(272ps、38.7kg-m)等のユニットを低速重視で仕立て直したもの。車重はFFのアクセラ(1390kg)や4WDのアテンザ(1560kg)より200kg前後増えて、1640kg(FF)もしくは1740kg(4WD)と重いが、パワーウエイトレシオは6.9~7.3kg/psとロードスター並みとなっている。

街中での印象はロードスターとは異なり、かなりターボエンジンっぽい。35.7kg-mの最大トルクは2500回転で発生するが、本格的にパワーが盛り上がってくるのは3000回転あたりから。そこから5500回転くらいまでがパワーバンドだ。マツダスピード車より確かに低速重視だが、オートマチックとの相性や、車重の関係で相対的に低速トルクは弱まり、慣れるまで少々乗りにくい、というのが正直なところ。そんなところは「ジャーーン」というエンジン音ともども、往年のRX-7を彷彿とさせなくもない。

気になったのは、上でも触れたように、ボディがワイドなのと左前の見切りが悪いことだ。左前の死角を映し出すカメラもあり、実際には何とかなるが、慣れるまでは気を使う。この点も囲まれ感が強かったRX-7風と言えなくもない。

高速巡航での快適性と静粛性が光る

せっかちにアクセルを踏むのを止めて、淡々と走らせた時のCX-7はひたすら快適で、何の不満もなく走る。アクセルの踏み方に気を使い、マニュアルモードを上手に使って走らせるのがコツだ。そうした状況では、エンジン音もロードノイズも無視できるほど小さい。過給圧がそこそこ高まった状態での高速巡航も同様に快適だ。中速域のトルクは十分あるので、追い越しもストレス無く行なえる。風切り音の小ささは特筆できるところだ。

ボディ剛性が高いので、大きめの段差やウネリによる大入力の受け止め方も頼もしい。ただ、いわゆる路面の凹凸を包み込むようなタイプではなく、細かな不整は正直に伝えてくる。乗り心地はドイツ製SUVのテイストに近い。

操縦性も高速域重視

1.9メートルに迫る全幅ゆえ、いつものワインディングは道幅が狭すぎるが、1.7トン超の車重か、固められた足回りか、あるいは4WDのせいか、いわゆる軽快なハンドリングではない。高速走行時にちょうどいいスポーティさと安定感が味わえるセッティングだ。一般道では、まずDSC(低速時以外、オフには出来ない)は介入して来ない。

今回は高速から一般道まで220kmほど走って、プレミアムガソリンを約40リッターを消費。参考燃費は5.5km/L前後という感じだが、加減速や撮影時のエンジンオン/オフが少なければ、もう少し良かったと思われる。このクラスで燃費計が無いのは残念。4WDの10・15モード燃費は8.9km/Lだ。

ここがイイ

スタイリングはさすがマツダ、いつもながら素晴らしい。スポーツワゴンをそのまま腰高に持ち上げたようなスタイリングはドシリと幅広く、18インチホイールのデカさと相まって、えもいえぬカッコ良さ。特に前後フェンダーの張り出しがマッチョ感を強調しており、このあたりは車幅を気にせずデザインできた恩恵だろう。1870mmの幅は完全に欧米車のもので、基本的にこのクルマも国内向けではないことを表している。という点では、BMW・X3やVWトゥアレグあたりとタメをはれる。

サイドモニターおよび駐車ガイド付きバックモニター、G-BOOK ALPHAなど、トヨタや日産のいいところを両取りしているところ。特にサイドモニターは一般のトヨタ車に少ない装備だけに、それらを上回っているとも言えるだろう。良いものは取り入れるという、柔軟性が素晴らしい。マツダ車でおなじみのカード(インテリジェント)キーは、開錠時・施錠時にドアのリクエストスイッチを押すのが少々面倒だが、サイズや厚みが手頃で、実用的だ(あまり薄すぎないので存在感があるから、なくしにくい)。レーダークルーズコントロールも用意されており、先端装備もまずまず不満がない。

ここがダメ

2.3L直噴ターボは2000回転あたりまでの体感トルクが弱く、発進直後や交差点の立ち上がりなどでパワー不足を感じてしまう。3000回転くらいからパワーがグッと立ち上がってくるので、あんまりズボラにもアクセルを踏み込めない。ここは個性でもあるが、もう少し低回転からトルクが出る特性の方が、こと日本では乗りやすいはずだ。

