Published by DAYS since 1997 from Nagoya, Japan. 名古屋から全国に発信する新車試乗記や不定期コラム、クルマ情報サイト

ホーム > 新車試乗記 > ダイハツ コペン ローブ

ダイハツ コペン ローブ新車試乗記(第738回)

Daihatsu Copen Robe

(0.66L 直3ターボ・CVT・179万8200円)

ボディ構造を一新!
生まれ変わったコペンに
「これからの日本」の
スポーツカー像を見た!

2014年08月29日

  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

ボディ構造、デザイン、パワートレインを一新


新型ダイハツ コペン

2002年に発売された「コペン」は、軽自動車の2人乗りオープンスポーツカー。2012年にいったん生産を終了したが、2014年6月19日に今回の2代目が発売された。新型の開発コンセプトは「感動の走行性能」、「自分らしさを表現できるクルマ」だ。

具体的には、初代と同じく軽規格のボディに660ccのターボエンジンを搭載するFF車で、電動開閉式ハードトップ「アクティブトップ」を装備する。一方で、新型はオープンボディながら高いボディ剛性を確保するために、いわゆるモノコック構造でもなく、フレーム構造でもない新骨格構造「Dフレーム」を採用。プラットフォーム自体はミライースがベースだが、コペン専用に開発されたもので、先代に比べてボディ上下曲げ剛性を3倍、ねじれ剛性を1.5倍とするなど、劇的にボディ剛性を高めている。

 

ドア以外のボディ外板は樹脂製で、ディーラーで簡単に脱着が可能

同時に、ドア以外のボディ外板を樹脂製とするなど、“着せ替え”を可能とした内外装着脱構造「ドレスフォーメーション」を新採用。これにより軽量化したほか、外観デザインが異なるモデルを追加予定とするなど、先代にはなかった魅力を加えている。

初代のエンジンは4気筒ターボエンジンで、ミッションは4ATもしくは5MTだったが、新型は最新世代の3気筒ターボエンジンに、CVT(無段変速機)もしくは5MTを搭載。アイドリングストップ機能(CVT車のみ)も新採用し、JC08モード燃費25.2km/L(5MT車は22.2km/L)を達成している。

月販目標は700台で、コペン専用工場で生産


新開発の「D-Frame(Dフレーム」。フロアパネルやエンジンコンパートメント周辺はミライースをベースとするが、フロアにX字型や井桁型の補強を入れたり、ドア開口部周辺を新設するなど、ほぼ専用設計

先代の目標月販台数は500台だったが、新型は700台。生産は、先代コペンを生産していた大阪本社工場(大阪府池田市)の「エキスパートセンター」をリニューアルして作った「コペンファクトリー」で行われる。オーナーが希望すれば見学もできる“開かれた工場”となるのも新しい試みだ。

また、すでに予告されているように、2014年秋には外観デザインが異なる「X(クロス)モデル」が投入される予定。またさらに2015年の中盤には、先代のイメージに近い丸目ヘッドライトの「第3のデザイン」が発売される予定。

なお、初代コペンの累計販売台数(国内向け、2002~2012年)は5万7993台。また、主に欧州など海外でも販売されており、こちらは1300cc版も含めて約8000台が販売されたようだ。

■過去の新車試乗記
ダイハツ コペン (2002年9月)

 

2011年の東京モーターショーで発表されたコンセプト「ダイハツ D-X(ディークロス)」

こちらは2013年の東京モーターショー。D-Xの発展版と言える「Kopen Xmz」(手前)と、市販第一弾のローブの原型である「Kopen Rmz」(奥)

2015年発売予定の「第3のデザイン」。ヘッドランプと外装を交換すればローブからの着せ替えも可能
 

価格帯&グレード展開

諸経費込みで200万円を超える


ボディカラーは全8色だが、ルーフはブラックのみ

新型コペンの第一弾として発売されたのは「ローブ」というモデル。グレード名は、ボディ骨格に外板を服のようにまとうことから、フランス語のRobe(服、ドレスなどの意)が由来とのこと。

全車ターボエンジン、電動開閉式ルーフ、16インチアルミホイールが標準装備で、価格(消費税8%込み)はCVT車が179万8200円、5MT車が181万9800円。標準はオーディオレスなので、ナビなどのオプションや諸経費を加えると総額は200万円を軽々と越える。

ちなみに初代は、2002年当時は一般的だった消費税(当時は5%)抜き表示で149万8000円だったが、今は消費税8%込みになるほか、LEDヘッドランプ、VSC&TRC、キーフリーシステムなどが標準装備なので、一概に高くなったとも言いにくい。

 

内装(ダッシュ、トリム、シート)色はブラウンが標準で、ブラックをオプションで用意

メーカーオプションには、2DINサイズのインパネオーディオクラスターやステアリングスイッチ(音量、選局、モード切替など)をセットにした「純正ナビ・オーディオ装着用アップグレードパック」(1万6200円)を用意している。デザイン的なシンプルさは失われるが、実用面を考えると同パックは必須だろう。実際、ナビの視認性は非常に良い。

あとは好みに応じて、シートやインパネがブラック基調になるブラックインテリアパック(3万2400円)、フォグランプ(1万0800円)などが選べる。

 

パッケージング&スタイル

第1弾は、奇抜なデザインで勝負

なにぶん、デザインコンセプトが発表されたのは2011年の東京モーターショーなので、この3年間でだいぶ目が慣らされた感じはあるが、率直に言って新型コペン、特にこのローブのデザインはかなり奇抜。初代コペンが1950年代のポルシェ 356Aに範をとった、お椀を伏せたようなクラシカルなカタチだったのとは全く異なり、好き嫌いを即座に迫るデザインになっている。

 

また、フロントのLEDポジションライトは「く」の字型に光る形状。リアコンビランプも、下方向にLEDランプが伸びるなど、これまで見たことのないライトデザインになっている(点灯時はダイハツのD、コペンのCの形で光る)。このあたりは、外観デザインが違うバージョンを用意しやすい「ドレスフォーメーション」ゆえの冒険だろう。ボンネットやトランクリッドの立体的な形状も、樹脂製ゆえに実現できたようだ。

外板はドアを除いて樹脂製


ボディサイズ(先代比)は全長3395mm(同)×全幅1475mm(同)×全高1280mm(+35)、ホイールベース2230mm(同)

新骨格構造「Dフレーム」がまとう外装は、計13個の樹脂製パーツから成る。ドアだけはスチール製だが、ボンネット、トランクリッド、ルーフはGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、前後フェンダー、前後バンパーはポリプロピレンとなり、専用のトルクスボルトで締結される。なお、ルーフのメカ部分は先代コペンのものを継承しているが、リアクォーターウインドウは廃止されている。

このようにスチール製の骨格に樹脂製アウターパネルを組み合わせた例は、過去にマツダのAZ-1やスマート ロードスターなどがあるが、メーカー自ら、着せ替えバージョンを発売する例は珍しい(AZ-1の場合は子会社のマツダスピードやM2が用意した)。

 

車両協力:名古屋ダイハツ

また、ダイハツとしては今後、軽自動車の軽量化を図る上で、外板の樹脂化を考えており(現行タントではすでにボンネットやフロントフェンダーが樹脂化されている)、新型コペンの外板樹脂化も、技術の先行投入という意味合いが大きいようだ。後で触れるが、燃料タンクもダイハツ初の樹脂製(すでに他社では珍しくない)になっている。

 

インテリア&ラゲッジスペース

インパネデザインはシンプル&斬新


試乗車はオプションの純正ナビ&取付キット付。これはこれで収まりは悪くない

一見して質感が向上したのが分かるインテリア。インパネの形状も先代のオーソドクスなものから、シンプルかつ斬新なものに変身。センターコンソールを上に向かって細くするなど、ユニークな形状になっている。これが可能になったのは前述のようにオーディオレスを標準とし、2DINスペースをオプションとする、という方法を採ったからだ。