総合評価

ロードスター流用の小径ハンドル、スポーツカー同様のシフトレバー位置、タイトな運転席に3連メーターなど運転席はスポーツカーライク。確かにSUVらしからぬコクピット感覚だ。これがこのクルマの大きな商品力。ただ、小柄な人がシートを前に出すと右Aピラーとミラーがけっこう大きな死角となる。そこで右側にもカメラが欲しいが、例えあったとしても走行中は見続けられない。フロントスクリーン右下隅あたりに画面表示されたりするとベストかとも思うが、このあたり、まだ研究の余地がある部分だと思う。

ターボが効き始めるまで、出だしが一瞬もたつくのは致し方ないところか。2000回転も回れば効いてくるターボで、その後は力不足なく加速する。高速走行時の中間加速でも力感があって、しかも室内はかなり静かな部類。特に、試乗した4WDであればその直進性は絶大で、超高速巡航が楽に楽しめる。

反面、市街地で発進・停止を繰り返すような走りの場合は、スポーティに走ろうとするより、アクセルを軽く踏んでエンジンを回さないように走る方が気分的に楽。もちろん、市街地でも気合いを入れて走るなら、ターボ車のセオリーどおりに走ればいいが、このクルマが都会のためのSUVを標榜するのだとすれば、やはりトルキーなV6という選択肢が欲しくなる。「都市のためのクルマ」と「スポーティカー」の両立は、SUVでなくとも難しい。その意味で、CX-7は都市の快適な足ではなく、スポーツ側へより多く振ってある。

そこでちょっと広めのワインディングへ持っていくと、4WDらしくペタリと踏ん張り安定した走りをみせるが、スタビリティ・コントロールが効くような場面では、オールシーズンタイヤを履くせいもあり、セダン以上スポーツカー未満といった印象。ポルシェやBMWのSUVのように、スポーツカーを負かしてやる、というまでの意志は見られない。しかし、それでも数多のライバル車と比べれば、そのスポーティさはワンランク上だ。個性的な出力特性の直噴ターボ、マニュアルモード付6速AT、クイックなハンドリングと、ワインディングを十分Zoom-Zoomできる。

ということで日常的にスポーツ心を感じながら乗れるカッコよく便利なSUV、若いカップルのためのデートカーとして作られたこのクルマは、本来ならかなりの需要が見込めるはず。ただ、FFでも300万円以上というその価格は、内容の充実度から考えればけして高くないのだが、たぶん多くの若い人が数字だけ見て退いてしまう。ちょっと古いが、5年ほど前の国税庁の統計では、男性サラリーマンの平均年収は、20から24才が280万円、25から29才が388万円、30から34才が483万円という。年収450万の時代に350万円のクルマを買ったことがあるが、経済的にはかなりきつかったことを覚えている。

国内の販売目標が月380台と少なめなのは、マツダにはそれが十分に分かっているからだろう。やはりこのクルマも先週のスカイライン同様、海外がメイン市場で、日本ではお金に少し余裕がある「欲しい人だけが買えばいい」クルマだ。希少性はプレミアム感を高めるから、それはそれで正解。国内ではモデル末期ながら月2000台ほどを売るハリアーに対抗できる、唯一のプレミアムSUVだ。

試乗車スペック
マツダ CX-7 Cruising package
(2.3Lターボ・6AT・366万円)

●形式:CBA-ER3P ●全長4680mm×全幅1870mm×全高1645mm●ホイールベース:2750mm●車重(車検証記載値):1740kg( F:1040+R:700 )●乗車定員:5 名●エンジン型式:L3-VDT ● 2260cc・直列4気筒・DOHC・4バルブ・直噴ターボ・横置●238ps(175 kW)/5000rpm、35.7 kg-m ( 350 Nm)/2500rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/69L ●10・15モード燃費:8.9 km/L ●駆動方式:フルタイム4WD ●タイヤ:235/60R18( Bridgestone Turanza )●試乗車価格:373万3500円( 含むオプション: Bose サウンドシステム 9スピーカー 7万3500円 ) ●試乗距離:約200km ●試乗日:2007年1月 ●車両協力:東海マツダ販売株式会社

 
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