CVT車のシフトゲートに全く照明がなかったり、電動ルーフの開閉スイッチとパワーウインドウのスイッチが同じセンターコンソールにあって紛らわしい、といった細かい点は気になるが、まぁこのあたりは慣れで解消できるもの。軽量スポーツカーに多少の不便さ、簡素な作りは付き物でもあるし。メーター視認性は、情報ディスプレイも含めて良好。ステアリングの質感、触感も良い。

横方向の余裕はある。頭上はややタイト


先代よりもフロントウインドウは寝ているが、オープン時の開放感は高い。ステアリングのチルトはあるが、テレスコやシートリフターは設定なし

横幅1475mmの軽自動車ゆえ、室内幅はカタログ値で1250mmしかなく、運転席に座ったままでも助手席ドアに手が届くほど。しかし、肩からドアまでの距離、いわゆるショルダールームは運転席と助手席、共に余裕があるため、旧軽規格(全幅1400mm未満)のビートやカプチーノにあった横方向の圧迫感はない。標準的な体格なら、2人乗りでもそれほど窮屈な思いはしないはず。これには、しっかりした作りのシートや静粛性など、動的な快適性の高さも理由としてある。

一方、室内高はけっこうギリギリで、特に乗り降りの際には、身長165センチ程度でも頭がルーフを擦ってしまう。おそらく、着座位置がそんなに低くないせいだろう。それでも、トール型が今や主流の軽自動車においては、圧倒的に目線は低い部類。そもそも、これ以上低いと、乗り降りが大変になるし、周囲からの圧迫感も強いし、衝突安全面でも不利になる。実用性を考えると、このくらいが常識的なレベルだ。

 

パワーウインドウと電動トップのスイッチはシフトレバーの横。トランクリッドと給油リッドのオープナーは鍵付き小物入れの中。ボンネットオープナーはグラブボックスの中にある

全車標準のオートエアコンは、室内が狭いせいもあってよく効く。エンジン始動スイッチはステアリングの左側。左右対称デザインなのは輸出対策か?

質感の高い自発光式メーターを採用。回転計は小さく、MTだと数字の読みにくさが気になるかも
 

クローズド時はゴルフバッグも可。オープン時の容量は少し拡大


オープン時の荷室は拡大。ただしルーフが邪魔で開口部が狭く、荷物を出し入れしにくいのが弱点

荷室はこの手の電動ハードトップ車の常で、クローズド時とオープン時では容量が大きく異なる。クローズド時はゴルフバッグが一つ、あるいは大型スーツケースが一つ収まるほど大きい。一方でオープン時は、ルーフがトランク内に収納されるため、ショルダーバッグが2つ入る程度で、しかも出し入れがしにくい。とはいえ先代よりもオープン時の容量は増えている。

トランクリッドを開ける時は、室内センターコンソールの小物入れ内にあるボタンを押すか、スマートキーを携帯した状態でナンバープレート上部に隠れているボタンを押すと、ロックが解除される。トランクリッドの開閉は重めだが、イージークローザーがあるので、力を入れなくても確実に閉まってくれる(ここは先代も同じ)。

 

電動トップが収まる部分と、それ以外のスペースを分ける収納式の仕切りがある

クローズド時ならゴルフバッグが一つ、もしくは大型スーツケースが入る

荷室の下には、車載工具とパンク修理キット。先代もスペアレスだった
 

基本性能&ドライブフィール

新型は出足からトルクフル

試乗したのはCVT車(179万8200円)で、純正ナビ等のオプション込みで210万円オーバーという仕様。

低めのシートに体を滑り込ませ、ステアリング左側のスタートボタンを押してエンジンを始動。「ブォォォン」と全く軽らしからぬ心地よい排気音が、凝った作りのステンレス製2本出しマフラーから吐き出される。つかみはOKという感じ。

出足からトルクが思いのほか分厚く盛り上がり、力強く加速。CVTにありがちなエンジン回転だけが先に上がるスリップ感はなく、リニアに速度を上げていく。言ってみればシフトショックのない6速ATみたいな感じ。

 

タントやムーヴなど、ダイハツの軽自動車に広く使われているターボエンジン「KF-VET型」。ただし圧縮比を0.5上げて9.5とするなどコペン専用にチューン

最高出力は64ps/6400rpm、最大トルクは9.4kgm/3200rpm。先代の4気筒ターボ(JB-DET型)は64ps/6000rpm、11.2kgm/3200rpmだったから、トルクで1割以上ダウンしているわけだが、実際のトルク感は明らかに新型の方が上。先代のエンジンは4気筒のショートストローク型で、なおかつ圧縮比も8.2と低く(新型は9.5)、低回転での力感に乏しかったが、新型は2000回転以下でもしっかりレスポンスする。一般道から高速道路まで、通常は2000回転以下で不満なく走り、加速する時も3000回転ほど回せば事足りる。

車重は先代4AT車(840kg)より30kg重い870kgだが、1.5~3倍という大幅なボディ剛性アップや衝突安全性の向上、装備の充実などを考えると、よくぞ抑えたと言える。トルクフルなエンジン、新型コペン専用にロックアップ率を上げたCVTのおかげで、車重が気になる局面は全くない。街中から高速道路まで、普通に走る分においては、パワートレインにまったく不満はないし、動力性能や余裕は一部のリッターカーを上回る感じすらある。

足はそうとう硬いが、ボディ骨格はガッシリ


フロントはストラット、リアはトーションビームと普通だが、前後に太めのスタビライザーを装備。ダンパーはショーワ製

ワインディングを走らせると、ハンドリングはなかなかいい。高まったボディ剛性、軽量コンパクトなボディ、低重心、吟味されたサスペンションなどが相まって、ミズスマシのような機敏なハンドリングが楽しめる。この感覚は、一般的なハッチバック車では決して味わえない。開発陣はフォード フィエスタの操縦性を参考にしたようだが、似てるなと思ったのはMINI、特に2シーターのMINI クーペ/ロードスターあたり。ただ、コペンの方がパワーはなく、速度も常識的な分、気楽に楽しめる。VSC&TRCは標準装備だが、ドライであれば強く介入してくることはほとんどない。

一方で、驚くのが、足回りの硬さ。スムーズな路面ならそんなに気にならないが、凸凹だらけの荒れた舗装路を走ると、サスペンションは慌ただしくバタバタし、最近のスポーツモデルでも記憶にないくらいのハードさを感じる。マツダ ロードスターでもこんなに硬くないんでは、という感じ。

 

タイヤサイズは165/50R16で(軽もついに16インチ)、専用チューンのブリヂストン ポテンザRE050A

ただし、その割に跳ねたり突き上げたり、コーナリング中に横っ飛びとかしないのは、サスペンションチューニングが行き届いているからだろう。前後ダンパーはショーワ製で、フロントにはフリクションコントロールシールを採用。前後サスのバンプストッパーはウレタン製と、なかなかマニアックな仕様。

また、先代コペンはボディの剛性感が低く、段差では強い突き上げが入ったり、コーナーでもすぐに限界に達したりと軽自動車感が拭えなかったが、新型はフロアの剛性感が格段に上がった。実際のところ、そういう状況だとボディ外板?がワナワナしたり、Aピラーがブルブルッと震えたりするのだが、それでも安心感が持続するのは、フロアなどの要の部分がガシッとしているから。曲げ剛性が3倍、ねじれ剛性が1.5倍という文句は伊達じゃない。

 

ワインディングでも、エンジンを上まで回さずに、低・中回転域のトルクで走らせた方が楽しめる。7速スーパーアクティブシフトなるマニュアルモードは使わず(シフトレバーのシーケンシャル操作のみ)、Sモードを選択するに留めて、ステアリングやペダル操作に専念した方がストレスなく走れる。パドルシフトはなくてもいいと思えた。

電動パワーステアリングは、速度が上がってくると手応えがグッと増すタイプ。ステアリングギア比は、ダイハツ車では最もクイックとのことだが、スポーツモデルとしては意外にスロー。ただし反応は正確だし、ボディ自体の動きがけっこうクイックなので、ステアリングの方はこれくらい穏やかな方がいい。

総じて、足の硬さは好みが分かれるところだが、シャシーの基本性能は高く、しかも誰もが楽しさを味わえて、安全性も高い。こだわりのあるスタッフが、時間をかけてじっくり煮詰めたことが伝わってくる。

実測で約15秒、手動ロック操作を含めれば約20秒でオープンに

電動トップの開閉は、シフトレバーをP(パーキング)に入れた時のみ可能。オープンにする場合は、まずフロントウインドウ上部の左右2ヶ所にあるロックレバーを手動で解除。このロック金具は先代コペン、そしてマツダのロードスター(初代NAや2代目NB)と同じものだ。

ロックを解除したら、センターコンソールのスイッチを押す。すると油圧でトランクリッドが持ち上がり、続いてルーフが2つに折り畳まれて、トランク内に収納される。トップの開閉時間はカタログによると約20秒だが、ボタンを押してから動作は完了するまでは約15秒。手動ロックの操作時間を含めると、確かに約20秒といったところか。

 

オープン走行時の印象は、左右席ヘッドレストの間にプラスチック製のウインドディフレクターがあるため、風の巻き込みは割と少なめ。特にキャビン中央の後方から巻き込んでくる風(これがオープンカーで一番気になる)は、かなり抑えられている。肩から下に当たる風も少ないと感じた。一方で、頭頂部に当たる風はけっこう多めなので、帽子は必須という感じ。

ただ、このあたりの印象は外気温に大きく左右されるので、冷気を感じやすい秋・冬に乗るとまた感じ方が違ってくるはず。ちなみにシートヒーターは運転席・助手席共に標準装備。

軽自動車きっての高速ツアラー


凝った作りのデュアルマフラーは標準装備。心地よい低音を響かせる

100km/h巡航時のエンジン回転数は、約2700回転。軽のCVT車だと、アクセルの踏み込みに応じてエンジン回転数が大きく上下し、一定の速度で走るのが難しい場合があるが、新型コペンの場合はエンジンにしっかりトルク感がある上、CVTのロックアップ感が強いので(CVTであることを忘れる)、とても巡航しやすい。

また、舗装状態のいい高速道路であれば、サスペンションの硬さもそれほど気にならない。静粛性も高いので、高速ロングツーリングも割と無理なくこなせると思う。何となく、モーターデイズで絶賛したダイハツ ソニカを思い出した。

空力性能については、リアの揚力を先代コペンに比べて約60%も低減したとのこと。そのせいか新型は高速走行時の安定感が高い。逆に言えば、先代コペンのボディ形状がいかにリフトしやすかったかということだが。車重が軽い軽自動車は、横風のほかに揚力の影響を受けやすいので、これはけっこう効いていると思う。

Cd値は未公表だが、先代に比べて約6%低減したという。軽スポーツの場合、前面投影面積がそもそも小さいので、絶対的な空気抵抗もかなり小さいはず。

試乗燃費は12.0~20.5km/L。JC08モード燃費は25.2km/L(CVT車)


タンク容量は30リッターで、もちろんレギュラーでOK

今回はトータルで約200kmを試乗。試乗燃費(車載燃費計)は、いつもの一般道、高速道路、ワインディングを走った区間(約90km)が12.0km/L。一般道をエコ運転して走った区間(約30km)が16.0km/L、一般道と高速道路を大人しく走った区間(約30km)は20.5km/Lまで伸びた。JC08モード燃費は試乗したCVT車で25.2km/L、5MT車で22.2km/L。

軽のターボ車というと、燃費はいまいちというのが一昔前までの印象だが、新型コペンはパワフルな割に燃費がよく、特に高速巡航時(80~100km/h)は20km/L台に入るなど低燃費。このあたりはミラ イース譲りのエコ技術が効いていそう。

なお、先代はJC08モードより数値が甘い10・15モード燃費でも、4AT車で15.2km/L(5MT車は18.0km/L)だったから、オートマ同士で比べると燃費は1.6倍以上も向上。また、前回試乗した新型ヴィッツ 1.3と比べると、試乗燃費やJC08モード燃費はほぼ同じだった。実用燃費は、おおむね最新のBセグコンパクトカーと互角と考えていいと思う。

なお、燃料タンクはダイハツ初の樹脂製になり、容量は先代の40リッターから30リッターに縮小されている。実用燃費が良くなっているので、航続距離は先代と同等以上ということだろう。

 

ここがイイ

ボディ剛性、静粛性、乗り心地、動力性能、燃費など全て大幅に良くなった

先代コペンに比べて、動的な質感が格段に上がったこと。先代は低回転域のパワーがない上に4ATであるなど、パワートレインが弱く、またボディ剛性もいまいち低くて、段差ではアクティブトップから音が出たり、ハンドリングや乗り心地に関してもベース車であるミラの延長線上という感じがあったが、新型はまったくの別物になり、いわゆる「いいクルマ」になった。トルクフルなエンジン、リニアなCVT、高いボディ剛性、吟味された足回り、静粛性の高さ、作りの良さなど、非常に高いレベルで仕上げられている。燃費も格段に良くなった。

 

そして900kgを切る車重、低い重心、硬められたサスペンションなどにより、ライトウエイトスポーツカーと呼ぶに相応しい機敏なハンドリングが体験できること。しかも、それを、維持費や信頼性についても心配の要らない新車の軽自動車で味わえる。

ヘッドルームを除けば、そんなに狭さを感じない室内。そして車内が狭いゆえ、クローズド時はもちろん、オープン時でもけっこうよく効くオートエアコン。ロックの解除は少々面倒だが、素早くスムーズに動くアクティブトップなど、細かいところまでよく作りこまれている。市販車に近いコンセプトカーが発表されてから、今回の発売まで3年ほど掛かっているが、じっくり時間をかけて開発したであろうことが、走らせてみるとよく分かる。

ここがダメ

山道でのブレーキタッチ。路面によっては気になる足の硬さ。電動トップの操作性

ワインディングを走った時に気になったのが、ブレーキペダルの初期タッチ。街乗りではほとんど気にならないが、コーナー進入時などに減速もしくはフロントに荷重を乗せるため、軽くブレーキペダルを踏んでも制動力が立ち上がらず、かなり奥まで踏んで初めて効き始める(ブレーキの効き自体はとてもいい)。メーカーの資料には、ブレーキのブースタマスターについて「特性最適化により、ストロークに応じたリニアな効きを確保」とあるのだが。試乗車固有のものだったかもしれない。

足回りに関しては、ライトウェイトスポーツカーでもあるし、好みの問題もあるが、おそらくほとんどの人が「そうとう硬い」と感じるはず。特に舗装の悪い田舎道での揺すられ感はそうとう大きい。先代(R56型)MINIで言えば、クーパーより明らかに硬く、クーパーSを超えるくらいの硬さ。Aピラーや外板はワナワナと震える一方で、ボディ骨格の剛性が高く、姿勢もフラットに保たれるので不快ではないが、舗装の悪い場所を日常的に走ることが多い場合は、けっこう気になりそう。これがライトウェイトスポーツだ、とも言えるのだが。

 

この手の背が低いスポーツカーの場合、乗降性の悪さはある程度仕方ないが、少し気になったのは、つま先がダッシュボード下部に引っかかりやすい点と、降りる際に手を付くことが多いサイドシルの樹脂カバーの剛性が足りず、ペコッとなること。ここはもう少しシッカリ感を持たせたい。

シートリフターがないのはいいとして(小柄な人でも上げる必要はほとんど感じないはず)、ステアリングがチルト(上下)調整だけで、テレスコ(伸縮)調整がないのはちょっと残念。スポーツ走行をする時は、もうちょっと手前に引きたくなる。

アクティブトップは機構的には先代とほぼ同じで、コストや車格を考慮すれば、これ以上の注文はつけにくいのだが、それでも改良の余地があると思ったのは、エンジンが掛かった状態でパーキングに入れないと開閉操作はできないこと。走行中は無理にしても、他社のオープンカーを参考に、もう少し作動条件を緩められればと思う。

 

また、クローズドにする場合、サイドウインドウを閉じる(上げる)ところまで連続して行ってくれないこと。そして開閉動作が終わった時の「ポーン」というお知らせ電子音が小さいこと(音量調整できるのだろうか?)。なので最後にパワーウインドウが閉まってくれると、お知らせ音が聞こえなくても、操作の完了が確認できていいと思う。

さらに言えば、ブラインド操作したくても、ルーフの開閉スイッチが分かりにくいこと。輸入車に多い最新のオープンカーは、気軽に屋根が開けられるよう、そして素早く閉じられるように、このあたりの操作がかなりスムーズに出来る。もう少し簡単に操作できるようになるといい。

総合評価

「楽しさ」だけでなく「楽さ」もある

過去にも書いたような気がするが、かつてホンダ ビートが登場した時、迷うことなく注文を入れた(実はあまりの納車の遅さに結局キャンセルしたのだが)。その頃、所有していた家族用のワンボックスワゴンに、自分が楽しむためのオープンKスポーツを加えるのは、お金の自由がきかない子育てサラリーマンにとって最良の選択に思えたものだ。

時は流れたが、今もそういう状況はそう変わってはいないだろう。いや、昨今はタントのような軽のトールワゴンという子育て用の最強カーが存在するだけに、これにKスポーツを加えれば、昔より更にローコストでファミリーカーとスポーツカーの2台を所有できるわけだ。3年前の東京モーターショーに新型コペンのコンセプトカーが出た時、お金の自由が効かないクルマ好きサラリーマンは密かに歓喜したに違いない。それには先代コペンが「スポーツカー」として楽しむには、ちょっと不満があるクルマだったというのもある。

 

試乗してみると、新しいコペンは本文に書いたとおり十分にスポーツカーとして楽しめる能力を持つことが分かった。また、オープン時の開放感が高いだけでなく、風の巻き込みもそこそこあるため、逆にオープン走行という非日常が楽しめることも分かった。それでいて、ひ弱な現代人が耐えられるだけの快適性も担保されている。例えば子供を預けて、夫婦でデートに出かけた時、いくらスポーツモデルとはいえ、あまりにハードなクルマでは興ざめするはず。奥さんを怒らせないだけの快適性がなかったら、あるいはたまには奥さん自身が運転できるイージーさがなかったら、このクルマの購入ハードルは高くなるだろう。そうした「楽さ」は、このクルマの購入者のかなり多くを占めると思われる熟年層のためにも必要なことだ。

外板交換で可能性が広がる

そんなコペンに関して、なにより画期的なのが、外板を交換できる点だろう。実は今回の試乗中、外観デザインがいまいち気に入らないという声をけっこう聞いた。普通のクルマであれば、それでアウトだが、コペンの場合は外板の変更によって、クロスオーバー風のXモデル、丸目ヘッドライトのモデルと、さらに2つのタイプを追加することが決まっている。個人的には試乗車よりXモデルがデザイン的に気に入った。しかも素晴らしいことに、買ったあとでも交換によって外観を変えることができるという。これは自動車史上、革命的な出来事といって言いだろう。

飽きたら、あるいは古びたら、別の新しいデザインに変更できるのは、気に入ったクルマに長く乗るために、またお金をセーブするためにも実に喜ばしいことだ。さらに、今後は多くのクルマで外板が樹脂化するのは間違いなく、その意味でも先進的な試みだ。これを実現するために新概念の骨格構造(Dフレーム)まで新たに作ったダイハツの意気込みに、大きな拍手を贈りたい。

法的にどうなのかまだ分からないが、展開によってはサードパーティが外板パーツを作ることも盛んになるだろう。すでに外板パーツの製作に必要な情報を、アフターパーツメーカーに公開するという取り組みも発表されている。その場合、軽の枠にとらわれないデザインができるなら、相当かっこいいスタイリングが可能になるはずだ。デザイン的にコペンが苦しいのはやはり全幅の狭さだから、その枠を超えたカタチをサードパーティが提案できるなら、より魅力的なファンカーの世界がやってくるはず。むろん全幅が枠を超えれば、軽の特典はなくなってしまうが。今回のコペンでは購入者の工場見学など、クルマをより愛せるための、これまでにない取り組みを提案しているが、カスタムに関しては、まだ具体的な提案はないようだ。今後はだんだんと、その方向にも取り組んでもらいたい。

コペンに隠された、ひそやかな提案

ダイハツはタントという、ある意味でクルマとは呼べないような「家族用の乗り物」を作り上げ、大ヒットさせた。その一方で、クルマ好きに対しては、その罪滅ぼしの意味を込めてなのか、走り曲がり止まり、楽しんで愛でるというクルマの本質そのものを持つコペンを作り、果敢に提案している。しかもKカーという、経済性の高い日本の国民車規格の中で、この対極に位置する2台を作り上げたのだ。それは今後、世帯収入が上がらないだろうと言われる日本社会で、お金をかけずに日常生活を楽しむという、これからのひとつの生き方を予測してのことだろう。それは希望と野望渦巻く都会生活ではなく、copen.jpでも表現されているように、クルマを必需品とするスローな地方の生活であり、社会のあり方に対する控えめな提案でもあるようだ。

ダイハツは大阪郊外という田舎(失礼)で、日本人の行く末(と自社の行く末)を考えている。熟年層なら特に分かると思うが、かつては郊外での暮らしにおいて、クルマは愛すべき人生の相棒であり、それゆえに愛着に満ちた存在だった。しかし今は、若者を中心に単なる移動ツールとされてしまっている感が強い。が、それではクルマ産業が支える日本経済の未来はけして明るいとは言えない。高級車ではない身近な日本車をもう一度愛でる事ができるようになれば、日本社会はなんとか持ちこたえるのではないか。実はそんな大仰な意図を隠し持つ画期的なプロダクトがコペンだと思う。このクルマにぜひ成功してもらい、他のメーカーもそれに追従してもらいたいものだ。そう、タントのように。

 

試乗車スペック
ダイハツ コペン ローブ
(0.66L 直3ターボ・CVT・179万8200円)

●初年度登録:2014年6月 ●形式:DBA-LA400K ●全長3395mm×全幅1475mm×全高1280mm ●ホイールベース:2230mm ●最低地上高:110mm ●最小回転半径:4.6m ●車重(車検証記載値):870kg(540+330) ●乗車定員:2名

●エンジン型式:KF ●排気量・エンジン種類:658cc・直列3気筒DOHC・4バルブ・ターボ・横置 ●ボア×ストローク:63.0×70.4mm ●圧縮比:9.5 ●最高出力:47kW(64ps)/6400rpm ●最大トルク:92Nm (9.4kgm)/3200rpm ●カムシャフト駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:レギュラーガソリン/30L ●JC08モード燃費:25.2km/L

●駆動方式:FF(前輪駆動) ●サスペンション形式:前 マクファーソン ストラット+コイルスプリング/後 トーションビーム+コイルスプリング ●タイヤ:165/50R16(Bridgestone Potenza RE050A)

●試乗車価格(概算):217万6814円 ※オプション:カラーオプション(マタドールレッドパール) 3万2400円、ブラックインテリアパック 3万2400円、純正ナビ・オーディオ装着用アップグレードパック 1万6200円、スマートフィニッシュAグループ(ボディコーティング) 4万6000円、ダイヤトーンサウンドナビ 19万7765円、バックモニター 3万5856円、カーペットマット 1万7993円 ●ボディカラー:マタドールレッドパール ●試乗距離:約200km

●試乗日:2014年8月 ●車両協力:名古屋ダイハツ

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加 
  • mixiチェック
 
 
 

ダイハツ 最新の試乗記10件

最近の試乗記一覧

関連コンテンツ一覧